激動の一年を終えた若武者は今何を思うのか――。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)では代打で出場機会を得た加藤雅樹(社1=東京・早実)。秋季リーグ戦の開幕戦で二塁手としてスタメンに抜擢された富田直希(教1=東京・早実)。秋季リーグ戦にて正捕手の座を奪取した小藤翼(スポ1=東京・日大三)。新体制に移行したチームに彼らの活躍は必要不可欠だ。歓喜、苦難入り混じる一年を終えたルーキーに現在、そしてこれからへの思いを語ってもらった。
※この取材は12月3日に行われたものです。
一年を振り返って
――秋季リーグ戦が終わってからどんな練習をしていますか
加藤 今は基礎トレーニングなどをしています。遠い距離を投げたり、走り込みをしたりですね。
――大学の練習には洗礼を受けましたか
富田 高校時代よりは練習量が全然違って、最初はキツかったんですけど、今は少し慣れてきました。
小藤 練習量は高校の頃の方が多かったんですが、プレーの中での試合を想定して練習するという意識は大学の方が高いかなと思います。
加藤 やっぱり高校よりは、練習量はかなり増えたなと思いますし、最初はついていくのが大変でした。
――練習では1年生が活発に動き回っているように見受けられますが、1年生の仕事に対する意識というのは
加藤 練習前の準備と練習がうまく回るように気をつけて動くことを考えています。
――野球部内での上下関係は厳しいですか
加藤 うーん、どうなんでしょう。ある程度締めるとこは締めてという感じですかね(笑)。
――加藤選手は春の沖縄キャンプから1軍に入っていましたが、いきなり先輩の中に入って気疲れはしませんでしたか
加藤 1年生は自分一人ということもあって、石井さん(一成前主将、スポ4=栃木・作新学院)が「こっちも1年生として見ないから沖縄にいる間は気を使わなくていいよ」と言ってくださったので、沖縄にいる間は特に気を使ってということはなかったです。
――春の沖縄キャンプに加藤選手が参加していたこと
富田 高校時代から同じチームでやっていて、力がある選手だと思っていたので、そんなもんかなと思ってました。
小藤 高校の時から対戦していたので、どのくらいの実力なのかも知っていたので、キャンプに行ってもそれくらいの力は出せると思っていました。
――加藤選手は夏以降に戦線離脱となりましたが
加藤 韓国遠征から帰ってきてからすぐの練習で肉離れをして、そこからなかなか治りが悪くて、今に至るという感じです。悔しい気持ちがあります。
――現在のケガの治り具合はどうですか
加藤 全力のダッシュとかまだしてないんですけど、全体練習にはだんだん参加できるようになってきたという感じです。
――小藤選手と富田選手は夏から1軍に帯同することになりましたが、先輩とやっていくことに緊張はありますか
富田 最初は緊張したんですけど、そんなに厳しくされることもなくて、声も掛けてもらえたりしていて、今はほどほどにって感じです。
――小藤選手は秋季リーグ戦において、マスクを被り続けていましたが
小藤 吉見さん(健太郎、教3=東京・早実)の代わりに出ることになって、4年生にとっては最後のシーズンで、吉見さんも3年生で結構長くキャッチャーをやられていたので、その代わりに出るということに責任を感じながらやっていました。
――先輩投手をリードしていく上で意識していたことはありましたか
小藤 基本的にはピッチャー優先でリードしていました。
――守りを終えてベンチに帰る際にピッチャーに歩み寄って、グラブタッチなどをしていましたが
小藤 最初に竹内さん(諒、スポ4=三重・松坂)がしてくれたのをその後も続けているという感じです。
――捕手としてやっていく中で心掛けていることはありますか
小藤 守備が終わってベンチに戻ったら、必ずピッチャーとコミュニケーションを取ってます。「さっきの球どうだった」とか「次はこうしていきましょう」とか。そういう会話を必ずしようと思ってます。
――その際に遠慮してしまいませんか
小藤 「ここは、こうした方がいい」とか言う時は言うので遠慮はしないですね。
――打撃では打率3割を超えていましたが
小藤 自分でも最初に予想してたより打てていたなと思います。
――明治神宮外苑創建90周年記念奉納試合、東京ヤクルトスワローズ戦でも仲良くされていた慶大・郡司裕也選手(1年)はどんな存在ですか
小藤 高校時代からテレビで見ていて、六大学でお互い早慶でやっているので、身近なライバルとして意識してます。
――東京六大学選抜の一員としてプロの選手と対戦して感じたことはありますか
小藤 大学生であれば空振りとかゴロに打ち取れているところをプロの選手は際どいコースもファールにして、甘い球をヒットにされて。そこは全然違うなと思いました。ピッチャーも最後の決め球が大学生とは一段階違うかなと感じました。
――加藤選手、富田選手は小藤選手の秋の活躍をどう見ていましたか
加藤 やっぱりキャッチャーは大事なポジションで1年生のうちからしっかり試合に出て、バッティングでも結果を残していて、同級生だけど、すごいなと思いました。
富田 同じです(笑)。守備も打撃もチームの中心になれていてすごいなと思いました。
――富田選手は夏季オープン戦の打撃ですさまじいインパクトを残しました。あの頃のご自身のプレーを振り返ってください
富田 結果を意識しないで、思い切りやるってことを考えてました。
――秋季リーグ戦の法大1回戦ではスタメン起用されましたが
富田 春に入学した時点ではそんなこと全く想像してもなかったので、うれしかったです。緊張せずにプレーできました。
――小藤選手は初出場の時の思い出はありますか
小藤 大学がワセダに決まった時から試合に出ることを目標にしていたので、いざ試合に出ることが決まってうれしかったです。楽しんで初めての試合を終えることができました。
――加藤選手はいかがですか
加藤 多少は緊張しました。神宮球場は高校時代に結構経験したんですけど、大学ではまた少し雰囲気が違って。また新鮮な気持ちでがむしゃらにって感じでした。あまり結果を残そうとか考えずに一生懸命頑張ろうって思ってました。
――雰囲気が違うなと感じるのはどのような点ですか
加藤 高校野球は負けたら終わりなので熱い応援という感じだったんですけど、大学は対抗戦ということで応援にも各校特徴があって、応援も一種の見せ物とか作品のような感じで、そこの違いは感じました。どっちが良いっていうわけではないんですけどそこが違うなと思いました。
――トーナメントとリーグ戦での意識の違いはありましたか
加藤 自分はやはり高校時代は負けたら終わりという中での緊張感はありましたけど、大学は1回負けても勝ち点の可能性があるので、そういう面ではまだ余裕があるなと思います。
――富田選手は秋のリーグ戦の中で三振が多かったことを反省としてあげていましたが
富田 打ちたいという気持ちが強すぎて空回りしてしまいました。
――六大学の投手は高校時代と比べて違いましたか
富田 ボールのキレがすごかったです。
――お二人はどうですか
加藤 やっぱり変化球が全然違いますね。真っすぐももちろん速いんですけど、そこはまだなんとかなるかなと思うんです。でも、変化球のキレや精度は全然違うなと思います。狙い球を頭の中でよく考えておくのが大事になるなと思います。
小藤 僕もそんな感じです(笑)。各チームのエース級のピッチャーになると失投がすごく少なくなってきて、高校の時はある程度失投があったんですけど、大学では1回打ち損じてしまうと甘い球が来なくて、コースに投げ分けられてしまうのが難しかったです。
――加藤選手は秋にどのようなことをされていたんですか
加藤 1年生としての仕事があったので、東伏見のグラウンドで仕事をしてました。
――グラウンドの外から小藤選手らの活躍をどう見ていましたか
加藤 そこに立てないという悔しさはもちろんありました。でも、自分は最後のリーグ戦ではないので、今何ができるか考えながらやってました。
――三人とも初めての早慶戦だったと思いますが、早慶戦の雰囲気はどうでしたか
富田 早実を目指すきっかけにもなった早慶戦だったので、雰囲気・・・。やっぱり先やって(隣の二人に話を振る)。
加藤 そしたら、またコメント同じになっちゃうじゃん(笑)。
富田 他のリーグ戦よりも観客も多かったですし、この試合だけは落とせないという雰囲気を感じました。
小藤 他のリーグ戦の応援ももちろんすごいんですけど、早慶戦だとまた違った雰囲気というか、富田も言ったんですけど、観客も多いし、注目もされるし、選手同士も負けられないというのがあるので、また違った緊張感があるなという感じです。
加藤 大学の中でもワセダの学生さんも早慶戦に注目してくださっていて、注目を受けているってものすごく感じます。ケイオーも自分たちはケイオーだってプライドがあって、自分たちも「自分たちはワセダだ、負けられない」ってプライドがあって、そんなところにすごく伝統を感じますし、ワクワクします。華の早慶戦と呼ばれているのがまさにそうだなと思います。
「それぞれに違う武器がある」(加藤)
終始対談を引っ張った加藤
――小藤選手はなぜ早大を志望したのですか
小藤 日大三高に入ったときは正直、明大に入りたかったんですけど(笑)。ワセダには入れるとは思っていなくて、でも春くらいに監督さんから「ワセダから(誘いが)来ているよ」というのを聞いて。自分もそんなこと思っていなかったので最初はびっくりしたんですけど、小さいころから早慶戦をテレビで見ていて、その憧れもあったワセダに声を掛けてもらったので、選びました。
――富田選手はなぜ中学3年生のときに早実を志望したのでしょうか
富田 中学生の時、早実に入るためにすごく勉強していて。早実に入りたいっていう思いの確認というか、そのために何度か早慶戦を観に行って、志す理由をそこにおいて、頑張っていました。
――加藤選手はいかかでしょうか
加藤 やっぱり自分は、小学校3年生の時に斎藤さん(佑樹、平成23教卒=現北海道日本ハムファイターズ)が甲子園で優勝したのがすごく大きくて、もちろん早大進学が付いてるというのも自分の中ですごく大きかったんですけど、その頃から早実っていうのを意識していて、中学校の頃には当たり前のように早実に入りたいという思いでいました。
――西東京のライバル同士でしのぎを削っていたと思いますが、当時の印象は
加藤 小藤は肩がすごくて。自分らのチームの中にも盗塁がうまいメンバーがいたんですけど、そういうランナーが完全にスタートを良く切って、しかも投球は変化球だったんですけど、バチンと刺されて。「ああ、これは盗塁できないな」と。「このキャッチャーすごいな」とずっと思っていましたね。
小藤 加藤は、同じキャッチャーで、自分も「肩が強いな」と思っていて。でも守備というよりは、バッティングがすごかったんで、(高校2年の)秋やったときも結構打たれたので、バッティングのイメージがすごく強いですね。富田も、どちらかというとバッティングのイメージが自分の中にあって。加藤は長打のイメージがあったんですけど、富田は短打のイメージがありました。大学に入って結構飛ばすと知ったんですけど、当時は短打とか選球眼が良いイメージがありました。
富田 守備がすごいキャッチャーだと知っていて、春季東京都大会でもホームランをたくさん打ってて、すごい選手だと思っていました。
――最初に会ったときの印象は
加藤 小藤は、もうちょっと怖いかなと思ってたけど、全然で。全然怖くなくて、接しやすいなと。
小藤 加藤は、優しいイメージというか。(早実で)キャプテンやっていたので、しっかりしているというイメージがありましたね。富田は、クールな感じで、口数も少ないかなという感じだったんですけど、最近しゃべるようになってきました。
富田 日大三高のキャッチャーということで、怖いイメージだったんですけど、実際会ったら全然そんなことなくて、接しやすいですね。
――今、1年生の中で試合に出ているのはこの3人ということで、お互い意識などはしているのでしょうか
加藤 試合に出るっていうことに関しては、すごいなと自分の中で思うんですけど、それぞれに違う武器があると思うので、「ここでは負けないんだ」と思っているんじゃないかなと思います。
小藤 本当にそんな感じです。
――最後の夏も西東京大会準決勝で対戦し、2-0で早実の勝利という結果でしたが、あの試合を振り返っていかかでしょうか
加藤 始まる前は、15―14で勝つとか16―15で勝つとか、両チームの監督も、キャプテンもそうですけど、「絶対に乱打戦になる」って話してて。でも、いざふたを開けてみたら、1時間半ゲームであっという間に終わっちゃったんで、正直あんまり覚えていないというか・・・。覚えてないよね(笑)?
小藤 確かに。やったかやっていないか分からない(笑)。
加藤 なんか、サーッと過ぎて、不思議な試合でしたね。
富田 朝も早かったんで、パパッとという感じでした。
小藤 自分らも乱打戦になると思っていたんで、そう思って試合してみたら2-0で。プレーしている時も、気付いたら8回とか9回になっていたみたいな感じで、それまではそんな焦りなかったんですけど、ふとバックスクリーンを見たら終盤になっていて、そのまま何もできずに終わったという感じでした。
――小藤選手は早実高の甲子園での戦いを観ていましたか
小藤 観ていました。バッティングの方は良かったんですけど、ピッチャー陣がちょっとというか、まあ自分ら抑えられているんですけど(笑)、弱いイメージあったのに、それを打撃陣がカバーして勝ち進んでいると思いました。
――先月の秋季東京都大会決勝でも大接戦の末、早実高が勝利しましたが、試合を気に掛けたりしましたか
加藤 観に行きましたね。たぶんみんな行ったと思います。
小藤 そうですね。
加藤 一緒には行ってないんですけど、(小藤は)三高側で。
――早慶戦のときも、隣の神宮第二球場で準々決勝と準決勝が行われていましたが、気になりましたか
富田 気になる(笑)。
加藤 気になりましたね。
――お互いの学校の印象は
加藤 バッティングがすごい、とにかく体が大きいっていう感じで、パワー系のイメージ。ザ・強豪校っていうイメージでしたね。
富田 野球やっていたら知らない人はいないくらい高校野球っていったら日大三高っていう感じだと思うんで、強豪っていう感じですね。
小藤 昔から伝統のあるイメージなので、自分はどちらかというと粘り強いイメージがあります。
――早実高の和泉実監督、日大三高の小倉全由監督それぞれはどのような方でしょうか
加藤 めちゃくちゃいい人です。すごく朗らかで、優しい人なんですけど、考えとかもしっかりしていて、自分たちに全部任せてくれるというか、強制しないというか。監督さんが「こうしろ」みたいなことは言うんですけど、それでも自分たちが「やっぱりこうしたいです」と伝えたら、「そうしよう」となるので、そういう部分では高校野球らしくないっていったら語弊があるかもしれないんですけど、自分がイメージしていた高校野球っていうよりは自由で、自分たちのやりたいことをやれていた高校時代だったかなと思います。
小藤 選手優先でなんでも考えてくれて、「自分よりもまず選手」っていう考えの人です。寮でもずっと一緒に住んでいて、食事やお風呂も一緒なんですけど、お風呂の時は練習で怒ったことを慰めて優しくしてくれます。自分たちに対して常に全力で向き合ってくれる、すごくいい監督だなと思いますね。
「授業に行って・・・おしまいです(笑)」(富田)
困ったように首をかしげる富田
――大学でお気に入りの授業などはありますか
加藤 自分は、オープン科目の『トップスポーツビジネスの最前線』という授業を取ったんですけど、すごく面白いですね。スポーツビジネスに関わるような、いろいろなゲストが来てくれて、スポーツ全般の普及のためにどうしたらいいかとか、そういうのをやる授業なんですけど、話を聞いていても面白くてためになっているなという感じがします。
小藤 必修の教養演習ですかね。クラスの中には野球部が2人いるんですけど、ほとんど部活と関係ない人とかもいるので、そういう人たちと絡む機会ってあんまりないと思うので、そういう点で面白いかなって。授業を聞いていても結構ためになることが結構ありますね。
富田 英語の授業が多くて、難しいです。楽しくはないんですけど、ためになっているなという感じはします。
――高校のときと比べて大学の授業は大変ですか
加藤 やっぱり高校は強制じゃないですけど、出席当たり前で、課題出るの当たり前で、提出するの当たり前で、試験受けていい点を取らないとっていう感じだったんですけど、大学は人それぞれの気持ち次第なので、行かなくても怒られるわけではないし、自分一人で責任背負って、勉強しなきゃいけないという点では難しいかなと思います。
富田 空きコマが多くて、家が遠くてあんまり眠れないので、お昼寝しています(笑)。
小藤 三高はどちらかというと授業よりも部活だったので、高校よりは難しいところもありますね。
――オフの日はどんなことをしていますか
加藤 最近は、治療をして、ジムに行ってたら終わっちゃいましたね。
小藤 オフの前の日、日曜の夜とかは寮のご飯が出ないので、野球部の友達と最近だとラーメン食べに行ったりしていますね。
富田 授業に行って・・・おしまいです。何もないです(笑)。
――野球以外の趣味やマイブームはありますか
富田 バスケが好きです。中学校からずっと好きで、時間があるとき動画を観たり、友達とやったりしています。
加藤 あるとすれば、運転(笑)。
――どこかに行かれたりするんですか
加藤 いや、もう全然です(笑)。自分の地元を。
――小藤選手は
小藤 自分も、富田と一緒になっちゃうんですけど、今授業でバスケとっていて、結構バスケ面白いなっていう感じです。
――一緒にやられたりはしないんですか
小藤・富田 しないですね(笑)。
――年末年始の過ごし方などはどのようにお考えですか
加藤 自分と富田は早実の鴨川キャンプっていうのがあるんですけど、それに顔出して、現役チームと試合しようと思っています。紅白戦なんかに出ると思うんですけど。
小藤 自分は28日に三高の方が合宿の最終日で、OBもみんな来るので、行きたいなと思っています。
――皆さん今は寮に住んでいるのですか
富田 通いです。
加藤 今は学生寮に住んでいて、2人(小藤と富田)は年明けからここ(安部寮)に入ります。
――小藤選手は高校のころから寮生活なので、慣れていますか
小藤 高校の寮よりは全然楽です。外出とかも自由なので。三高は一切外出禁止なので、本当に野球だけっていう感じだったんですけど、今は野球が終わってから遊びに行こうと思えば自由に行けるので、だいぶ楽です。
――入部して8カ月以上経ちますが、今の1年生はどんな代だと思いますか
加藤 一芸に秀でた人が多いよね。
富田 1限?
加藤 一芸(笑)。足が速いとか、肩がめちゃくちゃ強いとか、遠くに飛ばすとか、結構多いかな。
富田 あと、体が大きい。
加藤 体が大きい人が多いですね。
――雰囲気とかはどうですか
小藤 まあまあ(笑)
加藤 いい感じ(笑)? 普通に仲良しです。
――野球部内で遊びに行ったりはしますか
加藤 ちょくちょくは。人数が多いんで全員でっていうのはないんですけど(笑)。
「リーグ優勝しないと、日本一はない」(小藤)
屈託のない笑顔を見せる小藤
――新チームはどのようなチームですか
小藤 ピッチャーが結構残っています。野手は結構4年生ばっかりだったので抜けちゃいますね。まだ試合やってないから分からないんですけど、自分は今まで通り守り勝つチームだと思います。
富田 昨シーズンからベンチに入っている選手がたくさんいて、守備がいいチームだと思います。まだ分からないですけど(笑)。
――佐藤晋甫主将(教3=広島・瀬戸内)はどんな主将ですか
加藤 すごく優しい方です。口数自体は少ないんですけど、背中で引っ張ってくださるような方だと思います。
小藤 プレーとか見ていても、キャプテンとしての責任というか自分が引っ張るという感じが結構見えて、頼れるキャプテンかなと思います。
――加藤選手にお聞きします。捕手として入部して一塁も経て、夏から登録は外野手ということですが、現在のポジションは
加藤 今は守備練習をほとんどしていなくて、バッティング練習だけ参加させていただいている感じなので、どこを守るかというのはここではなんとも言えないんですけど、とりあえず継続的な感じでいったら外野なのかなと。
――捕手へのこだわりは
加藤 自分はあんまりポジションへのこだわりっていうのはなくて。捕手を経験したことは自分の中でも大きな財産になっていますし、やりたいって気持ちも少しはありますけど、自分が任されたポジションをしっかりやって、チームに貢献したいなって思っています。
――富田選手は内野の様々なポジションで出場していますが、どこでも守れる自信はありますか
富田 いや・・・(笑)。どこもそんなできているとは思えないので、この冬でしっかり練習して内野はどこでも守れるような選手になりたいです。
――内野で一番やりたいポジションはありますか
富田 小学校時代から、二遊間をやってきたので、どっちかはやりたいと思っています。
―今の練習ではどこのポジションでやられていますか
富田 今は二遊間でやってます。でも今、肘が痛くて守備に入っていないんですけど、投げなくてもいい時は二遊間でやっています。
――小藤選手は同じ捕手の先輩や同期がたくさんいますが、正捕手の座を守る自信、あるいは不安はありますか
小藤 最初は自分が追っている立場だったんですけど、今はどちらかというと追われている立場になると思うんで、追われている立場になるとちょっと怖いというか。そういうプレッシャーはあるんですけど、そんな中で競い合っていてレベルアップしていけたらと思います。
――将来は背番号『6』をつけたい気持ちはありますか
小藤 ありますね。
――それぞれ今取り組んでいることを教えてください
加藤 自分は打撃が売りなので、打撃の中で飛距離とかも力強さなどもそうですけど、対ピッチャーのときの対応力というか、実践の中でどれだけ成績を残せるかが一番大事なので、そのタイミングの取り方とか、体重移動とか、そういうフォームの細部までこだわって、しっかりとしたフォームを固めるという意識でやっています。
小藤 まず、バッティングも一段階上げたいので、振り込みのときだったら全部強く振って、バッティングのときだったらどんなボールでも対応できるようにっていうのは意識しています。あと、守備の方では、送球が売りなんですけど、高校に比べたら今ダメなので、送球のほうも意識して基本からやり直しています。
富田 大学のピッチャーは変化球のキレがいいので、ギリギリまで引き付けて打てるように体の軸を意識するのと、振りの速さを意識して練習しています。
――どんなオフシーズンにしたいと思っていますか
加藤 しっかり鍛え込んで、来年の春のシーズンが終わったときに「頑張って良かったな」と思えるようなオフシーズンを送りたいなと思います。
小藤 自分も冬に頑張って、来年の春にことしの秋以上の結果を出せるようにしたいです。
富田 秋に悔しい思いをしたので、来年の春はまずメンバーに入れるように頑張りたいと思います。
――チームにどのようなかたちで貢献したいと思っていますか
加藤 やっぱりレギュラーを目指して、自分は打撃が売りなので、打撃面でしっかり貢献してチームを勝利に導けるような存在になれたらなと思います。
小藤 このまま春もレギュラーだったら、自分は守備が売りなので、守備の方をミスなく完璧にこなす、ミスしないのが当たり前というふうにしたいです。
富田 バントとか小技が得意なので、ランナーを進めるバッティングをしていきたいです。
――個人としての具体的な目標などは
加藤 自分はリーグ戦を通じて出たことがないので、自分の目標として具体的な数字は明確に定められるものはありませんけど、とにかくレギュラー奪取というのが自分の目標ですね。
小藤 とりあえずはまだレギュラーとか決まってないので、まずはレギュラーをキープすること。秋のシーズンは右方向とかにヒットが多かったので、より広角に打てるようになりたいです。
富田 まずはメンバーに入ること、レギュラーになることが一番大事だと思うので、そこを頑張っていきたいです。
――最後にチームとして意気込みをお願いします
加藤 春は5位、雪辱を誓った秋は3位で優勝できなかったので、やっぱり優勝して努力がほめられるというか、その努力が肯定されると思います。そういう面ですごく悔しかったし、申し訳ない気持ちもすごくあったので、来年は必ず優勝して、春だけじゃなくて秋も2季連続優勝を目指したいです。
小藤 とりあえずリーグ優勝をしないと日本一はないと思うので、まずはリーグ優勝を目標にして、それから日本一を取れるように頑張りたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 石田耕大、大谷望桜)
初々しいルーキー三人衆も来季は中心選手としての活躍が期待されます
◆加藤雅樹(かとう・まさき)(※写真右)
1997(平9)年5月19日生まれ。185センチ、85キロ。東京・早実高出身。社会科学部1年。外野手。右投左打。春の早慶戦前特集ぶりとなった今回の取材。初めて特集取材を受ける小藤選手と富田選手を気にして話を振ってあげたり、サインペンの使い方のコツを小藤選手に教えてあげたりしている姿がとても頼もしく、印象的でした。
◆小藤翼(こふじ・つばさ)(※写真中央)
1997(平9)年8月7日生まれ。180センチ、79キロ。東京。日大三高出身。スポーツ科学部1年。捕手。右投左打。早実高出身の二人から「怖いイメージがあった」と言われていた小藤選手ですが、終始笑顔で質問に答えてくださり、場の雰囲気がとても和やかでした。神宮でもこのスマイルがたくさん見られるといいですね!
◆富田直希(とみた・なおき)(※写真左)
1997(平9)年6月27日生まれ。176センチ、80キロ。東京・早実高出身。教育学部1年。内野手。右投左打。初めての特集取材に緊張されていた富田選手は、色紙の言葉に大苦戦。加藤選手との相談で決まった文字は非常に達筆で、小藤選手に誇らしげに見せていました。