第7回はRB安村充生(文構4=東京・早実)と中尾公亮(社4=東京・早実)が登場。WR目黒歩偉主将(スポ4=東京・佼成学園)とともにチームをと牽(けん)引するお二人に、今シーズンの意気込みを伺った。
※この取材は4月4日に行われたものです。
4年生がどう影響力を出すか
東北大戦で相手ディフェンスをほんろうする安村副将
――お互いの紹介をお願いします
中尾 充生は中学からずっと同じ部活に所属していて、ずっとスポーツの能力がずば抜けていて、中学、高校、大学とずっとチームのエースみたいな存在です。アメフトだけじゃなくスポーツ全般で、すごいプレーでチームを引っ張ってくれるので、充生がいれば大丈夫だろうってみんなが思うような選手です。スポーツ以外のプライベートでは、ちょっとだらしない面もあるかなとは思うけど、やることはちゃんとやるし、結局いいやつだろなと感じます。
安村 中尾は中学、高校、大学と同じ部活で、ずっとムードメーカーです。プレー面でも中尾は、技をずっと持っているなって思っています。中学バスケ部の時はバックシュートをどの試合でも決めていたり、高校(アメフト部)の時はキャッチや競り合いで負けないとか。大学でもそこは変わってなくて、チームのムードメーカーであり、プレーヤーとしては中尾ならではの武器を持っています。大事なとこで出てすぐに1stダウンを取るとか、そういうのを試合で発揮してくれるなっていう印象です。
――昨年の甲子園ボウルで印象に残っていることはありますか
中尾 甲子園ボウルは個人としてはあまり活躍できなかったので、すごく悔しい気持ちが残った試合でした。試合が終わって負けた後、めちゃくちゃ泣いたんですけど、人生で1番ぐらいに泣きました。関学に勝つには難しいけど、もっと前半から勝たないと勝てないなと感じました。彼らは試合中も淡々とプレーしていて、すごく怖さがありましたね。
安村 プレー数は結構出してもらいましたが、その中で自分の100%の力を出せたかと言われたら、会場の雰囲気でアガッて、ちょっとビビっていた部分もあって、いつも通りのプレーができなかったのが悔しかったです。初めてあれだけ観客が入って、あれだけ盛り上がる試合で、100%の実力を出すのは難しかったなと感じました。関学のどこが強いかというのは、正直あまり感じられなくて、それよりも自分のここがダメだったなという自分のプレイヤーとしての詰めの甘さですね。今まで逃げてきた技術の部分で、やっぱりそんなに甘くないな。勝つためにはそういうところから逃げられないんだなというのを、改めて感じさせられた試合でした。
――関学大に敗れてからのオフシーズンはどのように過ごされていましたか
安村 甲子園が終わってから自分の逃げてきたところが、さっき甘かったっていう話をしましたけど、 そこから逃げていたら日本一になれないなと思いました。今までは言い訳ばかりして、体を大きくすることをなあなあにしていたのですが、そこから逃げていたら日本一になれないなという風に気づきました。個人的にはまず増量、トレーニングをして、今まで自分が「俺のプレイスタイルに合わないかな」というだけの理由でやってなかったことをやる時間にしていました。チームとしては、ミーティングで固定概念を覆すみたいな話をみんなでよくしていますが、正直3年生までチーム運営に携わる機会がありませんでした。新しくしていこうと言われても、以前のことも分からない状態だったので、新しくするというよりは、「自分たちでどんなチームになればいいのかな」という考えを話し合っていました。
中尾 自分もフィジカルがすごく弱いのが課題で 、オフシーズンは昨シーズン週3だったウエイトを、週6ウエイトするようにして、フィジカルを少しでもあげようという努力はしてきました。チームとしては4年生が抜けたことがやっぱりすごく大きくて。去年はほとんどスタメン4年生でしたし、それこそ充生が言っていたようにチーム運営も自分はこれまで全く関わってこなくて、4年生に頼りきりでした。「(去年は)4年生に頼りきりだった代だよね」みたいなことを、たまに言われたりするのですが、本当にその通りだなと。今もそうなのですが、主体的に自分たちから引っ張っていこうという4年生がすごく少なくて、そこもっと自分たちでやらないといけないよねという話をするためのミーティングにみんな集めて、話し合ったりしています。そういうところは今でもすごいまだ足りてないし、スタンダードが低いというか、もっと意識を上げてかないといけない。これから先の話でもあるのですが、もっと一人一人の4年生が影響力を出して、プレー面でも、それ以外でも引っ張っていかないといけないなと思っています。
――RBユニット、WRユニットの雰囲気や課題を教えてください
安村 RBユニットは昨シーズンから人があまり出入りしていなくて、昨年の4年生の田村(光、令5スポ卒)さんとハギネ(萩原奎樹、令5政経卒)さんが抜けただけで、そのままのメンツが残っているので、雰囲気的な面では変わっていません。ただ昨シーズン(試合に)出ていた僕と花宮(RB花宮圭一郎、文構4=東京・足立学園)がまだチームに残っている状態で、他の選手が前に出ようという気持ちがなかなか見えず、全員がちょっと言い訳を作って僕らがいるから出られないんだろうっていう風に考えている部分がこの間まではあって、それは違うんだぞというのを下級生に話して、今は全員が1本目を狙う意識でやっています。
中尾 WRユニットに関しては、去年から試合に出ていたメンバーが残ってはいますが、やっぱり去年のエースレシーバーであった佐久間(優毅、令5政経卒)さんが抜けたのがすごく大きいです。「去年出ていた人が結構残っているから大丈夫でしょ」と、始まる前は思っていた部分もありましたが、やっぱりその絶対的なエースの佐久間さんがいなくなった影響はすごく大きくて、ユニットとしてのスタンダードのレベルは正直下がっちゃったなと思います。それでも新4年生、特に同期の上野陸(WR、社4=東京・早実)とかはすごくユニット自体を引っ張ってくれていて、考えて行動していて、まずは自分がやってやるんだっていう気持ちを持って練習には臨んでいます。自分は絶対勝てるという、そういう自信があるレシーバーがいないといけないのですが、そこは逆に絶対的なやつがいない分、みんながもっとそこを目指して、向上心高くやっていけているのかなとは思います。
――副将になろうと思ったきっかけは
安村 自分が求めるリーダーシップが、ずっとプレイヤーとして活躍している人や言動と行動が伴っている人間だとずっと思っていて、この3年間プレーしていました。そう考えた時に、今の4年生を見て、誰がふさわしいのかなと自分なりに考えて、自分が1番とは言いませんが、幹部に立候補して、みんなの前に立ってもいい人間じゃないかという風に自分で思いました。そしてそれを周りに相談しても、立候補してみればと背中を押してくれるやつが何人もいたので立候補して、(副将に)しっかり選んでもらいました。選ばれたからには頑張っていこうと思っています。
中尾 僕はさっきも言いましたが、甲子園で負けたことが自分の中ですごく悔しくて、今年のチームが始動するにあたって自分に何ができるか、チームに何をもたらせるかを考えた時に、昨年もWRユニット内では、自分で言うのもあれですが、影響力がある程度あって(笑)。昨年はWRユニットに対しては、発信できていたなと、自分の中でも感じている部分があったのですが、やっぱりチーム全体に対しては自分が持っている影響力やリーダーシップを発揮できていませんでした。やはり負けたくないから、勝ちたいという気持ちが強くある中で、自分の影響力を出せる場が副将なのかなと思ったのがきっかけですかね
副将の役割の難しさ
立大戦でパスをキャッチする中尾副将
――チームにおけるご自身の役割などはありますか
安村 明確な役割というのは、多分副将が1番難くて。それを今探しながらやっているのですが、自分がこういうこと絶対やるというのを、副将になる時の決意表明で言っていて。それは誰よりもずっとグラウンドでやり続ける。そして誰よりも全員を引きつけてグラウンドで存在感を出すということです。これは立候補した時の決意表明で、自分が決めたことなので、その他にもたくさんやるべきことはあると思いますが、そこはまだ探し中なので、今確実に自分にやれることはそういうものになってくると思います。
中尾 それこそ影響力を自分は出せると思っていて、それはこれまでグラウンド内で声を出すとかはすごく意識してやってきていて、やっぱり声を出すことで、仲間を鼓舞するとか、自分が先頭で声を出して鼓舞し続けることでチームに勇気を与えると思うので、今年は意識してやっていきたいと思っています。そういう感じでチームを引っ張って、さらにプレー面でも活躍して、引っ張っていきたいなって個人的に思っています。
――今年のチームの強みと弱みを教えてください
安村 今年のチームの強みでも弱みでもあると思いますが、去年試合に出ていた人が少ないことですね。自分はそれが逆に全員が慢心することなく、去年甲子園ボウルに出たのは、自分たちの実力じゃないというところを全員がしっかり理解して、その上でもう1回甲子園ボウルで勝つことを目指せるというところが、今年のチームの強みなのかなと思います。
中尾 それこそ去年は4年生に頼りきりという話もあったし、4年生に連れていってもらった形ではありますが、甲子園に去年出たことは自分たちの強みかなと思っています。関東のチームで去年甲子園出たのは、当たり前ですが唯一BIG BEARSだけで、関学と甲子園の舞台で戦えたのもやはり自分たちだけで、その経験は自分たちにとって強みなのかなと思っています。弱みというとこに関しては、さっきも言いましたが、4年生がまだ全然チームを引っ張りきれていないなと正直思っています。もっと4年生が引っ張っていかないといけないので、そこはまだ改善の余地があるのかなと思っています。
――目黒主将の印象を教えてください
安村 主将になる前からあいつが言っていること、やっていることは全然変わんなくて、そこが主将になった理由でもあると思います。主将になる前からしっかりチームのことを考えて、ずっと誰よりも行動していて、主将になった今もそこは変わらずに全力でやってくれると思います。
中尾 僕はポジションも同じで近くで見ていて、僕はこれまであまりチームに対して行動できていなかったのですが、目黒は下級生の頃からずっとチームのことを考えて、アクションを起こしていました。それを周りが見ていたからこそ満場一致で彼が主将に選ばれましたし、主将になってからも1番チームに対して行動を起こしているのは目黒なのかなと思うので、自分も同じぐらいの熱量でやっていかないといけないと思うし、見習って行動していきたいなと思います。
――下級生とのコミュニケーションも大事にされている印象ですが、イチオシの後輩はいますか
中尾 うわー、ちょっと考えてもいいですか?
――もちろんです
安村 僕はDLの伊藤寛太郎(商2=東京・成蹊)ですかね。すごく身体能力も高くて、1年生の時からそのチーム内で戦ったりして、そこでも結構圧倒するようなシーンがあったりしました。経験者じゃなかった分、去年は活躍できませんでしたが、今年は活躍してくれるのかなと期待しています。
中尾 僕は2人になっちゃいますが、DLの佐藤(匠、スポ3=神奈川・鎌倉)とLBの松澤(学、スポ3=東京・早実)がやってくれると思います。理由としては、2人は練習の2、3時間前からグラウンドで体を動かしたり、自主練習していて、僕も割とグラウンドには早く行くようにしていますが、行くと毎回その2人は何かしら体を動かしていて、その姿勢がすごいなと思うし、なにかやってくれるんじゃないかなと期待しています。
――春季オープン戦で意識しているチームはありますか
安村 関西の2校はやはり日本一を目指す中で、しっかり勝たなきゃいけない相手かなと思います。2校とも秋に当たるとしたら、甲子園だから絶対勝たなきゃいけないですし、別に関東の大学をなんとも思っていないわけではないですが、春のオープン戦で自分が1番勝ちにこだわりたいのは立命館と関大です。
中尾 自分も同じで、やはり立命館と関大は甲子園に行かないと絶対当たらないチームですし、昨年は立命、関大、関学と全部戦ったけど、どこにも勝てなくて、関西との壁をチームとしても感じている部分だと思うので、立命、関大に勝つことは、すごく大きな意味があると思っているので、その2校には絶対勝ちたいなと思っています。
――ラストイヤーとなる今年の目標を教えてください
安村 チームとしてはもちろん日本一で、個人的な目標は日本一のRBになることです。そのためには仲間ではありますが、まず花宮に勝ちたいです。昨シーズンはラッシングヤードでちょっと負けてしまったので、今年は個人的には花宮に勝ちたいなという風に思っています。
中尾 僕もチームとしての目標はもちろん日本一で、個人としてはどんなすごいDBが目の前にいても、絶対に勝てると自分を信じて、本当に負けない選手になりたいなと思います。どんなDBも圧倒できるような選手になりたいです!
――ありがとうございました!
(取材・編集 田部井駿平 写真 安齋健、田部井駿平)
チームを牽(けん)引するお二人の活躍に期待です!
◆安村充生(やすむら・みつき)(※写真左)
東京・早実高出身。2001(平13)年4月16日生まれ。文化構想学部4年。174センチ。80キロ。RB。低学年時から試合に出場し、結果を残してきた安村副将。アメフトを始めて見る人でも楽しめる派手なプレーで勝利に貢献します!
◆中尾公亮(なかお・こうすけ)(※写真右)
東京・早実高出身。2002(平14)年3月20日生まれ。社会科学部4年。172センチ。68キロ。WR。WRユニットだけでなく、ポジションを超えてチームを盛り上げる中尾副将。選手としてもキャッチレシーブでチームを盛り上げる姿に注目です!