昨秋、幾度となく勝負強さを見せ、チームの勝利に貢献してきた佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)。オフシーズンには、打撃にさらに磨きをかけ今も好調をキープしている。見据えるのは3季ぶりの栄冠。打の軸として、主将として臨むシーズンに対する思いを伺った。
※この取材は4月2日に行われたものです。
「自分のかたちでスイングでき出している」
多くは語らないが胸に秘めたものは熱い
――東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)開幕まであと6日となりましたが、今のチームの雰囲気はいかがですか
雰囲気自体はそんなに悪くないと思っています。
――春季オープン戦を振り返って、良かったことと悪かったことはありますか
良かったことは打撃陣がちょっとずつなのですが好調になりつつあるかなということです。悪かったことはいっぱいあるのですが、守備のミスや走塁のミスなど、そういう細かい部分でちょっと粗が出ているかなということです。
――昨日ときょうの2試合が春季リーグ戦を想定したゲームだったと思いますが、特に意識したことはありましたか
ずっとオープン戦で負けが続いていたので、昨日は絶対勝ちに行くぞという雰囲気でやって、昨日はいいかたちで勝てました。きょうはリーグ戦だったら2勝しないと勝ち点が取れないので、勝ち点を取りに行くぞということを意識しましたが、勝ち切れない試合になりました。
――昨日のHonda戦(〇6-1)は投打もかみ合っていましたが、理想の勝ち方になるのでしょうか
守備に関していえば1点にとどめて、『守り勝つ野球』ができれば。ああいうかたちでしっかり守れたらいいなと思います。打撃に関してはいつもいつも大量得点が取れるわけではないので、あれが一番いいかたちかなと思います。あれができればいいと思うのですが、なかなか難しいところもあるので・・・
――本日の日本通運戦(●1-5)で勝ち切れなかった理由は何だと考えていますか
初回にチャンスを作れたのですが、満塁の機会をつくりながら1点で止まってしまったというのがあまり良くなかったかなと思います。あそこでしっかり2点、3点と畳みかけていくことができていれば、もう少しいい試合展開、いいかたちで試合が流れていけたのかなと思います。
――春季オープン戦が終了しましたが、何かチームに話したことはありますか
今さら技術がどうとか、急にうまくなるわけではないので。監督さん(髙橋広、昭52教卒=愛媛・西条)からも話があったのですがチーム全体でどう勝ちにつなげるか。ベンチからの声掛けや、守備だったら「何があるぞ」「バントあるぞ」という声掛けをしっかりチーム全体でやって一体感出してチーム全体で勝ちに行こうということはミーティングで確認しました。
――次に打撃について伺いのですが、沖縄キャンプでの取材時には台湾遠征の時に比べて少し調子が落ちているとお話しされていました。現在の調子はいかがですか
ちょっと波はあるのですが、少しずつですが自分のかたちでスイングでき出しているかなという感じですね。
――徐々に感覚をつかめてきているのでしょうか
はい。
――沖縄キャンプ、関西遠征、春季オープン戦といったこれまでに具体的にどのようなことを調整されてきましたか
打席で自信がなくなってくると、打ちにいこうとしてボールを見る時間が短くなって、前に突っ込んでという悪循環が生まれるので、ボールを見る時間をしっかり取ってボールとグリップとの距離をしっかりとるというのを意識してずっと練習していました。バッティング練習では右方向というのをとにかく意識して、と監督さんにはずっと言われているのでそれを意識してやっていました。
――それが実戦でも徐々にできてきているのでしょうか
そうですね。
――打順は3番に定着していますが、ご自身には打者としてどんな役割があると思いますか
八木(健太郎、スポ4=東京・早実)がすごく好調で。1番で出て、2番が送って、3番は(走者を)還すなり4番にランナー3塁でつなぐなりという重要な役割があると思います。ゲームの序盤、特に初回は八木が出てしっかり還すという役割があると思います。自分の役割を全うできればと思います。
――そういうことが髙橋監督からも期待されているのでしょうか
そうだと思いますね。
――後ろにつなぐ意識は常に持っていますか
そうですね。4番につなぐ、いいかたちで打席を回せるようにということを意識しています。
――目標とする打者としての理想の姿はありますか
そんなにバンバンホームランを打つような選手ではないと思っているので、内川選手(聖一、福岡ソフトバンクホークス)など逆方向に打つバッティングがすごくうまいので、そういうのが理想ですかね。そして後ろにつなぐっていう。
チームの強みは『泥臭さ』
バットでチームをけん引する
――チームについて伺います。内外野の連携がうまくできていないと以前おっしゃっていましたが、現在は徐々に良くなっていますか
そうですね。外野手もしっかり内野の頭めがけて投げるということをずっと意識してやってきて、それができているんじゃないかというのはあります。あとは周りの声掛けですね。どこに投げろ、どこにつなげという声掛けをもっと徹底していけたらいいかなと思います。
――これまでの実戦を通してチームの方向性は確立してきましたか
『守り勝つ野球』というのは方向性としてあるのですが、できない試合も多かったので、もちろんできなきゃいけないのですが、この1週間でもっともっと守備に関しては厳しく厳しくやっていけたらなと思います。
――今後は特に守備面での粗を一つ一つつぶしていくかたちになりますか
そうですね、はい。
――いま厳しくという話がありましたが、チームに『守り勝つ野球』をするために必要だと思うこと、もしくは足りていないと思うことは何だと思いますか
一球に対する集中力ですね。ノックだったら何球も何球も受けることができると思うのですが、そうじゃなくて一球でみんながノック回せるようにというのが理想ですかね。
――チームの一人一人に力は付いてきていると感じますか
だいぶ思いますね。やはり意識もだいぶ違ってきていると思います。
――特に誰が変わったというのはありますか
岸本(朋也、スポ3=大阪・関大北陽)はもともと肩が良かったのですが、さらに送球の精度も上がっていて、きょうも二つ(盗塁を)刺しましたし、すごく変わっているんじゃないかなともいます。
――関連してしまいますが、佐藤晋選手が期待している選手は
やはり八木とか岸本とか。あとは守備の面で言ったら檜村(篤史、スポ2=千葉・木更津総合)とかすごく期待しています。
――このあたりの選手がリーグ戦のキーマンとなりますか
そうなるんじゃないですかね。
――ここまでやってきて分かることしのチームの強みはなんだと思いますか
泥臭く、最後まであきらめないという感じですかね。あと、真面目にみんなやってくれるので、そういうところが試合にいいかたちで出てくるんじゃないかなと思っています。
――試合を見ていると、声が出ていて明るいチームだなというのは感じるのですが、例年以上に声は出ているチームですか
いや、どうなんですかね・・・。でも、岡(大起、社4=東京・早実)とか吉見(健太郎、教4=東京・早実)とかはすごく積極的に声を出してくれるので、そういう意味では例年より元気なのかな・・・ちょっと分からないですけど(笑)。
――4年生にムードメーカーが多いのでしょうか
ああ、それはあるのかもしれないですね。熊田(睦、教4=東京・早実)とかもですね。
――やはり4年生が盛り上げてくれることは多いですか
多いですね、はい。
――主将としてここまでやってきましたが、難しさを感じることはありましたか
やはりいつもいつも、みんながみんな同じ方向を向いているわけではないですし、いろんな意見があるので、そういった中で練習を回していかないといけない、やることをやっていかないといけないというのはすごく大変だなと感じています。
――主将として大切にしていきたいこととして以前挙げられていたのがコミュニケーションを積極的に取るということでしたが、コミュニケーションは積極的に取っていますか
あんまり取る方ではないので、意識してやっていこうと思って。二代上の河原右京さん(平28スポ卒=現トヨタ自動車)にも、コミュニケーションは大事にしなきゃいけないぞと言われていたので。実践できているかどうかは分からないですが、今後も意識していきたいです。
――下級生とも練習されることもありますか
ありますね。ノック受けたりとか。
――ご自身から声を掛けているのですか
まあ、そうですね。ノックやるつもりでファーストいたら、受けたそうにしていたら一緒にやろうぜという感じですね。
――春季リーグ戦がもうすぐ開幕します。どのような戦いが予想されますか
やはり法大、明大と最初のカードがすごく重要だと思うので、最初がヤマ場かなと。そこでしっかり勝ち点取れば乗っていけるとおもうので、本当に最初が肝心だと思っています。
――春季リーグ戦への意気込みをお願いします
チーム一丸となって必ずリーグ優勝果たします。頑張ります。
――ありがとうございました!
(取材・編集 加藤佑紀乃)
好機で見せる『勝負強さ』に注目だ
◆佐藤晋甫(さとう・しんすけ)
1995(平7)年6月9日生まれ。174センチ、85キロ。広島・瀬戸内高出身。教育学部4年。内野手。右投右打。東京六大学春季リーグ戦ポスターが先日公開され、佐藤晋選手もポスターに登場。撮影の際は緊張したそうですが、そんな緊張も感じさせない堂々とした姿は必見です。ことしの王子様候補に名乗りを上げる活躍にも期待が高まります!