特別国民体育大会冬季大会スケート競技会(国体)の予選会である都民体育大会が11月12、13日に行われた。早大フィギュア部門からはシニア女子の競技に小室笑凜(スポ4=東京・開智日本橋学園)と馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)が出場。東日本選手権からの連戦だった馬場がまとまった演技で総合3位に、小室はジャンプのミスが響きショートプログラム(SP)14位となり、フリースケーティング(FS)進出とはならなかった。
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「一つ一つの試合をしっかり楽しむということを忘れずに」と試合に臨む主将小室。6分間練習からジャンプがなかなか決まらず、流れをつかめないまま演技に向かった。それでも落ち着いた表情でスタートポジションにつき、今季のショートプログラム、『Reflection』の音楽が流れると、小室らしい、しなやかな動きで演技を始める。東インカレでは、大会前のケガの影響で回避したジャンプがあったが、ケガ前と同じ構成で滑りきることを目標に挑んだ今大会、最初のジャンプは3回転トウループ。回転が足りず、着氷の際に足が絡むようなかたちで転倒してしまう。次の要素、昨季から試合では苦戦が続いているサルコウジャンプも空中で回転が抜けてしまい、2回転に。SPの必須要素であるコンビネーションジャンプを入れることができず、大幅な減点となってしまった。
中盤、曲が壮大になるステップシークエンスでは、動きも一緒に大きくなり、音に合わせてのびやかに舞っていく。上を向くような振り付けが多く登場するのが印象的だ。後半唯一のジャンプエレメンツである2回転アクセルは、6分間練習の際から決まらず、念入りに確認していたが、やはり本番でも綺麗な着氷はできず、ダウングレードの判定になってしまった。最後は、上を向くポーズでフィニッシュし、ポーズを解くと疲れたように肩を落とした。ジャンプでの減点が響き、得点は伸びず、今季の試合の中でも最も低い31・ 57点。上位12人が進める翌日のFSに駒を進めることはできなかった。
今季、どの試合でも、プログラムの世界観に惹き込む表現力は見せながらも、ジャンプに苦戦している小室。今大会でも、6分間練習からきれいに着氷できたジャンプが少なく、苦悩のほどがうかがえる。現役のスケーターとして残された舞台はあとわずか。残りの期間で立て直し、滑り終えた小室の笑顔が見られる日を待ちたい。
SPで演技をする小室
開始直前、コーチと両手を固く握り、声掛けに何度もうなずく様子が見られた馬場。1週間前に行われた東日本選手権からの連戦で、昨季から継続の『Within / Nero』の演技に挑んだ。東日本選手権同様ジャンプのノーミスが期待されたものの、出だしの3回転サルコウが2回転に。ノーバリューで無得点と、厳しい滑り出しとなる。しかし乱れることなく、続く3回転トーループと2回転トーループのコンビネーションジャンプを安定して決めた馬場。全身を大きく使ったダイナミックな滑りを披露すると、最後の2回転アクセルも軽度の回転不足の判定となるが、着氷。時折笑顔も見せながら、情感をたたえて演じ切った。さらに今大会で注目すべきはスピンの評価だ。東日本選手権では最高評価となるレベル4が2つ、レベル1が1つだったが、今大会では全てのスピンでレベル4を獲得。初めのジャンプのミスが響き得点は42・59点にとどまり、東日本選手権を2・52点下回る結果となったが、前戦の課題を踏まえ、丁寧にエレメンツをこなす姿が見られた。
13日に行われた女子FS。SP3位の馬場は後半グループに登場した。直前の6分間練習では落ち着いてジャンプを確認する様子が見られた。名前がコールされ、リンク中央に立つと引き締まった表情で演技に臨んだ。『Never go back』の激しい曲調に合わせて滑り出すと、冒頭の2回転ルッツを着氷。続く3回転サルコウと連続ジャンプではわずかに減点されるも、大きなミスなくまとめる。勢いよく跳んだ3回転トーループもきれいに決め、直後のシットスピンでも最高評価のレベル4を獲得した。順調な滑り出しを見せていた。しかし、2回転アクセルが1回転になると、そこからジャンプが乱れた。得点源となる演技後半の3つのジャンプは全て回転が抜けるなどのミスが重なり、精彩を欠いた。序盤の良い流れを保ったスケートを披露することはできなかった馬場。それでもスピンはSPから引き続き全てレベル4を獲得。前半は力強く、後半は切なげに柔らかく舞うなど、表現の幅も見せた。後半のミスが響き、得点は80・37点。ベストな演技とはならなかったものの、FS、総合ともに順位は3位となり、上々の結果で大会を終えた。今季多くの大会に出場している馬場は、課題を見つめながら大会ごとに成長を見せている。シーズン終盤の演技にも注目だ。
FSで演技をする馬場
(記事 及川知世、荒井結月、吉本朱里 写真 吉本朱里、及川知世)
結果
▽シニア女子
馬場はるあ
SP 3位 42・59点
FS 3位 80・37点
総合 3位 122・96点
小室笑凜
SP 14位 31・57点
コメント
※馬場選手は連戦のため、今回はインタビューを行っていません
小室笑凜(スポ4=東京・開智日本橋学園)
――今大会の目標を教えてください
ケガ前と同じ構成で滑り切ることでした。
――東インカレではケガの影響で跳べないジャンプもあったとおっしゃっていましたが、今大会は調子はいかがでしたか
試合の1週間前に3回転トーループの練習を2ヵ月ぶりに始め、なんとかかたちになった状態で挑みました。まだ足首の動き具合が不安定なので、全てを試合でも決められるほどの精度に持っていくことはできませんでしたが、次戦に向けたいい取り組みになったと思います。
――演技を振り返っていかがですか
正直内容はボロボロで、理想状態とはかけ離れていました。ケガをしているとはいえ、この状態で終わるのは選手として後悔が残るので、戻していけるように頑張りたいです。
――次戦は決まっていますか。また、今後の演技への意気込みをお願いします
次は12月に国体予選があります。これが引退試合になるかもしれないので、後悔のない練習、後悔のない4分間を滑ることができるよう、残り3週間弱練習を積んでいきたいです。