東日本学生選手権(東インカレ)からわずかに1週間。山梨県小瀬スポーツ公園アイスアリーナで東日本選手権が開幕した。東日本選手権では東北・北海道選手権、関東選手権、東京選手権を勝ち抜いた29人が全日本選手権への6枠を争う。早大からは松嶋那奈(スポ4=東京・駒場学園)と永井優香(社1=東京・駒場学園)が出場し、ショートプログラム(SP)で永井は1位、松嶋は17位となった。
松嶋は全体の9番目に登場。演技冒頭に組み込まれた得意のトリプルトーループの連続ジャンプの1つ目で着氷が乱れる。しかしすぐに巻き返しを図った。「練習でもなかなか入ることがなかった」と語ったループにコンビネーションをつける。結果として二つ目のジャンプは1回転となったが、4年生として意地を見せた。ステップシークエンスでは笑顔を絶やさず最後まで滑りきり、「思ったより楽しく滑ることができた」。SPは40.17点と出遅れたが、何度も逆転劇を見せてきたFSに向け「悔いなく終わりたい」と意気込む。松嶋の壮大なスケーティングと曲の世界観が見事に合致した『トゥーランドット』が、大舞台で集大成の演技を披露するためのカギを握る。
笑顔で演技を披露した松嶋
永井は全体の19番目に登場した。会場全体から声援をうけプログラムを滑り始めると、冒頭の連続ジャンプを成功させる。次に予定されていた「少し助走が足りなくて不安だった」というトリプルループも回りきる。中盤のステップシークエンスでは「自分の緊張する気持ちを抑えようと思った」と笑顔を見せ、自身の演技に華を添えた。そして最後に予定されていたジャンプのダブルアクセルを決めると会場のボルテージも最高潮になる。二つのスピンでプログラムをまとめると、完璧な舞に観客はスタンディングオベーション。58.55点を獲得し、1位発進という最高のスタートを切った。
永井は完璧な演技で観客を魅了した
永井、松嶋ともに29日に全日本を懸けた運命のFSに挑む。SPでは明暗分かれたが、FSでは両者ともに最高の演技で今大会を締めくくってもらいたい。
(記事、写真 糸賀日向子)
結果
▽選手権女子
松嶋那奈主将 17位 40.17点
永井優香 1位 58.55点
コメント
松嶋那奈主将(スポ4=東京・駒場学園)
――ショートプログラム(SP)を終えていかがでしたか
転倒とかはあったんですけど、思ったより楽しく滑れたので良かったかなと思います。
――どういったところを楽しめたのでしょうか
最後の東日本(選手権)だったので、悔いなく終わりたいなと思いました。だからいくらミスしても楽しく滑ろうというのがあったので楽しく滑れました。
――最初のジャンプで転倒した後に、二個目のジャンプにコンビネーションを付けようとしたところに松嶋さんの意地を感じられました。振り返っていかがでしたか
今まで3(回転)―3(回転)を失敗することは無かったんですけど、ミスが出てしまいました。だから(2個目にコンビネーションを)付けなきゃなと思いました。なかなかSPで練習でもループが入ることがなかったんですけど、落ち着いてやろうと思いました。シングルにはなってしまったんですけど意地でも付けようと思いました。
――4年生で集大成となりますが、東日本選手権にどのような気持ちで臨んでいますか
全日本(選手権)に行きたいという気持ちはあったんですけど、やっぱり悔いなく終わりたいと思ったので、全日本に行けなくても楽しんで終われたらいいなという気持ちがありました。
――早大の主将としても、一選手としても後輩にそんな背中を見せたいという気持ちもあったのでしょうか
やっぱり4年生という意地もあるので、そういうところも見てもらえたらいいなと思っています。
――東日本学生選手権(東インカレ)から一週間ということで、東日本選手権に向けてできることをやっていきたいということでした。どのようなことをやってきたのでしょうか
やっぱりジャンプを一つ一つ丁寧にやるということと、笑顔で滑るということを中心にやってきました。
――フリースケーティング(FS)に向けての気持ちをお願いします
FSも悔いなく終わりたいと思っているので、何個ミスが出ても楽しんで滑って意地でもできるところはやってやろうという気持ちがあります。明日も楽しく滑れたらいいなと思います。
永井優香(社1=東京・駒場学園)
――SPを終えて今の気持ちは
ジャンプが三つとも跳べたのはすごく良かったかなと思います。
――六分間練習の後にコーチとどんな話をされましたか
六分間練習のジャンプの振り返りをした感じです。
――東京選手権でジャンプの構成を上げましたが、きょう成功してどんな気持ちでしたか
前回は二つめのジャンプが回転不足だったんですけど、今回は多分回っていたと思うので回れたなと思って一瞬ほっとしました。
――東京選手権で入らなかったループが今回は入りましたがどんな気持ちでしたか
ループに行く前に少し助走が足りなかったので正直不安でした。でも回るしか無いと思ってそれで降りられたので、まず得点源のジャンプが決まった瞬間はちょっとほっとしました。
――ステップの時は笑顔も見えましたがどんな気持ちでしたか
今年に入ってから試合のステップで足がガタガタして上手く踏めていなかったので、笑って自分の緊張する気持ちを抑えようと思ってやりました。
――得点への感想はいかがですか
得点で嬉しいという感情はあまり無いですけど、きょうは思いきり滑れたので演技の面で満足しています。
――東京選手権、東日本選手権と一歩一歩進んでいっていますが、各大会をどのような気持ちで臨まれていますか
東京ブロックの時は(東日本選手権へ)通りたいという気持ちよりはある程度の演技をしなきゃいけないなという気持ちでした。でも今回ここに来るまでは全日本(全日本選手権)に行きたかったので、毎回の練習で緊張していて上手くいかないときとかに少しピリピリしすぎたりしたときもありました。でもまずはSPを良いかたちで終われたので良かったなと思っています。
――ここまでのトレーニングで自分の中で今までとは違う手応えがあるものはありましたか
練習内容を特別変えたわけではなくて、昨季が終わってからスケートを一からやり直してただただ少しずつできることを増やしてきました。最近は良い練習ができているなという感じなのでジャンプも自信を取り戻してきているかなという感じです。
――練習ではどのようなことができてきているのでしょうか
全体的にジャンプの安定感とかが前よりは少し出てきたかなという感じがしています。
――技術的にもコンディション的にも良くなってきていると思うのですが
ジャンプ跳べないときは今でも全然跳べないので毎回の練習できょう跳べるかなと思いながらやっています。先生にルッツの時に全然締められなくてちょっといらいらしていたら、「ダブルを締めていると思ってやってみな」と言われました。それでやってみたら結構できていたのでそれからはあまりトリプルだと考えすぎずに、ふわっと跳べるように意識して跳んでいます。
――今は自分の中でどれくらいまでできていますか
自分ができるかなと思う範囲では60%くらいです。まだどこまで跳べるか分からないですけどフリップも練習していないので。曲の構成もまだ弱いのでそういう面を考えるとまだまだかなと思います。でも昨年の全日本が終わった時点では一生ジャンプを跳べない気がしていたので、それと比べたらルッツも戻って3(回転)-3(回転)も跳べるようになったので、60%くらいあげたいなと思います。
――全日本までにはどれくらいにしたいですか
今季はあまり欲張らずに今の構成を上手く滑りきれるように、来季頑張るための一歩になれば良いなと思っています。
――改めて今季の目標を
まずはあさってのFSを頑張ってまずは全日本にいくことを目標にしていました。それでもし行けたとしたら全日本までに納得のいく練習をして、本番でFSまで滑って笑顔で終われるようにしたいなと思います。