東京六大学秋季リーグ戦 11月12日 明治神宮野球場
※掲載遅れ、申し訳ございません。
秋晴れ空のもと、早大野球部の運命を占う優勝決定戦が開幕した。斎藤佑樹(平23教卒=元日本ハム)を擁した2010年秋以来の優勝決定戦。平日とは思えないほどの大盛況で、応援席は満員。前週の早慶戦では屈辱的な敗戦を喫したが、「絶対に優勝をつかみ取る」という強い意志をもち、臨んだ応援部の勇姿を振り返る。
13:00。試合開始の合図が鳴り響いた。守備回から始まった1回。表では、『樹コール』が鳴り響く中、 先発の伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)が初回から全力投球で明大打線を封じる。早大の攻撃になり、郷田悠生代表委員主務(文4=岐阜・麗澤瑞浪)が「早慶戦のことはなんにも覚えてない。今日勝ったら、優勝。明治には今シーズンすでに2勝している!勝つのは絶対早稲田だ!」と学生注目(学注)を観客席に投げかけ、「絶対に勝つぞ」という空気が漂う。しかし、明大の毛利(3年)の投球により三者凡退に終わる。
マウンドに向かってエールを送る郷田
2回。回曲である『ザ・チャンス』につられたかのように、早大にチャンスが訪れる。印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)から始まり、前田健伸(商3=大阪桐蔭)、小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)が着実につなぐ。リーダー7名によって繰り広げられる『コンバットマーチ』はまさに圧巻。そんな中、中村敢晴(スポ4=福岡・筑陽学園)が左前適時打を放ち貴重な先制点をあげた。応援席が一体となり、『紺碧の空』を合唱した。
しかし、明大打線も黙ってはいない。4回表。明大の直井(4年)が低めの球を打ち、三内野安打を放ち、明治の応援団の熱狂が早大の応援席まで聞こえてくる。5回表では、チアリーダーズによる毎回恒例の『ウィーアー』が披露される。そんな中、小島(3年)の右中間を破る二塁打により窮地に追い込まれる。だが、後続を伊藤が抑え、早大の攻撃に。
『ウィーアー!』を披露するチアリーダーズ
カラーガードで応援席を彩る吹奏楽団の部員たち
二星太誠学生動員対策責任者兼広報責任者(商4=東京・三田)が「どうやって勝つか、パインアメを食べて勝つぞ!」と応援席を鼓舞。『GO GO 翼』という歌詞とともに、右翼手の頭上を越える二塁打を放ち、再びチャンスが訪れる。続く印出主将、前田により1死満塁に。二星の1番好きな応援曲である『雷轟』で野球部を後押しする。その後、小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)が『コンバットマーチ』が鳴り響く中、2点適時二塁打を放つ。早大応援席は『紺碧の空』でマウンドにさらなるエールを送る。応援席の想いが届いたかのように、石郷岡大成(社3=東京・早実)の適時打で1点を追加し、この回二度目の『紺碧の空』の大合唱が巻き起こる。
喜びを分かち合う星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)と植木建開副将兼リーダー主務(人4=愛知・千種)
その後も、伊藤による好球が続くが、明大投手陣も応戦し、両者譲らない展開が続く。両者得点のないまま、8回へ。リーダー4年生全員による『紺碧の空』2番は、足音まで揃い、優勝決定戦に変える想いが全て詰まっていたような気がした。そして、運命の9回表。紺碧の空をアカペラで合唱する。もう残るはアウト三つ。期待感と熱気が応援席を包み込む。『樹コール』『ナイスプレーコール』が鳴り止まない。緊張感の漂う中、最後の一球。明大打者は空振り三振に終わり、見事優勝を掴み取った。
優勝が決まり、マウンドの野球部に拍手を送る郷田と横田圭祐新人監督兼稲穂祭実行委員長(人4=東京・成蹊)
優勝を決め、歓喜に満ちあふれた早大応援席。早慶戦後には、「とにかく悔しかった」と応援部員は口をそろえて語っていた。彼らの悔しさは優勝決定戦での活気に満ちた応援に確実につながっていた。東京六大学野球リーグ戦、春秋連覇を果たし、次に待ち受けるのは明治神宮野球大会。春に叶わなかった日本一の景色を4年間の集大成として、野球部とともに見届けてほしい。
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(記事 井口瞳 写真 橋本聖、飛田悠那)