完勝も課題を残す結果に

米式蹴球

 慶大、立命大と強豪を撃破し勢いに乗る早大BIG BEARS。この日は普段出番の少ない選手を中心としたJV戦として、東京学芸大に臨んだ。スタメン奪取のためには結果のみならず内容も重要となるこの試合。だが、「雑な試合だった」と濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)が苦言を呈したように、攻守ともにミスなどが多くプレーに精彩を欠いてしまう。最終スコアだけ見れば38-14と完勝を収めたものの、選手たちにとって課題の方が多く見つかる試合となった。

 前半は優位にゲームを進める。この日のスターターを任されたのは、昨季のレギュラーであるQB坂梨陽木(政経2=東京・早大学院)。その坂梨を中心にパスとランを織り交ぜた攻撃を展開すると、最後はWR小原嶺(法1=東京・早大学院)とWR木村光貴(文4=東京・早大学院)がそれぞれTDパスを決めた。1クオーター(Q)で14点を奪うことに成功する。2Q序盤には相手に攻撃を重ねなれ失点するも、DB洲戸健吾(スポ3=東農大一)が「練習通り」と振り返るインターセプトからそのままエンドゾーンまで駆け抜けた。その後も7点を追加したBIG BEARSは時折ミスが散見されたものの、前半を28-7で折り返す。

スターターを務めたQB坂梨

 後半も初めは主導権を握ることに成功。途中出場のQB笹木雄太(法3=東京・早大学院)が後輩である坂梨に負けじと奮闘した。パスを確実にヒットさせ敵陣に攻め上がると、最後はWR武井優磨(商2=埼玉・早大本庄)へのTDパスを通すことに成功する。しかし、この後が続かなかった。「自分たちで自分たちの首をしめている」(濱部監督)という言葉の通り、パスやキャッチ、プレー選択でミスが続出する。結局それ以降の加点は4QのFGのみに終わった。また、守っては早大のファンブルで生まれたピンチを耐え切れずに失点。相手に傾いたモメンタムをディフェンスで止めることはできなかった。完封を目標にしていたディフェンス陣にとっても、反省すべき点が多く残ったと言えよう。

インターセプトTDを決めたDB洲戸

 6月6日に控える関大との一戦を前に、控え選手にとっては絶好のアピール機会であった。だが、突き付けられたのは1本目の選手との実力差。早慶戦でも控え選手が多く出場した4Qに追い上げを許しており、またしても悔しい結果となってしまった。とはいえ、「サブのメンバーもこの現状を踏まえて成長していってくれれば」と濱部監督が話すように、下を向くばかりでなく、一刻も早くレギュラー陣に追いつき、追い越すことこそが最も重要なことだろう。試合後に一様に悔しさをにじませたメンバーたち。その思いを忘れず成長することが、チーム力向上につながる。悲願の大学日本一のためには、控え選手によるチームの底上げが不可欠だ。

(記事 菅原拓人、写真 寒竹咲月、東哲也)

コメント

濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)

――試合全体としてはいかがでしたか

雑な試合だったかなと思います。

――前週の立命館大戦と比べて集中力が保てていない状況でしたが

JVという位置づけで普段出ていない選手を中心にということから、全体的に練習も緩みがちになることも想像できたので、そういうことはないようにとは言ってやっていましたし、チーム運営も3年生を中心に来年のために経験を積んでおこうということで、それを4年生がしっかりサポートするということでやっていましたが、3年生は3年生でチーム運営や練習の難しさを思い知らされたのかなと思います。

――ディフェンスに関して大きなゲインは少なかったですがズルズル出されている印象でしたが

考えてプレーをする余裕がないと言いますか、出されたサインを遂行するのが精一杯になってしまっていて、結構セオリー通りのフットボールをやっていたのでちょっと考えれば分かりそうなことだったんですけれども、目の前のプレーしか見ることができていなくて、その裏を狙われて取られているシーンが多かったのかなと思います。

――オフェンスに関しては前半からげきを飛ばすシーンが多かったですが

わざというか、ちょっと厳し目にプレッシャーをかけながらやっていましたが、オフェンスのアクションを起こさなければいけないのに、自分たちで自分たちの首をしめている状態で、自分たちからアグレッシブに攻める展開ができていなかったのと思います。

――この試合でチームの足りない部分が明確になり、その反面収穫もあったと思いますが

1本目と2本目の差がこれだけあるということを知る機会になったし、それが事実だという現状に危機感を抱かなければいけないし、サブのメンバーもこの現状を踏まえて成長していってくれればと思います。

――2週間後には関大戦となりますが

これが春のオープン戦の最後ですしあと2週間しかないので、この2週間チャレンジし続けるしかないですし、少しでもレベルアップして、春のシーズンをいい形で終えられるようにしたいです。関大もどんどん調子を上げてきているようなので、そういうチームにしっかり勝って、秋に希望が見える、望みをつなげられるような試合にしたいですね。

QB笹木雄太(法3=東京・早大学院)

――試合全体としてはいかがでしたか

僕らはJVと言っているのですがそういうのは関係なくて、自分のやるべきことを出ている人がやらなければいけないのにそれが機能しなかったというのが反省なので、そこはもう一度締め直して関大戦に挑みたいです。

――ミスが目立った試合でしたが

ミスが多かったのはQBでQBがリズムをつくるところでつくれずに、3ダウンになったりしていたので、やはりQBのミスと言いますかそこらへんを直していきたいと思います。

――笹木選手自身今季好調を維持できている印象ですが

自分ではまだまだだと思っているんですけど、第1シリーズや自分が請け負うシリーズではドライブというのを意識して、最後はしっかりスコアを上げるというのを目標に掲げているので、いままでスロースターで序盤にミスをすることが多かったのですが、落ち着けていればいつも通りのプレーができると最近分かってきたので、どんな相手でもいかに自分を落ち着かせてプレーできるかがそれに繋がっているのかなと思います。

――下級生もこの試合で出てプレーをしていましたが

下級生も頑張っていて、まだまだだと思いますが、下級生自身も課題を見つけられたのかなと思います。逆に自分も下級生たちのプレーを見て自分にも生かせるのかなと思いました。QBで言えば1本目は陽木(坂梨、政経2=東京・早大学院)だったんですけど、もうちょっと決められるのかなと思いました。

――大差で勝てた試合ではあったと思いますがこの試合チームに足りていなかったものは

自分たちのやるべきことをやれなかったのがスコアにつながらなかったですし、下級生は下級生で頑張ってはいましたが練習で直しきれてないミスを試合でやっていたり、アサイメントミスであったりと基本的なところができていなかったのと上級生は自分は出ないという心情から雰囲気が緩んでいたので、それが多いな点数につながらなかったのかなと思います。

――2週間後には関大戦となりますが

この試合で出た自分の課題は関大戦までにはつぶそうと思いますし、オフェンス全体で言えばこの緩い雰囲気をいかに直せるかということとまた一つのドライブを完結するということが重要なのでもう一度丁寧に一からやり直していきたいです

DB洲戸健吾(スポ3=東農大一)

――この試合の感想を教えてください

ディフェンスとしては完封を目標にしていたのですが、結果として14点取られてしまいました。自分としてはいいプレーがあったものの、まだまだなところもあるので、課題がたくさん出た試合ですね。

――インターセプトからTDを決められましたが、振り返ってみていかがですか

相手QBのパスが良くなかったので、ごっつぁんでした。

――今試合のディフェンス全体を通してどう感じますか

最初に話した通り完封を目標にしていたので。この試合はJV戦ということでB、Cチームが主体だったのですが、まだまだ相手にやられている部分があって、もっと練習から突き詰めていかなければと思いました。

――課題が多く出た反面、チームもしくは個人で得た収穫などはありますか

僕自身のインターセプトは練習通りな部分があって、できて良かったのですが、やはり課題の方が多いですね。

――試合後にチームとして話されたことを教えてください

主将(DL村橋洋祐主将、スポ4=大阪・豊中)から当事者意識が低いということを言われていて、全員が試合に対して準備など出来ていない部分があるので、全員で試合に勝つという気持ちを持っていかなければならないと思います。

――次の相手は強豪・関大です。どのようなプレーをしたいですか

関大も立命大に勝っていて強豪です。全員で最高の準備をしていかないと勝てないので、しっかり準備して勝ちたいと思います。

RB木村達也(国教2=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

JV戦ということでいつも試合に出ていないメンバーで試合に臨んだんですけど、自分の力不足も実感しましたし、先輩を見習って真似しないといけない部分が増えてきて、課題も多く見つかった試合でした。

――具体的にはどういった課題がありましたか

ボールをもらった直後の密集ゾーンでの縦に上がるスピードが遅かったり、当たるところで体勢をつくれていなかったりと、細かいところがいっぱいありました。

――自身のプレーを振り返っていかがですか

特に目立つプレーが無くて、RB全体でもあまり目立ったプレーがありませんでした。

――それでもミスも無く、コンスタントにラッシュを仕掛けられたような印象もありますが

OLがきれいに道を開けてくれたので、そこで自分の技術が伴っていればもっと大きなゲインが見られたのではないかと思います。

――プレーをする上で意識したことはありますか

OLが道を開けてくれていたので、一対一の勝負を頑張ってみようかなと思ったんですけど、あまり足が動かなかったので次から頑張りたいと思います。

――JV戦はやはりアピールの場でもあると思うのですが、この試合でそういった結果を残せた実感というのはありますか

自分が望むようなアピールはできていなかったので、次戦は関大戦なんですけど、先輩たちが点差を付けてくれて自分が出られるチャンスがあったらそこでしっかりとアピールをしたいと思います。

――自分が望むようなアピールということで、自身の強みや見てほしいところはどういった点でしょうか

難しいですね(笑)。次に戦う関大とかだとDLも強くて早大のOLも苦戦するところがあると思うので、そこで自分の個人技で打開できたらいいなと思います。

――では最後に改めて、次の関大戦への意気込みをお願いします

出られる機会があったら、自分なりに頑張りたいと思います!

DB田口凌(社2=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

下級生中心の試合だったので自分が引っ張ろうという気持ちで入っていって、結果はもうちょっとちゃんとした試合というか圧倒したかったんですけど、不甲斐ない試合だったなと思います。

――下級生中心の試合でしたが意識したことは

自分の目標としては自分がリーダーシップを取ることを意識していて、その点に関してはある程度引っ張れたかなと思っているので、まだまだ足らなかったなと思うところもあるのでリーダーシップという点についてももっとやっていきたいです。

――ディフェンスは終始ずるずるとゲインを許してしまいましたが、要因はどんなところですか

まずタックルミスが目立っていて、タックルミスのせいでファーストダウン取られというのが繰り返しでロングドライブされてしまったので、まずタックルミスというのと後はアサイメントミスというか組織的なミスという面でミスが出て、キッキングとかもミスが出たのでそういうミスとタックルのミスですね。

――良かったところはどんなところですか

まず試合に出て経験が積めたというのはまず良かったなと思っていて、上の先輩がケビンさんとか加藤さんとかいい選手がいて、いま自分は出れていないんですけど、その中でJV戦という形で試合経験積めて今後にこれを生かしたいなと思っています。

――きょうの個人的なプレーの手応えは

もっとビッグプレーを起こしたかったんですけど微妙でしたね。ロスタックルとかサックとかしたかったです。

――今後に向けて意気込みをお願いします

自分はいま2本目なんですけど先輩たちを越えれるように必死に努力して、もちろん試合に出たいので、試合に出て活躍したいです。

WR小原嶺(法1=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

初めて一年生ながら出ることができたんですが、それでも先輩のケガとか風邪で出ることができたので、出る分にはチャンスをものにしようと思っていました。

――タッチダウンをとられましたが

競り合ってとったわけではないし、難しい球をとったわけでもなく、QBの坂梨さん(陽木、法2=東京・早大学院)がいいところに投げてくれたのでQBのおかげです。

――ご自身の出来としてはいかがでしたか

全然まだまだ、勝負所とか球際とかイージーではない難しい球を取ることができないので、そういうところをもっと詰めていきたいと思います。

――他になにか課題は見つけられましたか

高校とはスピードもフィジカルも全然違うので、まずはフィジカルを上げていきたいと思います。

――現在、特に重点をおいて練習している点は

やっぱり、フィジカルですね。

――今後の個人的な目標は

いま三年生に鈴木隆貴さん(法3=東京・早大学院)という方がいるんですけど、あの方を目標に頑張っています。

――次戦へ向けて、意気込みをお願いします

次いつ出られるか分からないですけど、出た時にはもっと球際の球とれるように頑張りたいと思います。