第97回早慶対抗水上競技大会
2025年6月29日(日)
東京アクアティクスセンター
試合結果
チーム | 1P | 2P | 3P | 4P | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
早大 | 4 | 3 | 3 | 2 | 12 |
慶大 | 3 | 1 | 2 | 3 | 9 |
得点者
古谷6、永野2、加納(恒)2、小林1、簗瀬1
第97回早慶対抗水上競技大会(早慶戦)。伝統の一戦を見届けようと、大勢の観客が応援に駆けつけ、会場を臙脂色(早大)と紺色(慶大)に染めていく。両校応援部の声援が鳴り響く中、4年ぶりの王者奪還に向けた「早慶戦」がついに幕を上げた。勝利への執念を燃やす早大は、序盤からギアを上げ、カウンターやセットプレーで仕掛けていく。徹底した守備で失点も抑え、前半を7―4で終えた。その後も、早大の攻守が噛み合うプレーで流れを渡さず、12―9で試合が終了。4年ぶりとなる勝利を飾った。

最後の早慶戦を個人6得点の活躍で締め括った古谷
会場に鳴り響くホイッスルと共に試合の火蓋が切られると、開始40秒古谷典也(スポ4=東京・明大中野)がミドルシュートを叩き込み、先制に成功する。続いて永野冬惺(スポ3=東京・明大中野)がバウンドシュートを決め連続得点で幸先の良い立ち上がりだった。その後、慶大に連続得点を許すも、2分半加納恒心(スポ3=東京・明大中野)が得意のカウンターアッタクで取り返す。終盤には古谷が鮮やかにミドル再び決め切り、4ー3と一歩リードで第1ピリオド(P)を終えた。
第2Pは、1分半加納(恒)が持ち味の泳力で、GK加納凪人(スポ4=三重・四日市中央工)からのボールをゴール前まで運び、カウンターで、2得点目。早大の退水(※)で陣形が崩れ、失点を許すも、3分半には慶大退水のチャンスを決め切り、点差を戻す。残り30秒には、初の早慶戦となった簗瀬亮冴(スポ1=鹿児島南)が左サイドからゴール端を突く巧みなループシュートで会場を盛り上げた。ディフェンス面では、相手のシュートコースを徹底して絞る守備。最後の砦としてGK加納(凪)が、圧巻のセーブでゴールを死守し、学生リーグで課題としていた前半の失点をおさえ、7ー4と点差をつけて、理想とする形で前半を終えた。

圧巻のセーブと声がけでチームを支えたGK加納凪人主将
続く後半戦、早大の勢いは止まらない。慶大のキーパーのパスを古谷がカットし、そのままシュート。センターライン付近から放たれたボールは、ゴールに吸い込まれ、ネットを揺らした。このプレーは、観客をさらに沸かせ、大歓声。慶大は、すかさずタイムアウトを要求した。しかし、早大は、自分のたちのペースを崩すことはなかった。続いて得点を挙げたのは、またも早大。古谷と小林稜典(スポ2=岐阜・大垣東)の得点で最大6点差をつけるも、慶大も負けじと2連続得点で応戦し、10ー6で第3Pを終えた。

シュートを放つ個人2得点の永野
早大のセンターボールで始まった最終P。開始早々に失点を許すも、1分永野が右サイドからミドルシュートですぐさま反撃して得点を返していく。一進一退の攻防が続く中、慶大は得意のカウンター攻撃で得点。勢いそのまま、残り3分半には早大の反則を誘いペナルティスローのチャンスを獲得した。絶対絶命と思われた早大だが、ここでキャプテンGK加納(凪)が魂の気迫で相手のシュートミスを誘う。その後も幾度となく慶大の攻撃を防ぎチームを大きく勝利に近付けた。残り1分半、早大は斎藤昴泰(スポ2=神奈川工)と加藤旺道(スポ3=静岡・磐田)の連携からペナルティースローを獲得。これを古谷が確実に決め切って、本日6得点目を上げた。その後、慶大の猛追を受け、1失点を許したが、早大は点差を守り抜き、12―9で見事勝利。試合終了の合図とともに、選手たちは抱き合いながら涙をこぼし、喜びに溢れた。そして、観客席の応援団と共に、肩を組んで「紺碧の空」を大合唱。歓喜の瞬間を掴み取った。

観客席の応援団と共に「紺碧の空」を歌う選手たち
チームのために、自身のために、そして4年生のために。各々が特別な思いを持って臨んだ「特別な舞台・早慶戦」。「勝てない3年間は、ものすごく苦しかった」(加納凪人主将)と振り返るように、宿敵・慶大に、勝利目前で幾度となく敗れ、悔し涙を流してきた早大。「絶対に勝ちたい」。全員が強い想いと覚悟を胸に戦った今年は、悲願の優勝。早大としては4年ぶり、選手たちにとっては、初の勝利だった。次に挑むのは、4年生最後の試合となる日本学生選手権大会(インカレ)。メダル獲得に向け、「1日1日を大切に過ごしていきたい」(加納凪人主将)。

試合後の集合写真
※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。
(記事・写真 指出華歩)
コメント
GK加納凪人主将(スポ4=三重・四日市中央工)
――4年ぶりの勝利でした。今の率直なお気持ちをお願いします
勝てない3年間は、ものすごく苦しかったのですが、自分が4年生最後の年で勝つことができて、本当に感無量です。
――この早慶戦にどのような思いで臨まれましたか
会場の雰囲気も含めて、みんなにとって特別な試合なので、まずはこのチーム一人一人と一緒に戦いたいと思っていました。その上で絶対に勝ちたいなと思って戦いました。
――試合全体を振り返っていかがでしたか
完璧に近かった内容だと思っています。相手は、ポイントゲッターがはっきりしているチームで、学生リーグでは、そこでやられていたので、そこで失点しないというところと、常に自分たちの流れを持っていようと話していて、ほぼ完璧にできていたので、今後にもつながる収穫だったかなと思います。
――好セーブが多く見られました。個人のプレーを振りかっていかがですか
僕は、止めないといけない立場で、逆にディフェンスによって確率を低くできていたので、個人よりもチームのディフェンスが良かったのかなと思います。
――主将として
僕は、形ばかりの主将で、スローガには、みんながリーダーシップを持ってやろうとある中、僕が目立ったチームよりは、みんなが目立って、この結果に繋げられたので、これからの早稲田にとっても良かったのかなと思います。
――チームメイトにかけたい言葉は
大好きです!
――最後に、今後の目標をお願いします
2ヶ月後にインカレがあり、そこで引退になるので、チームで掲げている目標であるメダル獲得を目指して、1日1日を大切に過ごしていきたいです。僕たちが引退した後も、早稲田は続いていくので、後輩たちに教えられることは教えて、チームを繋いでいきたいです。
古谷典也(スポ4=東京・明大中野)
――4年ぶりの勝利でしたが、率直なお気持ちをお願いします
本当に良かったです。嬉しいというより、安心した気持ちが一番で、本当に勝つことができて良かったなという気持ちです。
――最後の早慶戦でした。どのような思いで臨まれましたか
相手(慶大)も、自分たちもここに向けて4年間頑張ってきていて、特に7番の山田くん(慶大・山田龍ノ介)とは、小学生からの仲だったので、最後この早慶戦の大舞台で戦えるというのは、とても楽しみでした。これで終わってしまうという悲しさもあり、複雑な気持ちでしたが、ワクワクした気持ちで臨みました。
――6得点の活躍でした。個人のプレーを振り返っていかがですか
ミドルシュートがたくさん入れられたことが、点数を多く取れたことに繋がりました。ミドルが決められたのは、左サイドのタカ(斎藤昴泰、スポ2=神奈川工)や旺道(加藤旺道、スポ3=静岡・磐田)が、仕掛けてくれたことや、右サイドが自分のところにボールを運んでくれたことで自分が打てたので、たまたま自分が決めることになっただけですが、結果として本当に良かったなと思います。
――今日の試合全体の振りかえってチームとしては、いかがですか
前半に、キーマンからの失点があったのですが、2P目以降にしっかり修正して、自分たちのやりたかったオフェンスの作戦やディフェンスの作戦がうまく4ピリオド続けてできたことが、この点差を開いての勝利だったのかなと思います。
――チームメイトにかけたい言葉は
最高です!
――今後の目標を教えてください
自分は、インカレ(日本学生選手権大会)しか残っていないので、インカレに向けて練習し、さらにレベルアップして、メダル獲得という目標に向けて、しっかり取り組んでいけたらと思います。
永野冬惺(スポ3=東京・明大中野)
――4年ぶりの勝利でしたが、率直なお気持ちをお願いします
最高です!
――今日の試合を振り返って
最高です。今まで3年間勝てたことがなかったので、3年目で勝てて嬉しいです。
――個人としてはいかがですか
ディフェンスはフローターバックとしての役割を果たせてよかったです。オフェンス面は4P目で決めてれてよかったです。
――4年生にかけたい言葉はありますか
本当にありがとうございます。感謝しかないです。
――今後の目標をお願いします
インカレに向けてレベルアップして勝てるようにと、早慶戦で連覇できるように頑張ります。
加納恒心(スポ3=東京・明大中野)
――4年振りの勝利でしたが率直なお気持ちをお願いします
3回目の早慶戦にして(個人としては)初勝利できたことは素直に本当に嬉しいです。
――今日の試合を振り返ってください
チームとして学生リーグでは立ち上がりの方で2―7と大差をつけられてしまって、最後まで追いつけず敗北してしまったので、今回は立ち上がりを意識して、とにかく失点を防ごうという話をしていたので、失点をしっかりと防いで、早大のリードで試合展開ができたことがすごく良かったと思います。
――個人としては
自分の得意のスピードを生かしたカウンターアタックが何本か出せていたのでそれはよかったと思います。逆にディフェンス面で、相手との1対1でやられてしまう、退水をつけられて、永久退水になってしまうところもあったので、そこはまだまだディフェンス面は課題だなと思いました。
――4年生にかけたい言葉
今までの苦しい時期を4年生はまとめて、ここまで引っ張ってくださっていて、自分もお世話になった4年生に恩返しをしたいと思い、そのために必死に泳いで、必死にシュート打って、必死に(攻撃からディフェンスに)かえって、4年生のために頑張りました。
――今後の目標をお願いします
まず2ヶ月後のインカレでしっかりメダルを獲得して4年生にしっかり笑って引退してもらうこと、そして次に、今年だけの早慶戦の勝利ではなく、来年以降もしっかり勝ってここから強い早稲田をつくっていきたいです。