稲穂祭 11月6日 大隈記念講堂
第71回稲穂祭が11月6日(水)に大隈記念講堂にて開催された。東京六大学野球秋季リーグ戦の早慶戦の前夜祭として行われた。平日の夕方にも関わらず、早慶両校のOB、そして応援部に所属している高校生など、多くの観客が集まった。
18時00分。講堂の照明が落とされると5本の旗がステージを囲んだ。迫力満点の校旗掲揚から稲穂祭が始まった。そんな荘厳な雰囲気から一変、「応援団芸人トークショー」と題し、終始和やかな雰囲気で第一部が執り行われた。まず初めに登場したのはしまぞうZさん(早稲田大学応援部平成13年度リーダーOB(吉本興業所属))第60回稲穂祭に出演した際の話を織り交ぜながら、緊張感のあった会場を和ませた。早慶コラボレーションということで、続いては梅田元気よくさん(慶應義塾應援指導部(現:慶應義塾体育会應援指導部)平成29年度旧リーダーOB(プロダクション人力舎所属))も登場し、当時の稲穂祭を振り返ったり、応援部から芸人になった理由など、観客の興味を惹きつけた。
第二部では早稲田大学応援部と慶應義塾体育会應援指導部による応援合戦が始まる。始めに、両校の校旗が舞台上へ入場。『都の西北』に合わせて舞台上に掲揚されたのは福田旗。続いて、慶應義塾の塾旗が掲揚される。両校誇りの校旗が舞台上に所狭しと並ぶ様子に、観客たちも息を呑む。続いて、横田圭祐新人監督兼稲穂祭実行委員長(人4=東京・成蹊)による挨拶が行われ、「伝統の一戦である早慶戦に全てをぶつける。慶應に2連勝し、完全優勝、そして神宮大会では日本一を目指す」と意気込んだ。続いて、披露されたのは応援席の内外野で歌われる『早慶讃歌』。センターリーダーは植木建開副将兼リーダー主務(人4=愛知・千種)。互いに今週末の「華の早慶戦」に向けて健闘を祈った。その後も両校応援歌が『若き血』『紺碧の空1番』『我ぞ覇者4番』『ひかる青雲1・2・4番』のように交互に演奏される。リーダーが繰り広げる、重厚なテクに観客も圧倒される。続いては平成5年、早慶戦90周年の際に作られたという『Blue Sky WASEDA/KEIO』。校名以外歌詞が同じというこの曲。センターリーダーを務めたのは郷田悠生代表委員主務(文4=岐阜・麗澤瑞浪)。應援指導部員と向かい合ってテクを振りあう姿が見られるのは稲穂祭だけであろう。「打倒早稲田慶應/慶應早稲田」と文字切りを見せた後、慶應義塾体育会應援指導部による「慶應義塾チャンスパターンメドレー」へ。「打倒早稲田」スペシャルバージョンが披露された。息の揃ったパフォーマンスで会場も一丸となる。
第三部では、野球部壮行会が行われた。野球部・印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)が壮行会開催への感謝を述べるとともに、「慶應を圧倒し、勝利を分かち合うために戦う」と完全優勝のかかった早慶戦への意気込みを語る。星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)が印出主将に記念品を手渡した。「第2の日本国歌」とも言える早稲田大学校歌を星野を中心として斉唱。
その後、早稲田に栄光をもたらした応援曲に『新人哀歌』、『Viva WASEDA』を加えたスペシャルメドレーを披露。 実行委員長である横田の「華の幹部になってやる」という歌い出しの中、今までを振り返る映像とともに、『新人哀歌』が流れる。映像が終わり、高らかなメロディとともに星野主将、二星太誠学生動員対策責任者兼広報責任者(商4=東京・三田)、植木副将がセンターリーダーを務め、『Viva WASEDA』を披露。キレのあるテクと生演奏のバンドに観客もハリセンで応戦する。勢いそのままに吉田成ノ真旗手(法4=埼玉・早大本庄)が登場。白熱した学注(学生注目)を魅せる。「(明治が法政に勝ったことで)俺たちは自分たちの手で優勝を掴める、そして(野球部)たくさん素敵な景色を見せてくれてありがとう」と野球部を鼓舞した。
その後も定番の『F4〜大進撃』『ファイトコール』『ダイナマイトマーチ』『SUNRISE』『暴れん坊早稲田』『スパークリングマーチ』『雷轟』など応援席にいるかのような演目で、観客たちもハリセンを叩いて盛り上げる。最後に披露された学注では横田が「このステージでめちゃくちゃ力が湧いてきた、熱気をこのまま神宮に持って行こう!」と観客、野球部に投げかける。フィナーレとして、リーダー4年生8名と豊島悠(教3=神奈川・桐蔭)による『コンバットマーチ』が披露された。「揃えることを意識した」という突きは彼らの努力の賜物だった。 「絶対勝つぞ早稲田」の文字切りを行い、興奮冷めやらぬまま、第71回稲穂祭は幕を閉じた。
フィナーレまで力強い応援をし続けた早稲田大学応援部。『新人哀歌』の歌詞でもある通り、「華の幹部になってやる」と必死にもがき続けてきた4年間。そしてその集大成とも言えるような早慶戦を迎える。そんな集大成に相応しい、稲穂祭だったのではないだろうか。稲穂祭での熱気をそのままに、明治神宮野球場でもアツイ応援を繰り広げて欲しい。
(記事 井口瞳 写真 土橋俊介、橋本聖)
※コメントは優勝決定戦後に追記いたしました。
コメント
横田圭祐新人監督兼稲穂祭実行委員長(人4=東京・成蹊)
―― 稲穂祭を終えての率直な感想をお聞かせください
まずは無事終わったなという安心感です。あとは、このステージに込めた想いがどれほど見に来てくれた人に伝わっていたのか、このステージをきっかけに週末の神宮に来てくれるかなという不安も少しあります。
―― 稲穂祭実行委員長としてどのようなお気持ちで当日を迎えましたか
ついにこの日が来たかという感じで、準備段階から色々と大変なことも多く当日もバタバタしていたので、気づいたらあっという間にやってきてしまった印象です。あとは当日までは全然だったのに、当日になると変な高揚感というか、なんというかで緊張していました(笑)。
ーー新人哀歌の入りがすごく印象的でした、どのような思いでこの曲を選びましたか
新人哀歌は絶対に曲目に入れようと思っていました。僕が1年生だった際に初めて稲穂祭で新人哀歌を歌って、本当に感動しましたし、この一年頑張ってきて良かったなと思ったので今の新人にもそれを味わって欲しいなと。あとはシンプルに良い歌だなと、歌詞が良くて4番の歌詞とか本当にリーダーの心情を表している部分が特に好きです。リーダーの歌として稲穂祭とマッチしているので迷わず選びました。
―― 学注に込めた思いを教えてください
正直、全部アドリブでしゃべりながら考えてました(笑)。というのも、学注の中でも言ったように当日になっても何を言おうか全然思い浮かばず…。とりあえずこの稲穂祭の熱気を感じてそのまま早慶戦に来てほしいという今年の稲穂祭のテーマを伝えたいなというのは漠然と考えていましたが。結果的に、学注の前のチア同期全員とのコンバット一周でいい感じに自身のボルテージが上がりきって、あの言葉たちが出てきたので良かったなと思います。野球部、応援部、観客の全員で早慶戦にのぞむ、「チーム早稲田」の思いも伝えられたのかなと思います。
―― 稲穂祭に来ていただいた観客や、にメッセージをお願いします
今年の稲穂祭のテーマは先ほども書いたように、「稲穂祭で感じた熱気をそのままに神宮に来てもらう」ということで、あえて応援曲メドレーを最後に持ってくるなど構成も色々と工夫しました。
早慶戦でも、稲穂祭もみたよという人も多くいて、嬉しかったです。早慶戦ではまさかの2連敗を喫してしまいましたが、結果的に優勝できたので稲穂祭も無事やり切ったってことで良いかなと思います!