永井、新境地の舞で連覇 石塚も大学デビュー戦へ挑む

フィギュアスケート

  関東の大学生スケーターが一堂に会し、熱戦を繰り広げた。女子7、8級に永井優香(社2=東京・駒場学園)、男子7、8級に石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)が登場。永井は2位以下に4点以上の差を付け連覇を果たし、石塚も半年ぶりの試合で8位となった。

  永井は佐藤操氏振り付けの『River Dance』で実戦に臨んだ。冒頭トリプルルッツからの連続ジャンプを着氷。しかし「次のスピンに行くぞ」と集中を切らさない。曲調が変わる中、スピンをするとダブルアクセルも難なく決める。後半に入れたトリプルループでは転倒したが動揺することなく、自身がプログラムのポイントにあげたステップシークエンスへ。一つ一つのステップを丁寧に踏んでいきながら観客とリンクしていく。「自分にとっては表現なども難しい」という新境地のプログラムを気迫のこもった演技で滑りきり、会場を湧かせた。

永井は気迫のこもった演技を披露した

 ルーキーの石塚は、「僕がこの曲を本当に気に入っていたということと、せっかく気に入っていたのに昨季怪我で三試合しか滑れなかったので、今年は絶対この曲で滑ろうと決めていました」と昨季から引き続き使用する『Per Te』を演じる。大学デビュー戦で光ったのは表現面だ。伸びやかなスケーティングや指先まで神経の行き届いたステップを見せると、プログラムの最後には美しいビールマンスピンも披露。ジャンプはトリプルジャンプの再開ができていないためダブルジャンプでまとめることとなったが、自身の魅力を存分に発揮しその存在をアピールした。

石塚は美しいビールマンスピンで会場を湧かせた

 永井、石塚ともに目指すは冬の全日本選手権。大舞台への切符をつかむためにはこの夏の練習が非常に重要になってくる。「フリーもショートもバランス良く練習して、あとジャンプももっと安定させられるようにしたい」(永井)、「この調子で波に乗って、今シーズンは絶対全日本に出場して、テレビで「早稲田大学・石塚玲雄」と呼ばれて、SP・FSともにベストな演技をするのが目標」(石塚)と本格的なシーズンに向け意気込んだ二人。主要な大会が待ち受ける秋に向け、プログラムに磨きをかけていきたい。

(記事 糸賀日向子、写真 藤岡小雪)

結果

▽女子7,8級

永井優香 1位 51.38点

▽男子7,8級

石塚玲雄 8位 47.89点

コメント

永井優香(社2=東京・駒場学園)

――きょうの演技を振り返っていかがでしたか

まず最初に思ったのは、パンクをしなかったのがひとつ成長かなと思いました。というのも、最近ここ一週間くらい全然ジャンプが跳べなくてきょうも全部ミスするのではないかとおどおどしながら来ました。でもまずまずの出来だったので、とりあえずほっとしました。それと同時にちょっと堅かった部分も多かったので、次に生かしていきたいなと思いました。

――ルッツを降りた時、どのような心境でしたか

いつもはほっとしたりとか、そこで何かしら思うのですが、きょうは何も思わなくて、次のスピンに行くぞみたいな。集中していたかなと思います。

――ループの転倒からどのように気持ちを切り替えたのでしょうか

その時も自分にとっては表現なども難しいプログラムなので、あまり他のことを考えているとちょっと遅れてしまうので転んでもそんなに考えずに次にいけたかなと思います。

――先週の早慶戦で、「今日の感じを忘れずにジャンプをすっと入れていけたらいいなと思います」と仰っていましたが、実戦でやってみていかがでしたか

やっぱりジャンプを入れると、この間滑っていた時よりものびのびと滑れなかったかなという印象があります。ちょっとスピードであったりステップできょうはあまりつまずかなかったのですが、やっぱりジャンプの存在は大きいなと感じました。それと同時に滑り込んでいけばもっと馴染んでくるかなと思ったので、頑張って練習します。

――きょうの表現面について自分の中で何パーセントくらいでしたか

気持ちとしてはこの間の方が余裕を持って表現だけやるぞという気持ちでできたのですが、きょうは緊張もあってあまり出し切れなかったかなという部分もあります。

――このプログラムのアピールポイントはありますから

やっぱりステップのところが曲的にも一番盛り上がると思うので、それを自分のスケートと一緒に盛り上げていけたらいいなと思います。

――『River Dance』は色々な選手が使っていますが、参考にした演技や選手は

曲は『River Dance』といっても色々な曲があると思うのですが、いつもメジャーな曲しか使わないのでメジャーな中でもちょっとだけ変えようと思ってこの曲にしました。まずは本当の『River Dance』の動画を見たりとか、スケーターの方だと本郷理華(中京大)選手だとか本田武史先生とか同じ振付の友野一希(同大)くんとか、表現が上手な選手とかをつまんで見ていました。

――次の試合は決まっていますか

まだ決まっていなくて、5月は三週連続で色々あったので、終わってほっとしています。ですが、すぐにシーズンが始まると思うのでもっとやっていかないといけないなと思っています。

――もっとやっていかないといけないというのは、表現面もジャンプもでしょうか

表現面もそうです。それにプログラムもまだ特に5月に入って一つ目の試合が終わってからフリーはほぼ(曲を)かけていないので、ちゃんとフリーもショートもバランス良く練習して、あとジャンプももっと安定させられるようにしたいです。それと精神的にも安定させて練習に取り組めるようにしていきたいです。

石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか。

昨シーズンから怪我で苦しんできて、やっと半年ぶりに試合に出れるということだったので、とにかくのびのび滑ろうと思っていました。ジャンプに関しては、トリプルジャンプが再開できていなかったので、点数はないのですが、ダブルジャンプでまとめさせてもらいました。自分の感覚を最大限に使って滑ることができた試合だと思うので、これから調子を上げていきたいと思います。

――プログラムを持ち越した理由は何ですか。

僕がこの曲を本当に気に入っていた、ということと、せっかく気に入っていたのに昨シーズン、怪我で三試合しか滑れなかったので、今年は絶対この曲で滑ろうと決めていました。

――大学に入って、練習環境などはどうですか。

練習環境は、元から東伏見で練習させてもらっていたので、場所は変わっていないのですが、大学入ってから知り合った、スポーツ推薦で入学したすごい選手たちに囲まれながら練習できているので、すごく刺激になります。

――早稲田のスケート部の雰囲気はどうですか。

早稲田のスケート部のみなさんは、女子の選手が多いのですが、本当にみなさん優しいです。しかも一人ひとりの選手の演技も個性豊かで尊敬していますし、あたたかいみなさんにいつも見守ってもらっている感じです。

――最後に、今後の目標を教えてください。

今までは色々頭で考えて、頭がカチカチになって滑っていたのですが、怪我を通して、これからは自分の感覚をもっと高めていこうと思っています。この調子で波に乗って、今シーズンは絶対全日本に出場して、テレビで「早稲田大学・石塚玲雄」と呼ばれて、SP・FSともにベストな演技をするのが目標です。