法大の牙城を崩せず

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 10 10
法大 TOMAHAWKS 14 21

 思い起こすのは2年前、東日本代表校決定戦・クラッシュボウル(現あずまボウル)決勝。強敵であった法大を破り念願の甲子園ボウルを決めた試合だ。この試合の再現となり、リーグ優勝への望みを残すことはできるか――。早大は第2クオーター(2Q)に幸先良く先制点を挙げる。しかし、後半に入ると法大のパスやオプション攻撃に苦しみ得点を重ねられ、10-21で逆転負けを喫した。

先制TDをあげたWR/K/P原秀

 やはり「オレンジの壁」は厚かった。早大のラン獲得ヤードはわずか8ヤード。看板であるランオフェンスは法大ディフェンス陣の前に完全に封じられてしまった。試合は2Q開始9分22秒、QB内村竜也(法2=東京・早実)が投げたロングパスをWR/K/P原秀星(スポ4=福井・高志)がキャッチしエンドゾーンまで走りぬけ、80ヤードのTDで先制。「自分のイメージ通りに走れて、相手がうまく引っかかってくれた」(WR/K/P原秀)とプラン通りの攻撃で先手を奪う。しかし、その直後のキックオフリターンで法大WR松永翔太のキレのある走りを止められず64ヤードのビックゲインを許してしまい一気に自陣への侵入を許すと、TDパスを決められすぐさま同点。追いつかれた早大は2Q終了直前にWR/K/P原秀が24ヤードのFGを決め、10-7とリードを保ったまま前半を終えた。

 後半開始直後の最初のシリーズから法大はダウン更新を続けるも早大ディフェンスが踏ん張り、早大陣内4ヤード地点でフォースダウンを迎える。ここで法大はFGフェイクのスペシャルプレーを選択するが早大ディフェンス陣が素早い反応を見せてこれを阻止。流れを掴んだかに見えたが、思うように攻撃を展開できずパントに抑えられる。攻撃権を得た法大にパス中心の攻撃で攻められ、自陣15ヤード地点から中央へのパスでついに逆転のTDを許してしまう。なんとか追いつきたい早大だったが、さらにTDを決められ差を広げられ敗戦。

敗戦に涙する選手

 きょうの敗戦により、リーグ戦敗退が決まってしまったワセダ。しかし、次節で対戦する慶大には今春の早慶戦で惜敗しているだけにもう負けることは許されない。「僕たちは最後まで戦い抜くことを決めた」(LB小松原健主将、政経4=東京・早大学院)と決意新たに最終戦へと臨む。4年生は最後の早慶戦で集大成を見せつけてくれるはずだ。

(記事 田中竣、写真 巌千咲、生川花子)

★特集

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  • ★直近の試合結果

  • 激闘の末につかんだ大きな1勝/秋季リーグ戦 中大戦(10/22)
  • 秋季戦も中盤へ、東京都市大に勝利/秋季リーグ戦 東京都市大戦(10/09)
  • 再生への一勝/秋季リーグ戦 学習院大戦(09/30)
  • ★得点経過

    TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
    早大 2Q PASS #18 内村
    →#85 原秀
    #85 原秀 7-0
    法大 2Q PASS #17 近藤
    →#81 伊東
    #98 谷澤 7-7
    早大 2Q FG #85 原秀       10-7
    法大 4Q PASS #17 近藤
    →#7 下段
    #98 谷澤 10-14
    法大 4Q PASS #17 近藤
    →#11 松永
    #98 谷澤 10-21

    ★スターティンングメンバー



    オフェンス
    ディフェンス
    POS 氏名 学部・学年 出身校 POS 氏名 学部・学年 出身校
    75 OL 福留悠斗 創理4 東京・早実 93 DL 長尾篤 教4 東京・早大学院
    69 OL 大町慎太郎 社2 東京・西 44 DL 岩谷享右 創理4 東京・早大学院
    70 OL 長瀬 彗 創理4 東京・早大学院 99 DL 庭田和幸 創理1 東京・早大学院
    68 OL 宮本洋介 法4 東京・早大学院 13 DL 河田洋一 創理3 東京・早大学院
    72 OL 上石一輝 創理1 東京・早大学院 50 LB 西田啓佑 文構3 東京・早大学院
    22 RB 小林勇気 政経4 東京・早大学院 LB 峯 佑輔 教2 東京・早大学院
    RB 大野将樹 社4 東京・早大学院 42 LB コグラン・ケビン 商1 東京・早大学院
    21 WR 橋本 嵐 創理4 千葉・東葛飾 DB 末吉裕一 商3 東京・早大学院
    85 WR 原 秀星 スポ4 福井・高志 31 DB 島川秀人 創理3 東京・早大学院
    WR 清水隆博 社4 東京・早大学院 20 DB 田中友基 商4 東京・早大学院
    18 QB 内村竜也 法2 東京・早実 DB 芹澤暁良 人4 群馬・高崎
    85 原 秀星 スポ4 福井・高志 85 原 秀星 スポ4 福井・高志
    秋季リーグ戦1部Bブロック星取表
      法 大 中 大 早 大 慶 大 専 大 関学大 都市大 学習院 勝-負 順位 勝点
    11/11 〇21-10 〇20-20 〇35-7 〇42-0 ○79-0 ○99-0 6-0   18
    横浜 ●14-14 〇21-7 〇31-0 〇54-0 ○87-0 ○115-14 5-1   15
    ●10-21 〇14-14 11/11 ●12-17 ○39-12 〇44-7 〇57-7 4-2   12
    ●20-20 ●7-21 横浜 ○35-18 〇24-10 〇70-7 〇56-3 4-2   12
    ●7-35 ●0-31 〇17-12 ●18-35 11/11 〇16-0 〇30-13 3-3   9
    ●0-42 ●0-54 ●12-39 ●10-24 アミノ 〇27-7 〇21-6 2-4   6
    ●0-79 ●0-87 ●7-44 ●7-70 ●0-16 ●7-27 11/10 0-6   0
    ●0-99 ●14-115 ●7-57 ●3-56 ●13-30 ●6-21 アミノ 0-6   0

    ◆コメント
    朝倉孝雄監督(平3商卒=東京・早大学院)
    ――きょうの試合を振り返って
     オフェンスはショートのパスを繋いでランプレーを出していこうというものでしたが、なかなかランプレーが出なかったです。パスも決まった所は決まりましたが、パスプロテクションも含め試合を通してもう一つ攻めきれませんでした。ディフェンスに関して前半は粘り強く守っていましたが、4Qに入ってパスオフェンスを絡められた所で最後止められませんでした。
    ――ゲームプランが崩れた原因は
     法大の強さですね。ディフェンスもかなりプレッシャーをかけてきましたし、オフェンスも落ち着いて投げていた所に強さを感じました。
    ――前半ブリッツを多用していたように見えましたが
     数自体は同じぐらいでした。
    ――警戒していた選手にやられてしまいましたが
     そうですね。試合前からQBの寺村選手、WRの松永選手を要注意人物としていましたが最後はやられてしまいました。
    ――法大のオプションに苦しめられましたか
     オプションよりもパスですね。QBの近藤選手が途中から出てきて、非常に落ち着いたプレーを見せていたので。
    ――前半と後半で守り方の変化は
     そんなには変えていません。法大の方がアジャストしてきて短いパスを使って攻めてきたと思います。
    ――リードをしている状況で後半のゲームプランは
     前半と同じような試合展開でいこうというものでした。
    ――慶大戦へ向けて
     最後はライバルの慶大なので勝ってシーズンを終わりたいです。

    LB小松原健主将(政経4=東京・早大学院)
    ――きょうの試合を振り返って
     負けは負けです。4Qが勝負、最後の最後で勝てていればと思っていたので最初は粘って粘ってみんなで気持ちを出してやろうと思っていたのですが、後半で離されてしまったのがよくなかったと思います。
    ――後半に離された原因は
     ディフェンスとしてひとつはゲームプランをつめることができていなかったことです。あとはもう一度詳しく見返してみないとわからないです。
    ――きょうのゲームプランは
     相手の16番のQBのランプレーを止めることを決めて、あとは何人かのキープレーヤーを挙げてそこをストップしようということを考えていましたが、違うQBがでてきてうまく対応できなかった部分がありました。
    ――LB全体の評価は
     LBの出来としてはよかったと思います。特に下級生の2人は、自分が出ていないこともあって起用されているのですがよく頑張っていたと思います。あとは一発TDを持って行かれたケースがひとつあったのは今までも同じ形があったのですこし残念だとは思いますけど、全員気持ちを出してファイトしていたと思います。
    ――残り1試合、早慶戦を残すのみとなりました
     僕たちは最後まで戦い抜くことを決めたので、きょうで優勝の夢はなくなってしまいましたが、最後は絶対にひとつ勝って終わらせたいと思います。

    DL長尾篤(教4=東京・早大学院)
    ――きょうの試合を振り返って
     負けたなっていう試合ですね。力負けというかうちの負けるべくして負けた試合かなと思います。やっぱり出来ている間はちゃんと守れているんですけど、自分たちのやらなきゃいけないことを出来てないところでTDを取られて負けてしまったので。
    ――きょうのゲームプランについて
     オプションが強いということでオプションを止めようとしたんですが、止めた後に次のQBが来てパスオフェンスになった時にアジャストが出来ませんでした。そういう意味では作戦負けだし、僕らのアジャストがしきれなかったという意味でも完敗でしたね。
    ――前半はリードで折り返しましたが
     雰囲気的には良かったです。ただ法大が後半にアジャストしてどんどん攻め来ることはわかっていたのでそういう意味でわかった展開ではあったのですが、逃げ切るしかなかったので、接戦に持ち込んではやはり勝てないですね。
    ――リーグ優勝が消滅しましたが
     そこはしょうがないですね。今年こういうことがあって最後まで出来るということをプラスにとらえて頑張ろうかなと思います。

    OL福留悠斗(創理4=東京・早実)
    ――きょうの試合を振り返って
     デイフェンスはすごく頑張っていたんですけど、オフェンスの自滅だったなというのが率直な感想です。
    ――どのようなゲームプランで試合に臨みましたか
     枚数を少なくして、まずパスを通してからランを出すというゲームプランだったんですけど、オフェンスラインとしてはショートのパスプロを重視するというゲームプランでした。
    ――OLから見た相手DLの印象は
     集まりが早かったという印象です。今までの相手よりもものすごく集まりが早かったです。
    ――修正点は
     慶大も法大とたぶん同じようなディフェンスを仕掛けてくると思うので、そうするとやはりパスプロをいかに持たせるかになってくると思うので、しっかり対応して行きたいです。
    ――最終戦に向けて
     試合やるからには絶対に勝たなければならないと思うので、勝ちに貪欲になって行きたいと思います。

    WR/K/P原秀星(スポ4=福井・高志)
    ――きょうへの意気込みについて
     きょうは勝たないと日本一という目標が見えなくなってしまうので、絶対に勝たないといけない試合でした。
    ――先制のTDはいかかがでしたが
     相手のDBがマンツーマンを敷いてくるのは、スカウティングの段階で分かっていました。先制の場面では自分のイメージ通りに走れて、相手がうまく引っかかってくれたので良かったです。
    ――前半に比べ、後半はあまりパスでヤードを獲得できませんでしたが
     前半はパスに関しては要所で通っていたので良かったのですが、後半は相手にアジャストされたのもあり、決まらなくなり、オフェンスのリズムを作れなかったです。
    ――法大との差は何だったか
     一人一人のプレーの質や、一つ一つのプレーの精度が相手のほうが上だった結果がきょうの試合だったと思います。
    ――パントについて
     最初は相手の出方が分からずブロックされてはいけなかったので、速く蹴ろうとして、焦って飛距離が出ませんでした。後半になりラッシュが入ってこないことが分かり、落ち着いで蹴ることができました。
    ――最終戦に向けて
     相手が慶応ということもあり、絶対に負けられません。また、最終戦の勝ち負けが来年のブロック編成に関わってくると思うので、勝ちに行きたいと思います。

    QB内村竜也(法2=東京・早実)
    ――きょうの試合を振り返って
     オフェンスとしては、最初のディフェンスがインターセプトをしたシリーズにオフェンスがファンブルをしてしまったこと、後半の逆転された後のシリーズが3ダウンアウトになってしまったことが大きかったと思います。また後半攻めきれなかったですね。
    ――法大戦のゲームプランは
     最初に早いリズムでパスを決めて、セカンドダウンミドルで自分たちの好きなプレーをしていこうと。ですが、自分がパスを決めることが出来なかったので、リズムを作ることが出来ませんでした。
    ――法大の攻めどころはどこだと考えていましたか
     法大は基本的に穴のないチームですが、そのなかでもマンツーマンが多いという情報だったので、うちのWR(原)秀星さん(スポ4=福井・高志)やWR清水さん(隆博、社4=東京・早大学院)などターゲットになりやすい方を狙いつついこうと思っていました。
    ――リズムを作ることができなかった要因は
     細かい共有が出来ていなかったため、試合のはいりにばたばたしてしまった点にあると思います。
    ――ランをなかなか出ませんでした
     OLはほんとうによく守ってくれていたのでプレッシャーはそこまで感じずにいられたんですが、枚数が負けている状態で自分の判断か遅くなりサックに繋がってしまいました。
    ――攻めるしかなくなった状態の最後のドライブを振り返って
     法大が早いタイミングで投げさせないようにプレッシャーをかけてきていたのですが、その中でも相手の裏をついて自分が早くパスを展開できてればと。
    ――プレッシャーは感じていましたか
     気持ち的には落ち着いてはいられたかなと思います。
    ――残すは早慶戦です
     4年生のためにも勝ちたいと思います。