第1回に登場するのは浅見竣一郎(スポ1=宮城・東北)と安達宣(スポ1=奈良・高田商)。高校時代から全国の舞台で名を馳せ、ともに名門・早稲田の門を叩いた二人。東日本学生対抗競技大会ではAチームで出場し、ルーキーながら既にチームの主力を担う。今後も躍動が期待される二人に、これまでの競技生活、そして、彼らの思い描く軟式庭球部での4年間について伺った。
※この取材は8月27日にオンラインで行われたものです。
世代を引っ張ってきた二人
東日本学生選手権での二人
ーーまず、他己紹介をお願いします
安達 浅見竣一郎です。出身は埼玉県で、高校は宮城県です。特徴は、継続する力がすごくあると思います。トレーニングなど、決めたことをしっかりやりきる力があるのですごいと思います。性格はめちゃくちゃ真面目で、仕事もバリバリこなすのですごいです。
浅見 安達宣です。東京都出身で、奈良県の大和市立高田商業高等学校出身です。 高田商業時代にキャプテンをやっていたので、人を動かす力だったり、 あとはやはり存在感があります。テニスコート内でも外でも、そういったところで、みんなにとっていい影響を与えている人物だと思います。
ーー趣味やハマっていることを教えてください
安達 僕の趣味はギターを弾くことです。好きな音楽はあいみょんの『マリーゴールド』です。
浅見 歌もめっちゃうまいです、弾き語りとか。
安達 弾き語りはよくやらせてもらっています。
浅見 僕は最近キングダムとか漫画にハマっています。 あとは安達にそろえて音楽のことを言うと、ピアノやウクレレが得意です。ピアノをたまに弾きますね。
ーーオフの日はどのように過ごしていますか
安達 朝からトレーニングをして、昼に帰って、昼からランニングをして、夜は8時には就寝をしています。
浅見 朝はトレーニングに向かって、スッキリした気持ちで昼ご飯を美味しいところに友達と食べに行ったりします。午後は友人とゲームをしています。マリテニ(マリオテニス)とか。
ーーお互いを初めて認識したのはいつですか
安達 小5ぐらいです。
ーーその時の相手の印象はいかがですか
安達 めっちゃ(テニスが)うまいなと思いました。
浅見 (安達は)なんか急に出てきたんですよ。小5とかで関東大会で急に上がるようになってきて、彼は。名門中学校の付属の小学校だったので、いずれライバルになるんだろうなみたいな感じで思っていました。その時は僕の方がうまかったんですけど、今はちょっとまずいです(笑)。
ーー昔と比べて、今の相手の印象はいかがですか
安達 あまり変わってないです。世代トップだと思っているので、 そこはその時からあまり変わってはないです。
浅見 大学に入ってからもペアを組んでいるのですが、 お互いレベルアップしているのは感じます。すごいスケールの大きいプレーをするので、 今後もどんどんうまくなるのを期待しております。
ーー選手としてはお互いどのような印象ですか
安達 ミスが少ないです。あとは、高校の時よりも全体的に球が速くなったり、積極的に前に出てプレーすることが増えていると思うので、 オールラウンドにプレーできるのが魅力だと思います。
浅見 彼は前衛なので、ボレーやスマッシュの精度が元から高かったんですけど、その中でまた守備範囲が増えたりしています。あとは、その一撃で決める技術というか、攻撃力がすごい高いなと感じます。
これまでのソフトテニス人生
関東学生春季リーグにて試合中の二人
ーー競技はいつ、どのようなきっかけで始めましたか
安達 小5の初めか小4の終わりぐらいの時に兄が始めて(僕も)始めました。
浅見 僕は小学2年生の時にソフトテニスを始めました。親が硬式テニスをやっていて、その影響でずっと幼少期からテニスはやりたいなと思っていました。でも、近くに軟式のテニススクールしかなくて、軟式のジュニアに気づいたら入っていました。
ーー今のポジションになった経緯は何ですか
安達 気づいたらなっていました。
浅見 後衛の方がやはり球を打つ回数が多いので、 小学生の時は自分が引っ張るようなかたちで、多分後衛になったんだと思います。
ーー誰にも負けない自分の強みや武器を教えてください
安達 直感ですね。試合の時にたまにゾーンに入るというか、そういう感じの時に全部当たるので、その直感は自分の強みだと思います。
浅見 自己管理ですかね。大学生は結構遊ぶ時間が増えて、夜更かししたりだとかあると思うんですけど、 やはりそういう欲を抑えて、テニスのために、しっかり寝たり、オフの日でも朝早くからトレーニングに行ったりしています。しっかり自分の調子を毎日考えながらテニスのために生活できているかなというふうには思います。
ーープレー面はいかがですか
浅見 テニスうまくないからな(笑)。でも、結構他の選手とかに比べると、体格にも別に恵まれてないし、体重も軽いですし、 パワーで押し負けるようなことが普通は出てくるんですけど、その中でも体の使い方をしっかり練習の中でちゃんと確立して、パワーで負けないようにして、効率的に球を飛ばすことは結構うまいと思ってます。
ーー憧れの選手や先輩はいますか
浅見 僕の憧れの選手は硬式テニスのラファエル・ナダル選手です。どんなところでもやはり諦めない精神力と、どこに球が来ても拾いまくるコートカバーリング力みたいな、なんかもう野獣みたいなところが好きですね。
安達 目標の選手は早稲田の卒業生の上松(俊貴、令2スポ卒=現NTT西日本)さんです。 理由は、練習を一緒にさせてもらう機会がたまにあるんですけど、やはりどの技術を見ても、他の日本代表の選手ともレベルが違うというのをすごい肌で感じます。取り組む姿勢とか、上松選手なりの自分だけの考えみたいなのがあるところがすごい良いなと思います。
ーーでは、ライバルはいますか
安達 ライバルは矢野颯人(主将、社4=奈良・高田商)選手です。もうすごい強くて、存在感があるというか、影響力がすごいある人です。テニスだけではなくて、そういう影響を与える力みたいなところもすごいあると思っています。4年生になったらそのぐらいの影響を与えられるような選手になりたいと思っています。
浅見 僕のライバルは日体大の根岸(澪紋)です。もうずっと小学校から一緒に練習をしてきて、ずっと切磋琢磨してきました。お互い世代を引っ張る後衛だということは自覚していると思います。大会でももう何回もやっているので、彼のことはしっかりリスペクトしてるんですけど、負けないようにこれからも頑張っていきたいと思います。
ーー高校時代で一番印象に残っている試合を教えてください
安達 国体で優勝した時の試合です。初めて優勝したからです。高校2年生の時です。インターハイで負けて、国体で同じ学校と決勝をやって勝てたので、印象に残っています。
浅見 高校の試合で印象的なのは、僕が高校2年生の時の個人戦のインターハイ決勝かなと思います。その時は2年生でまだ未熟だったんですけど、 勢いとかもあって、決勝まで進んで、もう少しで優勝できそうなところまで行きました。相手が高校生の中ですごい大本命だったんですけど、それに勝ちそうになりながら、最後実力で巻き返されたのが印象的ですね。
世界を見据えて、強い早稲田に
試合中の安達
ーー数ある関東の強豪校の中で早稲田を選んだ理由を教えてください
安達 小学校の時から早稲田が強くて、記事でよく見ていました。その時からずっと早稲田に行きたいと思っていたので受験しました。
浅見 僕も小学生からテニスをやっていて、その時にやはり早稲田大学がずっと強くて、 僕もいずれはここに入りたいなという気持ちがありました。(僕は)高校が東北高校で、 船水(颯人、平30スポ卒=現稲門クラブ)さんというプロのOBの選手がいるんですけど、その人に背中を押してもらったというか、その人の技術をずっと見ていて、 僕も一緒に練習したいなと思って、早稲田に決めました。
ーー大学生活はいかがですか
安達 高校の時よりも、どんなかたちであれテニスに関わる時間が、自分の中で考える時間が増えたと思っています。実際に練習時間は短くはなっているんですけど、それ以外のトレーニングだったり、自分の時間が増えたので、そういう面で自分がテニスについて考えることが多くなりました。それが要因でレベルアップしていると思っています。
浅見 大学に入って、いつもより自分に費やせる時間というのが増えて、その中でもオンとオフをはっきりできています。テニスに集中した後とかでも、他にリラックスする時間が作れるので、 そこでいい感じにバランスを取れているかなというふうに思います。
ーー1年生はどのような学年ですか
安達 すごくバカな人が多いです。みんな明るいです。
浅見 団結力はとてもいいですし、明るい雰囲気で毎日できています。テニスコートに毎日ハッピーに行けるのも彼らのおかげです。仕事もものすごく熱心にやってくれますし、 とても感謝しています。
ーー大学に入ってから数々の試合に出て、既に入賞も経験していますが、大学の舞台での手応えはいかがですか
安達 大学生のテニスが高校の時とは全く違くて。スピード感だったり、 相手の技術の幅が高校の時より増えたので、そこが難しいところではあります。でも、自分たちが1年生で、他の年上の人たちで高校の時にすごい活躍した選手とたくさん試合ができる機会が多いので、いい感じに向かって試合ができています。そういう感じがするので、すごい試合は楽しいです。
浅見 大学に入りたての頃は、スピード感とかテンポ感とか、すごい高校の時と比べると速くなっていて、 ちょっとそれに驚いてしまって受け身になっていたところがありました。でも、今はそれにだいぶ慣れてきて、 その速いテンポの中でも、自分から試合をコントロールできるようになったなというふうには感じます。
ーー六大学、春リーグ、東日本インカレと振り返って、今シーズンに点数をつけるとしたら何点ですか
安達 80点です。1つ1つの大会でレベルアップをして次の大会に臨めているし、それに伴って結果もちょっとずつ上がってきているという感じなので、 そういう面で言ったら80点だと思います。
浅見 インカレの結果によって変わってくると思いますが、今のところは90点くらいあげられるかなと思います。 理由はやはり大学に入ってすごい自分が上達しているのを感じていますし、 ナショナルチームの人たちとも練習する機会が増えて、だいぶそのレベルに近づくことができていると思うからです。ただ、あと少し突き詰めていかないとそういう人たちには勝てないので、残りの10点をなんとかインカレまでに練習して、優勝することができれば嬉しいです。
ーー早稲田で過ごす4年間でどのような選手になっていきたいですか
安達 今4年生の矢野・端山(羅行、社4=石川・能登)ペアがいるんですけど、やはり試合本番で負けない強さがあるというのをすごい感じています。この4年間で、うまい選手にもなりたいですし、本番の試合で負けない、強い選手にもなりたいと思っています。
浅見 ナショナルチームの中でもトップの選手でいたいですし、一般の天皇杯で優勝争いに絡んだり、国際大会のメンバーに入って優勝するというところが目標になってくると思います。
ーープレー面で伸ばしていきたいところを教えてください
安達 全部の技術が、ナショナルチームで世界大会に出るとなったら、まだ全然足りていないと思います。繊細なプレー、普通の人だったらミスするようなボールとかもミスをしないでしっかり決められるような技術を追求したいです。
浅見 今伸ばしたいところはサーブですかね。僕はそんなに身長が高くないので、180とか190ある人みたいに上からサーブを打つことはできないです。でも、やはりいいサーブを持っているとだいぶ試合に有利に働くので。今は確率とかスピードとか悪くて、あまりいい感触がないので、ちゃんとそこを修正してというか、伸ばして大会に臨みたいですね。
インカレの優勝と言えば早稲田、爆発力で立ち向かう
試合中の浅見
ーー初めてのインカレになりますが、インカレの印象はいかがですか
安達 やはり自分がインカレをすごい見てた時は、何回も早稲田の人が優勝するイメージがあったので、 インカレと言ったら早稲田ですね。
浅見 やはりもちろんレベルが高いです。あとはインカレの優勝はナショナルチームに入ることにも関わってくるし、インカレで勝つとポイントがもらえて、天皇杯とかでいいシードをもらえたりだとか、上につながっていくような大会だと思います。学生の中では一番最高のところなんですけど、 視野を広げるともうどんどん上につながっていくので、そこで勝つことが、上に上がっていく選手としては当たり前のところなのかなと思います。
ーーお二人から見てチームの現状の仕上がり具合はいかがですか
安達 80パーセントぐらいですかね。ただ試合に出る人たちはもうすごい意識高いですし、 本当にみんな勝つために自主練もやっています。もう1つレベルが上がったら確実に優勝できる位置にはいると思います。
浅見 ものすごく雰囲気はいいですし、主務主将を中心にいいチーム作りができていると思います。やはり1年生もそれに釣られて「サポートしないと」と思っていると思いますし、試合に出る人はちゃんと4年生のために頑張りたいと思っています。ただ、技術的にはまだ絶対に優勝できるというふうな技術力はないので、 もう少しだけ技術を上げるというか、精度を高めるのと、 あとはうまく試合で勝つために、しっかり試合のことを想定しながら、賢くテニスをするというのが優勝につながってくると思います。
ーーインカレでのアピールポイントを教えてください
安達 やはり自分たちのいいところは、東カレ(東日本学生)の時もそうだったんですけど、勢いがあるところだと思います。どれだけ強い相手でも、全然負ける気がないというか、全部勝ちにいっているので、そういうところを見てほしいです。 あと、全勝します!
浅見 お互い結構攻撃力が高いので、見てる人からしてもすごい面白いラリーだったり点の取り方をすると思います。爆発力があると思います。でも、爆発力は上に行かないと来ないので、爆発力が起こってくるまでは、序盤をしっかり取りこぼしのないように集中してやっていって、 みんなが注目するところではもう観客を魅了するようなプレーを披露したいと思います。
ーー最後に、インカレへ向けて目標と意気込みをお願いします
安達 目標は個人、団体優勝です。自分の今まで準備してきたことや自分の良さをしっかり生かして、東カレで2位になったんですけど、 それを気にせず向かっていって、いい試合をしたいと思います!
浅見 目標はやはりダブルスと団体戦の優勝です。シングルスもあるので、そこでもしっかりベスト4、できればそれ以上行きたいんですけど、それを目指して頑張りたいと思います!
ーーありがとうございました!
(取材・編集 佐藤結)
写真撮影に応じる二人
意気込みを書いていただきました!
◆浅見 竣一郎(あざみ・しゅんいちろう)(※写真左)
2005(平17)年10月25日生まれ。170センチ。宮城・東北高出身。スポーツ科学部1年。後衛。自分へのご褒美は美味しいものを食べることだという浅見選手。好きなタレントは神木隆之介で、最近楽しみにしていた映画を見れたのが嬉しかったとのこと。インカレでは1年生ながらシングルスにも出場。「自分を信じて最後までやりきる」、そんな覚悟を決めた浅見選手の姿に期待が高まります!
◆安達 宣(あだち・せん)(※写真右)
2005(平17)年6月9日生まれ。177センチ。奈良・高田商高出身。スポーツ科学部1年。前衛。最近嬉しかったことはラケットを新しくしたことだという安達選手。ルーティーンは瞑想をすることだそう。色紙の文字には「高校時代になかなか結果を出せなかった時や今現在支えてくださっている方々に結果で恩を返したい」という気持ちを込めたと教えてくれました。持ち味の直感とルーキーらしい勢いで全勝に挑みます!