東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)では数字、内容ともに納得のいく結果を残すことができなかった大竹耕太郎(スポ3=熊本・済々黌)。今季は不調を乗り越え、再び神宮を沸かせることができるのか。周囲の期待は大きい。苦しい状況下でこの夏、体の使い方を意識したフォーム改善に励んでいる。試行錯誤の成果、夏季オープン戦を通じての状態や心境、秋季リーグ戦に向けての意気込みを伺った。
※この取材は8月26日に行われたものです。
「体の使い方から変えていく」
――秋季リーグ戦が近づいてきました。ここまでの夏季オープン戦を総括していかがでしょう
きょう(●2-10)以外は良かったのですが。
――きょうは本来の投球とはいかなかったですが、具体的にどの点でずれがあったのでしょうか
春は体の使い方が悪かったのでそれを直そうと思っていたのですが。きょうも春のようになってしまっていました。もっと頑張らなくてはいけないと思います。
――春の体の使い方から変えたいというのは具体的に
軸足が一塁側に折れてしまっているので、ホームの方にもっていくというイメージです。
――オープン戦は例年調子の波が激しいように感じますが
いい日はいいのですが、東京ガス戦(○2-0)は良かったのですが、きょうのような日もあるので。公式戦ですと取り返しがつかないですので、次は良い状態でできるように何が悪いか考えてやっていきたいです。
――春季リーグ戦で思い通りの投球ができなかった要因をあらためて振り返ると、先ほどおっしゃった体の使い方と他には
体の使い方が一番の要因ですね。気持ちとかもあるかもしれないのですが、それ以前に球が思ったところにいかなかったので。
――去年、おととしは感じていなかったのですか
そうですね、何も考えずに野球をしていました。
――「考える」ということに関して、この夏は体の使い方を頭で覚えるという新トレーニングもしているそうですが
人間は本来骨格の動きに合わせて動かなくてはいけないのに、成長とともに筋力がついてきて筋力でまかなおうとするので。自分のように筋力が過度に働いてしまうこともあるので。
――そういった点をことしは「考える」ようにしているということですか
悪い点を指摘していただいたので、もう一度体の使い方から変えていこうということです。
――春季リーグ戦では制球難も課題でしたが、夏の間に修正は
きょうの投球を見られたら言えませんが、春よりはまとまってきていると思います。
――春は制球面で課題があってベルト周りの球を長打にされることが多かったですが、そういった意識は
やはり球威がなくて。甘い球でも、以前だったらファールになったりしていたのですが、それを長打にされてしまったので。今はあまりコースとかよりも甘い球でも打たれないようにしようと思っています。
――夏季オープン戦の前々回登板(東京ガス戦)では直球のキレ、ノビともにあったと思いますが
東伏見で136キロくらいしか出なかったのですが、140キロくらい出たので。球速自体はもともとに戻ってきているのかなと思います。
――「タメ」を意識した投球も心掛けているそうですが
お尻にしっかり体重が乗れていないとタメをつくることができないので。自分の場合、膝に体重をかけてしまうのでお尻で支えるということがタメにつながると思っています。きょうに関してはできていなかったです。
――前回、前々回登板ではいかがでしたか
きょうよりは良かったです。
――直球、真っすぐの完成度はいかがですか
波があるので、50パーセントくらいです。
「一喜一憂せずに」
今春は制球が定まらず苦しんだ
――投手陣全体に関しての責任を感じるところもありますか
考えてはいるのですが、自分のことで精一杯という現状です。春に関しては周りに目を配る余裕はなかったです。
――残りの夏季オープン戦での登板予定は
1、2試合くらいはあると思います。
――投手陣全体での夏季オープン戦での目標は
監督(髙橋広、昭52教卒=愛媛・西条)もおっしゃっていましたが、夏の暑さで疲労がたまりやすい中でどれだけできるかといったところです。
――共に投手陣の柱を担う竹内諒選手(スポ4=三重・松阪)、吉野和也選手(社4=新潟・日本文理)、小島和哉選手(スポ2=埼玉・浦和学院)のここまでの夏季オープン戦での印象は
竹内さんは調子という言葉でくくれないくらい良いと思います。小島に関しては少し悩んだりしています。吉野さんは波が少ないので、いつも通りだと思います。
――小島選手には何か声を掛けたりしているのですか
相談はされるのでそれには答えます。二人とも良くはない状態ですが、一緒に走ったりしています。
――夏季オープン戦で期待の新戦力は出てきましたか
野手では富田(直希、教1=東京・早実)は打撃面で良いと思います。投手陣は2年生も良いと思います。川上(開誠、創理2=東京・早実)、増田(圭佑、文2=茨城・江戸川学園取手)とかも良いです。
――チームの雰囲気としてはやはり雪辱に燃えているという感じですか
春のままではいけないという気持ちはあると思います。自分が試合を壊すと雰囲気も悪くなると思うので。一喜一憂せずにやっていきたいです。
――秋季リーグ戦での個人的な目標は
シンプルですが、自分が投げていて気持ちよく投げられるということです。
――具体的な数字についてはあまり考えていらっしゃらないと
数字も大事ですが、野球をしていて楽しいと思えるような投球がしたいです。きょうは楽しくなかったです(笑)。シーズン通して楽しく野球をしたいです。
――春季リーグ戦で敗戦を喫した立大と慶大について対策はしていますか
緩い球を狙って打たれたので、緩い球に依存せずアクセントとして使えるくらいにしたいです。
――相手に狙い球を絞られるなど、研究されているという感覚はありますか
配球も多少あるかもしれませんが、球そのものに問題があります。配球が読まれていても球が良ければしっかり捉えられないと思うので。
――春季リーグ戦王者の明大に関しては
相手投手陣も良いので、自分たちも守っていくしかないと思います。長距離打者に対してリスクの高い配球をしないというのはあります。春は被本塁打数が多かったのでチームとしてもリスク管理はしっかりしていきたいです。
――最高学年となる来年、そしてその先の進路のことは現時点から意識していますか
将来のために野球をしているので意識はしています。
――足の踏み出し方などの体の使い方は和田毅投手(平15人卒=現福岡ソフトバンクホークス)を参考にされているそうですが、やはり目標とする投手像なのでしょうか
あのような体の使い方ができればもっといい球を投げられると感じます。球速が速いというわけではなくステップして投げているということで同じ点があるので、映像を見て参考にしています。他にはグローブの出し方であったりとかも参考にします。
――有原航平投手(平27スポ卒=現北海道日本ハムファイターズ)もことしプロで活躍していますが刺激は受けていますか
もちろんなりますし、試合を見に行かせていただくこともあるので。
――最後に覇権奪還への強い思いをお聞かせください
春はふがいない投球でしたので、申し訳なさからスタンドを向けませんでした。この秋は自信もって投げて、自信を持ってスタンドを向けるようにしたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 高橋豪、難波亮誠)
この夏つくり直した『新しいフォーム』で秋に再び飛躍することを誓う
◆大竹耕太郎(おおたけ・こうたろう)
1995年(平7)6月29日生まれ。182センチ、72キロ。熊本・済々黌高出身。スポーツ科学部3年。投手。左投左打。試合後でしたが丁寧に質問に答えて下さいました。体の使い方を頭に覚えさせるトレーニングで日々レベルアップ。色紙にも書いて下さった『新しい投球』に期待ですね!