第3回は、杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)、小原彩理(スポ3=東京・成蹊)、江頭理沙(スポ2=東京・ICU)の3選手。先輩への尊敬、後輩への優しさが伝わる温かい雰囲気での対談となった。さらに、公式戦最後となる4年生への溢れる思いを熱く語ってもらった。
※この取材は10月20日に行われたものです。
――自己紹介をお願いします
杉浦 スポーツ科学部3年の杉浦亜優です。ポジションはポストだったんですけど、今は右バックもやらせていただいています。
江頭 江頭理沙です。2年生です。スポーツ科学部です。ポジションは右サイドをやらせていただいています。
小原 スポーツ科学部3年の小原彩理です。ポジションはサイドをたまにやらせていただいています。
――右隣りの人の紹介をお願いします
杉浦 彩理とは3年目なんですけど、本当に優しくて、いつも自分のことよりも周りのことを考えていて、たまに自分も見えてないぐらいなんですけど、それぐらい周りに気をつかってくれているので、結構彩理の周りは幸せな人がいっぱいです。あと、ハンドボールでいうとすごく努力家なので、いつも残ってシュートの練習をしています。大学からハンドボールを始めたんですけど、色々なことを聞いてくれるし、疑問に思ったことをちゃんとすぐに解決しようというそういう心が素晴らしいと思います。
江頭 亜優さんは、個人的な話になってしまうんですが昨年よりも今年になって話す機会がすごい増えて。ハンドのこともすごいアドバイスをくれて、気にかけてくれています。練習外の時も結構今年になって相談というか悩んでいたら気づいてくれて、すごく今助けられています。
小原 理沙とは1年生の時からよく一緒に自転車で帰るので、話す機会が多いんですけど、今も変わらず入学当初からずっとマイペースな感じです。でもそれを良い意味で、物怖じしないでチャレンジして、すごく頑張ってるなと思っています。みんなの懐に入るのがすごく上手なので、先輩も後輩もスタッフもみんなにコミュニケーションをしっかり取って、チームにとってみんなを繋いでくれるような存在だと思っています。
――左隣の人の第一印象ははいかがでしたか。一緒に活動してきて変わった部分などがあれば教えてください
杉浦 理沙の第一印象は本当に細くて。でも部活に入ってくれてありがとうという気持ちがが強くて。すごい面白い子が来たと思いました。総じて(笑)。細いので大丈夫かという心配も多かったんですけど、夏山さん(夏山陽平コーチ、平21年スポ卒=神奈川・法大第二)に「食え」とか「ウエイト頑張れ」というのを言われた時に、一切ひねくれないで向上心を持って頑張っているところがすごいし、感化されるなと思います。
江頭 私が他大学に行くか、早稲田のハンドボール部に入るか悩んでいた時に、1回練習にお邪魔させてもらったことがあって、彩理さんはただ勧誘してくれたのではなくて、その時にすごい真剣に話を聞いてくれました。部がどんな感じなのかとかを教えてもらって、それが結構自分が最終的に入るか入らないかを決める時の要素だったので、最初はすごい真面目に話してくれる先輩みたいな印象でした。高3の時に、早慶戦を見に行って、その時に彩理さんが点を決めた時のみんなの盛り上がりを見て、良いチームだなって思ったので、良い部活だなと最初に思えたのは多分彩理さんが大きいと思います。ただ今はなんかちょっと雑に扱われている気がして(笑)。
杉浦 仲が良いからだよ。
江頭 バイト帰りとか私がまだ東伏見に残ってたら一緒に帰ってくれるし、 私がチャリない時は、一緒にチャリあるのに彩理さんは歩いてくれて、仲良くしてもらっています。
小原 亜優は、初めて会ったのが私が体験入部に行った1年生の5月ぐらいだったんですけど、もう分かる通り最初からあまり壁がないというか、一番話しかけやすくて、最初から松ヤニの箱を使ってモノマネとかもしてくれて。松ヤニが黄色くてねちょねちょして、ハチミツに似ていてるからプーさんのモノマネとかしてくれました。それが私の中では鮮明な第一印象です。こちらからしたら、全国で1番取っているし、めちゃくちゃビビって見学に行ったんですが、すごく良くしてくれた同期なので大変感謝しています。今の印象としてはまあ赤ちゃんのような面も見えつつ、でもやはり練習中は顔が違うので、特にキャプテンがいない日とかはすごくみんなを引っ張ってくれています。やはり1年生からずっと試合に出てるからすごく頼もしくて、かっこ良い同期だなと思っています。
江頭 私もそれ言いたかった。本当に今、すごい頼もしくてすごい引っ張ってくれています。
杉浦 照れちゃいますね。でも顔が違うって、濃いってことでしょ。
小原 そう、練習中は顔が濃くなるんですよ。
杉浦 彫りが深くなるんですよね(笑)。
「新しい環境の中でどれだけ自分ができるかというのを試せるリーグだった」(杉浦)
――秋リーグはご自身にとってどのようなリーグになりましたか
小原 みんなのそれぞれの力がすごくて、1試合1試合でみんなが成長してるのが目に見えて、すごくうれしかったし、自分も頑張らなきゃと思ったリーグでした。キャプテンもちろんたくましい背中を見せてくれたし、同期ももう3年生なので頼もしかったし、下級生もみんなすごくいっぱい声を出して、ボロボロになりながら頑張ってくれていたので、すごく良いチームだなと思っていました。
杉浦 私にとっての秋リーグは挑戦したリーグでした。やはりずっとポストをやっていたんですけど、初めから右バックで出させてもらうことになって、景色が全く違うんです。いつもはみんなの顔が見えてるんですけど、 右バックに入ると自分の前とか横しか見えなくて。その新しい環境の中でどれだけ自分ができるかというのを試せるリーグだったかなと思います。それで実際やってみて、最初は結構通用したんですけど、対策とかをされるとなかなかうまくいかないというのがあって。その中でも自分が悪い時に周りが助けてくれて、そういうチーム力が上がったなと思うリーグでした。
江頭 秋リーグ始まる時に紗由さん(山野紗由、スポ3=北海道・釧路江南)が出れるかも分からない状態で、国士舘大戦で勝てるか勝てないか、そんなに早稲田に分配があるわけではなかったんですけど、 初戦の国士舘大に勝てて、しばらく勝てて良い流れはきたと思っていました。ただ、日体大戦で悪い負け方をしてしまって、そこから負けも増えてはしまったんですけど、2年生がたくさん試合に出ていてふと周りを見渡すと同期が多くて、なんかそういう意味では初めて見る光景でうれしかったです。それでもチームとしては、課題が残るリーグだったかなと思います。
――他の2年生の選手からは同期が多くやりやすさもあったという話がありましたが、その点はいかがですか
江頭 そうですね。まず、同期だと敬語を使わなくて良いので。
一同 (笑)。
江頭 やりやすかったです。本当に試合でみんな頑張っていて。同期が多くてびっくりしたし、やりやすかったし、驚きが多かったです。
――秋季リーグを振り返って、印象に残っている試合や自身のプレーなどがあれば教えてください
江頭 良い意味で印象残ってるのは、初戦の国士舘大戦で、国士舘大に対して、自分が思ってる以上に合宿の時とかも夏山さんが「初戦の国士舘大戦で絶対に勝たないと」という感じだったので、夢にも出てくるぐらい、自分が思っている以上に意識していました。だから初戦に全部出そうという気持ちでいて、その時はディフェンスもセンターとの駆け引きもうまくいった方で、シュートもそんなに悪くなかったと思います。最後接戦だったんですけど、勝ち切れたことと、自分の体力が60分持ったことがなかったのでどこまで力を出せるか分からなかったんですけど、60分走れて自分で自分にびっくりしました。初めてチームにちょっと力になれた気がしたのが初戦でした。悪い意味で印象に残っているのが東海大戦と桐蔭横浜大戦です。桐蔭横浜大戦は、シンプルに自分のシュート確率がすごく悪くて、前半はディフェンスもフリースローを取ったりして自分側でやられることなかったんですけど、オフェンスが崩れた時にディフェンスもちょっとずつ崩れ始めて、本当にシュートが入らなくなってしまって。どこに打てば良いのかも分からないけど、左利きで出させてもらってるからには打ち続けなきゃと思って打ち続けましたが、1本しか入らなかったという試合でした。東海大戦は、前半8点差ぐらいで負けていて、後半折り返してももさん(木村百花主将、スポ4=東京・白梅学園)も亜優さんもいない中、みんなもその分頑張ろうという気持ちがあって追い上げられたんですけど、やはり自分はその流れに乗ってシュートが入らなかったし、負けて悔しかったです。
杉浦 私は右バックでアウトカットしかできないんですけど、それを結構スピードを持って思いっきりできたのが良かったなと思います。 どの試合も結構いけて、7メートルか得点までに繋げられたので、そこは良かったと思います。印象に残ってる試合は、桐蔭横浜大戦です。最初バックで入っていて、途中でポストに切り替わったんですけど、ポスト切り替わった時に4連続くらい決めることができて、やっぱりポストって好きだなと思って私は結構印象に残っています。シーソーゲームで、あまり内容は良くなかったですが、最後1点でも多く取るという風に勝ち切れたことが良かったなと思う試合でした。
小原 印象に残っているのは東海大戦かなと思います。東海大戦は、2年生の萌奈(井橋萌奈、スポ2=東京・白梅学園)が足をつってしまってたまたまベンチに私しか出られる人いなかったので、少しだけ出たんですけど、競った展開の中で試合に出させてもらったのが初めてだったので、自分の守れなかった1点とか取れなかった1点が勝敗に結構直結するみたいな場面が初めてで、そのプレーの重さをすごく痛感した試合だったなと思います。すごく悔しかったけど、体験できたことはすごくありがたいことだと思っているので、次に繋げていけたらなと思って練習しています。
――秋季リーグで活躍した選手、成長したと思う選手を教えてください
江頭 里村采音(商2=岩手・不来方)です。采音にボールがサイドで回ったらその瞬間に「1点入った」と思ってしまうぐらい安定していて、同じサイドからしても上手だし、あそこまで安定して入るのは羨ましくて、左側の得点力がすごいから、右も得点力上げないとといつも采音を見て思います。春もそうなんですけど秋も安定していて、 采音が入りまくったらサイドですごい点数を稼げて、良い試合運びになると思います。
杉浦 私はキャプテンのももさんです。リーグ通してけがとかもあって大変だったと思うんですけど、 結構オフェンス面で鋭いサイドシュートを決めてくれるし、4年生最後のリーグだと思うので、気持ちのこもったプレーでねじ込むじゃないですけど、果敢に前を攻めて点を取ってくる姿がすごく印象的だったので、頼もしいキャプテンだなという風に感じました。
小原 全員それぞれ思い返していて、それぞれについていっぱい話したいことあるぐらい本当にみんなすごかったんですけど、 ここにいる亜優です。亜優は、夏からポジションを変えたこともあって、ポストと右バックだともう反対側を向いてるから、さっき言っていたように全く景色が違うしやることも全然違うんです。その中で自分に与えられた役割を全うするとかのレベルではなくて、プラスアルファでポストだからこそできる働きをしていて「すごいね」といつもベンチで話していました。
「4年生がすごく色々してくれたから今がある」(江頭)
――4年生と戦う最後の公式戦になりますが、4年生との思い出はありますか
小原 まずはももさんの話から。ももさんは特に昨年の今頃とかは、けがもあって急にたくさんの環境が変わって、ももさん自身がすごく大変な時期だったと思うんですけど、その中でもみんなのことをずっと見続けてくれて、必要な時に声をいつもかけてくれていました。大きな出来事というよりも、日常の練習後に自主練していたらちょっとボールを持って一緒にやってくれるとか、そういうのがすごく印象深いです。
江頭 今年の4年生への思いは代が変わった時からずっとありました。高2時にも1回実は練習に参加させていただいていて、その時今の4年生が1年生で、ももさんとか桃虹さん(山本桃虹、スポ4=東京・佼成学園女)がすごい優しくて、 全然ハンド経験も筋肉もなにもない自分にハンドをすごい教えてくれて。私ができないから入っても入らなくてもどちらでもいいやとかではなくて、ずっとその日教えてくれてすごい楽しかったと思えたのは2人ののおかげだし、入りたいって最初に思えたのもその時でした。マネージャーさんたちにもメール上とかでお世話になって、4年生がすごく色々してくれたから今があるという感じです。文乃さん(鶴田文乃副将、スポ4=山梨・日川)は、最近一緒にいすぎて何を話せば良いか分からないんですけど、文乃さんは1年生の時からすごい気にかけてくれて。 あまり文乃さん自身が人にアドバイスを言うタイプではですけど、私がみんなと練習合流して全然うまくいかないかった時に、シュートのアドバイスとかをくれて、そこでまず仲良くしてもらいました。最近では熱海に行ったり、いっぱい練習外でも遊んだり仲良くしてくれていて仲良い先輩です。春休みは、試合がないので直近のモチベーションも作りにくいし、自分自身もうまくいかないとネガティブになってしまうことがあったんですが、いつも今年のインカレのことを想像してチームの力になりたいし、ここでめげたらダメだと思いながら、練習していたのでインカレは本当に頑張りたいです。
杉浦 私は1年生から試合に出させてもらっていて、その時にももさんもサイドで出ていたんですが、1年生の夏の時にももさんがけがされちゃって、私がその時に1年生なのに偉そうに言った言葉を覚えてるんですけど「ももさんがいない分私頑張るので早く戻ってきてください」って言ったんです。その後ももさんがキャプテンになって、試合に戻って一緒に出れるようになって、1年生の時から1個上の先輩ですごい頼もしいなという風に思っていたので、その方と一緒に出るのが私はすごくうれしかったです。今もけがされてて大変な状況にはあると思うんですけど、最後の試合なので最後までたくさん点取ってもらいたいなと思います。偉そうにすみません。マネジャーさんたちはすごい可愛いじゃないですか。なんでこんな可愛い人がマネジャーで、私たちはこうプレーできたり、色々な身の周りのことをしてもらえたりしているんだろうと私が入学した時からずっと思っていて、ありがたいなと思っています。特に茜奈さん(登茜菜、スポ4=静岡・浜松西)は住んでいる駅が一緒で家も近いので、その駅を開拓しようと言ってたくさんご飯連れて行ってくれるのですごく良い人です。
「自分にできることとそれを一歩超えたちょっとだけを」(小原)
――インカレでの早稲田のキーマンを教えてください
江頭 4年生はもう最後だし悔いなく頑張ってほしいというので、4年生は前提としてあります。あとはキーパーの夕莉(作本夕莉、スポ2=福岡・明光学園)です。夕莉はすごい上手なのになぜか自信がない人で、いつも気持ちもネガティブなんですが、インカレではもっと自信を持っていっぱい止めてほしいです。キーパーが止めると盛り上がるので、同期でもある期待を込めて夕莉にします。
小原 ここはやはりキャプテンにしたいと思います。キャプテンは背負ってるものも大きいけど、それを全部背負った上で、本当にもう爆発力のある選手だなといつも背中を見てるので、そのかっこいい背中を最後目に焼き付けたいと思います。
杉浦 私も4年生と言いたいところなんですが、山野さんをあげたいと思います。山野さんは手をけがしたんですが、それをもう超人的な回復力で直してリーグに合わせてきてくれました。ただ、けがの時間が長かった分自分でもうまくいかないとずっと彼女は思ってるんですけど、インカレではそこを乗り越えて、本来彼女が持ってる実力を発揮して色々なプレーを見せてくれると思います。
――最後にインカレへの意気込みをお願いします!
杉浦 4年生とできる最後の大会なので、組み合わせ的にも東女体大戦が山場になると思うんですけど、勝ったら結構 この大学ハンドボール界でも面白い展開になるというのは、監督、コーチもおっしゃっていたので、 チャレンジャーの精神で食いにいけるように、私は下から支えたいなという風に思います。
江頭 最近ずっとサイドシュートが悪かったので、それを挽回できるくらいくらいのシュートを打ちたいです。ディフェンスもチャレンジして、絶対消極的にならないようにプレーしながら、できるとこまで勝ち続けて4年生と多く時間を過ごせるように頑張ります。
小原 私はいっぱいどこまででも勝ってほしいので、今までは自分にできることをとにかくやるというスタンスだったんですけど、4年生もこれでラストなので、自分にできることとそれを一歩超えたちょっとだけを頑張って、どんなかたちもいいので貢献できるように頑張りたいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材、編集 片山和香、大村谷芳、三浦佑亮)
最後にインカレへの意気込みを書いていただきました。3人は「チームチャリ通」ということで、「ギア全開」といううまく掛けた言葉を考えてくれました!
◆杉浦亜優(すぎうら・あゆう)
2003(平15)年4月25日生まれ。164センチ。愛知・名経大市邨高出身。スポーツ科学部3年。最近はアルバイトに尽力しているという杉浦選手。常連さんにもらうカヌレやドーナツなどの差し入れをおいしく食べることが楽しみだそう。広島でもおいしいスイーツを食べて、杉浦選手らしい大きなガッツポーズに期待です!
◆ 小原彩理(おはら・あやり)
2003(平15)年9月12日生まれ。164センチ。東京・成蹊高出身。スポーツ科学部3年。文武両道を体現し、今季GPA4.0を目指しているという小原選手ですが、後輩からは「無謀な挑戦」との声も。そんな意見を吹き飛ばすことができるような嵐をインカレで巻き起こしてくれることでしょう!
◆ 江頭理沙(えがしら・りさ)
2004(平16)年11月10日生まれ。161センチ。東京・ICU高出身。スポーツ科学部3年。家ではずっとテレビを見ているという江頭選手。最近は「世界の果てまでイッテQ!」ファンとして”あの方”の復帰がうれしかったそうです。笑いを力に変えて、インカレでも右サイドからの華麗なシュートが見られるはずです!