伊藤樹が100年の歴史に名を残すノーヒットノーラン! 最後は4番・寺尾のサヨナラ打で3回戦へ望みをつなぐ/明大2回戦

野球

東京六大学春季リーグ戦 5月19日 神宮球場

TEAM 合計
明大
早大

◆バッテリー

○伊藤樹ー吉田瑞

◆二塁打

吉田瑞

◆三塁打

なし

◆本塁打

なし

 前日の1回戦で痛恨の完封負けを喫した早大。優勝の可能性を残すためには、ここからの2連勝が絶対条件だ。大事な一戦でマウンドを任されたのはエース・伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)。立ち上がりこそ四死球でランナーを出すものの、気迫のこもったピッチングで相手打線を封じ込める。6回の三者連続三振を含む計11奪三振の快投で9回まで無安打投球を続けた。一方の打線は明大の継投策を前にチャンスを作れずに無得点。0-0のまま試合は9回を迎えた。エースの好投に応えたい打線は四球と安打で無死二、三塁のチャンスを作ると、寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)がレフトへのサヨナラ適時打。伊藤樹が早大史上2人目となるノーヒットノーランを達成し、明日以降に優勝の望みをつないだ。

 初回は先頭の田上夏衣(2年)を死球で出すものの、後続を抑えて無失点。2回も四死球で1死一、二塁とするが、連続三振で立ち上がりのピンチを脱した。中盤以降は伊藤樹の勢いが止まらない。4回を6球、5回を8球でテンポ良く三者凡退に抑えると、6回には三者連続三振。圧巻の投球で明大打線を封じ込めた。

先発した伊藤樹

 しかし、打線は相手先発の三浦心空(3年)に対して3回までノーヒットに抑えられる。4回は代わってマウンドに上がった大室亮満(2年)を前に、石郷岡大成(社4=東京・早実)が内野安打と内野ゴロの間に2塁まで進塁するが、三盗に失敗し無得点。5回も二死から吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)が二塁打を放ち得点圏にランナーを置くも、伊藤樹が見逃し三振に倒れた。試合は息の詰まる投手戦。点が入らない膠着(こうちゃく)状態のまま終盤を迎えた。

 7回、伊藤樹が先頭に四球を出して2死一、二塁のピンチを招くも、磯圭太(2年)を遊飛に抑えて切り抜ける。対する早大も8回に吉田瑞副将が左前安打で出塁するが、尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)が痛恨の併殺打。互いに無得点のまま試合は最終回に入る。

8回に安打を放った吉田瑞副将

 9回表も伊藤樹は順調に2つのアウトを奪い、迎えた打者はこの日からスタメンに復帰した小島大河(4年)。初球の変化球を振り抜かれると、大飛球がレフトを襲った。しかしこれを寺尾がフェンスに激突しながらジャンピングキャッチ。主砲の好守に早大ベンチは大いに沸き立った。伊藤樹は9回無安打11奪三振の好投。チームの勝利、そして大記録達成に向けて味方の援護を待った。

 裏の攻撃、先頭の石郷岡が粘って四球で出塁すると、小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)の右越安打で石郷岡は三塁到達。サヨナラのチャンスで寺尾に打順が回った。カウント2-2からのストレートを振り抜くと、打球は左翼線に落ちる殊勲のサヨナラ打。劇的勝利を挙げたこの瞬間、伊藤樹は高梨雄平 (平27スポ卒=現巨人)以来、早大史上2人目となるノーヒットノーランを達成した。

サヨナラ打を放った寺尾

 東京六大学100年の歴史に名を刻む偉業達成で3回戦に望みをつないだ早大。勝利が必須である明日の試合は宮城の先発が予想される。しかし伊藤樹は「明日は総力戦」と話しており、エースの救援登板も濃厚だ。チーム一丸での勝ち点獲得へ、早大の春はまだ終わらない。

ファインプレー、サヨナラ打でチームとエースを救った寺尾(写真左)と、ノーヒットノーランを達成した伊藤樹

(記事 石澤直幸、写真 田島凜星、西本和宏)

※写真は早スポ野球班の公式Xインスタグラムでもご覧いただけます。

早大打者成績

打順 守備 名前
(中) 尾瀬雄大 .277 一ゴ   三ゴ     一ゴ   遊併  
(右) 石郷岡大成 .343 一ゴ     投安   見三     四球
(二) 小澤周平 .357 右飛     一ゴ   中安     右安
(左) 寺尾拳聖 .344   空三   四球   右飛     左安
(一) 前田健伸 .188   一ゴ   左飛     空三    
(三) 田村康介 .172   四球     遊ゴ   中飛    
(遊) 大内碧真 .182   空三     空三   空三    
(捕) 吉田瑞樹 .281     右飛   右2     左安  
(投) 伊藤樹 .273     遊ゴ   見三     バ三振  

早大投手成績

名前
伊藤樹 11 2.61

コメント

◆伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)

ーーまずはノーヒットノーランと言う結果を振り返って
 人生で初めてのノーヒットノーランなので、本当に嬉しい気持ちもありますし、ちょっと安心したというか、勝ててよかったなっていうところもあります。

ーーどの辺りで記録の意識をしていましたか
 本当に意識とかは特になくて、8回、9回ぐらいに、最初に1安打が出た時の対応をキャッチャーと話していて、1本出た時に気をつけようっていうのをずっと言っていたので、その結果かなと思います。

ーー前半は四死球も多かったですが、どのように修正していきましたか
 (打者の)狙いとかをしっかりと見ながら投げようと言う意識で前半は投げていて。立ち上がりが良くないのはいつものことなので、あまり気にしすぎずに、ちゃんと意図を持って後半は投げられたので、その結果かなと思います。

ーー9回裏の寺尾拳聖選手(人3=長野・佐久長聖)の打席をどのようにご覧になっていましたか
 寺尾はずっと良いスイングをしていましたし、3年生で4番任されて結構プレッシャーだったと思うんですけど、こういうところで1本出せたっていうのは、寺尾にとってもチームにとってもすごいいい結果だったなと思うので、明日以降また頑張ってくれればいいなと思います。

ーー明大とは1勝1敗となりましたが、明日の3回戦に向けて意気込みをお願いします
 明日は本当に総力戦になると思います。もちろん明治の投手陣もかなりいいですし、なかなか点は取れないと思うので、こちらも丁寧に投げてつないで、しっかりと0に抑えていきたいと思います。