【連載】インカレ直前特集『Keep it Real』【第2回】斎藤遥夏×杉浦櫻子×八矢美幸×矢口明歌梨

特集中面

 今春に1年生が入部したことで先輩という立場でありながら、上級生を支える立場にもいる2年生。斎藤遥夏(スポ2=千葉・習志野)、杉浦櫻子(スポ2=愛知・岡崎北)、八矢美幸(人2=東京・創価)、矢口明歌梨(人2=東京・新宿)は学年で4人と4学年で最も人数が少ない中で、女子部で過ごす4年間の折り返しを迎えようとしている。様々な不安と将来への期待を抱きながら過ごした1年間を振り返ると同時に、お世話になった4年生へ。全日本大学選手権(インカレ)への心境を伺った。

※この取材は8月17日に行われたものです。

――他己紹介をお願いします

斎藤 八矢美幸です。彼女はソフトボールの技術面から言うと、自分が一番押したいポイントはバッティング力です。最近の練習を見ていてもどんどんスイングスピードも上がってきていますし、飛距離もすごく伸びてきて、試合でもチャンスがあったら1本打ってくれるのではないかと思っています。裏の面では、サポートやベンチワークなどでも1年生を引っ張ってくれるなど、チームを支えてくれているので、すごく重要な人物だなと思っています。

八矢 杉浦櫻子さんです。彼女はこの1年間過ごしてきて、すごく努力家な面が魅力的だなと思っています。誰よりも努力しているというのをそばで見ていてすごく感じてきました。努力する分やっぱりメンタルに来ることも多くて、その悩みを結構聞いている側なのですが(笑)。悩みに対して一心にぶつかっている、それで乗り越えていくところを見て、素敵ですし将来性のある人だなというのを思います。

杉浦 矢口明歌梨です。彼女は大学からピッチャー始めました。本当に毎日成長している姿をそばで見てきて、1年前と比べたらすごく投げられるようになっていますし、率直にすごく尊敬しています。2年生の中にいるといじられキャラで、いつもちょっと軽くあしらわれている感じです(笑)。ただ、後輩の面倒見もいいですし、先輩の前ではしっかりと気を遣ってサポートもしているので、しっかり動いている姿を見て自分も見習わないといけないなと思っています。彼女が頑張っている姿を見ているからこそ、自分ももう少し頑張らないといけないなと思わされています。

矢口 齋藤遥夏です。彼女は自己推薦で入学してソフトボールに関しては超エリートという感じです。1年生の頃から試合に出て、(早大が)ピンチの状況に置かれている時に点を取るバッティングができます。メンタル面でも強く、本職はキャッチャーなのですが、キャッチャー以外のポジションも守ることができて、1年生の時は外野やファーストを守っていました。本当に器用ですし、その裏には努力があったのだろうなと思います。人柄としては結構お茶目です(笑)。可愛い一面もありつつ、楽観視しているように見えつつも深く考えています。「パッ」と質問した時に、深く考えたであろう答えが返ってくるので、すごく考えているのだろうなと思います。本当に心が広い人です。

「4年生は本当に頼りになる」(斎藤)

インカレでは一打席一打席気合を入れてヒットを打ちたいと話す斎藤

――2年生4人はどんな学年でしょうか

八矢 やはり人数が他の学年と比べて少ないというのもあって、団結力は強いなと自分たちで感じています。プライベートでも仲良くしていますし、この人と仲いいとかではなく、4人全員が仲良くしているというのがすごくいいところだなと思っています。

杉浦 八矢が言った通りなのですが、他の学年と比べても結構仲いい自信があります。しかもただ仲いいだけではなく、この1年で試合に出られないなどのいろいろな気持ちを味わってきた分、しっかりと言いたいことも言える上での仲の良さがあるのかなと思います。

矢口 2人と同じなのですが、居心地がいいというか、練習中にメニューに分かれてバラバラにいたりしても、少しの休憩で一緒に集まっている感じです。気づいたら一緒にいるみたいなメンバーです。試合で主力として全員が出ている学年ではないので、その分ベンチで支えるなどの面でいろいろ話をしています。これから試合に出られるように、練習しているときにお互いアドバイスをするなど、そういうこともしている学年です。

斎藤 3人が言ってくれた通りで、この学年は人数一番少ないので、その分仲もいいし距離感も基本的に近い感じの学年です。自分は特にそうだと思うのですが、この3人に全く気を遣っていないので、言いたいことは何も隠さずに言ってしまっても受け入れてもらえます(笑)。昨日の試合もそうなのですが、自分がすごく落ち込んでいる時などは、めちゃくちゃ優しくしてくれて励ましてくれます。本当に心の支えであってくれる学年だなって。一言で言うと、仲のいい学年だなって思います。

一同 (笑)。

「(4年生に)どれだけ恩返しができるか」(杉浦)

与えられた打席では相手に嫌なバッターと印象付けられるようにしたいと話す杉浦

――1年生が入部したことで、心境の変化はありましたか

八矢 下の学年が入ると気が締まるというか、(今までは)自分たちが1番下という感じがみんな強かったと思います。ですが、(1年生が入部したことで)1年生よりは先に行ってなきゃいけないという責任感みたいなものは感じるようになりました。

杉浦 4月になってから1番下じゃないということは、先輩に甘えてばかりではいられないなと思っています。下の学年は人数も多いので、自分たちができなかったことまでやってくれます。4人ではやれなかったけど、ここをやれたらいいなという部分は多分自分たちが一番よくわかっていると思うので、そこを1年生に伝えられればいいなというのは最近思っています。

矢口 自分は杉浦が言ってくれたように、大学に入ってからピッチャーを始めました。それで1年生で、スポーツ推薦で八角(八角美海、スポ1=東京・神田女学園)が入ってきて、刺激になるというか。今までは先輩から学ぶことしか経験したことがなかったのですが、後輩から学ぶという新しい感覚が生まれました。負けてられないなという気持ちと、尊敬の気持ちが入り混じるという不思議な感情が生まれました。初心者から入ってくれた子もかなりいて、その子たちが何が分からないのかとか、どんなことに困っているのかといったことを、うまくくみ取ってあげられればいいなって思います。ただ、自分がソフトボールを始めた時の記憶が薄れてしまっているので、それをどうくみ取ろうかというところで悩みはあります。

斎藤 今年は1年生が9人とたくさん入ってくれました。その中でも半分ぐらいが初心者の子で、新しくソフトボールを始めるという子が多いです。そういった子たちに対しては、これから4年間でどう成長していくか、初心者からでも始められるというのが早稲田の魅力の1つだと思っています。先輩たちから一番下で教わってきたことを、今度は自分たちも教わる側だけじゃなくて、指導する側にも回っていかないとなっていうのはすごく感じました。あと、高校の時に本格的にソフトボールをやってきて、すごく技術の上手な子がいるので、そういう子を見ていると、本当に負けてられないなと。絶対に負けたくないという気持ちで後輩からいい刺激がもらえていると思います。

「チーム力がどんどん上がっている」(八矢)

声を出してチームの勝利に貢献したいと話す八矢

――昨年の秋に新体制になってからの1年間をチームとしてそして、個人として振り返っていかがですか

八矢 (昨年の)4年生にたくさん教えてもらったということもあって、4年生が引退してからは何を思って部活に行けばいいのかという欠乏感がありました。新チームが始まっても自分がやれることは変わらない中で、チームを支えるために何ができるのかと考えながら練習を続けていました。また、自分は試合に出ることができるだけの技術はまだないので、日々の練習を真剣にやっても出ることができないという悔しさはありました。その上、2年生になってからはさらにうまい1年生が入ってきてそこでも悔しさがあって。その中で同期に支えられた期間だと感じています。個人としては、技術面でも精神面でも成長できた期間だと思っています。チームとしては、1年生が入ってきて人数が増えたことで試合でのベンチの雰囲気はより良くなって、いい方向に向かっていると思います。

杉浦 チームとしては、今年は個々の力が強いチームなのかなと最初は思っていました。ピッチャーもすごい先輩がいてバッティングや守備のうまい先輩もいて。昨年、個々の力というよりはチーム力で勝っていたのと比べて今年は個の力で勝っていくのかなと思っていました。ただ、関カレ(関東大学選手権)の負けを経験して個の力ではどうにもならない部分があるなと感じました。冬や春を越えて個々の力はもちろんのこと、チーム力がどんどん高まっている状態なのかなと思います。個人としては、昨年全く試合に出ていなくて、今年は少しずつ試合に出させてもらえるようになりました。冬から外野を始めたのですが、正直うまくいかないことの方が多くて結構悩んだ期間ではありました。同期や先輩に支えられて、特に同期がこのメンバーではなかったら、続けてこられなかったのではないかというくらい支えられてきた1年でした。技術力はどれだけ伸びたか自分では分からないですが、精神的には強くなったのかなと思います。

矢口 チームとして、自分が1年生の時の4年生は大きい存在でした。インカレ(全日本大学選手権)が終わった後に5人が抜けたというのは人数としては、残っている人の方が多いのですが(それ以上に)減ってしまったという感じがありました。そこからのスタートは徐々にインカレに向けて照準を合わせて上げているという印象があります。冬は守備ごとに固まって基礎練をしたり、バッティングでは吉村先生(吉村正総監督、昭44教卒=京都・平安)から遠くに飛ばすやり方を教わったりしました。今年に入ってからはだんだんと実践を増やしていて、インカレのカウントダウンを始めたくらいから本番を見据えてより本格的な実践をしています。チーム全体として、全員がモチベーション的にも技術的にもピーキングがしっかりできていると感じています。個人としては、大学からピッチャーを始めてできないことだらけの中で、ピッチャーを続けていくのか、高校までは野手だったのでできることが多い野手に戻るのかを冬の間にかなり悩んでいました。色々な人に相談をさせてもらっていた中で、自分が決めた答えを正解にすればいいと言っていただいたときにどっちも頑張ろうと思えました。春くらいからは、短期的、中期的、長期的に目標を決めることで頑張れていると思います。

斎藤 チームとしては、新チームが始まってすぐの秋リーグ(東京都大学連盟秋季リーグ戦)で全勝かつ全試合で完封勝利を収めて優勝した時に、個々の技術がすごく高いチームだと感じました。そのあとの東日本(東日本大学選手権)や春リーグ(東京都大学連盟春季リーグ戦)で負けてしまうことも多かったのですが、そこから個々の力だけではなく昨年の代のようにチーム全体がまとまるようになってきました。また個々の力が強い分、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)しているのがすごく感じられています。インカレに向けて練習試合を通してピークを合わせていく段階なのですが、それが全員うまくいっています。どんどんチームの実力がレベルアップしてすごくインカレが楽しみだなと思っています。個人としては、昨年のチームではもともと本職でなかった外野や色々な野手をやって、楽しいなと思っていました。今年からはより元の本職に戻って、試合ではファーストやDPで出ることが多かったのですが、練習の中でキャッチャーをやらせてもらうなど、どんどん実践の練習に混ざることができるようになりました。それが楽しいと思う反面、チームに貢献するという責任感がより強まってきた年かなと思っています。ただ、チームに貢献できているのかと言われたらそうでもないくらい、今の段階では大会であまり結果を残せてはいません。インカレに向けてもっと自分を追い込んで実力を上げて、打席に立つチャンスがあるのならそこで絶対に先輩に恩返しできるように。今まで本当に支えてもらってばかりいたので、この分をしっかりと返せるようにチャンスを生かしていきたいなと思います。

「4年生は最強で最高」(矢口)

矢口は代走では迷いなく走ることでチームに流れを持っていけるようにしたいと意気込む

――インカレに向けてご自身が果たしたい役割や目標を教えて下さい

八矢 昨年のインカレや、東日本では声を出すことでチームがいい雰囲気になって点を取ることができたという場面がありました。ベンチから、気づいたときに声を出すことで自分の存在感を出していきたいと思います。自分が(声を出して)支えることでチームの勝利に貢献できたと言えるようにやっていきたいです。

杉浦 自分がもし試合に出させていただけるとしたら、1打席あるかないかだと思います。結果をどうこう気にするというよりかは、相手にも自分たちのチームにも記憶に残る打席にしたいなとは考えていいます。アウトになったとしても、無駄なアウトになるのではなくて嫌なバッターだと思わせればこちらの流れになったり、相手のペースが崩れたりすると思います。やっぱり、結果は気にしないと言いましたけど、結果を出せるように頑張っていきたいです(笑)。また、試合に出るだけがチームに貢献する方法ではないと1年を通してすごく思いました。昨年、インカレを経験した分ただ盛り上げるだけではなくて、実践的な声などの1年生でもできることに何かをプラスしてチームが優勝できるように貢献したいなと思います。

矢口 自分がもし試合に出させていただけるとしたら代走かなと思います。そういった場面で迷わず判断良く走ることで、チームに流れを持っていけるようにしたいです。少しでも迷ってしまったら判断も悪くなるし、足も遅くなってしまうので積極的な走塁ができるようにあと8日間、練習を頑張りたいと思います。ベンチにいるときは、みんなが言っているように意味のある声掛け、雰囲気が良くなる声掛けをできるようにしたいです。会場的に声が届きにくい会場なので、できるだけ大きい声を出せるように喉の調子を整えてインカレに臨みたいなと思います(笑)。

斎藤 インカレでの一番の目標はヒットを打ってチームに貢献することです。インカレでは、今まで教わってきたことや練習の成果を込めて、どれだけチャンスが回ってくるかは分からないので一打席一打席気合を入れてヒットを打ちたいです。先輩やチームのために恩返しとして、絶対に点を取る気持ちで臨みます。ベンチにいるときでもシーンとなる沈黙が1秒も存在しないように盛り上げて、どんなに厳しい状況でも早大が押しているのではないかと思わせるぐらいの声を出したいです。もちろん、プレーでチームに貢献するのが目標ですが、声掛けでもチームを鼓舞して勝たせることはできると思うのでそういった面でもチームのためにやっていきたいなと思います。

――来週のインカレで4年生は引退となります。最後に、今年のチームはどういったチームだったか一言お願いします。

八矢 先ほども言った通り、個々の力がすごく強い人たちで今までの試合では個の力だけで点を取っていくような感じだったのですが、最近の試合を経てチーム力がどんどん上がっていると思います。強くなったチーム力に加えて4年生の強い力があるので、今年のインカレは昨年より良い成績を残せるチームなのかなと思います。

杉浦 八矢が言ったようにこのチームが始まった時から個の力は変わらずにあってそれにプラスで1年を通してチーム力が上がってきていると思います。すごく4年生は後輩のことを考えてチームを作ってくださったので、どれだけ恩返しができるかというのが後輩である私たちが大事にしなくてはいけないことだなと。それを素直に思わせてくれるチームを作ってくださったと思います。

矢口 昨年のこの引退直前のインタビューで今の4年生が、昨年の4年生をプリキュアと表していました。それを今、すごく実感をしています。私にとっては、今の4年生が最強で最高で。個々の力もそうですし、人間性としてもすごく尊敬する部分が多くて私たちを常に気にかけて下さっています。私たちも4年生のことが大好きなので、このチームは相思相愛なのかなと思います(笑)。

斎藤 4年生は、新宮さん(新宮怜美副将、スポ4=京都西山)や高さん(高美優主将、スポ4=福岡中央)を中心に本当に個々の技術力が高いチームで、力があるからこそ最近の練習試合や実践練習では1つのプレーに対してどんなに小さいことでも引っかかることが合ったら納得がいくまで意見をぶつけ合っています。妥協しないでチームの技術力を高めることや、インカレへの思いが本当に強いと近くにいて感じています。たくさん話すことを通してチームとしての技術が上がっていると思っていて、それをまとめてくださっている4年生は本当に頼りになると思っています。それとすごく楽しい学年と言うか、チームを盛り上げるのが上手な先輩がいて、相談に乗ってくださる先輩もいて。メンタル面で陰から支える人や表面からチームを全面的に盛り上げてくれる先輩がいるからこそ、チームが勢いに乗れていると感じています。なので、技術面でも、メンタル面でもすごく支えてくださっている先輩です。

――ありがとうございました!

(取材・編集 矢彦沢壮真、飯田諒 写真 近藤翔太)

インカレでは各々のできることで4年生を支えます!

◆斎藤遥夏(さいとう・はるか)(写真左から2番目)

2003(平15)年8月3日生まれ。千葉・習志野高出身。スポーツ科学部2年。早稲田らしいソフトボールを体現した昨年のインカレが印象に残っているという斎藤選手。持ち前の勝負強い打撃で勝利を呼び込みます!

◆杉浦櫻子(すぎうら・さくらこ)(写真右)

2004(平16)年1月10日生まれ。愛知・岡崎北高出身。スポーツ科学部2年。対談では先輩方への思いを語ってくださった杉浦選手。練習後に先輩たちと行った自主練習が思い出だそうです!

◆八矢美幸(はちや・みゆき)(写真右から2番目)

2003(平15)年9月6日生まれ。東京・創価高出身。人間科学部2年。八矢選手の思い出は昨年のインカレ後に行われた部内の交流会。学年関係なく交流した場で、先輩たちの普段は見られない一面を発見したそうです!

◆矢口明歌梨(やぐち・あかり)

2004(平16)年1月9日生まれ。東京・新宿高出身。人間科学部2年。質問に絶えず笑顔で応じてくださった矢口選手。昨夏の練習後に行ったノックと昨年の東日本インカレが印象に残っているそうです!