第101回日本学生選手権水泳競技大会水球競技
2025年8月29日(日)
横浜国際プール
試合結果
チーム | 1P | 2P | 3P | 4P | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
早大 | 5 | 3 | 4 | 2 | 14 |
中大 | 4 | 4 | 4 | 3 | 15 |
得点者
古谷4、永野3、加藤3、簗瀬2、加納(恒)1、斎藤1
第101回日本学生選手権水泳競技大会水球競技。前日の成蹊大戦を制し、準々決勝へと駒を進めた早大。迎える相手は、同じ関東1部リーグの中央大学。勝負の山場となった一戦は、序盤から一進一退。前半を8―8の同点で折り返すと、後半も激しい点の取り合いの白熱した接戦に。互いに譲らぬ攻防の末、試合は、残り1分になってもなお同点の緊迫した展開が続いた。しかし、残り30秒で、痛恨の失点。最後まで攻め続けたものの、あと一歩届かず、14―15で惜しくも敗れ、ベスト8で今大会を終えた。

シュートを放つ加藤
女子部の選手も応援に駆けつける中、試合は、中大の連続得点で幕開ける。勢いに押される早大だったが、開始3分半、緻密なパスワークから加納恒心(スポ3=東京・明大中野)がボールを受け、ゴール端へ鋭く突き刺すシュートで反撃の狼煙を上げた。直後に中大から速攻を許し、再び失点するも、加藤旺道(スポ3=静岡・磐田)も速攻で応戦。その後も、小林稜典(スポ2=岐阜・大垣東)のボールを簗瀬亮冴(スポ1=鹿児島南)がワンタッチで合わせてゴールを決めるなど、打ち合いの様相で試合が展開されていった。残り1分加藤の力強いバウンドシュートで、4ー4と同点に追いつくと、直後には古谷典也(スポ4=東京・明大中野)も得意のミドルを決め、3連続得点で一気に逆転。第1Pを5ー4で終えた。
1点リードで迎えた第2P。相手の退水(※)を誘い、古谷が狙い澄ましたシュートでゴール左隅へと叩き込む。しかし中大もすぐさま反撃、連続失点を許してしまう。それでも3分永野冬惺(スポ3=東京・明大中野)が華麗なミドルシュートで沈めると、再び永野が右サイドから豪快に叩き込み、前半を8―8の同点で折り返した。

果敢にゴールを守る簗瀬、GK加納(凪)主将、永野
後半こそ突き放したい早大。斎藤昴泰(スポ2=神奈川工)がセンターボールを奪うも、中大の素早い速攻に守備が追いつけず失点を許してしまう。しかし2分後、簗瀬が右サイドから得点、そして古谷が本日3得点目を決め、10―10と同点に戻していく。残り1分、斎藤の強烈なシュートがネットを揺らし、さらに第3P終了間際の15秒には、永野が執念の一撃で追加点。しかし、その勢いを断ち切るかのように、残りわずか3秒で中大が同点弾を叩き込み、スコアは、12―12。試合の緊張感が頂点に達していた。
そして迎えた最終P。早大は、GK加納凪人主将(スポ4=三重・四日市中央工)のセーブで一度防ぐも、こぼれ球を押し込まれ失点。だが2分斎藤からの鋭いパスを加藤が合わせてゴール。その後、相手にペナルティースローのチャンスを与えるも、GK加納(凪)が圧巻の守備で、これを阻止。守護神の意地が光った。そして試合時間残り2分、古谷が相手ディフェンスの一瞬の隙を突き、見事なシュートで、14―13とリードを奪うも、勝利まであとわずかというところで、再びペナルティースローの判定。これを決められ、14―14の同点に。得点を返したい早大だったが、残り30秒、中大・佐賀がセンターライン付近から放ったロングシュートが無情にもゴールイン。早大にとって痛恨の失点だった。早大は、最後まで攻めの姿勢を崩さず、ゴールを目指し続けたが、反撃は届かず14―15で無念の敗戦。悔し涙と共に、ベスト8で大会を去ることとなった。

この日4得点を決めた古谷
激闘の末、惜しくもベスト8で大会を去ることとなった早大水球部。勝利には届かなかったものの、最後まで諦めずに戦い抜いた姿は、多くの人の心を打った。主将・加納(凪)をはじめ、4年生たちが築いた熱く、誇り高きチームの思いは、確実に後輩たちへと受け継がれていく。涙の中に宿った覚悟を糧に、早大水球部の更なる飛躍に期待したい。
※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。
(記事・写真 指出華歩)
♦︎コメント
GK加納凪人主将(スポ4=三重・四日市中央工)
――今日の試合は、どのような気持ちで臨んでいましたか
負けたら引退、個人的には、十何年間続けていた水球が今日終わるかもしれないという、強い気持ちで、臨んでいました。
――点差が開かない接戦でした。今日の試合を振り返って、いかがですか
試合の展開も大差のつく試合ではないと思っていたので、接戦になるとわかっていたのですが、相手のディフェンスのシステムが完成しているなかで、よく崩して、多く得点できたところは、良かったのかなと思います。
――失点からの30秒はどのような心境で挑んでいましたか
言葉にするのは、難しいですが、多分夢に出てきそうなシーンだと思います。ですが、失点した後に、フローターバックで一番近い位置でやっていた冬惺(永野冬惺、スポ3=東京・明大中野)が、「まだ終わってないぞ」という言葉を言ってくれて、本当にありがたかったなと思います。
――主将としてのこの1年を振り返って
結果は、あくまでも、過程の積み重ねの先のもので、ただ、最後に本当に良いチームだったなと思えたので、良かったと思います。主将として何ができたかは、わからない部分は、ありますが、みんなが今年は、良いチームだったね、と自分たちも、周りの人からも言ってもらえたので、そこは、主将としてよかったなと思います。
――早稲田での4年間を振り返って
同じ水球という競技を取り組んでいるのですが、高校と大学だと、180度全く違くて、さまざまな経験ができて、すごい僕の人生でポジティブなものを得ることができ、何にも変えられない時間だったのかなと思います。
――後輩たちへ
フィールドプレイヤーで抜けるのは、典也(古谷典也、スポ4=東京・明大中野)一人で、その穴は、すごく大きいと思うのですが、ただ今の素晴らしい4年生から学ぶことは、すごく多かったと思うので、能力的には、俺らより上の選手がほとんどですが、それだけでは、うまくいかないことも多いので、今の4年生の良いところをしっかりと吸収して、あとは、それを発揮できればもっと大きなことが成し遂げられると思うので、頑張ってほしいなと思います。
古谷典也(スポ4=東京・明大中野)
――今日の試合はどのような気持ちで臨んでいましたか
正直、今日で終わる気はさらさらなくて、勝ちに行こうという気持ちで試合に臨んでいました。個人的には、高校生の時もベスト4をかけた試合で中央の吉村光貴と試合をしていて、そこで自分たちが勝って、ベスト4に残ってという経験があったので、今回もしっかり中央を倒して、ベスト4に上がって、4日間試合をしようという気持ちで臨んでいました。
――今日の試合の展開を振り返っていかがですか
展開としては、点差が開かなかったので、自分の中では、めっちゃ面白い試合だなと思いながら楽しんで試合はしていました。ただ、リードできる時間があったにも関わらず、途中でリードされてしまったところが、早稲田的には、きつかったのかなと思います。
――4得点ありました。個人のプレーを振り返っていかがですか
点数だけで見ると得点は、取っていたのですが、ペナルティースローを外したり、前半もミスが多かったので、2日間、シュートだけで見たら悪くはないのですが、決め切れる部分を決めることができなかったので、負けたのはその部分なのかなと感じています。
――早稲田での4年を振り返って
率直に楽しかったです。ただ、やはり、早慶戦勝ててすごく嬉しくて、日本選手権も稲泳会とし、本戦まで出場できて嬉しかったのですが、インカレという部分で、4年間、4日間試合をすることが一度も出来なかったので、そこは、悔しいです。スポ推として、早稲田に入って今まで、谷さん(谷健太郎、令5スポ卒=東京・明大中野)と楓我さん(都田楓我、令6スポ卒=鹿児島南)と大智さん(中村大智、令7スポ卒=埼玉・秀明英光)と、上で言うと、吾郎さん(樋爪吾郎、令4スポ卒=埼玉栄)だったり、要さん(田中要、令3スポ卒=埼玉・秀明英光)だったり、すごい偉大なOBさんたちを見てきた中で、自分がその役割を全うできたかなと思うとそれは、後悔が残る部分があったので、自分の実力不足を感じつつ、ただ楽しく水球ができたすごく良い4年間だったと思います。
――後輩たちへ
しっかり4年生の言うことを聞いてもらって、仲間を信じて試合をしてくれれば、結果はついてくると思います。強いのはわかっているので、良いチームで勝ってもらえればなと思います。