全早稲田戦 8月10日 ベーマガSTADIUM
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
早 大 | 2 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 9 |
稲門倶楽部 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 |
8月4日から15日間の南魚沼キャンプを行っている早大。この日は昨年に続き2回目となる現役部員とOBの試合である全早稲田戦が開催され、OBチームの稲門倶楽部と対戦した。初回、印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)が2点本塁打を放って先制すると、初回から4回まで毎回2得点を挙げる猛攻を見せる。投手陣も先発した鹿田泰生(商4=東京・早実)が4回無失点の好投を披露するなど、6投手のリレーで相手打線を3点に抑え、9-3で昨年のリベンジを果たした。
稲門倶楽部の先発マウンドには、今年の都市対抗野球をもって引退することを表明した佐竹功年(平18人卒=現トヨタ自動車)が登板した。アマチュア球界を代表する大投手を前に、早大は尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)が三球三振、山縣秀(商4=東京・早大学院)も二ゴロに倒れ、簡単に2アウトを奪われる。それでも、吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)が追い込まれながら中前安打で出塁すると、印出主将は甘く入った変化球を捉えて左越えの2点本塁打を放ち先制。先手を奪い、早大ペースで試合が始まった。
佐竹から本塁打を放った印出主将
いきなり援護点を貰う形となった先発の鹿田。初回から3イニング連続で出塁を許したものの、持ち前の打たせて取る投球でゴロアウトを量産。3イニング連続で併殺を奪い、3人で相手の攻撃を断ち切り続けた。4回には失策絡みで2死二、三塁のピンチを背負ったものの、檜村篤史(令2スポ卒=現Honda)を三球三振に斬って取り、ピンチを脱出するなど、粘り強い投球を披露する。この日の鹿田は4回無失点と、社会人トップクラスの選手を集めた稲門倶楽部打線を封じ込める圧巻の内容。好調ぶりをアピールし、ラストシーズンとなる東京六大学秋季リーグ戦(リーグ戦)での先発登板に向けて大きな一歩を踏み出した。
4回無失点と好投した鹿田
初回に2点を挙げた早大は2回、先頭の小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)が出塁すると、梅村大和(教4=東京・早実)が右越えの二塁打を放ち、無死二、三塁とする。この好機で寺尾拳聖(人2=長野・佐久長聖)が直球を捉え、中前安打を放って2人が生還。2点を追加し、この回から登板した加藤孝太郎(令6人卒=現JFE東日本)を攻め立てた。3回にも先頭の山縣が痛烈な左前安打で出塁すると、二者凡退の後に前田健伸(商3=大阪桐蔭)が初球の内角直球を捉えてライト線ポール際に運ぶ2点本塁打。夏の課題として長打力の向上を掲げた前田健の一打は、昨年のエースに自らの成長を示す一発となった。4回には、稲門倶楽部として出場した中森光希(文構4=東京・明星)から2点を奪い、4回終了時点で8―0とする理想的な展開に。今春のリーグ戦でチーム打率トップを記録した強力打線が火を噴いた。
本塁打を放った前田健
5回からは継投に入り、伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)が登板。2四死球を与えて1点を失ったものの、6回に登板した香西一希(スポ2=福岡・九州国際大付)は三者凡退に抑え、相手に流れを渡さない。また、続く7回には髙橋煌稀(スポ1=宮城・仙台育英)が春季立大1回戦以来の復帰登板を果たした。自慢の直球はこの日も最速146㌔を記録するなど威力抜群。相手打者を力で押し切り、三振、捕邪飛、三振で3アウトを奪って復調を印象付けた。しかし、8回に登板した安田虎汰郎(スポ1=東京・日大三)、9回を任された田和廉(教3=東京・早実)は、それぞれ1点を失い、やや安定感を欠く形に。それでも投手陣としては熊田任洋(令6スポ卒=現トヨタ自動車)、福岡高輝(令2スポ卒=現明治安田生命)らを擁する稲門倶楽部打線を3点に抑え、9-3で勝利。この日4度併殺を奪うなど堅い守備力も光り、昨年の雪辱を果たした。
復帰登板を果たした髙橋煌。146㌔を記録した直球は破壊力満点だった
試合後には、佐竹の引退セレモニーが実施され、花束贈呈とインタビューが行われた。セレモニー後には早大、稲門倶楽部両チームの選手による胴上げも。佐竹は「トヨタに入って以降、ピッチングがどんどん楽しくなった。」と現役生活を振り返り、応援部の「いいぞ、いいぞ、佐竹!」に合わせてガッツポーズ。胴上げの際にはおどけて見せるなど、終始笑顔でグラウンドを後にした。
『ミスター社会人』・佐竹が、全早稲田戦に登場。試合後には引退セレモニーが実施された
稲門倶楽部への雪辱を果たし、現役組としての意地を見せた早大。大先輩の雄姿を目に焼き付け、春夏連覇、その先の日本一に向け、鍛錬の夏は続く。
(記事 林田怜空、写真 土橋俊介、近藤翔太)
コメント
印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)
ーー全早稲田戦を振り返ってどう感じていますか
去年大敗してるので今年はなんとか勝ちたいという思いでした。春季リーグ戦優勝、それから全日本準優勝という結果を持って今日の試合を迎えているので、なんとしてもここは意地を見せたいというところでした。
ーー佐竹投手との対戦を振り返っていただいていかがですか
早稲田のOBの方々の中で、佐竹さんは有名な選手ですし、ミスター社会人と呼ばれているレジェンドの投手の方の最後のマウンドを見れたこと自体、野球人として嬉しいことですし、打席に立てたこともすごく嬉しかったです。
ーー竹田和真投手(令2スポ卒=現明治安田)からも右前安打という結果になりました。社会人のピッチャーとの対戦から手応えはありましたか
早稲田から社会人チームに入っていくような選手は、レベルの高い選手しかいないので、そのようなOBの方々との打席に立つことができて、本当にいい収穫になりました。これをしっかりと秋のリーグにつなげ、結果を残していきたいです。
ーー強力打線を3失点に抑えた投手陣をどのように見ていますか
先発の鹿田を中心に自分のボールをしっかりベースの上に集めるというところをこの夏は課題にしているので、その部分をやり切って、格上の打者を相手にしっかりと自分の投球ができていたのではないかなと思っています。
ーー最後に、チームとしての夏の課題と、夏の練習にどのように取り組んでいるか教えてください
全日本準優勝、あと1つで日本一というところまで迫りながらの敗戦で現在日本2位というところなのですが、優勝しなければ意味はないと思います。春優勝したことで、他の大学が打倒早稲田で来ると思うので、そこをしっかりと跳ね返して春秋連覇、それから明治神宮大会で優勝して、今度こそ日本一を決めてリベンジを果たすというところを目標にやっています。そのための限界を超える、鍛え抜くための夏になるので、とにかく厳しくやり切って、秋のリーグ、それから明治神宮大会につなげていきたいという思いで全員で今頑張っています。
前田健伸(商3=大阪桐蔭)
――全早稲田戦を振り返っていかがですか
稲門倶楽部、早大の先輩方に勝てたことは、チームとして秋につながる良い試合だったと思います。
――第2打席には加藤投手からホームランを放たれました。打席を振り返っていかがでしょうか
打ったのは内角に来たストレートでした。初球だったのですが、1球で仕留められたのが良かったかなと思います。
――社会人投手3名と対戦されました。社会人投手との対戦を振り返っていかがでしたか
佐竹投手であったり、 社会人を代表するピッチャーを相手に打席に入らせていただいて、トップレベルを経験できたことは、今後の野球人生に向けて良い経験ができたと思います。
――守備で3度併殺に関与されました。守備面で手応えを感じていらっしゃいますか
このキャンプでも、特守などの練習で守備は多くの時間をかけて取り組んでいます。特守などの結果として足が動いていることが、併殺奪取につながっているのだと思います。
――夏、特に重点的に取り組んでいる課題を最後に教えてください
やっぱり長打力をもっと上げていかないといけないと思っています。キャンプはまだあと1週間ぐらいあるので、 長打力を上げられるように練習していきます。