東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)は早くも第5週を迎える。前節で惜しくも王者・明大から勝ち点獲得を逃し、優勝争いから一歩後退した早大。折り返しとなる今節は今季未勝利の立大と相まみえる。昨季は2戦合計19得点と打線が爆発し、連勝で勝ち点を奪うなど立大とは相性が良いと言えるだろう。首位を走る明大、慶大はこれまで対戦した3校全てから勝ち点を獲得しており、早大は今節の結果次第で賜杯が大きく遠のく。昨秋から4連勝中と得意とする立大から確実に勝ち点を奪いたいところだ。
投手陣のキーマンとなる伊藤樹
4年生の出場自粛により、先週の明大戦から3年生以下で戦う立大。絶対的エース・池田陽佑を欠き、今節も前節同様、投手陣は沖政宗(3年)、小畠一心(2年)、佐山未來(1年)らの短いイニングでの継投が予想される。その中でも中心となるのは今季飛躍を果たしている塩野目慎士(3年)だ。一浪を経て入学した苦労人でもある塩野目は力強い直球を武器に初登板となった慶大1回戦から3試合連続で無失点を記録。前回登板の明大1回戦では5失点を喫したものの、1巡目はしっかり封じ込んでおり、早大も苦しめられる可能性は十分にある。
打線で好調を維持するのが柴田恭佑と菅谷真之介の3年生コンビだ。今季レギュラーに復帰した柴田は6試合中5試合で安打をマーク。昨季打率チームトップの菅谷は2試合で猛打賞を記録する固め打ちを見せている。2人は上位打線を担っているだけに、立大打線に勢いづかせないためには確実に打ち取りたい2人だ。明大戦から4番に座る二刀流・吉野蓮(2年)や代打で勝負強さを見せている平野太陽(3年)といったポイントゲッターも好調を維持しており、打線がつながれば一気に大量失点の恐れもある。
安定した投球を続けている齋藤正
対する早大は投手陣の粘投に打線がどれだけ応えられるかが勝敗を左右しそうだ。投手陣の鍵を握るのは先発、救援とフル回転中の伊藤樹(スポ2=宮城・仙台育英)だろう。ここまでの全試合でベンチ入りしている伊藤樹だが、2回戦で先発し、自身リーグ戦初勝利を挙げた東大から一転、明大戦では3試合ともリリーフ待機。1回戦では9回を締めくくると、後がない3回戦では先発・加藤孝太郎(人4=茨城・下妻一)の後を受け、2イニングを担った。また、今後は昨季のような試合中盤からのロングリリーフ起用も考えられる。現状の投手陣は東大1回戦の完封を皮切りに全ての登板でクオリティスタートを記録するなど、エース・加藤は持ち前の安定感を発揮しており、齋藤正貴(商4=千葉・佐倉)や今季リーグ戦デビューを果たした前田浩太郎(スポ4=福岡工)、香西一希(スポ1=福岡・九州国際大付)が1イニングを無失点で抑え続けている。それだけに貴重なイニングイーターでもある伊藤樹をどのように起用するかが試合の流れを左右すると言っても過言ではないだろう。
今カードからスタメン出場が予想される森田朝
一方、湿り気味の打線には奮起が求められる。敗戦を喫した明大2、3回戦ではそれぞれ4安打2得点、2安打無得点に留まった。ただ、両試合とも四球なども絡めて好機は作っている。接戦をモノにした明大1回戦同様、要所でのもう1本が飛び出せば、立大戦でも勝利はぐっと近づくはずだ。また、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)は明大3回戦後、森田朝陽主将(社4=富山・高岡商)のスタメン起用を示唆。頼もしい主将が打線を活性化させられるかに注目だ。
今後控えるのは昨季4回戦までもつれた法大と今季絶好調の慶大だ。それだけにこれ以上の敗戦は許されない。しかし、連敗ストップに燃える立大は簡単に倒せる相手ではない。フレッシュなメンバーが多いだけに、勢いに乗せないことが大事になってくるだろう。早大らしい守り勝つ野球で連勝し、優勝争いに食らいつきたい。
(記事 星野有哉)