日本学生対校選手権 6月5~8日 岡山・JFE晴れの国スタジアム
梅雨入り直前の岡山県で、4日間にわたって日本学生対校選手権(日本インカレ)が開催された。早大からも多くの選手が出場。1500メートルと5000メートルで二冠を達成した山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川)らの活躍が目立った一方、4×400メートルリレーでは男女共に決勝進出を逃すなど、悔しい結果に終わった競技も見られた。目標としていた総合優勝は逃したものの、男子は2年連続のトラック優勝を果たし、地力の強さを証明。『One早稲田』の体現のために、全員が全力で熱い4日間を駆け抜けた。

表彰式にて集合する競走部部員
(記事 髙杉菜々子、写真 佐藤結)
★山口智が早稲田新記録で優勝! 吉倉も入賞し男子トラック優勝に大貢献(男子1500メートル)

先頭を引っ張る山口智と吉倉
男子1500メートルには、山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川)と吉倉ナヤブ直希(社2=東京・早実)の2人が出場。両者ともに着順で決勝へ駒を進めると、山口智が早稲田新記録で見事優勝、吉倉も8位入賞の活躍を見せた。
大会初日、予選2組目に出走した山口智は「1500メートルに照準を合わせてきたので、割といい感覚で臨めた」と言う。2周目終盤に集団から抜け出すと、瞬く間に後続の選手に10メートル以上の差をつけ、単独走状態に。その後も差を詰められることなく、3分44秒21で余裕の1着フィニッシュとなった。続く3組の吉倉は、集団中央辺りでレースを展開。スピードが上がり後半に列がばらけた後も、先頭集団から漏れることなく、安定した走りで5番手、6番手の位置を維持する。そしてラストスパートで4位に浮上し、着順での決勝進出を決めた。

決勝でゴールする山口智
翌日行われた決勝。スタート直後は吉倉が先頭につき、山口智と2人でレースを引っ張るシーンも見られた。2周目に入ると、山口智がまたもや集団から抜け出す。中距離を主戦場としている選手への対抗策として中盤にペースを上げるレースプランを立てていた山口智は、関東インカレ後のスプリント練習への取り組みを生かし、56秒でラップを刻んだ。食らいついてきた実力ある選手らも振り払うほどのスピードで前へ前へと進み、一気に差を広げると、誰一人として寄せ付けずにゴール。逃げ切りに成功して圧倒的なレースを展開した山口智は、3分40秒46の早稲田記録で選手権を獲得した。一方の吉倉は、上下する前方のペースに惑わされず、10人ほどで形成された4位集団の後方に位置づける。集団は最後の1周まで崩れず、吉倉が得意とする展開に。ここでもラストの勝負強さが発揮され、残り10メートル手前で前方の選手を抜かし、8位に滑り込んだ。2人で合計9得点を持ち帰り、早大のトラック優勝に貢献した。
早稲田のエースとして存在感を示した山口智、そして気迫のラストスパートで意地を見せた吉倉。確かな手応えとともに、彼らはさらなる高みへと駆け上がっていく。東京箱根間往復大学駅伝(箱根)での総合優勝を目指し、挑戦は続いていく。
(記事 髙杉菜々子、写真 植村皓大)
★関口が3位で表彰台に!次の照準は日本選手権へ(男子100メートル)

決勝でゴールする関口
1日目と2日目に行われた男子100メートルには、関口裕太(スポ3=新潟・東京学館新潟)、井上直紀主将(スポ4=群馬・高崎)、由井響(スポ3=山梨・都留)が出場した。関口は決勝で、終始力強い走りを見せつけ3着。井上は関口に続き4着でフィニッシュした。
1日目に行われた予選では3組に由井、5組に井上、6組に関口が出場した。由井はレース後半のスパート争いに敗れ、惜しくも組4着。タイムでも拾われず、予選敗退となった。全日本中学校選手権で優勝した思い出の地・岡山での優勝を誓った井上は、中盤から勢いに乗り、組1着で準決勝進出。関口は「早い選手がいて、向かい風も強かった」なか、周りの選手を大きく突き放し、井上と同じくその組の1着で準決勝進出を決めた。2日目に行われた準決勝では、1組に井上、2組に関口が出場した。井上は予選と同様、中盤から追い上げる走りを見せ、組1着で決勝進出。関口は「暑さに身体がやられて思うように動かなかった」こともあり3着でゴール。しかし、タイムで拾われ決勝に進むことができ、レース後には「ほっとした」と安堵の表情を浮かべた。

準決勝でゴールする井上
ついに迎えた決勝の舞台。3レーンには世界リレー代表の愛宕頼(東海大)が、6レーンには関東学生対校選手権(関東インカレ)2部で追い風参考記録の9秒97をマークした守祐陽(大東大)など、誰が勝っても不思議ではない状況のなか、7レーンから井上、9レーンから関口がスタートを切った。スタート直後から木梨嘉紀(筑波大)が飛び出し先頭に立つ。スタートから50メートルまでの関口の飛び出しよりも木梨の飛び出しの方が速かったが、自分のレースをすることに集中した関口。レース後半になるにつれ、関口はギアを上げていったものの、良いスタートを切った木梨には及ばず。また、愛宕には惜しくも競り負け3着。井上は強みである後半の伸びがあと一歩足りず、4着に終わった。関口は「表彰台が取れたので、最低限のことはやり切れた」と話しつつも、「この結果に満足はしていない」と振り返り、「1ヶ月後の日本選手権に向けて、地に足をつけてしっかり頑張っていく」と決意を新たにした。
井上と関口が計11点を持ち帰る大貢献を見せた男子100メートル。悔しさも誇りも糧にし、次は日本の頂で輝く。
(記事 鶴本翔大、写真 佐藤結、鶴本翔大)
★昨年の日本インカレ王者・矢野は惜しくも準優勝!(女子走高跳)

跳躍する矢野
2日目に行われた女子走高跳には、昨年の日本インカレ王者・矢野夏希(スポ3=愛知・時習館)が出場。自己ベストに並ぶ1メートル79を記録したものの、試技回数の差により惜しくも準優勝となった。
矢野は、出場選手の中で唯一、1メートル70から競技を開始。1本目でこれを難なくクリアした。続く1メートル73では1本目に失敗したが、2本目で修正し成功。1メートル76では1本目をわずかに触れ失敗、2本目はバーが揺れながらも落ちずにクリアした。この跳躍が、最終的に順位を左右する重要な一跳びとなった。次の1メートル79には、矢野を含む3選手が挑戦。1・2本目は全員が失敗するなか、矢野は3本目の跳躍でバーをわずかに揺らしながらも、見事に成功。自己ベストに並ぶ跳躍を決めると、跳び終わった直後には拳を握ってガッツポーズを見せた。矢野が優勝へ王手をかける中、直後に日体大の伊藤楓も3本目で同じく1メートル79を成功させ、一騎打ちの展開に。勝負の舞台は1メートル82へと移ったが、両者とも3本すべて失敗。ともに1メートル79の跳躍は3本目に成功しているため、1メートル76の跳躍における試技回数が明暗を分けた。矢野が2本目で成功したのに対し、伊藤は1本目で成功。この差により、矢野は準優勝となった。
関東インカレに続き、試技回数で優勝を逃す結果となった矢野。「1本で跳ぶことの大切さを、身に染みて感じる試合だった」と悔しさをにじませつつ振り返る。次戦の日本選手権では、1メートル80の壁を越え、さらにその先の世界へと挑む。
(記事 谷田光太郎、写真 髙杉菜々子)
★森田が初の表彰台となる準優勝!(男子400メートル)

決勝のレースを走る森田
男子400メートルは1日目と2日目に予選から決勝までが行われ、森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄)、権田浬(スポ2=千葉・佐倉)、松本悠斗(スポ1=佐賀北)が出場。松本は予選敗退、権田は惜しくも準決勝敗退となったが、森田は昨年に続いて決勝へと進出し、準優勝を果たした。
初日の予選では、松本がスタートから果敢に攻める走りを見せたものの、ラストスパートでやや失速し予選敗退。森田、権田は危なげなく予選を通過した。2日目の準決勝では、権田は力強くラストスパートをかけ、自己ベスト更新となる46秒53の好タイムを記録。しかし、組4着となり、記録で拾われるには0.03秒届かず、惜しくも決勝進出を逃した。森田は序盤から積極的な走りを見せ、最後の混戦状態の中でも粘り強く突き放し、組1着で決勝進出を決めた。そして、2日目の午後に迎えた決勝。森田はスタートからリズムよく加速し、ラスト100メートルに入る時点では1番手。しかし、昨年1年生ながら同種目を制した中大の田邉奨に残り僅かでかわされる。森田も懸命に食らいついたが及ばず、46秒20のタイムで2位となった。「相手の方が上手だった。まだまだ練習してそこの差を埋められるようにやっていきたい」と森田はさらなる成長への意欲を語った。
これまであと一歩のところで表彰台を逃していた森田。その壁を乗り越えた今大会は、成長の実感と悔しさが入り交じるレースとなった。「3本ともやりたい走りはできたが、最後は勝てなかった」と悔しさをにじませながら振り返る。それでも、新たなワセダの400メートルのエースとしての存在感は十分。来年こそ、手が届かなかった頂をつかみにいく。
(記事 谷田光太郎、写真 植村皓大)
★惜しくも連覇を逃し2位 悔しさの残るレース(男子4×100メートルリレー)

井上にバトンパスする由井
昨年の日本インカレ覇者として、連覇を狙った男子4×100メートルリレー(4継)。早大は関口裕太(スポ3=新潟・東京学館新潟)、水野琉之介(スポ2=北海道・立命館慶祥)、由井響(スポ3=山梨・都留)、井上直紀主将(スポ4=群馬・高崎)というメンバーで臨んだ。結果は2着と、連覇を逃し悔しさの残る試合となった。
大会1日目に行われた予選では1組に登場。1走の関口がうまくスタートダッシュを決め加速すると、2走の水野も流れに乗り前方でレースを展開する。3校がほぼ同時に先頭でバトンパスをし、3走の由井が走り出す。4走へつなぐ際、8レーンの筑波大が僅かに前に出た。由井は混戦状態の2番手でバトンを渡したが、井上が持ち前の大きなストライドで加速し、筑波大の背中を捉えた。1着でゴールし、無事に着順で決勝進出を決めた。
そして翌日、迎えた決勝。関口はいいスタートを切り、先頭とほぼ同時にバトンを渡した。水野もスピードを上げ3走へつなぐ。2走、3走ではあまり各大学の差がなく、ずっと横一線で試合が展開された。どの大学が勝つか全く分からないまま、由井が井上へと望みを託した。4走へとバトンが回ると一気に中大が前に出る。井上も負けじと加速し、ほぼ同着でゴール。連覇への期待がかかる中、祈るように電光掲示板を見つめるリレーメンバー。しかし、1着で表示されたのは中大。早大は無念の2着となった。

結果発表後のリレーメンバー
関口はこの試合を「1走から3走で先行し井上にバトンを渡せていたら優勝できていた」と、悔しげに振り返った。日本インカレ連覇は逃したものの、まだ日本選手権リレーがある。昨年度4冠のチャンピオンは、このままでは終われない。日本選手権リレーでは優勝を目指して、ここからさらなる進化を遂げられるか。
(記事 會川実佑、写真 植村皓大、佐藤結)
★中島が3位!トリプル入賞ならずも全員が自己新記録(女子1万メートル競歩)

レースを歩く中島
女子1万メートル競歩には、藤田真美加(スポ4=千葉・成田)、広瀬夏希(社3=東京・富士)、中島橙子(スポ2=群馬・前橋女)の3選手が出場。中島は早大記録に迫る好タイムで3位を獲得し、藤田・広瀬の両選手も自己ベストを塗り替える充実のレースとなった。
序盤から速いペースで進行したこの一戦。柳井(立命大)ら3人が先頭を切って飛び出す中、「最初から速くても前について行くと決めていた」と語った中島は、果敢に先頭集団に食らいついた。藤田と広瀬はその後方に位置する第2集団から上位をうかがう展開に。中島は800メートルを過ぎたあたりで柳井・谷(金沢学院大)に離されたものの、石田(武庫川女子大)の後ろにつけて3番手集団を形成。「耐えられるところまでついて行った」と語るように、残り2周までは競り合いが続いた。勝負どころとなった終盤、ラスト500メートル付近で石田がペースを上げると、徐々に中島との差が開いていった。本人は「4位だと思って諦めかけた」と振り返ったが、谷の失格により順位が繰り上がり、中島は3位でフィニッシュ。記録は46分19秒75と、早稲田の歴代記録にも肉薄するタイムだった。一方、藤田は後方の集団で懸命な歩きを見せ、7位に入った。苦しいレースとなったが、最後の日本インカレで見事に入賞を勝ち取った。集団から遅れを取っていた広瀬は終盤に猛烈な追い上げを見せて9位に入った。
関東インカレ同様、3人同時入賞には及ばなかったものの、全員が自己記録を塗り替える歩きを披露した。とはいえ、選手たちの向上心は尽きない。中島は「いずれはすべての早稲田記録を自分の名前にしたい」とレース後に語り、さらなる飛躍を誓った。これから始まるロードシーズンでも、彼女たちの一歩一歩から目が離せない。
(記事 植村皓大、写真 髙杉菜々子)
★上島が準決勝で早大歴代3位のタイムをマーク!(女子400メートル)

レースを走る上島
女子400メートルには、清水奈々子(文構4=北海道・札幌南)、上島周子(スポ3=東京・富士)、木下晏里(商1=徳島文理)の3名が出場した。今季好調をキープし、波に乗る上島は、準決勝で早大歴代3位となる54秒07を記録。決勝へ進出し、6位入賞を果たした。
初めての日本インカレとなるルーキー・木下は予選1組に出場。4レーンの木下は、アウトコースの選手らを追いかけ、安定した走りで距離を詰めていく。最後の直線では、他の選手らのスパートに大きく離され、5着で予選敗退となったが、大学入学後初の全国の舞台ながらも怯まず、堂々たる走りを見せた。一方、最後のインカレとなる清水奈は3組に出場。9レーンスタートの清水奈は序盤から大きく飛び出し、ひたすらに突っ走る。前半のリードを生かし、3着で準決勝進出を決めた。5組の上島はフロレス・アリエ(日体大)に次ぐ2着で、予選から54秒台を出し、準決勝へ駒を進めた。

レースを走る清水奈
翌日に行われた準決勝。1組に姿を見せた清水奈は、スタート直後から攻める周りの選手たちから遅れをとってしまう。後半は追い上げを見せるも、7着でフィニッシュし、準決勝で足を止めた。3組での出場となった上島は、外側のフロレスを追い、序盤から攻めたレースを展開。最後のコーナーでは2番手につけたが、直線に入ると、2名の選手に抜かれてしまい、4着でゴールした。タイムは54秒07を記録。自己記録を更新するとともに、早大歴代3位に名を刻み、記録で決勝へ進んだ。迎えた日本インカレの決勝。上島は3レーンからのスタートとなった。号砲後、上島は前を行く外側のレーンの選手たちを視界に捉え、パワフルな走りでその差を詰めにかかる。スピードを落とすことなく後半に入り、勝負は最後の直線へ。フロレスや寺本葵(天理大)がもう1段階ギアチェンジしたのに対し、上島は反応できなかったが、最後まで懸命な走りを見せ、6着でフィニッシュした。4位の選手までが53秒台と、ハイレベルな決勝のレースを走り切った上島。「いろいろなことを考えて不安に思っていた中で走り切れた自分をまずは褒めてあげたい」とレースを振り返った。
上島は6位入賞という結果を「自分としては満足すぎる結果」と言い表したものの、「それは速さであって、強さではない」と話した。「来年はより多くの点数を早稲田に持って帰ることが私の使命」。速さを超えた強さを証明するために、上島は己に挑み続ける。
(記事 佐藤結、写真 植村皓大、佐藤結)
★山口智が圧巻の走りで日本インカレ二冠を達成!(男子5000メートル)

ゴールする山口智
3日目に行われた男子5000メートルには山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川)が出場。前日の男子1500メートルで頂点に立った勢いそのままに13分40秒06で優勝し、二冠の栄光を手にした。
前日の1500メートルの疲労が残るなか、迎えた決勝。レースは序盤から動き出した。スタートから1周目を前にして小池莉希(創価大)が果敢に飛び出し、一気に先頭に出て独走する展開に。「留学生の出方や小池くんの揺さぶりに冷静に対応しようと思っていた」という山口智は落ち着いた走りで2位集団の前方につける。レース中盤、小池が2位集団に吸収され、縦に長く伸びた先頭集団を形成。山口智は三宅悠斗(中大)、シャドラック・キップケメイ(日大)、スティーブン・レマイヤン(駿河台大)に続き4番手につける。その後ペースが安定し、集団は横に広がるかたちに。ラスト2周までは大きな動きはなく、互いにけん制し合いながら緊張感のある展開が進んだ。残り1周半となったところで、小池が再び先頭に出る。山口智は飛び出た小池の後ろにつけ、周りの様子を見ながらスパートをかけるタイミングを見計らう。仕かけたのはラスト1周目前のメインストレート。ついに山口智がトップに躍り出た。「キップケメイ君がラスト1周のどれくらいで出てくるのか分からなかったので、ラスト1周の段階では不安があった」という山口智。しかし、ラスト300メートルでの仲間の応援や、ラスト200メートルの時点でのキップケメイとの距離を見て勝利を確信し、誰も寄せ付けることのない見事なラストスパートを見せつけ、1500メートルとの二冠に輝いた。
レース後には、「二冠は率直に嬉しいが、それ以上にチームの総合優勝が欲しい」と語った山口智。駅伝主将として、結果だけでなくチームの勝利を意識する姿勢がにじみ出る。続く日本選手権に向けては、「自分のためのレースをして、3位以上を目指して頑張る」と意気込み、さらなる高みを見据えていた。
(記事 鶴本翔大、写真 佐藤結)
★渕上と盛岡が全国の舞台でダブル表彰台!(男子400メートル障害)

レース後の盛岡と渕上
男子400メートル障害には盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰)、渕上翔太(スポ2=東福岡)、権田浬(スポ2=千葉・佐倉)が出場。権田は惜しくも準決勝敗退となるも、盛岡と渕上が決勝進出し全国の舞台でツースリーフィニッシュ。ダブル表彰台を獲得した。
大会2日目に行われた予選では、1組に盛岡、5組に渕上、6組に権田が登場。盛岡は組2着、渕上は1着とそれぞれ着順で危なげなく準決勝進出を決めた。権田は組4着となるもタイムで拾われ準決勝に駒を進めた。
翌日行われた準決勝では、まず盛岡が1組に登場した。組2着までが着順での決勝進出となる準決勝。同組に関東インカレ王者である法大・髙橋遼将や、オリンピアンの東洋大・小川大輝という強敵がそろうも、序盤からうまくスピードに乗った盛岡は持ち前の後半の伸びを遺憾無く発揮。小川が先行し、ゴール直前まで髙橋と2着争いを繰り広げていたが僅かに先着し、2着で着順での決勝進出を決めた。タイムは49秒33で、自己ベスト更新となった。2組に登場した渕上はいつも通りの落ち着いた走りを見せる。最初からスピードに乗り、スムーズにハードルを跳び超えると先頭で最終コーナーを曲がった。ラストの直線で東洋大の柳田聖人と競り合うも、振り切って1着でゴール。こちらも着順での決勝進出となった。権田は3組に登場したが、うまくスピードに乗ることができず、組7着で無念の準決勝敗退となった。

決勝でのゴールシーン
そして大会最終日の決勝。連覇の期待がかかる中、渕上は緊張した面持ちでトラックに入った。また、盛岡も1位を虎視眈々と狙う。隣のレーンで走ることとなった渕上と盛岡。緊張感が漂う中、号砲が響いた。渕上と盛岡は序盤からかなりスピードを上げ、上位争いに食らいつく。レースは東洋大の下田隼人、同じく東洋大の小川が引っ張り最終コーナーを超えた。9台目までは下田と小川が先行していたが、10台目で一気に先頭に躍り出たのは渕上。そして盛岡は少し遅れを取っていたが、10台目を超えて一気に加速。しかし、小川も負けじとラストの直線で加速した。渕上の強みであるラストの部分でまさかの小川が逆転。小川が前に出て、そのまま1着でゴール。渕上は惜しくも2着となった。また熾烈(しれつ)な戦いとなった3着争いだが、盛岡がラストで脅威的な加速を見せ、前にいた下田を捉えた。ゴール時、精一杯胸を突き出す盛岡。2着までが電光掲示板に表示され、少し間が空いて3着として盛岡の名前が映し出された。全国の舞台で、渕上と盛岡はツースリーフィニッシュとなった。
ラストの部分で逆転されたことに関して、悔しさを見せた渕上。また、1位になれなかったことに悔しさは残るものの、4年間かけて全国の表彰台にまで上ることができたことに達成感を感じている盛岡。順位的には関東インカレと同じだが、各々が違う感想を抱いていた。2人の次の試合は日本選手権だ。シニアの舞台でも良い結果となることを期待したい。
(記事 會川実佑、写真 鶴本翔大、髙杉菜々子)
★千葉が自己新で初の表彰台となる3位!(女子400メートル障害)

ハードルを越える千葉
女子400メートル障害(ヨンパー)には大川寿美香(スポ4=東京・三田国際学園)、内藤香乃(スポ3=兵庫・北摂三田)、千葉史織(スポ2=宮城・仙台一)が出場。千葉が決勝に進出し、自己新記録をマークして初の表彰台となる3位を勝ち取った。
2日目に行われた予選。千葉と大川はそれぞれ安定したハードリングを見せ、組1着で準決勝へ。一方、内藤は序盤から遅れを取る苦しい走りとなり、予選敗退となった。3日目に行われた準決勝。2人での決勝進出を目指したが、大川には想定外の自体が。発熱で万全の体調ではなく、出走もままならない状態だった。それでも自らを鼓舞しスタートラインに立った。苦しい走りとなり、ゴール後にトラックに倒れ込んだが、1組5着で走り切った。2組の千葉は、終盤に猛烈な追い上げを見せる走りで2着に入り決勝へ進出した。

力を振り絞りゴールする大川
そして迎えた最終日の決勝。序盤から隣を走る瀧野未来(立命館大)がハイペースで先頭を走り千葉に先行するが、千葉は7台目付近から追い上げを見せ、10台目手前で瀧野に肉薄。しかし、ゴール直前で差をつけられ3着でフィニッシュした。レース展開について千葉は「最後に見えていた優勝のラインを超えられなかった」と、勝ちきれなかった悔しさを吐露。一方で、タイムは57秒74と、高校時代の自己ベストを見事に更新した。
体調不調などのアクシデントもあった今大会で、ひときわ大きな存在感を見せた千葉。万全の状態でない中で準決勝敗退に終わった大川には「見せてくれた姿は大きかった」と語る。女子主将としてチームを先頭で引っ張ってきた大川の思いを受け継ぎ、女子ヨンパー勢はさらなる飛躍を目指して歩みを進めていく。
(記事 植村皓大、写真 谷田光太郎、佐藤結)
★水野が20秒台を叩き出し、日本選手権標準記録突破! 7位入賞で貴重な得点を追加(男子200メートル)

決勝でゴールする水野
日本インカレ折り返しとなる3~4日目に行われた男子200メートルには、寺澤大地(スポ4=京都・洛南)、髙須楓翔(スポ3=千葉・成田)、水野琉之介(スポ2=北海道・立命館慶祥)が出場した。水野は準決勝で自己新記録の20秒88をマークすると、決勝では7位に入り、早大に2点を追加。大学入学後初の全国大会決勝で、関東インカレでの無念を晴らすような、力感あふれる走りを披露した。
3日目に行われた男子200メートル予選。4組に登場した寺澤は強みである前半でトップスピードに乗り、コーナー付近で先頭に立つ。しかし、ゴール目前で3名の選手に抜かれ、4着でのフィニッシュとなった。5組での出場となった髙須は9レーンからスタート。最初の100メートルは他大学の選手たちと互角に渡り合う走りを見せるも、ラスト100メートルでは遅れをとり、5着でゴール。寺澤と髙須は、ともに予選敗退を喫した。1日目、2日目に4×100メートルリレー(4継)に出場していた水野は予選7組に出場。「4継がスプリントのかなりいい刺激になった」と本人が言うように、好コンディションの中でレースに臨んだ。予選では、得意のスタートから後半まで、勢い衰えることなくレースを運び、21秒04の自己新をマーク。1着で準決勝進出を決めた。

レースを走る寺澤
続く準決勝は、カーブ通過後8名の選手がほぼ一直線に並ぶ混戦に。水野はラストスパートでも抜群のスプリント力を発揮し、4着でフィニッシュ。タイムは20秒88と、予選で出した自己記録をさらに上回り、記録で決勝への切符を手にした。迎えた決勝は、予選、準決勝とは違い、カーブが急なインコースからのスタート。「最初から外側の人を追い越すようなイメージ」を持ち、「最初の100メートルは突っ込み、ラスト100メートルを耐えるレースプラン」だったという。爆発的なスタートを決めた水野は、プラン通りに最初の100メートルをハイペースで走り、コーナーを通過すると、他の選手よりも体1つ分抜け出す。しかし、後半スピードを上げてきた外側の選手らにゴール手前で抜かれ、結果は7着。水野は「カーブが急だった分、そこで余分な体力を使ってしまい、失速につながってしまった」と反省点を述べたが、チームに貢献する見事な7位入賞であった。
早大勢最終種目で水野が貴重な得点を持ち帰った男子200メートル。水野は「大学生になって初めて全国レベルの試合で決勝に進むことができ、ものすごくいい経験だった」と決勝を振り返る。日本選手権の標準記録も突破し、また1つ上のステージへと歩を進めた。今後は、「上位で入賞できなかった悔しさを糧に練習を積んでいきたい」と語った水野。努力の先に光る栄光を信じて、水野は次なる舞台へと駆け出す。
(記事 佐藤結、写真 會川実佑、佐藤結)
※コメントは別記事にて掲載いたします。
男子結果
▽100メートル
予選(7組3着+3)
由井響(スポ3=山梨・都留) 10秒69(3組4着)(-3・5)
井上直紀主将(スポ4=群馬・高崎) 10秒55(5組1着)(-3・1) 準決勝進出
関口裕太(スポ3=新潟・東京学館新潟) 10秒42(6組1着)(-2・5) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
井上直紀主将(スポ4=群馬・高崎) 10秒30(1組1着)(ー0・4) 決勝進出
関口裕太(スポ3=新潟・東京学館新潟) 10秒32(3組3着)(ー0・0) 決勝進出
決勝(-1・1)
関口裕太(スポ3=新潟・東京学館新潟) 10秒37(3着)
井上直紀主将(スポ4=群馬・高崎) 10秒38(4着)
▽200メートル
予選(7組3着+3)
寺澤大地(スポ4=京都・洛南) 21秒26(4組4着)(+1・2)
髙須楓翔(スポ3=千葉・成田) 21秒35(5組5着)(ー0・4)
水野琉之介(スポ2=北海道・立命館慶祥) 21秒04(7組1着)(+1・4) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
水野琉之介(スポ2=北海道・立命館慶祥) 20秒88(1組4着)(+2・0) 決勝進出
決勝(ー0・3)
水野琉之介(スポ2=北海道・立命館慶祥) 21秒18(7着)
▽400メートル
予選(7組3着+3)
松本悠斗(スポ1=佐賀北) 47秒84(1組8着)
森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄) 46秒15(5組1着) 準決勝進出
権田浬(スポ2=千葉・佐倉) 46秒85(6組1着) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄) 46秒43(3組1着) 決勝進出
権田浬(スポ2=千葉・佐倉) 46秒53(1組4着)
決勝
森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄) 46秒20(2着)
▽800メートル
予選(7組3着+3)
水嶋優斗(スポ3=東京・高輪) 1分50秒80(1組3着) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
水嶋優斗(スポ3=東京・高輪) DNF
▽1500メートル
予選(3組4着+3)
山田晃央(商1=東京・早実) 3分51秒24(1組10着)
山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川) 3分44秒21(2組1着) 決勝進出
吉倉ナヤブ直希(社2=東京・早実) 3分45秒04(3組4着) 決勝進出
決勝
山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川) 3分40秒46(1着)
吉倉ナヤブ直希(社2=東京・早実) 3分45秒03(8着)
▽5000メートル
決勝
山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川) 13分40秒06(1着)
▽110メートル障害
予選(5組2着+6)
西徹朗(スポ4=愛知・名古屋) 13秒92(1組1着)(ー0・7) 準決勝進出
平田和(スポ3=鹿児島・松陽) 14秒58(3組7着)(+0・7)
盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰) 14秒12(5組1着)(ー0・2) 準決勝進出
準決勝(2組3着+2)
西徹朗(スポ4=愛知・名古屋) 13秒73(1組1着)(+0・8) 決勝進出
盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰) D N S
決勝(+0・8)
西徹朗(スポ4=愛知・名古屋) 13秒75(5着)
▽400メートル障害
予選(6組3着+6) 盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰) 50秒13(1組2着) 準決勝進出
渕上翔太(スポ2=東福岡) 49秒55(5組1着) 準決勝進出
権田浬(スポ2=千葉・佐倉) 50秒91(6組4着) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰) 49秒33(1組2着) 決勝進出
渕上翔太(スポ2=東福岡) 49秒59(2組1着) 決勝進出
権田浬(スポ2=千葉・佐倉) 51秒07(3組7着)
決勝
渕上翔太(スポ2=東福岡) 49秒24(2着)
盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰) 49秒62(3着)
▽4×100メートルリレー
予選(5組1着+3)
早大(関口ー水野ー由井ー井上) 38秒68(1着) 決勝進出
決勝
早大(関口ー水野ー由井ー井上) 38秒84(2着)
▽4×400メートルリレー
予選(4組1着+4)
早大(権田ー松本ー鶴巻ー森田) 3分06秒72(2着)
女子結果
▽100メートル
予選(7組3着+3)
山越理子(人4=東京・富士) 12秒40(1組8着)(+1・1)
▽200メートル
予選(7組3着+3)
河野桃々(商1=京都橘) 25秒26(1組7着)(ー0・7)
上島周子(スポ3=東京・富士 ) 24秒83(5組5着)(+0・0)
山越理子(人4=東京・富士) 25秒70(6組5着)(ー1・6)
▽400メートル
予選(6組3着+6)
木下晏里(商1=徳島文理) 56秒68(1組5着)
清水奈々子(文構4=北海道・札幌南) 55秒57(3組3着) 準決勝進出
上島周子(スポ3=東京・富士 ) 54秒56(5組2着) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
清水奈々子(文構4=北海道・札幌南) 56秒37(1組7着)
上島周子(スポ3=東京・富士 ) 54秒07(3組4着) 決勝進出
決勝
上島周子(スポ3=東京・富士 ) 54秒69(6着)
▽800メートル
予選(6組3着+6)
武田亜子(スポ2=静岡・日大三島) 2分12秒71(1組5着)
▽100メートル障害
予選(6組3着+6)
松田晏奈(スポ1=長崎日大) 13秒93(2組3着)(+1・1) 準決勝進出
谷中天架(スポ1=大分雄城台) 13秒95(3組4着)(+0・8) 準決勝進出
野村美月(スポ2=栃木・石橋) 13秒90(4組3着)(+1・1) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
松田晏奈(スポ1=長崎日大) 13秒86(1組5着)(+1・0)
谷中天架(スポ1=大分雄城台) 14秒19(2組8着)(ー1・1)
野村美月(スポ2=栃木・石橋) 14秒32(3組8着)(+0・4)
▽400メートル障害
予選(7組3着+3)
千葉史織(スポ2=宮城・仙台一) 59秒50(1組1着) 準決勝進出
内藤香乃(スポ3=兵庫・北摂三田) 1分3秒88(3組6着)
大川寿美香(スポ4=東京・三田国際学園) 59秒73(7組1着) 準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
大川寿美香(スポ4=東京・三田国際学園) 1分00秒04(1組5着)
千葉史織(スポ2=宮城・仙台一) 58秒31(2組2着) 決勝進出
決勝
千葉史織(スポ2=宮城・仙台一) 57秒74(3着)
▽10000メートル競歩
決勝
中島橙子(スポ2=群馬・前橋女) 46分19秒75(3着)
藤田真美加(スポ4=千葉・成田) 47分06秒79(7着)
広瀬夏希(社3=東京・富士) 47分21秒63(9着)
▽走高跳
決勝
矢野夏希(スポ3=愛知・時習館) 1メートル79(2位)
▽走幅跳
決勝
内藤香乃(スポ3=兵庫・北摂三田) 5メートル63(+0・3)(25位)
▽4×100メートルリレー
予選(4組1着+4)
早大(上島ー山越ー河野ー谷中) 46秒51(4着)
▽4×400メートルリレー
予選(3組2着+2)
早大(千葉ー河野ー清水奈ー木下)3分41秒57(3着)