代打・島川に値千金の決勝3ランが飛び出す! 劇的勝利で明日の第2戦へ/慶大1回戦

野球
TEAM
慶 大
早 大
(早)加藤、〇齋藤正、中森、伊藤樹―印出
(二塁打)小澤(本塁打)島川1号3ラン(7回)

 2カ月に及ぶ東京六大学野球春季リーグ戦は最終週を迎え、春の早慶戦の火蓋が切られた。初回、栗林泰三(4年)に2ラン本塁打を浴びて2点を先制される。その後も我慢の展開が続くが、4回に小澤周平(スポ2=群馬・高崎健康福祉大高崎)の適時二塁打で同点に。2ー2で迎えた7回、代打・島川叶夢(スポ4=熊本・済々黌)に劇的3ラン本塁打が飛び出し、勝利を収めた。

本塁に生還し吠える島川

 先発のマウンドにはエース・加藤孝太郎(人4=茨城・下妻一)。早慶戦での自身初勝利を目指す。初回、先頭の吉川海斗(4年)に遊撃への内野安打を許すと、犠打で1死二塁とされる。廣瀨隆太(4年)を二ゴロに抑えるも、続く栗林泰に初球を完璧に捉えられ、先制の2ランを被弾。さらに連打を浴びるが、水鳥遥貴(3年)を投ゴロに打ち取った。

 その後も加藤は毎回のようにピンチを招く。3回には齋藤來音(4年)、宮崎恭輔(4年)の連打で無死一、三塁とされる。水鳥を投ゴロに打ち取ると、飛び出した三塁走者を挟殺し、1死二、三塁に。続く齋藤快太(3年)を三振、外丸東眞(2年)を一邪飛に抑えた。4回には先頭の吉川に四球を与えると、本間颯太朗(3年)の犠打を野村健太(スポ4=山梨学院)がファンブル。さらに廣瀨に四球を与え、無死満塁に。制球が定まらない加藤だったが、ここから本領を発揮する。2者連続で浅い外野フライに打ち取って2死。続く宮崎の放った大飛球は左中間フェンス手前で中堅手・尾瀬雄大(スポ2=東京・帝京)のグラブに収まり、慶大に追加点を許さない。

同点となる適時二塁打を放った小澤

 加藤の粘投に応えたい打線は4回、2死から吉納翼(スポ3=愛知・東邦)が左前打で出塁。続く野村が中前打でつなぐ。この好機で迎えるのは7番・小澤。甘く入った直球を捉えた飛球は右中間を破り、この間に2者が生還。2死からの3連打で試合を振り出しに戻す。味方の援護をきっかけに本来の投球を取り戻した加藤。6回にはこの試合で初めて三者凡退に抑えるなど、持ち前の打たせて取る投球で慶大打線を封じていく。しかし、早大の前に立ちはだかるのは外丸。5、6回を三者凡退に抑えられ、早大に傾きかけた流れをモノにすることができない。

 7回からは早慶共に継投策へ移行。打線は2番手・森下に対し、先頭の野村が左前打を放つ。小澤が犠打を決めると、山縣秀(商3=東京・早大学院)が四球を選び、打席には代打・島川。「打った瞬間行くと思った」という打球は左翼スタンドに突き刺さる3ラン本塁打に。昨春の法大2回戦では代打でリーグ戦初出場し、本塁打を放った勝負強さをこの大一番でも見せつけた。

勝利投手となった齋藤正

 7回から登板した齋藤正貴(商4=千葉・佐倉)は2つの四球を与えながらも、無失点で切り抜ける。8回、中森光希(文構3=大阪・明星)が吉川、本間に連打を浴びて無死一、二塁に。本塁打が飛び出せば同点の場面で打席には3番・廣瀨。三塁線を鋭いゴロが襲うも、三塁手・小澤がダイビングキャッチし、すぐさま二塁へ送球。併殺を完成させ、慶大に流れを渡さない。その後齋藤來の内野安打の間に1点を失うが、最小失点で切り抜けた。最終回のマウンドには伊藤樹(スポ2=宮城・仙台育英)。安定感抜群の投球で締め、第1戦を勝利で飾った。

3安打を放った野村

 応援席が復活し、1プレーごとに大歓声が巻き起こる華の早慶戦。第1戦は終盤に劇的弾が飛び出す展開となった。明日の先発は清水大成(スポ4=大阪・履正社)が予想され、その後は細かい継投でつなぐのが第2戦のパターンとなっている。終盤戦以降は不安定さが見受けられる投手陣が宿敵を封じ込み、2連勝でリーグ戦を終えたい。

(記事 矢彦沢壮真、写真 荒井結月、湊紗希)

                黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
1 (中) 尾瀬雄大 4 0 0 .351 三ゴ   右飛   一ゴ   一ゴ    
2 (左) 中村将希 4 0 0 .316 右飛   二ゴ   右飛   二ゴ    
  伊藤樹 0 0 0                  
3 (遊) 熊田任洋 3 0 0 .351 空三     空三   投ゴ   死球  
4 (捕) 印出太一 4 0 0 .273   右飛   二ゴ   投ゴ   守妨  
5 (右) 吉納翼 4 1 0 .244   見三   左安   遊飛   一ゴ  
6 (一) 野村健太 3 3 0 .200   右安   左安     左安    
  茅野真太郎 0 0 0 .000                  
  中森光希 0 0 0                  
  生沼弥真人 0 0 0 .000               四球  
  椎名丈 0 0 0                  
  松江一輝 0 0 0 .200                  
7 (三) 小澤周平 3 2 2 .325   右安   中二     投犠 二ゴ  
8 (二) 山縣秀 2 0 0 .000   空三   三ゴ     四球    
9 (投) 加藤孝太郎 4 0 0 .000     遊ゴ   見三        
  齋藤正貴 0 0 0                  
  打一 島川叶夢 1 1 3 .300             左本    
早大投手成績
名前
加藤孝太郎 6 3 1 6 9 4 1 2 2 2.81
齋藤正貴 8 1 1 1 0 2 0 0 0 2.35
中森光希 5 0 0 1 3 1 0 1 1 6.43
伊藤樹 7 0 0 1 0 0 1 0 0 1.93
 
東京六大学春季リーグ戦星取表
順位   明 大 法 大 早 大 慶 大 立 大 東 大 勝ち点 勝率
明 大 〇5-4
〇3-0
〇15-4
〇6-3
△0-0
〇5-1
●4-5
〇5-2
〇1-0
〇11-3
〇3-2
〇6-3
10 .909
法 大 ●4-5
●0-3
●1-3
〇9-6
△0-0
〇2-4
〇10-0
●2-3
〇4-1
△1-1
〇2-1
〇4-3
〇11-0
〇2-0
.667
早 大 ●4-15
●3-6
〇3-1
●6-9
△0-0
●2-4
〇5-3 〇8-2
〇11-3
〇9-1
〇14-1
.600
慶 大 △0-0
●1-5
〇5-4
●2-5
●0-10
○3-2
●1-4
●3-5 △3-3
〇6-3
〇11-3
〇3-0
.545
立 大 ●0-1
●3-11
△1-1
●1-2
●3-4
●2-8
●3-11
△3-3
●3-6
△6-6
〇2-0
〇4-2
.200
東 大 ●2-3
●3-6
●0-11
●0-2
●1-9
●1-14
●3-11
●0-3
△6-6
●0-2
●2-4
10 .000
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コメント

島川叶夢(スポ4=熊本・済々黌)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 今日は先制されて、その後ずっとピンチをつくりながらしのいで同点のまま終盤に入ってっていうかたちで、終盤に逆転できたので良かったと思います。

――代打で打席に入った時の気持ちは

 次の1点が試合を左右するっていう状況で、そこでちょうど自分にチャンスが回ってきたので、なんとか1点取ってチームの勝ちにつなげられたらなっていう気持ちで入りました。

――見ていて打った瞬間の打球のように思いましたが、感触はいかがでしたか

 そうですね。打った瞬間行くと思いました。

――大歓声の早慶戦が戻ってきました

 初めてこういうかたちで早慶戦をやらせていただいて、本当に声も大きくてありがたいなと感じました。

――明日への意気込みをお願いします

 明日も勝って2連勝して、3位でリーグ戦を締めくくりたいと思います。