【連載】秋季早慶戦直前特集『掉尾』【第10回】熊田任洋副将

野球

 1年春から全試合に出場してきた熊田任洋副将(スポ4=愛知・東邦)にとっても、学生野球の集大成となる舞台が近づいてきた。今季は、リーグ4位の打率3割5分5厘と好調を維持しており、2度目のベストナインも狙える位置につけている。大学4年間で酸いも甘いも経験した副将が、大一番に懸ける思いに迫る。

※この取材は10月10日に行われたものです。

「自分たちの野球をするだけ」

明大1回戦で適時打を放った熊田

――東京六大学秋季リーグ戦の率直な感想を教えてください

 残り試合も少ないので、自分たちの野球をするだけだと思うので、そこに今全力を注いでいるという感じです。

――開幕カードの東大戦を振り返るといかがですか

 開幕戦の難しさもある中でしっかりと2つ取ることができて良かったと思います。

――明大戦では守備のミスが響いたとおっしゃっていましたが、明大との力の差は感じましたか

 そこまで感じなかったです。

――明大戦の後は空き週もありましたが、どのようにチームとして切り替えましたか

 (明大戦を)落としましたが、まだ優勝の可能性は残されていたので、そこで自分たちが諦めるか、ここで踏ん張って6連勝するのかで大きく変わってくるので、そこはチーム全体が同じ気持ちで練習に取り組んでいたのではないかなと思います。

――今季もコンスタントに安打を重ねていますが、個人の成績を振り返っていかがですか

 数字という面ではそれなりには残っているのですが、ヒットの内容もアウトの内容もあまり良くはないかなというふうには思うので、そこはしっかり修正して臨みたいなとは思います。

――開幕前に名前を挙げられた澤村栄太郎選手(スポ4=早稲田佐賀)や前田浩太郎選手(スポ4=福岡工)をはじめ、4年生の活躍が目立ちます

 自分も4年なのですが(笑)、同期の仲間がああやって神宮で活躍するというのは、チームの士気も勢いも上げてくれると思うので、残りの試合も4年生の力が試合を大きく動かすのではないかなと思っています。

――リーグ戦開幕前の対談を一緒にやった吉納翼選手(スポ3=愛知・東邦)がチャンスでよく打っていますが、活躍を見ていて思うことはありますか

 チームにとってここぞというところで結果を残してくれるので、本当に頼もしいです。

――ピンチの時は投手や内野手に積極的に声を掛ける姿が印象的ですが、意識されていることはありますか

 ピッチャーには「自信もって投げろ」とか、「しっかり腕振って投げろ」とか、そのようなことしか言えないので、そういった声掛けをしています。内野手には、準備の声というか、想定されるプレーをあらかじめしっかり声を掛け合ってやっているという感じです。

――4年間を通して小宮山悟監督(平2教卒=芝浦工大柏)のもとでどんなことを学びましたか

 長い間プロで成功されていた方なので、野球で飯を食っていくということはどういうことなのかを学びました。また、一球で野球人生が終わってしまうかもしれないというプレッシャーの中で戦ってきた方なので、完璧を求める方ですし、自分も大学に入ってからプレーの質や求めるクオリティーをこだわるようになったので、そこが一番学んだことじゃないかなと思います。

――4年間共に過ごしてきた同期の良さを教えてください

 いい意味でも悪い意味でもみんな同じ思いで野球をやっているというか、野球に真摯に取り組んでいるという学年だと思います。

「悔いの残らないように全身全霊で戦いたい」

――4年間で最も印象に残っている早慶戦は何ですか

 1年生の秋が一番印象に残っています。

――1年の秋は9回表2死から出塁し、蛭間拓哉選手(令5スポ卒=現西武)の逆転2ランを呼び込みましたが、あの場面を振り返っていかがですか

 自分が出て最後蛭間さんがホームランを打って逆転優勝することができたので、本当にうれしかったです。

――あの場面は緊張していたのでしょうか

 ネクストバッターズサークルでは緊張していたのですが、バッターボックスに入ったらゾーンに入ったというか、集中して打席に入れたと記憶しています。

――2年秋はあと一歩のところで優勝を逃しました。慶大2回戦の一打出れば優勝が決まるという場面で代打を送られて交代となりましたが、あの場面を振り返っていかがですか

 悔しさもあったし、情けないのが一番大きかったと思います。

――迎える最後の早慶戦は特別なものだと思いますがいかがですか

 本当に学生野球で最後になるかもしれないので、悔いの残らないように全身全霊で戦いたいと思っています。

「4年生が持っているものを全部出せれば優勝することができるのではないか」

東大2回戦で本塁打を放つ熊田

――慶大について伺います。慶大打線は好打者が並びますが、特に警戒している選手はいますか

 廣瀬(廣瀬隆太、4年)もそうですし、栗林(栗林泰三、4年)が一番当たっているので、警戒するバッターかなというふうに思います。

――慶大の中でよく話す選手や仲の良い選手はいますか

 廣瀬と宮崎(宮崎恭輔、4年)は日本代表でも一緒だったのでよく話しますし、齋藤來音(4年)は高校時代から知っているのでそこは関わりがあります。

――優勝のために鍵を握るのは誰だと思いますか

 難しいな。でも誰がというより4年生だと思います。4年生が持っているものを全部出せれば優勝することができるのではないかと信じています。

――意気込みを教えてください

 本当にもう一つも落とせないですし、まだ優勝できる可能性が残っているので、自分たちはそこのわずかな可能性を信じて戦うだけだと思います。とにかくベストを尽くして優勝の懸かった早慶戦ができるように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 齋藤汰朗)

◆熊田任洋(くまだ・とうよう)

2001(平13)年4月15日生まれ。174センチ、76キロ。愛知・東邦高出身。スポーツ科学部4年。内野手。右投左打。理想とするのは吉田正尚選手(レッドソックス)とブライス・ハーパー選手(フィリーズ)だという熊田選手。憧れの二人のような鋭い一振りで優勝を手繰り寄せてくれるはずです!