「今季、最も悔しい敗戦」。慶大撃破ならず

水球男子
TEAM 1P 2P 3P 4P
慶大 18
早大 10
▽得点者
都田3、中村3、曵地2、樋爪、岡田

 『陸の王者』が、水上でも牙をむいた。今年は千葉県国際総合水泳場での開催となった第93回早慶対抗水上競技大会(早慶戦)。今年、早大は慶大と既に関東学生リーグ戦で一度対戦しており、その時のスコアは9-9の引き分け。「今シーズンは慶大に勝利を収めていなかったので、何としてでも勝とう」(樋爪吾朗主将、スポ4=埼玉栄)と意気込み十分に臨んだ早大だったが、第1ピリオド(P)から6点を失ってしまう。その後も試合は慶大ペースで進み、第1Pで背負ったビハインドをひっくり返すことはかなわず。最終スコアは10-18で、2年連続の早慶戦優勝とはならなかった。

 

試合前の円陣

 試合はいきなり動いた。慶大の最初の攻撃で曵地孝太郎(スポ1=埼玉・秀明英光)が退水(※)をとられて数的不利の状態になると、正面からのシュートが決まり、慶大に先制を許す。1点を追加され迎えた第1P2分、早大はパスを受けた岡田遼(社3=石川・金沢市工)が遠めからシュートを突き刺し、食らいつく。しかしその後はカウンターなどから慶大に4連続得点を与え、一気に点差を広げられる。早大は終了直前に曵地のゴールで1点を返すにとどまり、2-6で第2Pへ。第2Pではまたも開始早々に得点が生まれる。ゴール正面で中村大智(スポ1=埼玉・秀明英光)が巧みなシュートフェイントを見せ、マークがゆるくなった左サイドの都田楓我(スポ2=鹿児島南)へパス。これを都田が確実に決めると、第2P3分には、中村が後ろから来る浮いたボールを振り向きながらゴールへと押し込み、1点を追加。その後早大は、中央へのパスをことごとく防がれ思うように得点を重ねられない中、守備でも「落ち着きを欠いた状況で、対策していた守備戦術を上手くかみ合わせることができなかった」(樋爪)。結果的に第2Pでは早大の2点を上回る3点を奪われ、4-9で前半を折り返した。

 

ゴールを狙う樋爪

 前半を終えて5点という大きなビハインドを背負った早大。「4点以上の差は想定外だった」(杉山哲也監督、平21人卒=埼玉・伊奈学園総合)。第3Pに入っても早大は流れを変えられず、序盤から2失点。ここで杉山監督はたまらずタイムアウト。「後先考えず攻撃するしかないと伝えた」(杉山監督)。その後は樋爪にゴールが生まれ盛り返すが、第3P5分には相手の退水というチャンスでまさかのパスミス。攻勢を強めていたということもあり、相手のカウンターを止められず1点を献上。その後は互いに点を取り合い、第3P終了時のスコアは6-14。このままでは終われない早大だったが、最終第4Pも慶大の猛攻はとどまることを知らず、4失点。中村の2ゴールなどで早大も4得点を挙げたが、やはり第1Pで慶大に与えた流れ、失点が大きく響き、10-18で試合終了のブザーを迎えた。

 

試合後の中村。敗北を示す電光掲示板を見つめながら唇をかみしめた

 「前半で勝負がついてしまった」(杉山監督)。相手の退水を生かした攻撃やミドルシュートで効果的に得点を重ねた慶大に対し、「相手の勢いに押されて自分たちのミスが多く目立った」(樋爪)早大。前半で背負った5点のビハインドは、この日の早大に重くのしかかり、慶大を勢いづけるには十分すぎるものだった。しかしチームには明るい材料もある。1年生の中村と曵地が揃って複数得点を挙げ、樋爪は「チームとしても強みになる」と前を見据えた。この敗戦は、きっと早大を強くする。誰よりも勝利を渇望する早大は、次なる日本学生選手権の舞台で大暴れする姿を見せてくれるはずだ。

※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

  

(記事 長村光、写真 小山亜美、長村光)

※掲載が遅くなり、申し訳ございません。

 

コメント

  

杉山哲也監督(平21人卒=埼玉・伊奈学園総合)

――今日の試合、どのような戦略で臨まれましたか

慶大の戦略を想定した対策を検討したのと、こちらの強みを発揮できる戦略を話し合い、練習してきました。

――試合を振り返っていかがですか

正直大敗です。ゾーンディフェンスを主体とし戦術の中で相手のミドルシュートが想定以上に決まってしまいリズムが崩れてしまったと思います。個人プレーでも失点が重なり前半で勝負がついてしまいました。

――学生リーグでの慶大戦と同様に、前半でリードを許す展開になりました。その点はいかがですか

1、2点のビハインドであれば焦る必要はないのですが、4点以上の差は想定外でした。

――第3ピリオドでのタイムアウトでは、どのような声かけをされたのでしょうか

点差を詰めなければならない場面において連続失点したことから、勝つためには時間も限られているため後先考えず攻撃するしかないことを伝えました。

――今日の試合で得た収穫と課題を教えてください

昨年度は各大会で目標を達成していたため、悔しい結果が少なかったです。今季、最も悔しい敗戦となり、インカレでも慶大へのリベンジが叶わないことから次年度でのリベンジを誓いました。

――日本学生選手権に向けてどのような準備をしていきますか

慶大へのリベンジは来年度とし、気持ちを入れ替えまずはベスト4に入ること。その上で最も重要と考える準決勝対策に向けた準備を行っていきます。

樋爪吾朗主将(スポ4=埼玉栄)

――主将として試合前には何か声かけはされましたか

今シーズンは慶大に勝利を収めていなかったので、何としてでも勝とうと声がけしました。また、直前に競泳部門が出場できなくなったこともあり早大水泳部の代表として戦おうと話しました。

――樋爪主将にとってはこれが最後の早慶戦であり、様々な思いがあったと思います。どのような気持ちで試合に臨まれましたか

私が入学した年から2連敗していたこともあり、絶対に通算成績で負け越したくはないと思っていました。

――試合全体を振り返っていかがですか

相手の勢いに押されて自分たちのミスが多く目立ったと思います。また、落ち着きを欠いた状況で、対策していた守備戦術も上手くかみ合わせることができなかったです。

――第1ピリオドで点差をつけられました。これは予想していた展開だったのでしょうか

2年前の早慶戦も前半に似たような展開になってしまったこともあり、連続失点する可能性は考えていました。ですが、本番の緊張感ある試合の中では練習通りには行かないこともあり、流れを引き戻すことが出来ませんでした。

――1年生の中村選手、曵地選手が重圧をはねのけて複数得点を記録する姿もありました。その点はいかがですか

大きな舞台で任された仕事をこなしてくれたことはチームとしても強みとなりますし、本人たちの自信にもなったと思います。

――日本学生選手権に向けて意気込みをお願いします

一戦一戦油断せずにチーム一丸となって勝利をつかみ取りたいと思います。今後とも応援宜しくお願いします。