慶大との接戦を制した!チームでつかんだ銅メダル

水球男子
TEAM 1P 2P 3P 4P PT
早大 18
慶大 17
▽得点者
吉村5、中安3、眞板3、池水2、山田(太)2、田中2、土橋1
※PTはペナルティーシュート戦を示す。

 3日間に渡る日本学生選手権(インカレ)も最終日を迎えたこの日、早大は今シーズン4度目の対戦となる慶大との3位決定戦に臨んだ。メダルを賭けた戦いである上、勝ち続けている対戦相手だけに、選手たちの肩には重圧がのしかかっていたことだろう。序盤は力みすぎたのか少し動きが良くなかったものの、徐々に点差を開いて前半6-1で折り返した。このまま順調に勝利を収めるかと思われたが、慶大の反撃がここから始まった。早大は試合の独特な雰囲気に飲まれ、後半に退水(※)者を続けて出してしまうと、流れを失い、最終ピリオドで5失点。相手に追いつかれて、あわや敗戦かというところまで追い詰められたが、慶大の猛撃をなんとかしのぎきり、勝負はペナルティーシュート(PT)戦へとなだれ込んだ。先攻の慶大が一本外し、決めれば3位という緊張する局面で吉村崇(スポ3=大分商)が見事ゴール。早大は最終スコア18-17で慶大との接戦を制し、インカレで銅メダルを獲得した。

 始まった早慶戦、両チームとも力が入りすぎていたのか、シュートを打つものの、得点には至らない。両チーム無得点のまま5分が過ぎたとき、こう着状態を破ったのは吉村のシュートだった。先制点をとって流れを掴んだ早大は次々に得点を重ねていき、第1ピリオドを4-0と無失点で抑えた。続く第2ピリオドでも早大は有利に試合を運び、6-1で前半を折り返す。

最多得点を決めた吉村

 さらに点差をつけていきたい後半、メダルを賭けた一戦であるだけに、両チームのプレーも激しさを増してくる。試合の雰囲気が徐々に荒々しくなってきた。いやな空気を振り払うように中安正己(スポ3=静岡・磐田南)が低い弾道から鋭いシュートを決めて得点を重ねる。このまま逃げ切りたい最終ピリオドだったが、立て続けに退水者を出した早大はまさかの5連続失点。土壇場で追いつかれるも、なんとか慶大の攻撃を防ぎきって、勝負はPT戦へともつれ込む波乱の展開に。先攻の慶大が一本外し、早大がシュートを入れればメダルが決まる局面だったが、早大の放ったボールはゴールポストに弾かれた。シューターが一巡しても決着がつかず、PT戦は異例の二巡目に突入。先に慶大が一本外して再び訪れたチャンス。会場の誰もが見守る中、早大の5番手・吉村が放ったボールはゴールに吸い込まれた。早大のベンチ、応援席にいる人々は一斉に立ち上がり、歓喜の声を上げた。選手たちはみな、それぞれの方法で喜びを共有したガッツポーズをする者、熱い抱擁を交わす者、嬉しさに目を輝かせる者――。3日間に及ぶ激闘の末、早大はインカレを3位で終えた。

3日間戦い抜いた早大

 試練の夏を終え、チーム力を強化してきた早大。関東学生リーグ戦から大きく成長した早大は見事メダルを獲得したが、同時に新たな課題が見つかった大会でもある。この試合にも言えることだが、立ち上がりの良い試合が多い反面、後半で相手にペースをつかまれてしまっていた。相手の力が上回っているというよりも、自らのミスから相手につけいる隙を与えてしまっている印象だ。「我慢しなければならない時間の中で上手く試合を組み立てなければならないので、連携を含めての課題解決が必要」と吉村は大会を振り返って話してくれた。次に控えているのは日本選手権だ。選手たちはこの大会に向けて、課題を自覚し、改善に向けて努力を怠らない。日本選手権の舞台で、早大のさらなる飛躍を期待したい。

※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

(記事 上野真望、写真 井嶋梨砂子、佐鳥萌美)

コメント

  

中嶋孝行監督(平13教卒=福岡工)

――3位決定戦前に意識していたことは何でしょうか

意識していたことは基本的なもので言うと負けないこと。慶大は早慶戦で悔しい思いをしていますから、自分たちよりも強い気持ちで来ると言うことは分かってましたので。それに本当に気持ちの面では、もうひとつ上のステージで戦うようにというところかなと思います。

――後半にリズムが乱れてしまった原因は何だと考えておられますか

選手層や個人の力量のところもありますけど、相手に流れが移りそうなとき、上手にイライラせずにこなしていければ良いとは思うんですけれども、気持ちの面で余裕がないことだと思います。

――相手を勢いに乗せてしまうと、リズムを取り戻すのに時間がかかっている印象を受けました

ボールゲームなのでどっちかに流れが行ったり来たりするのはあると思います。攻められているとき、どうしても防戦一方になりがちですが、変に攻めることはなく、やるべきことはきちんとできていました。とはいえ、やっぱり選手層とかチーム力の幅のところがもう少し足りていない点だと思います。

――打倒日体大とインカレ優勝を目標に臨んだ大会でしたが、3位という結果に関しては、どのように考えておられますか

結果としては優勝ではないので力不足というのは感じるんですけど、3年生以下に関しては経験や来年につなげる試合になりましたし、シード権も獲得できたので、そういった意味では4位と3位では全く違うので、3位決定戦に勝てて良かったです。とはいえ自分たちよりも上に2チームいるわけですし、中には実力はあるのに組み合わせが悪くて途中で敗退してしまったチームもあるかもしれないし、まだ最終予選もありますので、しっかりと勝ちを狙いにいきます。

――日本選手権に向けて強化していきたいポイントはどこでしょうか

得点はある程度とれるようになってきました。堅守速攻という点で言えば、まず堅守をしっかりとしなければ速攻にもいけません。そこを個人でもチームとしてもなんとか失点を防いでロースコアで早大は大量得点とれれば理想です。あと決定力っていうところですね。シュートの本数も結構打てていたんですけれども、それなりにシュートミスも多かったです。堅守速攻と決定率が両方ちゃんとできれば、もっと楽に試合ができると思います。

吉村崇(スポ3=大分商)

――3位という結果について率直な感想をお聞かせください

試合が終わったばかりなので、嬉しいですね。でも、目標としていたのは優勝だったので、悔しい気持ちもあります。4年生を表彰台に上げられたことは素直に嬉しいです。

――相手は7月の試合で競った慶大でしたが、緊張はありましたか

今季4度目の試合ということで、緊張はあまりありませんでした。逆に、張り切りすぎてみんな力んでるぐらいだと思いました。相手が慶応なので、絶対に負けちゃいけないということは監督から言われていて、気持ちとしては良い準備ができました。

――どのような戦略がありましたか

とりあえず、いつものように先制点を取るということと、失点を各ピリオド2点以内に抑えるということですね。あとは、相手のプレスが強いときにボールキープのミスをしてしまうことがあるので、相手に流れをつかまれないようにそれぞれが動きを持ったプレーで、その中でシュートを狙いにいくという作戦でした。

――前半、順調にリードをつけましたが、噛み合ったと感じるのはどのような部分ですか

第1ピリオドでシュートミスが少なかったのと、守るところを全員で帰ってきて一対一でも負けずに、そこからオフェンスにつなげるといういつものワセダの流れが出来たのが良かったと思います。

――後半になって、相手ペースになる場面が増えましたが

点が取れなかったというより、僕たちが戦術面で時間を長く使うようにしていたので、オフェンスよりディフェンス重視で、ピリオドの得点で勝ってくれば良いと考えていました。そのため、得点の少なさは問題ではありませんでした。でも、4ピリの1-5という結果については、自分たちの無駄なミスから相手に流れがいってしまっていたので、そこは日本選手権までに改善しなければなりません。

――ペナルティーシュート戦にもつれこんだときのお気持ちはいかがでしたか

正直、みんなには「絶対に打ちたくない」と言い続けていました。でも、結局僕は5番目に打たされて、先に相手が外していたので、自分が決めてやろうと強く思ってました。

――日本選手権の最終予選会も迫っていますが、チームの課題はどのようなところですか

今大会では立ち上がりの良い試合が多かったのですが、その反面、3、4ピリオドで相手にペースをつかまれてしまっていました。その原因として、早攻め、イージーミスなどの時間を考えていないプレーがあることや、シュートを放つタイミングのカバーリングがされていないことが考えられます。自分たちのミスから自分たちの首を絞めてしまっていました。我慢しなければならない時間の中で上手く試合を組み立てなければならないので、連携を含めての課題解決が必要だと思います。中嶋さん(孝行監督、平13教卒=福岡工)からのお話にもあったんですが、この結果に慢心することなく、ひとつひとつのミスを減らしていきたいです。