全日本選手権出場に向けて第一関門となる東京選手権が行われた。永井優香(社1=東京・駒場学園)が2位、松嶋那奈主将(スポ4=東京・駒場学園)は4位と上位13人の中に入り、ともに東日本選手権へ進出を決めた。
松嶋はショートプログラム(SP)7位から3つ順位を上げ、見事4位入賞を決めた。冒頭、トリプルトーループートリプルトーループのコンビネーションジャンプと、続くトリプルループを綺麗に決め、幸先の良いスタートを切る。その後、サルコージャンプでのミスはあったものの、スピンなどの表現面で魅せ演技構成点でも高評価を得た。アクセルジャンプを後半に回し、得意なジャンプを前にもって確実に成功するようにするなど、構成面にも工夫が見られる。滑らかで、惹きこまれるようなステップは観客を魅了した。完璧な演技ではない中で87点台を出し全体的に安定した演技を見せた。惜しくも表彰台は逃したが、東日本選手権に向けて「楽しんで滑るという気持ちを忘れず悔いなく滑っていきたい」と意気込む。更なる難関を目指し、演技を磨いていく。
松嶋は最後の全日本選手権に向け好調な出だしとなった
永井は最終グループの5番目に登場した。胸元に赤いバラが印象的な衣装で『オペラ座の怪人』を滑り出す。前半はトリプルルッツで転倒、ループも1回転となり、ジャンプに精彩を欠いた。しかし基礎点が1.1倍となる演技後半では、サルコージャンプがダウングレード判定を受けたものの、その他のジャンプは着氷した。一方、「曲の編集がみんなとは違う」と語るように、定番の『オペラ座の怪人』とは異なる構成になっている今プログラム。コレオシークエンスやステップシークエンスでは力強い表現で音楽に合わせ物語の世界を表現する。最後はコンビネーションスピンで4分間を締めくくり、右手を前に出しポーズを決めると悔しそうな表情を浮かべた。得点は、コンビネーションジャンプをひとつも入れることができなかったこともあり技術点が39.57点と伸び悩んだ。しかし演技構成点では50.13点を獲得し、永井の評価が高いことが示されたといえる。東京選手権を「SPもフリースケーティング(FS)もジャンプに不安が残る形で本番に臨んで、それ以外のところがおろそかになってしまった」と振り返る永井。しかし、転倒こそしたものの、トリプルルッツを回りきったことについては「経験値として自分のためになると思う」と次の試合に向けての確かな収穫を得た。
永井は永井らしいオペラ座の怪人を作り上げていく
東日本選手権では、東北・北海道選手権、関東選手権を勝ち上がった強豪と全日本選手権をかけた激しい争いが予想される。松嶋、永井の早大コンビは東日本学生フィギュアスケート選手権(東インカレ)と東日本選手権と連戦となるが、どのように演技を磨き、全日本選手権への切符をつかむか注目だ。
(記事 糸賀日向子、中井彩夏、写真 川浪康太郎)
結果
▽シニア女子
松嶋那奈主将 技術点45.13点 演技構成点43.33点 減点1.00点 計87.46点(総合132.59点、4位)
永井優香 技術点39.57点 演技構成点50.13点 減点1.00点 計88.70点(総合137.86点、2位)
コメント
松嶋那奈主将(スポ4=東京・駒場学園)
――衣装のコンセプトは
衣装は紺がいいって言っていたときに、キム・ヨナ選手の動画を見せてもらってこんな感じにしようかとなってそうなりました。
――冒頭のトリプルトーループ―トリプルトーループとトリプルループはきれいにきまっていましたがいかがでしたか
そうですね。今日はその二つは気合いで跳びました。
――アクセルを後半にしたのはなぜですか
やっぱり一番体力なくても跳びやすいジャンプっていうのもあります。アクセル自体苦手なんですけど、やっぱり跳べるジャンプを確実に跳んでいきたいので、難しいジャンプは前半になっていますね。
―― パンクがあった中で87.46点を出したことはどんな印象ですか
パンクを1個して、1個転んで、ジャンプもちょくちょくミスは出たんですけど、その中で87点出せたっていうのは下の点数(演技構成点)もちょっとずつ出てきているのかなっていう印象があります。これからももっと伸ばせるようにしたいなって思います。
――スピンはリリーカップでレベルが取れなかったところからどのように改善しましたか
まだ今プロトコルもらってないので分からないんですけど、昨日のSPの時点ではレベルがだいぶとれてきていました。だからこのままもっとちゃんとレベルを取っていけるように練習していきたいです。
――表現面について
やっぱりきょねんくらいから笑顔で滑れるようになってきたので、もっとジャッジにアピールしたり、体を大きく使えるようにしたりしていけたらいいなと思っています。
――最終順位4位で東日本選手権へ進むことに関していかがですか
やっぱり東(東日本選手権)が一番難関な試合だと思うんですけど、楽しんで滑るって気持ちを忘れずに悔いなく滑っていけたらいいと思います。東も気を抜かずに頑張っていきたいなって思います。
永井優香(社1=東京・駒場学園)
――東京選手権を終えていかがですか
SPもFSも両方ジャンプに不安が残る形で本番に臨んで、それ以外のところがおろそかになってしまったかなという印象があります。
――6分間練習の最後の転倒は大丈夫でしたか
全然怪我はしていないです。でもメンタル的な問題と、あと少し力が入りづらくなったので少し不安になってしまいました。本番では転んでしまったんですけど、回ったことには30点くらいあげたいかなと思います。
――回り切ることで得点にもなりますしね
うーん、点数というよりかは経験値として自分のためになるのではないかなと思います。
――不安な中でも回れたのが収穫ということでしょうか
とりあえず回れたのはものすごく小さいことなんですけど、収穫かなと思います。
――どのようなイメージで滑っていますか
きょねんとは違って強い音のところがあるので、違う自分を見せられたらいいなと思ってやっています。
――表情も力強いものが多いと感じたのですがいかがですか
本当はジャンプが入ったらもっと入りこむことができると思うんですけど、きょうはちょっと弱かったかなと思います。
――どんなオペラ座の怪人にしていきたいですか
曲の編集がみんながやっているオペラ座とは違うんですけど、自分だけのオペラ座にしていきたいと思います。
――東日本選手権に向けてはどんなことを考えていますか
今シーズンに入ってから今回で4試合目だったんですけど、今までは割と勢いというか楽しんでそのまま滑れちゃっていたところがありました。今回は久しぶりに緊張するという感覚を味わったので、これもいい経験だったと思います。この気持ちを忘れずにあと1ヶ月練習を頑張っていきたいと思います。
――緊張はなぜ起きたのでしょうか
調子は最近あまり悪くなかったです。でも、ジャンプは降りていたんですけど、降りた中でも少ししっくりこないものがあったりして不安な気持ちのままきょうの試合に臨むことになってしまったかなと思います。ベストな状態に持っていけるようにしていきたいと思います。
――先生が変わられていかがでしょうか
先生が変わって半年ちょっと経って慣れてきたかなという感じがあります。先生はちょっと調子が悪くて落ち込んでいるときとかでもじーっと待っていてくれるので、やらなきゃいけないなという気持ちになれます。調子が良くても技術的に良くないところがあったらちゃんと指摘してくれるので、自分が前向きにスケートに取り組むのにサポートしてくれているなという感じです。
――信頼関係も出来上がってきている感じでしょうか
試合でついてもらったのはきょうでまだ3回目なのでお互いにかみ合ってない部分とかはあると思うんですけど、これからまだ長いと思うので、信頼関係を築いていけるようにしたいと思います。
――東インカレと東日本選手権が連戦となりますがどのように調整していかれますか
今はこの試合に向けてということしか考えていなかったのでこれから考えなきゃいけないと思います。でも2週連続というのは結構辛いというのは分かっているので、でも東日本(選手権)を少しメインと考えながらいい状態にしていきたいです。