【連載】『平成27年度卒業記念特集』 第35回 コグラン・ケビン/米式蹴球

米式蹴球

フットボール漬けの副将

 5年ぶりに甲子園ボウル出場を果たした早大米式蹴球部BIG BEARS。チームの鍵とも言えるディフェンスを支えたのが、コグラン・ケビン(商=東京・早大学院)だ。OLにも当たり負けしないパワーと、フィールドの広い範囲をカバーするスピードを兼ね備える。それも、地道な努力の積み重ねで得た力だ。全ては日本一になるため。コグランは大学の4年間をフットボールにつぎ込んだ。

 アメフトとの出会いは、いとこからの勧誘という、ごくありふれたものだ。しかし、この出会いがコグランを学生きっての逸材へと変化させる。早稲田大学高等学院で高校日本一を経験し、大学でもプレーを継続。入部後早くも頭角を表した。1年生ながら多くの試合に出場し、2年生の時点でディフェンスの中核を担うまでに成長する。学生日本代表にも選ばれ「世界が広がり、レベルの高い人たちともう一段階高いレベルに成長するきっかけになった」と、最後まで進化は止まらなかった。

日大戦では目覚ましい活躍を見せた

 大学入学時は、少しの戸惑いもあったという。日大・法大は高校時代のアスリートたちが推薦で集まるため、圧倒的な強さを誇っていた。どうすれば勝てるのか、必死に練習に打ち込んだが結果に表れない。そんななか転機が訪れる。2年生時、濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)が監督代行として、部を見ることとなった。すると、日本一に向けチームの足並みがそろい、少しずつだが着実に力がついていった。ラストイヤー、コグランは副将、ディフェンスリーダーとしてチームに貢献。前年の関東王者・日大との試合では、LBながら2TDという並外れた成績を残し、5年ぶりの甲子園ボウル出場の立役者となった。「何にも妥協しない気持ちを1年間貫き通した」と、学生最後の年にかける思いは誰よりも強かった。

 4年間をBIG BEARSにささげたコグランは、フットボールは「自分を選手としても、人間としても成長させてくれるもの」と語った。副将としてチームをまとめ、ビッグプレーで士気も高める。早大の躍進は、コグランの存在なくしては成らなかっただろう。そんなコグランは後輩へ「必ず日本一になってください」という言葉を残した。全てを賭しても越えられなかった日本一の壁。夢を追い求める選手たちを、これからも見守る。

(記事 高橋団、写真 桝田大暉)