初の全早稲田戦開催 OBチームが力の差を見せる

野球
TEAM
稲門俱楽部 10 21
早 大
(稲)佐竹、〇山下、北濱、竹田、今西、柳澤―細山田、岸本、中林
(早)●越井、鹿田、中森、清水大、澤村、齋藤正―印出、栗田、篠原
◇(二塁打)檜村2、熊田、梅村(本塁打)丸山(3ラン、6回)、岡西(ソロ、7回)

 紺碧の空の下、初の試みとなる全早稲田戦が開催された。早大の現役部員(早大)対社会人野球でプレーする早大OB(稲門倶楽部)という夢の組み合わせが南魚沼の地で実現した。試合は、稲門倶楽部が3回に先制すると、その後も強力打線で早大を圧倒。早大は、7回に岡西佑弥(スポ1=智弁和歌山)のソロ本塁打などで2点を返すも、2―21で稲門倶楽部に大敗を喫した。

早大先発の越井

 早大はルーキーの越井颯一郎(スポ1=千葉・木更津総合)、稲門倶楽部は社会人野球のレジェンド・佐竹功年(平18人卒=現トヨタ自動車)が、それぞれ先発のマウンドに上がった。越井が初回に2つの三振を奪う好投を披露すると、佐竹と細山田武史(平21スポ卒=現トヨタ自動車コーチ)のバッテリーも早大を三者凡退に抑え、ベテランの意地を見せつけた。

 試合が動いたのは3回表の稲門倶楽部の攻撃。四球で出塁した八木健太郎(平30スポ卒=現トヨタ自動車)が盗塁を決めて2死二塁とすると、河原右京(平28スポ卒=現トヨタ自動車)が右前に運んで稲門倶楽部が1点を先制した。

稲門倶楽部先発の佐竹

 追い付きたい早大は4回、印出太一(スポ3=愛知・中京大中京)がチーム初安打となる中前打で出塁する。その後、吉納翼(スポ3=愛知・東邦)の右前打と相手の失策が絡んで2死二、三塁としたが、島川叶夢(スポ4=熊本・済々黌)が左飛に倒れ、得点とはならない。

 試合が中盤に入ると、稲門倶楽部打線が火を吹く。5回には河原と福岡高輝(令2スポ卒=現明治安田生命)に適時打が生まれて3点を追加。6回から積極的な代打起用で選手を入れ替えると、その選手たちの勢いが止まらない。6回には丸山壮史(令4スポ卒=現ENEOS)の3ランを含む10安打で一挙に10点を加えると、7回にも4点を奪い早大を突き放した。

3ランを放つ丸山

 一矢報いたい早大の7回裏の攻撃。この回の先頭に途中出場の岡西が入る。その岡西が初球を振り抜くと、高々と上がった打球は右翼スタンドに入り、期待の星の一振りで1点を返した。その後も、梅村大和(教3=東京・早実)の左中間への二塁打、茅野真太郎(教4=東京・早実)の右前打で無死二、三塁とすると、遊ゴロの間に2点目を奪った。しかし、9回表に稲門倶楽部はさらに3点を追加するなど、計23安打21得点で早大を圧倒。記念すべき第1回全早稲田戦は稲門倶楽部が21―2で大勝した。

本塁打を放った岡西

 早大の応援部や地元の子どもたち、早大野球部のファンなど、多くの人が球場に足を運び、大盛り上がりとなったこの一戦。「(社会人で活躍するOBから)たくさん学ぶことがあった」(越井)、「(現役部員のプレーを見て)みんな光るものを持っていると思う」(佐竹)とそれぞれが振り返るように、両者の交流は意義深いものとなったのではないか。早大は、社会人選手のプレーから学んだことや見つかった課題を次につなげ、東京六大学秋季リーグ戦での優勝を目指す。

(記事 齋藤汰朗、写真 田中駿祐、帖佐梨帆)

コメント

OB佐竹功年(平18人卒=現トヨタ自動車)

――初の試みとなった全早稲田戦ですが、招集された際の気持ちを教えてください

 こういう試合があるというのは結構直前に知ったのですが、なかなかこういう機会はないので、楽しみにしてました。

――稲門倶楽部チームの先発を務められましたが、どのようの気持ちでマウンドに上がりましたか

 昨日小宮山さん(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から先発しろという指名があったので(笑)。なんとかストライクが入ればいいかなと思っていたのですが、ストライクが入ってよかったなという感じです。

――現役の選手たちの打線はどのような印象を受けましたか

 今は強化練習中ということで、疲れもたまっているところもあると思うのですが、これからどんどん状態上げていって1ヶ月後のリーグ戦(東京六大学リーグ戦)に臨んでほしいなと思います。みんな光るものも持っていると思うので、その特徴をしっかり自分で把握して、リーグ戦に生かしてほしいなと思います。

――ご自身の投球を振り返っていかがですか

 先発ということで「とりあえずストライクが入るように」と思っていてストライクが入ったので、結果的に3人で終わることができたのはよかったかなと思います。

――細山田武史氏(平21スポ卒=現トヨタ自動車コーチ) とは久しぶりのバッテリー結成となりましたが、いかがでしたか

 見に来てくれた人たちにとって良いイベントになるかなと思って、久々にバッテリーを組みました。やはり息が合った良い感じで投げられたと思います。

――試合全体を振り返っていかがでしたか

 点差はつきましたけど、点差ほどの実力差は(稲門倶楽部と現役の選手の間には)なかったと思います。一個一個の守備の球際のところだとか、フォアボールだとか、そういったところがこういう点差になったのかなと思います。学生は秋、優勝したいと思っていると思うので、ぜひそういうところを練習から突き詰めていって、リーグ戦で優勝してほしいと思います。またそれが僕たちの刺激になりますし、僕たちももちろんOBとして応援しているので、(リーグ戦で)優勝して、僕らに刺激を与えてほしいなと思います。

OB丸山壮史(令4スポ卒=現ENEOS)

――一緒にプレーや練習をしていた後輩たちとの試合となりましたが、振り返ってみていかがですか

 今まで一緒に早稲田のユニフォームを着て戦ってた後輩たちと、こうやって社会人になってもグラウンドで一緒に汗を流して勝ち負けを争えてすごく幸せだと思いました。

――5回の本塁打の打席を振り返っていかがですか

 あれはたまたまですけど、いい場面でホームランが打ててよかったかなと思います。

――初の試みとなった全早稲田戦でしたが、声がかかった時の気持ちをお聞かせください

 素直にうれしく思いましたし、こうやって卒業してからも早稲田大学野球部に携われる、一緒に野球ができるというのは本当に幸せだなと感じました。

――後輩たちの印象はいかがでしたか

 成長している部分がたくさんありましたし、伸びしろがたくさんあるなと思いましたので、この秋の雰囲気に期待したいなと思います。

――後輩たちへエールをお願いします

 毎年秋早稲田は強くなっていると思うので、今年こそは優勝してみんなで胴上げしているところを自分は見たいなと思っているので、ぜひ小宮山さんを胴上げできるように頑張ってほしいなと思います。

岡西佑弥(スポ1=智弁和歌山)

――初めての試みとなった全早稲田戦を振り返ってみてどうでしたか

 社会人野球の選手との力の違い、社会人野球のレベルの高さを感じさせられた一戦でした。

――7回の本塁打の感触はいかがでしたか

 悪くなかったのですが、いってくれたらいいなと思って打ちました。

――初球から積極的にアプローチしていく姿勢がみられましたが、打席で意識していることはありますか

 1年生として出させてもらっているので、1年生らしく全力プレーを心がけています。素晴らしいピッチャーだったので消極的になっていると結果がでないと思い、積極的にいきました。

――秋季リーグ戦へ向けてアピールが続いていると思いますが、夏の期間で強化して行きたいことや取り組んでいることはありますか

 自分は1枚目に小澤さん(小澤周平、スポ2=群馬・高崎健康福祉大高崎)がいらっしゃるので、代打であったり一発で結果を出さないといけない立場なので一打席にこだわって、練習からも一球一球大切にやっていきたいと思います。

――最後に、秋季リーグ戦へ向けての意気込みをお願いします

 4年生の先輩と野球ができるのが最後なので、少しでも4年生の力になってリーグ優勝したいです。

越井颯一郎(スポ1=千葉・木更津総合)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしたか

 社会人の先輩方と試合をすることができて、沢山学ぶことがありましたし、自分がどこまで通用するかというのを確認する良い機会だったと考えています。

――ご自身の投球を振り返ってみていかがでしたか

 初回からリズムを作れたというのは凄く良い点だったと思いますが、3回表ツーアウトからのフォアボールで失点してしまい、そこが自分の詰めが甘いところかなと感じました。

――オープン戦でも登板する機会が増えていると思いますが、調子はいかがですか

 徐々に上がってきている感じがします。

――記念の試合での先発だったと思いますが、どのような気持ちで登板しましたか

凄く光栄なことなので、楽しんで自分ができる最大限のことをしようと思って投げました。

――最後に、今後の意気込みをお願いします

秋季リーグ戦に向けて、このキャンプが強化期間ということで、このキャンプが大事な鍵になってくると思うので、しっかり体を鍛えて秋のリーグ戦で優勝できるように頑張りたいと思います。