第64回全日本学生男子王座決定戦 6月14・15日 静岡・つま恋リゾート彩の郷
アーチェリーの大学日本一を決定する全日本学生王座決定戦(王座)が、聖地・つま恋リゾートで開催された。アーチェリー部男子は14日の予選で1885点を獲得し7位で予選通過。15日の決勝ラウンドでは、初戦でライバル・慶大と対戦し5―1で勝利するも、準々決勝で強豪・同志社大に敗北。3年ぶりに出場し、目標である王座優勝を狙うもベスト8で終わった。
男子代表の4選手
14日の予選ラウンドでは各校のメンバー4人が72射を射ち、点数上位3人の合計点で順位が決まる。3年ぶりの王座に早大男子は、丸尾風瑛男子主将(スポ4=福岡・柏陵)、梅澤徹太(政経3=東京・攻玉社)、野田慶一郎(スポ2=エリートアカデミー)、小渕伊央利(スポ2=群馬・県太田)の4人が出場した。冷たい雨が打ちつけ季節外れの寒さを感じる中、前半36射終了時点で野田が322点、個人12位になるなど順調な滑り出しを見せた。後半、丸尾主将が緊張でうまく射てないなかでも321点を獲得し、チームトップの合計635点で個人20位、野田も10点に19回中てるなど調子を維持して21位、小渕が38位、梅澤が40位となった。早大は1885点を獲得、全体7位でシード権を獲得した。
予選ラウンドで行射する梅澤
14日とは打って変わって、蒸し暑さのなか強い日差しが照りつける15日に開かれた決勝ラウンド。全24校が、予選の結果によって割り振られたトーナメントで対戦する。試合形式は3人が2射ずつ射ち、その合計点が相手より高いと2点、同じだと1点、低いと0点が入る。これを3セット行い、最終的に合計点の高い方がトーナメントを勝ち進む。前日のチーム内順位により、丸尾主将、野田、小渕の3人が出場し、小渕と惜しくも1点差だった梅澤がスコーパーとして参戦した。シード権を獲得していたため、2回戦から登場した早大は、早慶定期戦などで深い関わりのある、ライバル・慶大と対戦。昨年度の早慶定期戦では敗北した早大男子だが、「練習通りのパフォーマンスを出したら勝てる相手」という野田の分析の通り、第1セットから2―0でリードすると、その調子のまま5―1で圧勝。決勝ラウンドというプレッシャーのかかる場面で緊張をはねのけ、王座での「伝統の一戦」は早稲田に軍配が上がった。
明るい雰囲気で話し合う選手たち
準々決勝であたったのは、トーナメント上位常連の強豪・同志社大。「実力的には圧倒的に不利というか、点数帯も圧倒的に僕たちの方が低い」と小渕が語る通り、1955点の全体2位という成績で予選を勝ち抜いた同志社大との試合は厳しいものになると予想されたが、第1セットでは不調の同志社大の隙をついて3人合計で51点を獲得。2点先取するなど早大に流れが傾いた。この流れを維持したまま勝てるよう、応援の熱量も強まった第2セットでは、同志社大が49点を獲得し巻き返しを図るも、早大も48点を射ち1点差で食らいつく。互角な勝負展開に持ち込んだかと思われたが、第3、第4セットで突き放され2―6で敗北。最終的には全体7位で3年ぶりの王座を終えた。
一番手として流れをつくる野田
二番手として調整役を担った小渕
最初で最後の王座出場の丸尾主将
応援で盛り上げる選手たち
悲願の王座優勝には届かなかったものの、スコーパーとして選手と応援団を盛り上げた梅澤の活躍もあり、緊張感のなかにも早稲田らしい明るい雰囲気をつくり出すことができた。しかし、「基本的な実力がまだ王座制覇できるほどではない」と小渕が語るように、全国の強豪と渡り合える実力のなさを痛感した王座となった。「主将としてチームを引っ張っていくことを心がけて65代でも精一杯やってまいりたい」と次期主将の梅澤が意気込むように、来年の王座へ向けて新体制が始動する。今回の悔しい結果を糧に修練を積み、捲土重来を期す。
選手と応援のつなぎ役に徹した梅澤
試合後胴上げされる丸尾主将
(記事 飛田悠那、写真 神田夏希、飛田悠那)
結果
▽予選ラウンド
丸尾 635点 20位
野田 634点 21位
小渕 616点 38位
梅澤 615点 40位
早大 1885点 7位
▽決勝ラウンド
7位 早大
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コメント
丸尾風瑛男子主将(スポ4=福岡・柏陵)
ーー男子としては3年ぶりの王座出場になったが、どういう思いで臨んだか
4年生なので自分が出場するのが最初で最後で、楽しく射ちたいな、できるなら優勝して、せめても入賞はしたいなと思って挑みました。
ーー決勝初戦の慶大戦に勝利したが、その時に意識していたこと
慶応さんとはこの一年間すごい仲良くて、リーグ戦でも互いに応援し合ったり、王座も女子の予選の時には応援し合ったりしていたので、正々堂々しっかりと射って、負けたとしても楽しく終われるようなところを意識して頑張りました。
ーー主将として工夫していたこと
みんなに声かけするところが一つあって、4年生という立場で、4年生で選手として出場したのが自分だけかつ主将で、自分が下だったら上の先輩の主将に頼ってしまうと思うんですよね。そこを他のメンバーも思っているだろうなと思って、そこに対して自分は理想の主将っていうのを頑張って演じようと思っていました。今日は自分が64代の主将として最後だったので、何かを次の65代、それ以降に残せられるような行動を意識してとりました。
ーー予選でチーム1位の成績を収めたが、その時に意識していたこと
みんな予選で勝ちたい、シード権に入りたいという思いがあったんですけど、やはり心のどこかで自分がメンバーとして出たいという強い思いが一つあって、プラス前からお話しているように、最近うまく射てなくて、当日も最初の1分、1分半くらい射てない時間があったので、本当に焦りながら無我夢中で、「明日絶対残ってやる、良い形で終わるんだ」ということだけを考えてひたすら射っていました。
ーー後輩たちへ一言メッセージ
大変だと思いますけど、自分たちのことを信じて最後は楽しんでもらえたらなら、結果はついてくると思います。
梅澤徹太(政経3=東京・攻玉社)
ーー男子としては3年ぶりの王座出場になったが、どういう思いで臨んだか
3年ぶりということで、僕たちは初めてで経験が少なかったんですけど、とにかく楽しむことを目的に射つことを心がけておりました。
ーー決勝では選手として出場できなかったが、スコーパーとして意識していたこと
スコーパーというのは選手と距離が近いので、一番近い存在としてポジティブに声かけできるように心がけていました。
ーーチームの強みである明るさを発揮するために取り組んだこと
自分が一番盛り上げるというのをすごく意識したりとか、スコーパーは選手と応援をつなぐ役割だと思っているので応援にも働きかけて、選手と応援の中間点、つなぎ役として意識していました。
ーー次期主将としての抱負
今年女子が王座制覇したということで、とても嬉しい気持ちである一方、男子はベスト8ではありますが悲願の王座制覇には届かなかったので、女子は連覇、男子は王座制覇を果たすことができるように、主将としてチームを引っ張っていくことを心がけて65代でも精一杯やってまいりたいと思います。
野田慶一郎(スポ2=エリートアカデミー)
ーー男子としては3年ぶりの王座出場になったが、どういう思いで臨んだか
僕自身去年入学して、去年はリーグ戦を通過できず、そもそも(王座に)出場できなかったので、それも自分の力だけではないので責任というのは感じていましたし、まずは出場できた嬉しさが強かったです。
ーー決勝初戦の慶大戦に勝利したが、その時に意識していたこと
事前に作戦会議とかでも、相手の去年のデータとか見て、相手の平均点数と早稲田の平均点数を比べてみたときに、練習通りのパフォーマンスを出したら勝てる相手ではあるって思っていて、それこそベスト8入賞までは予選順位も7位でしたし、早稲田の実力的には勝てる相手だとチームの中で共有して、もちろん緊張はしましたけど、いつも通りの射を心がけることだけに集中して射った結果勝つことができました。
ーー対談で「頭を使えるのが早稲田の強み」とおっしゃっていたが、それを発揮できた場面は
選手以外のことでいうと応援は、他大学よりも良い応援をできたと思いますし、人数の割に大きな声を出せるようみんなで練習したので、それこそ練習の成果が出たと思います。競技に対しては、それこそさっき言ったとおり、自分たちの出せる点数と過去のデータを見て、ただ緊張するだけでなく、アーチェリーはけっこうメンタルに絡んでくるので、100パーセントとは言わないですけど普通に射てば勝てる相手、と明確に(チーム内で)情報共有したことで、慶大に勝利することができたんじゃないかなと思います。
ーー高校時代にインターハイで全国大会出場経験があるが、その時の経験が今回に生きたか
正直団体戦の全国経験はなくて、インターハイで優勝した時も個人戦だったので、それこそ部活っていうかクラブチームというかで活動するなか、迷惑もかけたんですけど、丸尾主将から色々なことを教わりました。団体戦でいえば正直あまり貢献できなかったかもしれないんですけど、試合の時じゃなくて練習の時に先輩たちと一緒にメニューを考えたりとか、経験値がある方だと思っているので、自分がどう練習してきたかをもとに男子だけじゃなくて女子のメニューも考えたり、一緒に練習したりして力になれたのかなと思っています。
ーー準々決勝の同志社大戦で敗れたが、この経験をどう生かしたいか
まずは丸尾主将がいなくなって、丸尾さんは高い点数を安定して出せる人なので、まずはその代わりになれるように自分自身の競技力を向上させていきたいですし、団体戦の経験値が足りなかったのが敗因の一つだと思っているので、実際自分自身も点が取られてしまった時に雰囲気が下がってしまい、同志社は決勝とかトーナメント上位常連なので、そこの点でもう一回作戦を練り合う必要があるのかなと思います。もちろん練習量を増やしていく、当たり前なんですけど、もう一回(練習内容を)考え直す必要があると感じています。
小渕伊央利(スポ2=群馬・県太田)
ーー男子としては3年ぶりの王座出場になったが、どういう思いで臨んだか
一番は、梅澤先輩の気持ちを背負っていこうっていう気持ちが強くて、昨日の予選で梅澤先輩と1点差で僕が3番手、梅澤先輩が4番手になって、どっちがメンバーになっても後悔はないと思ってやっていました。結果的に僕が3番手で団体メンバーに入らせていただいて、梅澤先輩も悔しい気持ちは絶対あるけど、それを表面に出さないで、チーム全体を盛り上げてくれたので、チーム全体でやり切ろうという気持ちで挑みました。
ーー決勝初戦の慶大戦に勝利したが、その時に意識していたこと
慶応大学とはけっこうライバル関係がずっとあって、去年の早慶戦では負けてしまった経験があるので、僕たちにとってもちょっと勝ちたいなという気持ちが強くありました。でも慶応大学相手だからといって、いつもと違うことをやるとかはなくて、野田がよく声かけで「いつも通りの雰囲気でいこう」と言ってくれたので、本当にいつもの練習の雰囲気でいつものパフォーマンスを出せたから結果につながったのかなと思います。
ーーチームの課題である緊張の弱さを克服できたか
予選ラウンドに関しては、一人ひとりが別々に射っている環境だったので、やっぱり支え合うという場面は作りにくかったのかなというのが正直なところで、緊張感でいうと全員緊張してたなというのを客観的に見たら感じます。ただ、緊張感の中でも中てるための練習とかを日ごろから心がけていたので、ちゃんとリスク管理できていたし、緊張したなかでも、緊張をちゃんと受け入れてベストを尽くせたのかなと思います。今日の団体に関しましても、予選の一人ひとり射つのとは違って、4人の空気感というのをちゃんと作り出せたし、声かけとかも相まって緊張感というのは程よくあったというか、完全にないというよりかは、点数が出るための緊張感を意図的に作り出せたのかなと思います。
ーー準々決勝の同志社大戦で敗れたが、この経験をどう生かしたいか
相手が同志社というのもあって、最初から慶応さんに勝ったら次は同志社とあたるだろうなというのは予想していました。同志社は予選で同じ的で射っていて、僕の的の人は予選の前半で330点以上射っていたので、絶対に強いなというのは覚悟していました。実際に勝ち上がって、同志社とあたって、実力的には圧倒的に不利というか、点数帯も圧倒的に僕たちの方が低かったので、チャレンジャーという気持ちがすごい強かったです。1エンド目入って、同志社さんも調子が悪くて、僕たちもベストかというとベストではなかったんですけど、そこで点数を取ることができて、「早稲田流れあるね」という話になりました。2エンド目も惜しくも1点差で負けてしまって、「でも1点差だからいけるね」という声かけもあったし、ただ同志社さんはすごいので、ちょっとずつ同志社さんが調子を戻してきた。そこで早稲田が調子を戻しきれなかったかなっていうのがあります。今後としては、(今回の決勝は)緊張はしていなかったんですよね。ただ、基本的な実力がまだ王座制覇できるほどではないのかなというのが個人的な意見で、今回も可能性があるねという話はしていたけど、絶対に勝てる、50パーセントの確率で勝てるほどの実力ではないっていうのも自分たちで覚悟していたので、次は今回の経験を生かして、基礎的な技術を身につけたりとか、更に緊張感に慣れて、もっと緊張した場面でも点数を維持できるようにっていうのを心がけて練習していけたら、早稲田としてもすごい強くなれるのかなと思います。