激闘の末につかんだ大きな1勝

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL TB
早大 BIG BEARS 14
中大 RACOONS 14

 秋季リーグ戦は第5節を迎え、早大は関東大学屈指のRB横田惇を擁する中大との一戦に臨んだ。負ければ優勝の可能性は消え、4年生は引退となる大一番。試合はタイブレーク(TB)にもつれ込むも、早大が14-14(TB 7-0)で死闘を制し、優勝へ望みをつなぐ1勝を手にした。

2TD1TDパスで攻撃を牽引したRB大野

 この1戦の重みを両校が強く感じていたからか、中大は2本、早大も1本FG失敗するなど決め手を欠く苦しい立ち上がりとなる。しかし第2クオーター(2Q)中盤、インターセプトをロングパスTDに繋げられ、中大に先制を許してしまう。0-6で迎えた3Q、ここから早大オフェンスが奮起する。QB内村竜也(法2=東京・早実)を起点にエンドゾーン4ヤードまで攻め込み、最後はRB大野将樹(社4=東京・早大学院)が押し込み同点となるTD、続くTFPで逆転に成功する。そのまま流れを引き渡したくない早大だったが、中大RB横田にTDを奪われ、7-14と再び逆転を許してしまう。しかしこのままでは終わらない――。QB内村からWR金澤秀明(教2=東京・早大学院)への62ヤードのロングパスでエンドゾーンまで1ヤードにつめ寄ると、RB大野が飛び込み起死回生のTD。緊迫した展開が続くが結局4Q終了を告げる笛が鳴り響いても決着はつかず、勝負の行方はTBへと委ねられた。

 TBは両チームに敵陣25ヤードからの攻撃権が与えられ、攻守を終えて点差がついた時点で勝負が決まる方法を取る。TBを前にフィールドに向かって一列に整列した選手たちはもう1度気持ちを入れ直す。先攻はワセダ。RB大野のランプレイを中心にエンドゾーンまで残り4ヤードまで迫る。そして運命のサードダウン。ハンドオフを受けたRB大野がTE北村卓也(先理2=東京・早大学院)へディフェンスの頭上を越える意表を突くパスを通し見事TDに成功。大きな先制点をもぎ取り、中大にプレッシャーを与える。その裏の中大の攻撃。LBコグラン・ケビン(商1=東京・早大学院)がタックルで3度相手の攻撃を封じる活躍を見せると、中大は連続でパスを失敗。最後に試みたパスも通ることはなく試合は終了。激闘を制したBIG BEARSの戦士たちはこぶしを高々と突き上げ喜びをかみしめた。

TBを制し、喜びを分かち合う選手たち

 警戒していた中大RB横田を11回19ヤード1TDに封じ込めたディフェンス陣をはじめ、選手たちがしっかり自分の役割を全うしたことが勝因の一つだろう。また選手全員の気持ちが1つになり、チームに強固なまとまりが生まれたことも確かである。次戦の対戦相手は宿敵「オレンジの壁」法大。リーグ屈指の守備陣に、接戦は必至だ。しかしまだ終わるわけにはいかない――。最後の最後まで頂点を目指しBIG BEARSは戦い続ける。

(記事、依田萌、写真 田中竣、生川花子)

★特集

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  • ★直近の試合結果

  • 秋季戦も中盤へ、東京都市大に勝利/秋季リーグ戦 東京都市大戦(10/09)
  • 再生への一勝/秋季リーグ戦 学習院大戦(09/30)
  • 専大に屈辱の敗戦/秋季リーグ戦 専大戦(09/17)
  • ★得点経過

    TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
    中大 2Q PASS #12 佐藤 #47 松永 NG 0-6
    早大 3Q RUSH #3 大野 #85 原秀 7-6
    中大 3Q RUSH #33 横田 #12 佐藤
    →#1岸
    7-14
    早大 4Q RUSH #3 大野 #85 原秀 14-14
    早大 TB
    先行
    PASS #3 大野
    →#89 北村
    #85 原秀 7-0

    ★スターティンングメンバー


    オフェンス
    ディフェンス
    背番号 ポジション 氏名 学部

    学年
    出身校 背番号 ポジション 氏名 学部

    学年
    出身校
    75 OL 福留悠斗 創理4 東京・早実 93 DL 長尾篤 教4 東京・早大学院
    69 OL 大町慎太郎 社2 東京・西 44 DL 岩谷享右 創理4 東京・早大学院
    70 OL 長瀬 彗 創理4 東京・早大学院 99 DL 庭田和幸 創理1 東京・早大学院
    68 OL 宮本洋介 法4 東京・早大学院 13 DL 河田洋一 創理3 東京・早大学院
    72 OL 上石一輝 創理1 東京・早大学院 50 LB 西田啓佑 文構3 東京・早大学院
    87 TE 柳川亮 政経3 東京・早大本庄 LB 峯 佑輔 教2 東京・早大学院
    22 RB 小林勇気 政経4 東京・早大学院 42 LB コグラン・ケビン 商1 東京・早大学院
    RB 大野将樹 社4 東京・早大学院 DB 坂本悠太郎 文構4 東京・早大学院
    85 WR 原 秀星 スポ4 福井・高志 31 DB 島川秀人 創理3 東京・早大学院
    WR 清水隆博 社4 東京・早大学院 17 DB 森 翔平 文構3 愛知・豊橋東
    18 QB 内村竜也 法2 東京・早実 DB 芹澤暁良 人4 群馬・高崎
    85 原 秀星 スポ4 福井・高志 85 原 秀星 スポ4 福井・高志
    秋季リーグ戦1部Bブロック星取表
       法 大 中 大 早 大 慶 大 専 大 関学大 都市大 学習院 勝-負 順位 勝点
    11/11 10/28 〇20-20 〇35-7 〇42-0 ○79-0 ○99-0 5-0   15
    横浜 ●14-14 10/28 〇31-0 〇54-0 ○87-0 ○115-14 4-1   12
    アミノ 〇14-14 11/11 ●12-17 ○39-12 〇44-7 〇57-7 4-1   12
    ●20-20 アミノ 横浜 ○35-18 〇24-10 〇70-7 〇56-3 4-1   12
    ●7-35 ●0-31 〇17-12 ●18-35 11/11 10/28 〇30-13 2-3  
    ●0-42 ●0-54 ●12-39 ●10-24 アミノ 〇27-7 10/28 1-4  
    ●0-79 ●0-87 ●7-44 ●7-70 アミノ ●7-27 11/10 0-5  
    ●0-99 ●14-115 ●7-57 ●3-56 ●13-30 川崎 アミノ 0-5  

    ◆コメント
    朝倉孝雄監督(平3商卒=東京・早大学院)
    ――きょうの試合を振り返って
     中大は攻撃力が高く、ディフェンスもここまであまり点を取られていないので、かなり厳しい試合展開になるかなと思っていました。
    ――ゲームプランはどのように考えていましたか
     オフェンスではランプレイをミスなく出すことと、あとはロングパスを決めようと思っていました。ディフェンスでは中大の日本を代表する選手たちを止めることが重要になると思っていました。
    ――試合前と試合後のハドルでは選手にどのような声をかけましたか
     試合前は、チャレンジャーとして相手の胸にぶつかっていこうと言いました。試合後はいつも言っていることなんですが、トラブルを起こしたチームとして、処分は終わったけれど、引き続き反省をして生活から試合のことまで1つ1つを大事にしていこうと改めて言いました。
    ――この試合の勝利は大きかったんではないでしょうか
     目の前の1試合1試合を戦っていくだけですが、この1勝は大きかったと思いますね。
    ――きょうの勝因は
     オフェンス、ディフェンス両方が粘り強く戦ってくれたことです。
    ――次の法大戦に向けて
     準備する時間があまりないですが、できる限りの準備をして試合に臨みたいと思います。

    LB小松原健主将(政経4=東京・早大学院)
    ――きょうの試合を振り返って
     勝てて良かったです。みんなの勝ちたいという気持ちが出ていて、最後まで諦めないでできたので、そこが良かったのだと思います。
    ――勝因は
     やはり絶対に最後まで勝つと全員が信じた気持ちの面が大きかったです。
    ――外から見てLBの動きはどうでしたか
     良くやってたと思います。試合の中にいるLB3人のうち2人が下級生で1年生と2年生ですけど、彼等の活躍で、要所要所で良いプレーが出て相手を止められたというところがあるので。きょうのLBはすごく良かったと思います。
    ――法大戦にむけて
     きょうまではずっと中大に勝つことだけに集中してやってきたので、これからチームとして法大戦に取りかかります。きょうからまた切り替えてやっていきます。

    DL長尾篤(教4=東京・早大学院)
    ――今の率直な気持ちを
     ほっとしています。いろいろな事件があって複雑な気持ちがあったのですが、とりあえず勝ったことは嬉しかったです。
    ――試合終了時には感極まっているようでしたが
     この二週間考えることがいろいろあってチーム状況はあまり良くない中で、前には進んでるのですが完全には修復していなくてその中で勝てたというのは苦しんだ分嬉しかったですね。
    ――今日のゲームプランは
     向こうのRBが良いのでとにかくランプレーを止めるということですね。一人では止まらないのでみんなで止めるということで全員で機能したかなと思います。
    ――ロースコアの展開となりましたが
     ねらい通りですね。ディフェンスは2本に抑えようということで予想通りの結果でした。
    ――法大のイメージは
     しんどい試合ですね。頭を使いますし個々も能力が高いですし、組織的には中大以上に強いと思います。
    ――法大戦への意気込みを
     僕たちとしては一戦一戦勝つということを掲げているので、やれるだけのことはやって毎日頑張るだけですね。

    OL長瀬彗(創理4=東京・早大学院)
    ――きょうの試合の感想は
     もともとロースコアになることは予想していたので、この試合の為に用意していたプレーが前半でなくて、後半はベースのプレーで攻めきることができたかなと思います。試合全体としてディフェンスが要所、要所で止めてくれたのでディフェンスに感謝しています。オフェンスとしてはもう一本取りにいかなければいけなかったのに、オーバータイム前の最後の4分間に攻めきることができなかったのは反省すべき点です。
    ――相手のDLはいかがでしたか
     相手のDLは本当にいい選手がそろっていて、最後まであきらめずにしつこく来るので、フィニッシュの部分でこだわったのですが、まだまだ走りかてていないなという印象です。

    ――QBの内村選手とのスナップでのコンビネーションについていかがですか
     練習に練習を重ねて、あのプレーでオフサイドを取れば、相手の出だしを悪くすることができるので、日頃の練習から合わせている結果が出たと思います。

    ――きょうのオフェンスの出来としては
     最後の詰めの部分で決めきることは良かったのですが、やはり継続してドライブを達成することができなくて、例えば13点目のTDも自分たちの持ち味であるランプレーで獲得したものではなくて、長いパス一本で決めたTDだったので、次の法政戦ではこんなにうまくいくとは思っていないので、もっともっとベースの部分をしっかりとつめていきたいです。
    ――最後に来週の法政戦に向けて一言お願いします
     本当にここまできたら勝つしかないです。法政戦に負けたら、後がないので、今日勝った意味がなくなってしまうので、この一週間法政戦に向けてしっかりと対策を立てていきたいと思います。

    RB大野将樹(社4=東京・早大学院)
    ――中大戦に向けて2週間どのような準備をしたか
     中大戦にむけていくつか新しいプレーを用意したのでアサイメントを取り組んだのはもちろんですが、中大戦にむけて気持ちの準備をすることを大切にしてきました。最初の1週間は気持ちの部分が足りていないと感じることもありましたが、土日の練習をへてチームにうまれた一体感があったからこそ、きょうの試合で最後勝つことが出来たのではないかと思います。
    ――きょうの試合を振り返って
     試合前は、中大に負ければ引退ということで1プレーに集中しようと思いながらも、やっぱり緊張していました。試合では僕自身はサードダウンの場面を任されることが多かったのですが、2、3ヤードしか走りきれず、個人としてはもっと出来たと思っています。また、もし自分がもっと出来ていればタイブレークになることはなかったと思います。
    ――大野選手が走りきれなかった要因は中大守備にありますか
     中大ディフェンスは最初あまり仕掛けて動いてこなかったので、うちも見てしまい相手に合わせてしまったのが最初ランを出すことが出来なかった原因だと思います。途中から動いてくれるようになって、それにうまく対応出来たので2TDに繋がったと思います。
    ――タイブレークでは1TDパスがありました
     もともと2ポイント用のプレーでした。ちょうど残り4ヤードくらいだったので。
    ――このプレーがコールされた時の心境は
     実践でやったのはこれが初めてで、合わせてはいましたが、11対11でやるのは初めてで。ですが、決まるだろうと思えたので、落ち着いていけました。
    ――きょうの勝因は
     きょうはサイドラインにいてみんなの気持ちがすごく伝わって来て。最終的には気持ちの部分で相手を上回ることが出来たことではないかと思います。
    ――法大戦にむけて
     ディフェンスが本当にいいチームです。準備期間は1週間しかありませんが、自分たちは全力で法大戦にむけて準備をして、最終的にきょうのように1点でもいいから多く得点をし、勝つことが出来ればと思います。

    LBコグランケビン(商1=東京・早大学院)
    ――きょうの試合の感想は
     試合前から横田選手のパスを警戒していました。関東でも力のあるプレーヤーなのでそこを止めるということをチームで強く意識していて、実際にうまく抑えられたのでよかったと思います。一発を出してしまったことはディフェンスとして二度と繰り返してはいけないことなので反省したいです。
    ――要所要所でいいタックルが出ていましたが
     なるべく奥でタックルして止めることを意識していてプレーでも出すことができたので、いい準備ができていたと思います。
    ――後半にインターセプトのビックプレーがありました
     あのプレーがなかったら結果がまた違っていたかもしれないので、ああいう大事な場面でいいプレーができてうれしいです。
    ――TBに入るときはどんな気持ちでしたか
     高校2年生のときの関東大会決勝でもTBを経験したのですが、そのときに、絶対に勝つ、負けない、と強く思えば勝てるということを学んで、後半が終わった時にそのことを思い出しました。いままでの自分たちがやってきたことを信じて100パーセントの力を出せばいい結果になると信じて、それだけを思って全力でプレーしたから結果がついてきたと思います。
    ――法大戦にむけて
     最後に1点でも多く取れたら勝つことができるので、自分の持ち味であるタックルをたくさんして相手を止めて、奥に奥に攻めたディフェンスをできるように頑張りたいと思います。