【連載】新体制特集『愚直』【第4回】副将対談 LB石丸圭吾副将×RB吉澤祥副将

米式蹴球

 今回登場するのは、吉澤祥副将(スポ4=東京・成蹊)、石丸圭吾副将(政経4=埼玉・栄東)の2人。副将としてだけでなく、それぞれRB、LBとしてチームの攻守の要となる存在である。普段から仲良しの2人に、大学ラストイヤー、そしてシーズン初戦となる早慶戦への意気込みを熱く語っていただきました。

※この取材は4月3日に行われたものです。

「負けないチームを作りたい」(石丸)

主力として活躍した昨シーズンを振り返る石丸

――主力として活躍されていた昨シーズンを振り返っていかがでしたか

吉澤 昨シーズンはコロナもあって、春は試合ができず、秋も試合数が少なくて、出場機会は最後の東大戦まであまり多くなかったです。チームに貢献できたかといえばそうでもないのですが、ただ少ない試合数の中でも自分としては収穫はあったので、それを今年につなげられたらと思えるシーズンだったと思います。

石丸 けがもあって、2年まで全然主力ではなくて、3年生で勝負のシーズンという時にコロナで全体練習ができなくなってしまいました。自分の中では焦ったのですが、自粛期間中はとにかくウエートしてウエートしてだったので、その成果が(自粛期間が)明けたあとに出ました。上級生がいたのですが、スタメンになることができて、目立った活躍はできなかったのですが、最後の試合では、思い切り楽しく動くことができました。去年は試合に慣れるので精いっぱいでしたが、今年はもっとチームに対して記録に残る活躍をできたらなと思います。

――副将に就任した経緯を教えてください

吉澤 先輩が引退して、12月から新チームが始まったというかたちだったのですが、そこから4年生でほぼ毎日ミーティングを重ねて、自分たちから立候補して、抱負とか副将になったらこういうことしますっていうのを4年生の前で話しました。下級生にも自分たちがどういった副将になりたいかというのを話したうえで、結局は4年生の投票で決まったかたちです。2年生から試合に出させてもらって、今シーズンはチームの主軸になるって自分で分かっていましたし、これまでやってきたことを副将としてチームに還元したらチームが強くなるのも分かっていました。自分のやってきた積み重ねを他の同期や後輩に同じような考え方が根付くようになったらいいなと思ったのと、主将の永山(開一、教4=東京・足立学園)を支えたいというのがありました。永山も下級生の頃から試合に出ていて、同じ景色を見てきたと思っているので、そこの部分で自分が支えて永山の思いをよりチームメイトに伝えられると思ったので、そういった理由で立候補しました。

石丸 僕は吉澤とか永山とは違って、1、2年と目立った活躍ができない中で、高校もそんな強くないところの出身だったのですが、自分個人の努力は誰よりもやってきている自信があります。個人でやってきた積み重ねや努力を周りにも波及させて、未経験者やそれほど強くない高校(出身)の人たちの指針になれたらなという思いもあって立候補しました。 昨年自分のミスで明大戦でTDを取られて、本当に悔しかったので、自分がチームを引っ張って、今度は負けないチームをつくりたいというか。ずっと副将になりたかったというよりかは、明大戦で負けて本当に悔しくて、引っ張っていきたいと思って立候補しました。

――副将としてどのようにチームを引っ張っていきたいと考えていますか

吉澤 もちろん言葉で言っていくのは大事だと思うのですが、言葉で伝えるというのは日頃の行動や、周りから見られている自分の姿が信頼とか言葉の重みにつながると思うので、まずは行動で示していきたいと思います。ずっと行動では示せてきたと思うので、そこのプラスアルファの部分の言葉の伝え方という部分も意識してやっていきたいと思っています。

石丸 僕も行動で示していければなと思います。自分が下級生の頃どんな上級生に憧れてきたかと考えるとき、自分で誰よりも率先して、体を張って、声を出してという上級生でした。人に言うからには自分で見せていかないといけないと思うので行動で示していけたらいいと思います。言葉で引っ張っていくのも大事で、僕はそこが一番苦手な部分なので、早急に言葉で引っ張れる副将になりたいというのが目標です。

――お互いにどのような印象を抱いていますか

吉澤 愚直って感じですね。今年のチームのスローガンも愚直ですが、それをすごく体現している選手だと思っています。正直に言ったらそんなに器用な方ではないですが、一つ一つのコツコツとした努力やウエートトレーニング、日々の練習への取り組み方がプレーに現れている選手だと思います。

石丸 人生で吉澤ほどストイックな人を見たことないくらいストイックですね。吉澤ってそれほど声で周りに波及させていくタイプではないのですが、吉澤がその場にいるだけで、こいつがストイックすぎてやらなきゃとなる雰囲気をつくれる、自分のストイックさを周りにも波及できる珍しいタイプの人間だと思います(笑)。

――プレーにはどのような印象を持っていますか

吉澤 プレーも愚直だと思います。体も強いので、昨年紅白戦をやった時に自分はRBでLBから(タックルを)食らうのですが、思い切りのよさと奥感はすごく感じました。

石丸 去年、試合に出させてもらって、いろいろなRBとやったのですが、吉澤ほど当たった時の重みというか、体の大きさやフィジカルの強さが全然違い、タックルできたと思っても倒れないので、他校のLBからしてもやりづらい選手だと思います。他のRBは捕まえるの自体が難しいです。吉澤も捕まえるのは難しいのですが、捕まえたら捕まえたで倒れなくて、そこが吉澤の一番の強みだと思います。

――ポジションが異なりますが、普段からお話されることはありますか

吉澤 結構話すよね。

石丸 めちゃくちゃ話しますね(笑)。

吉澤 普通に副将としても話しますし、スーパーボウルというNFLの決勝があったのですが、その時は石丸の家に遊びにいかせてもらって一緒に見ました。

石丸 車で送ってもらっています。

吉澤 家が近いので帰り際にいろいろ話しています。

――普段から仲がいいのですか

吉澤 そうですね、仲いいですね。RBとLBはライバル的な位置にあるポジションなので、その会話もありますね。

――お二人から見て、永山主将はどのような人物ですか

吉澤 僕から見た永山は男としてかっこいいですね。石丸が僕にストイックって言ってくれましたけど、永山は僕が及ばないほどストイックだと思っています。自分でトレーニング器具を買って家でやるというところは尊敬しつつ、自分も負けたくないという思いを持たせてくれる存在です。

石丸 永山は1年生のときから見てきて、研究熱心だと思っています。プレーもそうですし、食事もそうですし、ウエートトレーニングもそうです。僕とかは与えられたものを一生懸命にやる、それこそ愚直にやるって感じなのですが、永山は与えられて、さらに自分で考えてどんどん深く突き詰めていくというのがあります。それも自分一人でやるのではなくて、後輩とかに波及させています。僕の中では研究熱心っていう言葉がぴったりですね。

「敵をなぎ倒してボコボコにしてTDを取るところを見てほしい」(吉澤)

RBの注目してほしいポイントについて語る吉澤

――続いて吉澤選手に質問します。2年生のときから試合に出てきた中で、4年生を迎えて意識の変化などはありましたか

吉澤 自分がチームを引っ張るというか、オフェンスを引っ張っていかないといけないと思うので、僕がランを出せなかったら得点を出せないと思います。3年生まではのびのびと、思い切りの良さだけでプレーしていた部分があったのですが、そこにプラスで責任感を持てたのが意識の変化だと思います。

――オフェンスのメンバーが大きく変わったことについてはどのように捉えていますか

吉澤  昨年、おととしからずっと努力してきた選手がたまたま試合に出ることができなくて、試合に出る機会が今年になってしまっただけだと思うので、そこは別に悲観していないです。今年は若い選手に頼ることが多いと思うのですが、若い選手は自分が試合に出ていた感覚として思い切りの良さが出やすい、重圧とかを感じず楽しくプレーできると思うので、そこで特にOLとかには期待しています。

――RBユニット内での競争についてはどう感じていますか

吉澤 1個下、2個下にいい選手がいますし、そこがどんどん伸びてきてくれれば、自分もそこに負けたくないという競争意識になりますし、僕が丸々一試合出るつもりですが、時々出なかったりするときもあると思うので、そういったときに力になってくれたらいいなと思います。結局は僕がどれだけ伸びるかだと思うので、自分が伸びるという気持ちを忘れずにやっていきたいと思っています。

――次に石丸選手に質問します。LBユニットの中で力を入れていることはありますか

石丸 LBユニットとしてはタックルに力を入れていて、去年ディフェンス全体の課題として、タックルミスによって失われたヤードが多かったです。LBというかディフェンス全体の課題がタックルなのですが、特にLBはただ頭で突っ込んでタックルするだけではなく、しっかり重心を相手に伝えるタックルを意識しています。詳しい内容は企業秘密なので言えないです(笑)。

――下級生の育成はどのような状況ですか

石丸  昨年試合に出ていたメンバーが僕くらいしかいなくて、僕も含めて今のデプス、スタメンが誰になるか分からない状態でいい競争ができていると思います。キャラクター的にも強気な後輩たちが多いので、上級生がうかうかしていられない状況が、練習中も上級生下級生関係なく指摘しあえるユニットでいい緊張感を持って練習できています。

――ご自身のポジションの注目ポイントを教えてください

吉澤 やっぱりTDですね。RBはTDを取ってなんぼなので、もちろんロングゲインや、いいランをしたら見てほしいですが、敵をなぎ倒してボコボコにしてTDを取るところを見てほしいと思います。

石丸 LBはタックルに今年入ってから力を入れているので、相手を奥に倒すタックルに注目してほしいです。ボールを(オフェンスに)持ってきてディフェンスはなんぼだと思うので、ボールを狙ってタックルをしてファンブルさせるところを見ていただきたいです。

――最後に今シーズンの個人の目標を教えてください

吉澤 僕は数値で言うと1000ヤードラッシャーを目指しているのと、チャックミルズ杯を取りたいのと甲子園ボウルMVPを目指しています。

石丸 僕はロスタックル数関東1位を目標に掲げています。そんなに今まで記録とか意識してプレーしたことはなかったのですが、昨年試合に出てLBはタックルしてなんぼのポジションだと思ったので、しっかり記録にこだわって、チームの危機を救えるようなタックルをするという意味でロスタックル数1位を掲げています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋優輔)

意気込みを書いていただきました!

◆石丸圭吾(いしまる・けいご)(※写真右)

埼玉・栄東高出身。政治経済学部4年。176センチ。90キロ。LB。ディフェンスリーダーとしてもチームをまとめ上げる。持ち味の激しいタックルと昨年の経験を生かし、相手オフェンスをねじ伏せます!

◆吉澤祥(よしざわ・しょう)

東京・成蹊高出身。スポーツ科学部4年。168センチ。82キロ。RB。守備の穴を一瞬で駆け抜けるスピードとタックルされても簡単に倒れないパワーを兼ね備えた吉澤選手。試合では必ずTDを取ってくれるでしょう!