先制点を挙げるも強豪・関大に敗北 攻守の課題が残る試合に

米式蹴球

早関定期戦 5月11日 アミノバイタルフィールド

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 16
関大 KAISERS 21

 曇天の下、早関定期戦が開催された。早大は、昨年の全日本大学アメリカンフットボール選手権では勝利したものの、定期戦では近年白星がない関大との一戦に臨んだ。前半、早大がRB長内一航(文構3=東京・早実)のタッチダウン(TD)で先制するもその後は両チーム互角の展開となり、7-7の同点で前半を折り返す。後半、関大に2つのTDを許して主導権を握られたが、早大もWR中原秀城(スポ4=愛知・南山)のパスTDやKP福嶋俊(文3=東京・早実)によるフィールドゴール(FG)などで追い上げる。早大は終了間際まで攻めの姿勢を見せたものの、21ー16で惜敗した。

TDで先制点を挙げたRB長内

 早大キックで試合を開始すると、ディフェンスが関大の攻撃をスリーアンドアウトで抑え、好発進を切る。早大はパスとランを織り交ぜながら、テンポよくゲインを重ね、敵陣へと侵入。4thダウンで早大はギャンブルを選択すると、スナップがずれてボールをこぼしたもののQB船橋怜(政経4=東京・早大学院)が冷静にリカバリーし、WR大沼義篤(政経2=東京・早大学院)にパスヒット。そのままエンドゾーンへ駆け抜けTDと思われたが、早大側の反則によりTDは無効となる。KP福嶋の44ヤード付近からのFGも外れ、先制のチャンスを逃した。関大に攻撃権が移ったあとは、LB永目純(スポ4=東京・都市大付)が瞬時にQBサックを決め、相手に1stダウン更新を許さず。再び攻撃権を得た早大は、RB大谷優輝(政経3=東京・早大学院)のランプレーやQB船橋が自ら走るスクランブルを選択しながら攻撃を進めるものの、得点には至らなかった。開始11分、ついに試合が動く。WR吉規颯真(政経4=東京・早大学院)へのパスで大きく前進すると、OL陣がRB長内への走路を切り開き、RB長内もスピードを一切落とすことなく、エンドゾーンへ走り込んでTD。KP福嶋のポイントアフタータッチダウン(PAT)も決まり、早大が先制した。続く第2クォーター(Q)でもディフェンス陣が奮闘。LB功能誠也主将(教4=東京・西)が関大RBに鋭くタックルを決めるなどして、攻撃を阻止した。ただ、早大のオフェンスを無得点に抑えた関大がここから本領発揮。ゲインを着実に重ね、QB高井法平(3年)がスクランブルを選択しエンドゾーン手前までボールを運ぶと、そのまま関大がランでボールを押し込みこの試合初めてのTDを獲得。直後には、LB原康介副将(法4=東京・早大学院)が負傷退場するなどのアクシデントもあったが、両チーム共の固い守備が光り、7ー7で前半を終えた。

PATを決めたKP福嶋

 同点で迎えた後半は、関大のキックオフで試合再開。早大の攻撃を封じた関大は、徐々に早大のディフェンスを攻略。WR新井力央(3年)が見事なロングパスキャッチで大きく前進すると、続くプレーでは、高井が早大のディフェンス状況を瞬時に把握。スクランブルに切り替え、LB太田善也(法3=東京・早大学院)やDL鈴木衆和(政経4=東京・早実)のブロックをうまく切り返し自らTDを決めた。反撃に出たい早大は、RB長内のランプレーでゲインを獲得。WR吉規がパスプレーを成功させ、エンドゾーン付近にいるWR中原へQB船橋がパスを通し、マッチアップしていた相手を交わしながらパスTDを成功させる。だがPATでは、スナップの乱れにより追加点とはならなかった。そして、関大に敵陣深くまで侵入された状態から始まった第4Q、開始直後に関大はOL陣の好ブロックを生かしてTDを追加し、早大は8点を追う展開に。RB大谷が果敢にランで仕掛けるが、なかなか得点に結びつかない。それでも、関大のインターセプトがビデオ検証によって覆され、早大は得点のチャンスを得る。早大のパスプレーの失敗でTDには届かなかったものの、福嶋のFGにより3点を返し、16ー21と関大に迫った。残り48秒、自陣1ヤードから始まった最後の攻撃。早大はWR平山琢生(スポ3=千葉・匝瑳)のパスプレーなどでゲインを重ね、ノーハドルで時間との戦いを繰り広げる。懸命に攻めたが、最後は関大ディフェンスの壁を崩せず、試合終了のホイッスル。21-16で悔しい敗北を喫した。

TDを決め雄叫びをあげるWR中原

 前半は互角の戦いを見せた早大だったが、後半は体力面やコンタクト、タックルなどの技術面両方で関大の力を実感させられる展開となった今試合。しかしTDを決めた長内が「(関西相手に)通用した部分もあった」と振り返ったように、ファンダメンタルやスピードの面において現在のチーム状況を把握する充実した試合となったのも確かだ。1週間後には、昨年日本一に輝いた立命大との一戦を控える。春の公式戦としては最後のゲームを良い形で締めくくりたい。

(記事 大村谷芳、写真 沼澤泰平、富澤奈央、高津文音、早崎静 取材 堤健翔、吉川柊真)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
早大 RUN #33長内 #95福嶋 7-0
関大 RUN #24畑生 #24畑生 7-7
関大 RUN #8高井 #24畑生 7-14
早大 PASS #15船橋→#1中原 チーム NG 13-14
関大 RUN #44森 #24畑生 13-21
早大 FG #95福嶋       16-21

コメント
LB功能誠也主将(教4=東京・西)

ーー今日の試合を振り返って

 点差以上に実力差があったと思っています。ディフェンスでは相手のチームにエースRBが2人いない中で、後半はランも止まらなかったですし、オフェンスでは自分たちの反則で流れを悪くしてしまったことなど、そのような点では実力差もあったし、自滅もしたという試合でした。内容的には良くなかったですが、これが今の実力かなというのも正直なところです。

ーーディフェンスチームはどのようなことを心がけていましたか

 ターンオーバーをしっかり取ろうというところで、ディフェンスでボールを持ってくる、そのためにボールアタックというボールを相手から掻き出すということを掲げていました。今日はボールも掻き出せなかったですし、コンタクトの部分で前半は少し勝負できていたところはあるかもしれないですけど、後半きつくなった時にコンタクトでも負けて押されたというのを感じています。

ーー早慶戦では多くの反省点が出ていましたが、修正などはいかがでしたか

 課題は正直あまり変わっていないかなと思いますが、より強い相手に対して、いかに自分から積極的にヒット、タックル、ブロックをできるかというところが引き続き課題かなと思います。

ーーご自身のプレーを振り返っていかがですか

 前半は足が動いていましたが、後半は自分のスタミナがなかったことと、疲れがある中でランプレー、ドライブをされ続けて、ワンタックルを仕留められないことや頭で行ってタックルミスとかが結構多かったのでそこは自分のファンダメンタルがまだまだ徹底できていないなと思いました。

ーーディフェンス面での課題を教えてください

 やはりボールを掻き出せなかったことが大きいです。あとは相手のオフェンスのプレーがランと分かっていても止められないということがあって、スタミナ部分もあると思いますけど、スタート切って相手に前で当たれるかというところなどは引き続き課題で、次の立命大戦までに修正しないといけないかなと思います。

ーー次戦への意気込みをお願いします

 正直やることは変わらなくて、僕らのオフェンスやディフェンスプレーを出すというのはあまり変わらないです。ひとつだけやるとしたら、ヒットの部分、コンタクトの部分でいかに前で勝負できるか、いかに前でヒットして、タックルしてブロックしてというところが自分の力が出せるかの鍵になると思っているので、チームとして徹底して良い勝負ができたらと思います。

長内一航(文構3=東京・早実)

ーー今日の試合を振り返って

 関西相手に勝ち切れなかったということに悔しい部分があります。実力差もありましたし、ここから日本一になるためには本当に積み重ねていかないといけないなと思いました。

ーーオフェンスチームはどんな意識で試合に臨みましたか

 4TDを取るという目標を掲げていた中で、結局2TDしか取れなくて。通用している部分もありましたが、まだ詰められていない部分や細かい部分、全然まだ足りない部分がたくさんあると思いました。

ーー相手ディフェンスでやりづらいところはありましたか

 関東のチームに比べて動きも早いですし、1対1の部分は強いなというのはありましたが、全然通用した部分もあったかなと思います。

ーー自身のTDを含めてプレーを振り返っていかがですか

 最初にあのタイミングでTDまで持っていけたのはすごく良かったなと思います。自分の得意なプレーなどは、結構通用した部分があったんですけど、最後の4thダウンの中のプレーとか、結局自分が苦手な部分が通用しなかったと思います。コンタクトの部分とかで成長しないと関西には通用しないなと感じました。

ーー次戦への意気込みをお願いします

 今日で足りないということが分かったので、チームとして日本一になるために一個一個積み重ねていこうと思います。