小林、チームメートの声援を力に!渾身の演技で最後の舞台へ

フィギュアスケート

 シーズンのトリを飾るバレンタインカップ。観客とスケーターとの距離が近いスケートリンクには、同じジャンパーをまとったチームメートによるエールが響き渡る。ワセダからは、安井ゆり(政経1=豊島岡女子)、古橋遥南(政経2=東京・早実)、そして今大会をもって引退となる小林里紗主将(社4=東京・三輪田学園)が出場した。

 就職活動と競技との両立は決して容易ではない。そんな中でも練習量を増やし、「120%練習して結果をきょうで出せた」と振り返ったのは3・4級女子の小林主将。ひたすら目標に掲げていたアクセルジャンプ、フライングシットを見事に成功させ、自信と誇りを胸に、きょうで表舞台から退く。「以前からずっと心がけてきた」振り付けは、秋季交流戦時よりもダイナミックな仕上がり。中盤、思わぬコンビネーションスピンの失敗に自ら驚く場面も見られたが、チームメートの声援をバックに終始笑顔を絶やさず滑りきった。

笑顔で引退を迎えた、小林主将

 1月末に初級から1級に昇格し、この大会に向けて確実に準備をしてきた安井。ベテラン選手とのレベル差を感じるも、自ら考案したポーズをプログラムに取り入れたり、習得したてのループジャンプにも果敢にチャレンジしたりと次につながる堂々たる演技を披露した。順位は26位であったが、ジャンプ、スピンともにうまくいったと語るように、今持つ力を確実に出し切った。一方、5・6級の古橋は大会1週間前に急遽決まった出場であった。レベルアップすべく、秋以降、重点的に練習を積んできたジャンプやスピンは完璧とまではいかなかったが、表情や一つ一つのポーズのしなやかさには磨きがかかる。大きなミスをすること無くまとめ上げ7位で終えた。

表現力豊かな滑りを披露した、古橋

 ワセダの選手にとってはホームリンクで行われた今大会。朝早くの開催にも関わらず、次期主将の礎良輔(基理3=東京・早大学院)、エースの松嶋那奈(スポ2=東京・駒場学園)らも応援に駆けつけ、3選手の緊張をほぐした。スピンについて「来季はもっと練習して向上させていければいいなと思います。」(古橋)、2級に向けて「できれば5月くらいまでに取りたい」(安井)と来シーズンへの目標を語る古橋と安井。惜しまず努力し続ける後輩たちの姿は、去り行く小林にとっても頼もしく映ったことであろう。

(記事 井上莉沙、写真 川浪康太郎)

結果

▽1級女子

安井ゆり 26位

▽3・4級女子

小林里紗 9位

▽5・6級女子

古橋遥南 7位

コメント

小林里紗(社4=東京・三輪田学園)

――本日を振り返って

ホームリンクでの試合ということもあって、みんながすごく応援してくれて、楽しんで滑ろうと思っていたのですけれども、最初の方は緊張していました。先日、早慶アイスホッケー定期戦のエキシビションに出させていただいたときよりもめちゃくちゃ緊張していて、足がふらついたというか、引っかかりそうになったりしていたのですけれども、目標としていたアクセルジャンプを入れることと、最後のフライングシットがちゃんと決められたので、そこは満足しています。

――今回はこれまでの試合よりもポーズの一つ一つがダイナミックで、気合が入っているように見受けられましたが、いかがでしたか

振りを大きくしようということは、以前からずっと心がけてきたことなので、そう思っていただけたのであればよかったかなと思います。

――笑顔もいつもより晴れやかでした。リンクサイドとの距離が他のリンクよりも近く、声援が届きやすかったためでしょうか

そうですね、はい。アクセルジャンプが決まった後、みんなの歓声がすごく大きかったですし、自分でも決まって感激していたのですけれども、その後にいつもは全然失敗することのないコンビネーションスピンで失敗してしまい、自分でも失敗したことにびっくりして、逆にふっきれたと言いますか、笑えてきました(笑)。面白くて笑えてきてしまって、そこからはきょうで最後ですし、楽しんで滑ろうと思って笑顔で滑り切りました。

――昨年度のこの大会では、普段から120%の練習をして、本番で100%の力を出し切りたいということをおっしゃられていたのですけれども、今シーズン全体を通して120%の練習は積めましたか

きょねん、そんなことも言っていましたね(笑)。そうですね、スケート自体は高校生からやっていたのですけれども、最後のことし一年間が一番今までで練習したということもあって、夏休みも就活しながら一日何時間も練習していて、結構詰めていたので、120%練習して結果をきょうで出せたんじゃないかなと思います。

――最後に、大学での競技全体を振り返っていかがでしたか

元々、ワセダでスケートやりたいと思って入ったので、本当にワセダのスケート部でスケートができたことに感謝しています。

古橋遥南(政経2=東京・早実)

――今大会への意気込みと目標を聞かせてください

本当はこの試合は出られないと思っていて、一週間前くらいに急に出られることになったので準備をしていなかったのですが、短い間でやれることをやって挑もうと思っていました。

――大会の雰囲気はいかがでしたか

ホームリンクなので応援してくれる人も多かったですし、いつも練習している場所なので普段の試合よりは和やかな雰囲気でできたと思います。

――東日本学生選手権(東インカレ)以降はどのような練習をしてきましたか

東インカレ後は一度やる気が出なくなってしまったのですが、そこからもう一度らいねんに向けてジャンプの成功率とスピンのレベルを上げようということを意識して練習しました。

――ジャンプはよく決まっているように見えましたが、手応えは

一個パンクしてしまったのと、緊張してしまって自分でも何をやっているのか分からなかったのですが、とりあえず転ばなかったのでよかったです。

――後半は笑顔が目立ちましたが、表現面はいかがでしたか

少し硬くなってしまったと思ったのですが、それでもみんなが応援してくれていたので最後は笑顔でできました。

――今季を振り返って

今季はそこまで大きなミスはなかったのですが、小さいミスで点数を引かれてしまったりだとかスピンでレベルを取れなかったりだとかが響いて順位につながってしまったので、来季はもっと練習して向上させていければいいなと思います。

安井ゆり(政経1=東京・豊島岡女子)

――今大会に向けた意気込みは

1月29日のバッチテストでようやく1級を取ることができて、普通大会というのは出るだけではなく順位を狙うものだと思うのですが、私はこの大会に出ることを目標としていました。なので、出るだけで一つ目標は達成されていました。でも新しいジャンプとかシットスピンとかを入れたくて、この大会のためにもテストから2週間くらい頑張りました。

――1級に上がって最初の大会でしたが、気持ちの面で変化はありましたか

初級は始めて半年くらいの人も取れる感じなのですが、1級は私も二回落ちていてきちんと技ができないと取れない級ということで、それを取れたということで自信にはなりました。同時に1級に上がるともうすぐ2級を取れる先輩方、今回も4年生の先輩方がたくさんいらして、そういう方は私がいまから習得しようとしている技をできたり完璧にしていたりするので、そういう人たちと取れたてほやほやの私が戦うのかということで大変不安ではありました。

――今回はホームリンクでの試合でしたがいかがでしたか

普通はもっと観客と距離があるのですが、今回は長い辺に先輩たちや友達がいて、ホームリンクであると同時にそういういつもと違う応援があったので励まされました。

――秋季交流戦以降は具体的にどのような練習をしてきましたか

交流戦以降は授業が忙しくなって週2、3回くらいしかリンクに来られないこともありました。ですが、1月の後半から2月の頭にかけていろんな大学さんやOGさんが開催してくれる合宿に二回参加して新しい技を習得し、曲かけの回数を増やそうと思って頑張りました。

――きょうの演技についてですが、ジャンプはいかがでしたか

3本目のジャンプでループジャンプを跳ぼうとして、でもそれは2月の5日くらいにやっと踏み切れるようになったくらいのジャンプで、跳べたらラッキーというかたちでチャレンジしました。あとのジャンプはまあまあ決まったかなという感じです。

――一方、表現面はいかがでしたか

新しいエレメンツに挑戦すると、どうしてもほかのところで点を取らなければということになるので、ステップのところで手の振りを自分で考えたり最後のポーズであったり、相対的に表現面は頑張ろうと思っていましたし、あまり失敗することもないのでうまくいったかなと思います。

――最後に、今後に向けた意気込みを聞かせてください

次にバッジテストで級を取るとしたら2級なのですが、2級になると使える曲の長さがいままでの二倍の2分になってやりたい曲も薄々決まっています。2級は取るのが大変でまだ跳べないジャンプも特訓してから臨まなければならないので、できれば5月くらいまでに取りたいという目標を持ちつつ、後輩もできるのでその人たちにも誇れるような練習量だったり結果を残していけるように、春休みということでなるべくリンクに来る回数も増やして練習を頑張りたいと思います。