明大4回戦まで15試合連続無失点を記録した横山貴明(スポ4=福島・聖光学院)。その安定感を武器に立大2回戦では、2年ぶりの先発にも挑戦した。4回に失点し、まだまだ本領発揮とは言えない。春の集大成ともいえる早慶戦を前に、意気込みを聞いた。
※この取材は5月24日に行ったものです。
「もう少し長いイニングを投げたい」
先発のマウンドを目指す
――今季ここまでの成績を振り返ってみていかがですか
中継ぎで投げたのはある程度投げられた感じですが、立大戦で先発した時は悔いが残る感じでしたね。
――「ふがいない」とのコメントもありましたが具体的には
もう少し長いイニング投げたかったなという気持ちですかね。チームの流れが良くない中で、先制点を取られるというのは。味方が点数とれるまでは、ゼロに抑えたかったなという気持ちです。
――シーズン始まってみて、副将としてチームをまとめる重圧も大きいのでは
なかなかうまくいかないですね。歯車がかみ合わないです。
――投手陣のなかでということですか
法大戦までは投手もがんばっていたのですが、法大戦では打たれてしまって、もう一回立て直さなきゃいけないなっていう感じです。みんな調子も下がり気味なので。
――シーズン中に感じた良いところ、悪いところをあげると
去年にくらべて四死球は減ったので、安定して投げられている気はします。あとは、去年より三振は少ないことが気になるところではあります。まだ本調子ではないので、もう少し空振りをとれるようなボールを投げられれば良いのですが。
――不安材料だった故障もなく、調子は良いでしょうか
そうですね。特に試合を重ねるうちにだいぶ良くなってきていると思います。法大戦は自分の中でも良かったという実感があります。ただもう少し長いイニング投げられればなと。
――今季、早めの降板が多い印象を受けます
2年生の時に先発していたのですが、そのときに序盤はすごいんですけど終盤に行くにつれて崩れてくるというピッチングをしてしまったので、その時のことが監督さん(岡村猛監督、昭53二文卒=佐賀西)の中にあるのではないかと思います。
――オフのトレーニングの成果は実感していますか
一番はコントロールが良くなったと言うのが大きいと思いますね。コントロールとスピードを両立させるのが難しいんですけれど、スピードも去年より落ちてはいませんし、コントロールもとても上がったというのはすごくいいと思います。
――昨年の春から明大4回戦までで15試合連続無失点を遂げました
もう少し伸ばしたかったとは思いますね(笑)。中継ぎとしては抑えて当然みたいなところはあるので。
――無失点の一因として四死球が少なかったのもあるかと思いますが何か意識したことは
特に意識したと言うよりも、根本的にコントロールが良くなったということがあるかと思います。あとフォームがしっかりしてきたので、投げていてもストライクがしっかり取れそうな感じが自分でもありますね。スリーボールになっても焦らずに立て直せるようになってきました。
――四死球が減ったということはギリギリを狙うことが少なくなったのでは
多少それもあるかもしれませんね。少し甘くても打たれないんじゃないかなって思ってしまうので。しっかりしたストレートを投げればある程度打ち損じてくれるんじゃないかなという思いはあります。コントロールが良くなったばかりに、多少甘くいってもいいかなという思いは去年よりはあるかと思います。
――被安打数も去年より増えていますが
コントロールが良くなると、まとまってくるので多少打たれるのかなとは思いますね。高校の時からヒットの数は多い方だったので。それでも失点は少ないので、そんなに気にしてはいません。
「久々の先発はとても楽しみだった」
――中継ぎとして無失点で貫きたいと言っていましたが、立大戦の先発はどのような心境でしたか
自分としては監督さんから「先発だ」と言われた時は、とても楽しみにしていました。「ようやくまわってきたか」と。先発だと無失点は無理だなと思っていましたが、さすがに代わるのが早かったですね(笑)。
――監督にどのような点が評価されての先発起用だと考えますか
高梨(雄平、スポ3=埼玉・川越東)や吉永(健太朗、スポ2=東京・日大三)といった2番手の調子が出てこなかったので、リーグ戦前から「そいつらがダメだったら先発だからな」と言われていたこともあって、そういうことだと思いました。
――立教戦では2年春ぶりの先発起用。どんな思いで臨みましたか
先制点を取れるように、それまではゼロでいこうと思っていました。監督さんからは3回まではどうにか、中継ぎみたいな気持ちで初回から飛ばしていってくれと言われていたので。3回まではしっかり抑えられていたのかなと。
――外角を攻めてクリーンアップにうたれてしまったような印象があります
今振り返ると、変化球が打たれていた印象がありますね。1本目はストレートですけれど、2本目3本目は変化球だったので、監督さんにも「配球はどうだったんだ」と言われはしましたね。もうすこしまっすぐで押したらよかったのかなとは今になったら思いますね。
――監督としてはどのような評価だったのでしょうか
マウンドを降りるときには「よく頑張ってくれた」みたいなことをいってくれたので、そういう感じかなとは思います。
――法大2回戦でも先発かと思われましたが、次からは中継ぎでと言う感じだったのでしょうか
そうですね、高梨が法大戦で相性がいいのと相手が左打者が多いのもあって、高梨にするぞというのは言われていました。
――1回途中というあわただしい中での登板でしたが
全く準備していなかったので(笑)。もうあれは初回で試合が決まってしまっていたので、どうしようもなかったですね。
――それでも1アウトとってそのまま投げ切りました
準備はできてなかったのですが、マウンドで準備した感じです。
――5試合を振り返って被安打7。どんな球が打たれていると思いますか
変化球ですかね。変化球の方が遅いので、曲がりはするんですが当たることは多いです。
――コースが読まれているということでしょうか
多少は球種で張っているとは思いますが、真っすぐを狙っていても、そんなにうたれることはないと思いますけれども、変化球がきたら打たれると思います。
――打たれにくくなるには
もうちょっと低く投げるのと、しっかり腕を振ることが大事だと思いますけれども、それが一番難しいですね。
――昨季からフォームを固定していると言っていましたが、特に変更はありませんか
ないですね。良い調子で来ているのでそのままです。
「このまま終わるわけにはいかない」
――先発投手陣を見てどう思いますか
エースだし有原(航平、スポ3=広島・広陵)はもうちょっと頑張ってほしいなという感じですね。1戦目はあいつで絶対勝たなきゃいけないので。立大戦のときもいいピッチングはしているんですけれど、最後ツメが甘いのかなという感じですね。
――投手陣で話し合ったりすることは
みんなでとりえず2失点に抑えようというのはよく言っています。2点とって自分たちで3点とるというような。
――ブルペンで他の投手によく声をかけているようにも見えました
がんばっていけよ!ってくらいですかね(笑)。みんな緊張するとべらべらしゃべるので、おもしろいです。あそこではふざけてないといられないです。緊張してないように見えると思いますけど、みんなとても緊張していますね。登板が近づくと緊張がすごいです。
――高梨投手の1塁手起用は投手陣に影響がありましたか
とくにないですね。みんなに「エラーすんなよ」とかは言われていましたけど(笑)、バッティングがすごいので、そっちをとったということですかね。
――投打がかみ合わない中、打撃陣をみていてどのように思いますか
打撃陣も工夫しながらやっていると思いますけれど、バットを短くもったりとかベースよりに立ったりとか。監督さんから色々指示が出てやってはいるんですけれど、なかなか結果に結びつかないですね。とても苦しんでいるのはわかります。
――5試合振り返ってポイントとなったのは
もう明大2回戦ですね。誰が見てもあそこですね。勝ちきれなかったというのが一番です。もし勝っていたらと思うと…。敗因は点が取れなかったのにつきます。15残塁とかでしたし。もう一点が遠かった。
――自身は2打席中1安打でした
立大の時は今季初打席だったのでボールが全然見えなくて、はやっとおもって全然打てなかったですけど。法大戦のときは目が慣れてきて、うまくいきましたね。バッティングは好きです。
――2年の秋から故障に悩まされてきたが、満を持して早慶戦へ
早慶戦ってやっぱ特別だと思うので、早慶戦だけはなんとしても勝ちたいですね。
――秋に向けて重要な試合という位置づけ
そうですね。このまま終わるわけにはいきません。
――第2戦の先発も予想されます
まだ何も言われていませんが、そうなのかなとは思っています。一応投げるつもりではあります。
――今季の反省をどう活かすか
とりあえず、先制点とるまではしっかり抑えるっていうのが一番ですね。まだ先制点とれてないので。とればなにか変わるんじゃないかなっていうのはあります。
――具体的な目標は
なるべく長いイニングを投げたいですね。そのためにはピンチを作らないのが一番だと思います。それくらいいいピッチングをしたいです。
――慶大打線をどのように攻略しますか
中軸の打者には長打があるので、谷田(成吾、2年)とか横尾(俊建、2年)とかに気をつけて、佐藤旭(3年)のような調子のいいバッターをなんとか抑えていければなというのはあります。
――最後に意気込みを
早慶戦はやっぱり特別なものなので、早稲田の意地を見せて最後は勝ちたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 加藤美樹)
◆横山貴明(よこやま・たかあき)
1991年(平3)4月10日生まれ。180センチ、84キロ。福島・聖光学院出身。スポーツ科学部4年。投手。右投右打。この日、早慶戦前の多忙をぬって行われた取材は朝の8時半開始。朝に弱くてさえない記者を尻目に、横山投手はいつも通り明るくはきはきと取材に応じてくれました。「休日も朝早く起きてしまう」という横山投手のタフさに脱帽です。