川畑がSP2位!早大勢全員でFSに臨む

フィギュアスケート

 東日本の各ブロック大会を勝ち抜いた選手が集結する東日本選手権。思い描く演技をするため、着々と力をつけてきた選手たちが一堂に会した。女子ショートプログラム(SP)では川畑和愛(社3=沖縄・N)が2位につけ、3人全員がフリースケーティング(FS)に進出。男子SPでは12月に行われる全日本選手権出場を目指す西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)が演技を披露するも、10位と出遅れる結果となった。

★川畑が2位!馬場、木南もFS進出(女子SP)

 コーチと言葉を交わし、第4グループ18番滑走で登場した馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)。SPは昨シーズンから継続の『Within/Nero』。重厚な和音から始まる曲がかかると、力強く滑り出した。今シーズンミスが続いていた冒頭の3回転サルコウと、続く3回転トーループ+2回転トーループのコンビネーションジャンプをきれいに着氷。演技後半に跳んだ2回転アクセルは軽度の回転不足を取られたが、落ち着いて全てのジャンプを着氷した。そして、規定が変わってから特に意識しているというスピン。中盤のレイバックスピンではレベルの取りこぼしと減点があったものの、後半の2つではレベル4を獲得した。体を大きく使って力強さを表現しつつ、ステップは曲調に合わせて丁寧に刻み、スピードを保って演技を行った。序盤からの良い流れに乗って、しなやかなスケートを見せた馬場。3本のジャンプを揃えることができず、納得のいく演技をできていなかった中、今回はまとまった演技を披露し、得点は45・11点。成長を示し、FSに繋がる結果となった。

SPで演技をする馬場

 馬場に続き、19番滑走で登場した木南沙良(人通2=東京・日大一)。『Courage to change』の曲に合わせ、引き締まった表情で力を込めて滑り出した。冒頭の3回転トーループ+2回転トーループのコンビネーションジャンプは流れるようにきれいに着氷。続く3回転フリップは着氷に乱れがあり、ダウングレードの判定を受けてしまった。しかし、その後のステップはリズムに乗って滑る。「何度も自分を信じて立ち上がる」というメッセージ性を持つ曲を、体全体を使って表現。力強さが伝わる、勢いのある滑りだった。演技後半の2回転アクセルは加点をもらえるジャンプ。そして、演技を締め括るレイバックスピンではレベル4を獲得した。東京選手権SPでのジャンプミスを修正し、全体的にまとまりのある演技を披露した木南の得点は40・99点。19位となり、シニアに移行して初めての東日本選手権の舞台で、無事F Sに進出した。SPとは打って変わり、しっとりと演じる『SAYURI』の演技に期待だ。

SPで演技をする木南

 女子SP、最終滑走で登場した川畑。今シーズンは持ち味のジャンプがなかなか戻らず苦戦しているが、直前の6分間練習では3回転ジャンプをしっかりと着氷する様子が見られた。『シェルブールの雨傘』の曲が流れると、切なげな表情で滑り出し、会場全体を引き込む。冒頭、鍵となる3回転ルッツからのコンビネーションジャンプは、最初のジャンプでわずかに乱れるも、落ち着いて連続ジャンプに繋げる。柔らかく、流れるように跳んだ2回転アクセルは加点が付く出来栄えで着氷。直後に美しいツイズルも見せ、表現の一部に完璧に組み込まれたジャンプだった。最後の3回転ループは回転不足の判定を受けたが、プログラムの流れを切らさず、予定されていた全てのジャンプを降りた。情感たっぷりに演技を行った川畑は、スピンやステップでも力を発揮。全て最高評価のレベル4を獲得し、リンクを満遍なく使ったダイナミックなステップには1点以上の加点が付いた。細かいミスがありながらも、自らの強みを生かした演技で魅せた川畑の得点は55・03点。ケガからの復帰で苦しい時期が続いていた中、東日本学生選手権では「もっと練習から自分のことを追い込んで、本番で自信を持って滑れるようにしたい」と意気込んでいた。強い気持ちで臨んだ今大会、SP2位でFSに挑む。

SPで演技をする川畑

★西山は悔しさ残る演技 挽回のFSヘ(男子SP)

 ジュニア女子SPの競技を挟み、夜に行われた男子SP。廣田聖幸(スポ2=千葉・東邦大東邦)は第1グループ5番滑走で登場した。少し緊張した表情でスタートポジションにつくと、特徴的なマイムの振り付けとともに演技を始める。冒頭の単独の3回転フリップは落ち着いて着氷。続く3回転サルコウ+2回転トーループはわずかに乱れるも、大きく崩れることなくまとめた。中盤のスピン、ステップでは減点があったが、アップテンポな曲に合わせ、リズミカルな滑りで演技を盛り上げていく。上々の演技を見せていた廣田だが、終盤のアクセルジャンプが1回転に。序盤の3回転ジャンプをしっかりと着氷していただけに悔しいミスだったが、引きずらずに、曲が鳴り止む瞬間まで躍動感あふれる滑りでプログラムを演じ切った。得点は42・34点。今大会では「ベストの演技をしたい」と意気込んでいただけに、最後のジャンプのミスは悔やまれる。大会ごとに磨き上げられたプログラムを見せている廣田が、5日に行われるFSではどのような演技を披露するのか、注目だ。​​

SPで演技をする廣田

 第2グループに登場した西山は、ゆっくりと時間をかけてリンク中央に立った。朗らかな笑顔で滑り始めた西山のSPは『That’s Life』。明るくポジティブな雰囲気をまとい、軽やかに氷上を舞う。最初のジャンプは得点源の3回転フリップ+3回転トーループ。スピード感のある滑りから勢いよく踏み切ったが、2回転になってしまう。そこからうまく立て直すことができなかったか。リカバリーを狙った続く3回転ループも2回転となってしまい、コンビネーションジャンプにすることができなかった。最後の2回転アクセルもダウングレードとなり、クリーンなジャンプを跳ぶことができなかった。序盤から苦しい場面が多い演技となったが、西山は表情を曇らせることなく、笑顔でアップテンポな曲を表現し続けた。終盤2本のスピンでは最高評価のレベル4を獲得するなど、全力でプログラムを演じ切った。魅力がたっぷり詰まった演技を見せたが、ジャンプのミスが大きく響き、得点は49・49点。10位と出遅れてしまった。しかし、上位の選手との点差は大きくない。加えて、演技構成点では全体トップの点数を出している。西山の強みであるスケーティングやスピン、表現といった部分はこのSPでも光った。FSでは、西山が思い描くスケートが披露されることに期待したい。

SPで演技をする西山

(記事 佐伯栞、吉本朱里、水平櫻子 写真 吉本朱里)

結果

▽女子


川畑和愛

 

SP 2位 55・03点


馬場はるあ

 

SP 11位 45・11点


木南沙良

 

SP 19位 40・99点


▽男子


西山真瑚

 

SP 10位 49・49点


廣田聖幸

 

SP 14位 42・34点

コメント

※zoom囲み取材より抜粋

西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)

――SPの結果についてどう思いますか

 全くジャンプのタイミングが合わなくて全部抜けてしまいました。自分では感じてなかったけれど、心の中では4枠しかない焦りがあって、それが出てしまったのかなと思います。反省するところは反省して切り替えたいです。

――SPの演技を振り返っていかがですか

 ステップ、スピンに関しては点が取れる部分だと思っているので、そこはしっかり諦めないで、最後まで自分の良いところを出し切ろうと思って演技していました。

――FSに向けていかがですか

 とにかく落ちるところまで落ちたので、あとはもう守りに入らないで、演技できたら良いなと思います。

――シングル最後のシーズンということですが、どのような気持ちで試合に臨んでいますか

 シングルで出場する試合も残り限られてきているので、一試合一試合後悔しないように演技したいなって思いながら今回のシーズンに臨んでいます。