関学大に完敗 奮闘見せるも悲願達成ならず

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 14 17
関学大 FIGHTERS 21 34

 3年ぶり7度目の出場となる甲子園ボウル。早大BIG BEARSは強豪ひしめく関西リーグを勝ち抜いてきた絶対王者・関学大との一戦に挑んだ。前半は強力な関学大DLを前に持ち味のランが出せない我慢の展開が続くも、ディフェンス陣が奮闘し、3点差で折り返す。勝負の後半、2つのTDランを献上して引き離されるも、RB花宮がTDランを決めるなど懸命に食らいつく。しかし、点差を縮めることができず17―34で敗北。悲願の日本一には届かなかった。

部旗を持って先頭で入場したDL山田

 関学大のリターンで試合開始。相手の注目選手であるRB前島にフィールド中央付近までリターンを許すも、関学大最初のランプレーでDL金子智哉副将(教4=大阪・豊中)がファンブルを誘うナイスタックルを見せ、すぐさまターンオーバーに成功する。その後の早大オフェンスはDLの圧力と集まりの早いDBに苦戦し、ダウンを更新できない展開が続く。ディフェンスの時間が長くなるが、DL金子やLB若原碧飛(社4=東京・早実)のロスタックルが光るなど、自陣深くへの侵入は許さない。そんな中、早大に絶好のチャンスが訪れる。3rdダウン8でWR佐久間優毅(政経4=東京・早実)がパスをキャッチすると、二人のタックルを交わし、倒れながら手を目一杯伸ばしてこの日初めてダウンを更新する。QB石原勇志(スポ4=東京・早実)の力強いランや、WR上野陸(社3=東京・早実)へのパス、RB萩原奎樹(政経4=東京・早大学院)のロングゲインでゴール目前まで迫るも、痛恨の被インターセプト。その後2つのFGを許すも、前半終了間際に早大もFGを決めて3―6で前半を折り返す。

力強いランを見せるRB花宮

 早大リターンで後半開始。後半最初の攻撃シリーズをパントで終えると、続く関学大の攻撃では1年生QB星野の個人技などで自陣に侵入される。それでもDL坂本崇(スポ4=東京・城北)のサックや相手の反則に助けられ、追加点は許さない。しかし、変わって入った相手QB鎌田が立て続けにパスを成功させると、流れが徐々に関学大に傾き始める。DL山田琳太郎(商4=神奈川・川和)が相手のスペシャルプレーを防ぐパスカットを見せるも、最後はエンドゾーンまで駆け抜けられてTDランを許す。その後も関学大の多彩なオフェンスに対応し切れず追加点を与え、第4Q序盤に3―20と大きく突き放される。直後の早大の攻撃、リーグ戦で一度しかパスを投げていなかったQB石原が絶妙なロングパスを成功させると、最後はOLがこじ開けた中央にRB花宮が駆け抜けてTD。甲子園の冬空に『紺碧の空』がこだまする。しかし、その後も関学大の勢いを抑えることができず、RB前島のTDランで再び突き放される。終了間際にRB花宮がこの日2度目のTDを決めるなど意地を見せるが、終始完成度の高いプレーを徹底していた青い戦士を前に万事休す。終わってみれば17―34の完敗だった。

敗北が決まり、うつむくOL村山

 絶対王者・関学大の壁は高かった。守りの時間が長い中で奮闘したディフェンス陣も最後は力尽きた。オフェンス陣は最後に2つのTDランや要所でのパスを成功させるなど、今季の早大らしい強みを十分に発揮するも、絶対王者の防御壁を攻略することはできなかった。それでも、亀井主将を中心にチーム一丸となって取り組んできた1年間には大きな意味がある。夢を見させてくれてありがとう。感動を与えてくれてありがとう。そして、4年生が残したレガシーと悔しさを忘れずに、来年も必ずこの場所に帰ってこよう。

(記事 安齋健、写真 小澤慶大、田部井駿平)

監督の囲み取材を一部抜粋(選手のコメント集は後日掲載します)

髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――前半はDLが頑張って、関学大オフェンスをなんとか抑え込みました

 ディフェンスは最後まで粘っていたのですが、やはり(1Qが)15分というのは、なかなかスタミナが削られて、4Qは厳しい戦いになりましたね。それでも選手たちは最後まで諦めずにやってくれたので、点差どうこうというよりは、この3年間の取り組みが出ていたのかなと思います。褒めてあげたいと思います。

――前半は持ち味のランオフェンスが出ませんでした

 関学大さんのフロントが強くてですね、思ったようにこじ開けられなかったというのは大きかったのですが、最後はRB花宮が個人技で逆サイドを走り切ってTD取れたので、彼の気持ちのこもったランというのが出ていたのかなと思います。

――そういった花宮選手など、3年生が来年も残ると思います

 毎年毎年選手は変わっていくのですが、先輩たちが築き上げたこの文化をしっかりとつなげていくことですね。特にOLはほとんど変わってしまいますが、この変わってしまうメンバーをどのようにこれから鍛えて訓練して、今日の思いをつなげていくかというのをまた1からやり直したいと思います。

――関西との差というのは縮まったと感じますか

 春含めて今年は関西にしか負けていないのですが…。(今年対戦した関西の)上位3校は本当に強いですね。本当にいい選手がそろっているので。コツコツやっていくしかないですね。前回の甲子園ボウルが10点差だったので、そこからまた7点広げられてしまったということで…。ここを縮めていくために、コーチや学生としっかりやっていきたいと思います。

――「やるべきことをやるだけ」と常々おっしゃっていましたが、その点今日の試合はいかがでしたか

 やろうとはみんなしていたので、そういう意味では頑張ってやってくれたのかなと思います。球際など厳しいところで関学大さんが一生懸命やって我々より一枚上手だったという結果だと思います。

――亀井主将が率いてきた今年のチームというのは監督から見てどういったチームでしたか

 最初は「大丈夫かな」って思ったところもありましたけれど、亀井だけではなくて、今年は始めて女性副将に江川がなりましたけど、今年は副将がちゃんと副将として存在感を発揮した代なのかなと思います。そういった意味ではキャプテンが不在というのは言い過ぎですが、みんながキャプテンシーを発揮したチームだと思います。