【競走】大会新記録で16年ぶりV! 出雲をエンジで染め上げる

駅伝

第38回出雲全日本大学選抜駅伝 10月12日 島根・出雲大社~出雲ドーム

 16年ぶりの出雲路制覇、そして学生駅伝三冠へ。学生三大駅伝の開幕を告げる出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)が、今年は暑さ対策のため午前に開催された。昨年は、一時は先頭に立つも、あと一歩及ばず2位に終わった早大。今年はロードで活躍を見せた大エース・工藤慎作(スポ4=千葉・八千代松陰)や、トラックシーズン絶好調の山口竣平(スポ3=長野・佐久長聖)、鈴木琉胤(スポ2=千葉・八千代松陰)ら出雲経験者に加え、大注目のルーキーたちもエントリーに名を連ね、戦いに挑んだ。例年以上の高速レースとなった中、早大はおのおのが実力を遺憾なく発揮。4人が区間賞を獲得、3人が区間記録を更新し、大会新記録で悲願の優勝を果たした。

 1区でスタートを切ったのは、昨年もこの区間を走った吉倉ナヤブ直希(社3=東京・早実)。スタート直後から中大の藤田大智、創価大の菅野元太らがハイペースで飛び出す中、吉倉は第2集団の後方で自分のペースを刻む。中盤では先頭のペースが落ち、吉倉のいる集団が藤田らを吸収するも、残り2キロとなったところで再び集団はペースアップ。鈴木大翔(駒大)を中心に激しいスパート合戦が繰り広げられる。遅れを取りたくない吉倉だったが、「うまく対応できなかった」と少しずつ集団から離されてしまう。それでも、先頭とは16秒差の7位と前が見える位置でタスキをつないだ。

 最短区間の2区を任されたのは、ルーキーながら1500メートルと3000メートルの早大記録を持つスピードスター、本田桜二郎(スポ1=鳥取城北)。吉倉からタスキを受け取ると、すぐに前との差を縮めて先頭集団でレースを進める。2キロ過ぎに吉岡大翔(順大)が1人抜け出すも、本田は集団の中で虎視眈々(こしたんたん)とスパートの機会をうかがった。ラスト1キロを過ぎたところで中大のエース・岡田開成が先頭に立つが、本田も同時にギアを上げる。磨いてきた自慢のスピードですぐさま岡田の前に出ると、そのスピードを一切緩めることなく、トップで中継所に飛び込んだ。16秒あった先頭との差をひっくり返し、昨年に山口智規(令8スポ卒=現SGホールディングス)がマークしたタイムよりも15秒早い、15分42秒をマーク。三大駅伝初陣で区間賞を獲得する見事な走りとなった。

 2年連続でエース区間の3区を走ったのは鈴木琉。中大、順大、駒大とともに4人の集団でレースを運ぶ。さらに、国学院大、創価大も加わり6人の集団となった中、区間新ペースの快走を見せるシャドラック・キップケメイ(日大)が集団を抜き去り先頭へ。鈴木琉は2位集団でレースを進めた。他大学の選手が集団から徐々に振り落とされていく中、鈴木琉は安定したペースを刻む。残り1キロを切ると、鈴木琉は、ここまで共に走っていた三宅悠斗(中大)を振り切り、キップケメイとの差も徐々に縮めていく。先頭と9秒差の2位と、優勝が十分に狙える位置でタスキをつないだ。昨年よりも40秒以上速い23分31秒をマークし、従来の区間記録も塗り替え、成長をアピールした。

 4区には、こちらもルーキーの新妻遼己(スポ1=兵庫・西脇工)が起用された。前半シーズンはなかなか結果を残せず苦しんだ新妻だったが、着実に練習を積み、出雲の舞台を勝ち取った。その努力を証明するかのように、先頭を走る首藤海翔(日大)を1キロ過ぎに抜き去ると、そのまましっかりとリードを保つ。本田の区間賞、そして付き添いの増子陽太(スポ1=福島・学法石川)からのエールが「闘志となった」と言うように、終始2分45秒から50秒ほどの安定したペースを刻み、1年生らしからぬ落ち着いた走りを見せる。区間記録より10秒速い17分10秒でタスキをつなぎ、本田に続いて区間賞を獲得した。

 5区に出走した山口は、昨年の出雲は疲労骨折の影響で欠場。2年ぶりの出雲路となった。5区に出走した選手の持ちタイムでは、5000メートル、1万メートルともにトップの記録を持つ山口。その実力を見せつけるかのごとく、序盤からハイペースでレースを進めていく。沿道の声援にガッツポーズをする余裕も見られた。後半はややペースが落ち、「きつかった」と言うが、「2年分の思いや感謝の気持ちを走りに表現した」と、後続との差をさらに引き離す快走を見せる。山口も区間記録を更新し、区間賞を獲得。3区から3人連続で区間記録を更新し、頂点へ王手をかけた。

 最長区間の最終6区には、3大会連続で工藤が登場。序盤は後ろを走る髙石樹(国学院大)がハイペースで工藤との差を詰めてくるも、工藤は冷静に自分のペースを刻む。最後までしっかりと順位を守り抜き、ついに、仲間の待つゴールの出雲ドームへ。昨年は悔しい表情でフィニッシュした工藤だったが、今年は笑顔を浮かべながら、お決まりの指を差すポーズで優勝のゴールテープを切った。タイムは2時間05分56秒と、従来の大会記録を2分近く更新しての優勝となった。「後ろに抜かれないことだけ考えて」いたと工藤は言うが、終わってみれば2位の国学院大に1分近く差をつける圧巻の走り。余裕を持って走りながらも区間賞を獲得する、まさに早大の大エースらしいレース運びを見せ、16年ぶりの優勝に花を添えた。

 早大ファンの誰もが望んだ、悲願の王座奪還を果たした早大。トラックシーズンではそれぞれの舞台で活躍してきた選手たちが一丸となってタスキをつなぐ、まさに「圧倒的な個」を体現した見事な2時間05分56秒であった。この勢いのまま、次に狙うは全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の頂点だ。今回は補員に回った増子陽太や上杉敦史(スポ1=千葉・八千代松陰)、そして全日本経験者の小平敦之駅伝主将(政経4=東京・早実)など、強力なメンバーが控えている。史上初、2度目の学生駅伝三冠へ。早大の、前人未到の挑戦が始まった。

(記事 川田真央、写真 石本遥希、黒澤秀真、鈴木京介、鈴木拓紀、鶴本翔大、永尾早渡、西本和宏、吉田真悠)

※監督・選手コメントは別記事にて、後日掲載いたします 

結果