学生アーチェリー界最高峰の舞台・全日本学生王座決定戦(王座)。6年連続出場となる女子部は、王座初制覇を目標にこの地へ足を踏み入れた。1、2回戦と順調に勝ち進んだが、準決勝で強豪・日体大に敗北を喫する。3位決定戦でも近大に敗れ、最終順位は4位。悲願達成はならなかったものの、大一番でもワセダらしい堂々とした戦いぶりを貫いた。
多くのOB、OGも駆け付け幕を開けた1回戦。今大会はトーナメント制で、各校3名が1エンドに2本ずつ行射を行い、第4エンド終了時点での合計得点を競う。ワセダからは林香里女子リーダー(スポ4=奈良学園)、福井瑞生(スポ2=埼玉・春日部共栄)、倉坪絢(スポ1=岐阜・高山西)の3選手が出場。負ければ敗退という緊張感の中、前半は思うように点を伸ばせず5点ビハインドで試合を折り返した。しかしここで終わるわけにはいかない。「後半強いワセダの女子」(福井)との言葉通り、第3、第4エンドでは本来の調子を取り戻し逆転。力強い応援も後押しし、8点差をつけ白星をつかんだ。続く2回戦でも勝利を収め、準決勝へと駒を進めた。
声援に応える選手たち
準決勝の相手は関東学生リーグ戦で優勝を阻まれた宿敵・日体大。勝てば2位以上が決まり、女子部の歴代最高順位を更新することとなる。史上初の快挙を成し遂げるため、負けられない一戦へ。だがやはり敵は強かった。一時1点差まで詰め寄るが、その後徐々に引き離され196-206で涙をのむ結果に。意地は見せたものの、リベンジを果たすことはできなかった。
日本一への道は途絶えたが、この日をもって引退となる4年生のためにも白星で締めたいワセダ。気持ちを切り替え3位決定戦へと臨んだ。試合は序盤から高得点を重ねる昨年度覇者・近大を追う厳しい展開に。この状況を打開すべく、応援も一段と声を張り上げ選手を鼓舞。勝利を信じ矢を放ち続けたが、思いは届かなかった。頂点を見据えた戦いは4位で終幕。表彰台は逃したが、「弱気にならずに終えられた」(林)と攻めの姿勢で相手に食らいつき、最後まで笑顔で戦い抜いた。
笑顔でチームを盛り上げる林女子リーダー
王座制覇は叶わなかったが、健闘を見せた今大会。「選手と応援が一体となって試合ができた」(林)とワセダの強みを存分に発揮した。次戦からは新体制となり、吉峰さやか(スポ3=香川・高松東)新女子リーダーの下で再スタートを切る。「らいねんはことしのリベンジを」(福井)、「今回できなかったことを踏まえて、絶対に優勝したい」(倉坪)。夢の続きは未来へと託された。
(記事 谷田部友香、写真 谷田部友香、建部沙紀)
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結果
▽1回戦
○早大186-178愛知学大
▽2回戦
○早大199-192関大
▽準決勝
●早大196-206日体大
▽3位決定戦
●早大195-213近大
コメント
守屋麻樹監督(平3政経卒=東京・杉並)
――王座が終わりました
ことしは応援がとても一生懸命やってくれたので、クラブとしてチームとしてはとても良かったと思います。結果がついてこなかったのがちょっと残念です。
――男子は2回戦敗退でした
私は女子の方についていたので男子はちょっと見ていないんですけど、でも、頑張ったと思います。
――女子の選手はお近くでご覧になっていかがでしたか
とてもリラックスしていて、楽しんで試合をできていました。
――選手は敗因について、疲れなどをあげていましたが、どうお考えですか
そうですね。もうちょっと体力をつけなきゃいけないところもあります。これが課題かもしれないですね。
――引退を迎える4年生にかけたい言葉はありますか
1年間、王座に男女で出て優勝するんだ、という目標に向かってチーム作りをしっかりやってくれたので、お疲れ様、と言いたいです。
――これから新体制を作り上げる3年生にはどのようなことを期待されますか
意識のレベルがだいぶ上がってきているので、あとは本当に強くなるために必要なことをしっかりやりきることだと思います。技術面や体力面ですね。
――次の目標をお願いします
らいねんこそは、ということで、もっといいチームになりたいです。個でも強いチームにしたいと思っていますので、全体でも強いし、個でも強いチーム作りを目指して頑張っていきたいと思います。
林香里女子リーダー(スポ4=奈良学園)
――試合を終えて今の気持ちは
負けてしまったのですが、やり切ったかなと思います。
――4位という結果については
準決勝で日体大と当たって、日体大が強いことは分かっていたのですが、勝てるんじゃないかという気持ちで臨めたし、近大とも初めて当たって、近大も強いことは分かっていたんですけど、勝てると思って臨めて、弱気にならずに終えられたのでそれは良かったかなと思います。
――最後の王座ですがどのような気持ちで臨みましたか
最後ですし、きょねん2回戦で負けてしまったということもあって優勝を目標にして、1本でもここで多く射ちたいなと思って臨みました。
――チームの雰囲気はいかがでしたか
すごく良かったと思います。応援も力を入れてくれたし、選手もポジティブな言葉をずっと言っていて、私が焦った時にも応援や後輩が声を掛けてくれて調子を取り戻せたので、本当に選手と応援が一体となって試合ができたのかなと思います。
――アーチェリー部での4年間を振り返っていかがですか
本当に色んなことを経験させていただいて、こういう大きい舞台にも来られたし、女子リーダーという立場にも立たせていただいて、ワセダじゃなかったら経験できなかったことをたくさん経験させてもらって本当に感謝しています。
――女子リーダーとして見たワセダの良さはなんだと考えますか
みんなが一つになって勝ちにいくということと、みんなが一生懸命アーチェリーに取り組んでいるということがワセダの良さだと思います。
――後輩に向けてメッセージをお願いします
ことし初めて男女で王座に出られて新しく学んだこともたくさんあると思うのでそれを次に生かして、今のチームもいいと思うのですが、もっともっといいチームにしていってもらえたらと思います。
福井瑞生(スポ2=埼玉・春日部共栄)
――試合を終えて今の気持ちは
きょう1日を終えて自分の実力が出せなくて、思い通りの射ができなかったということは悔しいのですが、きょねんからするとチームとしても個人としても成長した部分は多かったと思うので、らいねん以降このままみんなで歩んでいけたらいいなと思います。
――4位という結果についてはいかがですか
王座のメンバー選考の時点では、正直きょねんよりいい結果を残すことは難しいかなという状況だったのですが、後半強いワセダの女子ということでそこから追い上げて、うまく調整できたので良かったんじゃないかなと思います。
――きょねんは補欠で出場して、ことしは実際に行射を行ってみていかがでしたか
そういう意味では初めての王座でしたが、応援もきょねんよりも力が入っていてみんなを近くに感じられるような距離だったので、緊張は全くなくて、応援のおかげだなと思っています。
――今大会で4年生が引退となりますが、4年生に向けて一言お願いします。
お世話になりました、ご迷惑をおかけしました、ということですね(笑)。女子チームも人数が増えてきているので、らいねん以降の活躍に期待していただけたらと思います。
――次戦から新チームとなって、福井選手もチームを支えていく立場になって行くと思いますが、ご自身の役割はどのようなものだと考えますか
上級生になるわけなので、色々な面で引っ張っていかなければいけないということと、今は未経験の2年生の人もだいぶ引っ張ってくれているので、一緒に2年生のできることをやって、チームに貢献していきたいと思います。
――次の目標を教えてください
王座で言えばらいねんの王座に出場して、きょねんのリベンジはことし果たせているので、らいねんはことしのリベンジをできたらと思います。
倉坪絢(スポ1=岐阜・高山西)
――初めての王座はいかがでしたか
最初は緊張してしまって、なかなか思い通りに射つことができなかったんですけど、射っていくうちに慣れてきて、応援の力もあって自分のいつも通りの射をすることができました。
――結果についてはどのようにお考えですか
前半は満足のいく射ができて、点数も良かったんですけど、試合を重ねていくにつれて疲れが出てきてしまって、同じ点数を保つことができなかったので、もう少しいい点数がとれたんじゃないかな、と個人的には思います。残念です。
――チームの雰囲気はいつもと違いましたか
はい。チームは笑顔を意識しながらプレーしていたので、自分が外してしまっても暗くなることがなくて、前向きになることができました。応援ともコミュニケーションをとることができたので、とても良かったです。
――選手になることが決まったときはどう思われましたか
この大会にでるために高校の頃頑張ってきたので、なれると決まったときは、絶対自分の一番いいコンディションで臨んで、優勝するぞという気持ちでした。
――4年生の方がきょうで引退ですが、メッセージをお願いします
選手としては(林)香里先輩にはとてもよくしてもらって、試合中もたくさん話しかけてもらったり、調子が悪いときもずっと後ろで見てくださったので、とても安心できました。感謝しています。
――次の大きな大会はインカレ(全日本学生個人選手権)だと思いますが、目標はなんですか
体力がないことがきょう分かったので、体力をつけて、自分のフォームを維持することを目指したいです。初めてなので、優勝というよりは入賞くらいで(笑)、頑張りたいと思います。
――らいねんへの意気込みをお願いします
今回で王座のことが色々と分かったし、悔しい思いもしたので、らいねんは今回できなかったことを踏まえて、絶対に優勝したいと思います。