「気持ちが乗り切らずに、なんとなく終わってしまった」(永井優香、社1=東京・駒場学園)。東日本選手権(東日本)から約3週間、調子が上がらないまま臨んだ今大会。ショートプログラム(SP)、フリースケーティング(FS)共にジャンプに苦戦し、得点が伸び悩む。東日本3位の佐藤伊吹(駒場学園高)、同2位の森千夏(明大)に10点以上の差をつけられ、3位にとどまった。
初日のSP。6分間練習では「最近怖い波が来てしまっていた」というトーループを何度も確認したが、いずれも2回転になってしまう。不安が残るまま挑んだ冒頭のコンビネーション、そのトーループはここでも2回転になるが、2つ目のトーループは意地で3回転にしてみせた。しかし続くループは抜け、前半のジャンプは悔いの残る結果に。後半のダブルアクセルはきれいに決めたが、技術点は伸びなかった。それでも、表現面では気持ちを切らさず、演技構成点は東日本を上回る25.66点をマーク。合計では惜しくも50点に届かなかったが、逆転優勝も狙える位置につけた。
突出したスケーティングで魅せる永井
翌日は6分間練習でこの日初めて氷に乗ったという永井。本番で跳ぶジャンプを練習し切ることはできなかったが、トリプルループを降りるなど前日以上の感触をつかんでいた。まずは、大きな得点源となるトリプルルッツ。高さのあるジャンプで回り切ったが、着氷時に迷いが生じ転倒してしまう。続くコンビネーションは2つ目が2回転に、ループはSP同様1回転になり、この日も前半はジャンプに苦しんだ。それでもここからスピンとコレオシークエンスをこなし切り替えると、後半冒頭、トリプルループからの3連続ジャンプを華麗に決める。その後も完璧な出来とはいかなかったが滑り切り、なんとか90点台に乗せた。順位を上げることはできなかったものの、後半で見せた修正能力はさすがである。
FSでの巻き返しとはならなかった
全日本選手権(全日本)まであと約1カ月。好不調の波がある今季だが、全日本で必ずやピークを迎えてくれるはずだ。年末の大舞台では、今まさにグランプリシリーズでしのぎを削っているライバルたちと同じ、第4、5グループで滑ることとなる。激しい五輪代表枠争いの中、ことし最高の『レ・ミゼラブル』と『オペラ座の怪人』を披露することはできるのか。昨季は大粒の涙を流したキスアンドクライで、今度こそはじける笑顔を見せてほしい。
(記事 川浪康太郎、写真 中井彩夏、糸賀日向子)
結果
▽シニア女子
永井優香 3位 総合 139.69点(SP 3位 49.16点、FS 3位 90.53点)
コメント
永井優香(社1=東京・駒場学園)
SP
――ショートプログラム(SP)の感想をお願いします
気持ちが乗り切れなかったかなという感じがしています。
――今大会の位置づけは
東(東日本選手権)が終わった後はここ(都民体育大会)でちゃんと演技をして、と考えていました。でも疲れとかもあったみたいで、なかなか気持ちが乗らなくてこのような結果になってしまったかなと思います。
――冒頭の連続ジャンプはいかがでしたか
ここ数日ジャンプの調子がちょっと悪かったので、それがそのまま本番に出てしまったかなという感じがしています。でも週の初めの方は普通に調子がよかったので、あと数日間は我慢しようかなという感じです。
――ステップはいかがでしたか
ジャンプが跳べなくて慎重になってしまった部分はありました。でもレベルはとれなかったんですけど、東が終わってから変えたところなども一応ちゃんとできたので、もう少し練習をして良くしていけたらなと思っています。
――あしたに向けての意気込みをお願いします
あしたは正直心配な気持ちが大きいんですけど、滑りきれるように頑張ります。
FS
――フリーの演技を振り返って
気持ちが乗り切らずに、なんとなく終わってしまったなという感じでした。
――6分間練習での調子はいかがでしたか
きょうは6分間練習で初めて氷に乗ったのですが、思ったよりは悪くはなかったです。でも曲の中で跳ぶジャンプを練習し切れなかったり、迷いがあったのかなと思います。
――6分間練習の間ジャージーを着続けていましたが、いつもより寒さを感じましたか
最近冷え込んできていたし、今回お客さんが少なかったので寒かったかなという感じです。
――フリーのジャンプについてですが、冒頭のルッツについてはいかがですか
1回転にならなかったのはよかったのですが、少し迷ってしまって、それが転倒につながってしまいました。
――トーループはあまり調子がよくないですか
もともと跳んだらできるのですが、怖くなっちゃう時が多くて、最近その怖い波が来てしまっていたので、もう少ししたらよくなるかなと思います。
――ステップはフリーでは変更点はありましたか
フリーはそんなに変えてないです。きょうのステップは失敗してしまったので、もっと練習していきたいです。
――最後に、全日本選手権に向けた意気込みをお願いします
あと1カ月あるので、体調管理をしっかりして、自分のベストを尽くせるようにたくさん練習したいです。