【連載】新体制始動特集『捲土(けんど)重来』第5回 森田朝陽主将×熊田任洋副将

野球

 最終回は、主将と副将にそれぞれ就任した森田朝陽(社3=富山・高岡商)と熊田任洋(スポ3=愛知・東邦)の2人。プレーでも精神面でもチームの中核を担う2人の、見据える先とは。

※この取材は12月5日に行われたものです。

「とにかく自分にできることを全力でやろう」(森田朝)

昨秋の立大2回戦で安打を放った森田朝。来季も勝負強い打撃に期待がかかる

――まずお互いの紹介をお願いします

森田朝 熊田任洋は、ストイックで誰よりも真剣に野球に取り組んでいる、グラウンドではチームの先頭に立って引っ張ってくれる、技術的にも精神的にも支えになる選手だと思います。

熊田 森田くんは熱くて真面目な人間だと思います。

――プライベートでの親交もありますか

森田朝、熊田 よく遊びます。

――他に誰か一緒に遊ぶ選手はいますか

森田朝 中村将希(教3=佐賀・鳥栖)、学生コーチになった白塚(白塚公基、文構3=福井・高志)とかですね。

――そのメンバーでよく何をしますか

森田朝 ゲームなのですが、スマブラをよくやっています。

――スマブラは誰が強いですか

森田朝 僕ですね(笑)。

――熊田選手はどうですか

熊田 一番弱いっす(笑)。

――お二人は主将、副将に決まりましたが、その経緯を教えてください

森田朝 監督(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)さんが決められて、やるぞということを自分たちは伝えられたというかたちです。

――監督に伝えられた時の心境を教えてください

森田朝 自分は練習の守備中に伝えられたので、本当に驚きというか、心の底からびっくりしたという感じです。落ち着いてからは任せられたということはありがたいことだと思うので、とにかく自分にできることを全力でやろうという気持ちです。

熊田 自分は何か役職に就こうが就くまいが、試合に出ている身としてチームを引っ張っていかなくてはいけない立場だったので、特に驚きはしませんでした。

――監督にはどんなことを期待していると言われましたか

森田朝 自分は「お前の行動と言動を見て決めたから力を入れる必要はない」と言われました。

熊田 特にないですね(笑)。

――中川卓也前主将(スポ4=大阪桐蔭)ら4年生からはどんな言葉をかけられましたか

森田朝 まず「いろいろ大変なことがあるだろうけど、とにかく頑張れ」ということを言っていただいて、特に中川さんからは「高校野球と大学野球のキャプテンは全然違うし、組織としても全く別物なので、伝え方だとか引っ張り方というのは難しいと思うけれど、自分らしく、森田朝らしく頑張れ」というのはおっしゃっていただきました。

――高校時代も主将を務めましたが、再び大学でも主将を務めるということで、そこに関しては何かありますか

森田朝 高校時代の反省を生かしながらというのは自分の中で思います。高校の時はとにかく厳しくというふうにやっていたのですが、それが思うように伝わらなかった時期もありますし、みんなに支えられながら最後はなんとか甲子園に出て、2回勝ってという感じだったので。今ではみんなを頼っていろいろ相談しながら、やらせるというよりかはやりたくなるようなそういう雰囲気のグラウンドをつくっていけたらなと思います。

――熊田副将は、4年生からどんな言葉をかけられましたか

熊田 中川さんや蛭間さん(蛭間拓哉、スポ4=埼玉・浦和学院)から「とにかくチームを任せたぞ。お前たちなら優勝できる」と言われて、「周りから行動も見られているからそういうところからチームを引っ張って頑張ってくれ」とは言われました。

――蛭間選手はプロ野球の道に進みますが、蛭間選手からはどんな刺激を受けましたか

森田朝 ずっと同じポジションで蛭間さんの後ろで練習していたので、プレーもそうですし、人間的にもすごい大きな先輩で、全然プレースタイルは違いますが、これくらい大きな人になりたいなというのは自分の心の中にあります。

熊田 自分もプロを目指す身として蛭間さんの存在はとても大きかったです。野球の技術はもちろん、人間性や行動など学ぶことが多かったので、この1年間は蛭間さんの背中を追いかけて頑張っていきたいと思います。

――次に東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)を振り返ります。チームとしては2位という成績をどう受け止めていますか

森田朝 やっぱり悔しいというのが一番で、自分自身代打での出場だったのですが、あそこで一本出ていればという試合が自分の中でずっとあるので、そこの気持ちを忘れずに春は勝負所で必ず打つということと、みんなで優勝するというところを常にイメージしながら練習しています。

熊田 自分も2位という結果でとても悔しかったですし、昨年もそうですけど、1試合、1球の重みを改めて感じて、その一つも無駄にできないなと感じました。

――最後の早慶戦での2連勝には、どんな思いがありますか

森田朝 やっぱり4年生が必死に戦う姿を最後に残してくれて、もちろん下級生も必死に4年生のためにつないだというのはあるのですが、4年生の最後の気迫というのは来年もつないでいかないといけないと感じました。4年生の思いをつないで春優勝することが恩返しになると思うので、そこをやっていきたいと思います。

熊田 4年生をなんとかいいかたちで送り出したいという思いで優勝がなくなってからは練習していて、最後に2連勝していいかたちで終わることができたので、そこは4年生に少しは恩返しができたのかなと思います。

――次に、個人の質問に移ります。まず、森田朝主将は秋季リーグ戦の個人成績を振り返って点数を付けるとすれば、何点になりますか

森田朝 50でお願いします。後半いいかたちでなんとかしぶとくつなげたという場面もあり、デッドボールでもなんとか塁に出てというのはあったのですが、明治戦の2アウト二塁でのサードフライというのが、そこを打っていれば優勝できたかもしれないという場面だったので、その悔しさを忘れずにやっていきます。

――代打の切り札として勝負強い打撃が光りました。ご自身の強みはどんなところだと思いますか

森田朝 やっぱり積極的に振っていって、追い込まれても何とかしぶとくというバッティングスタイルが自分の持ち味だと思っています。

――主将としてはどんな役割を果たしていきたいですか

森田朝 自分にできることはグラウンドで一番声を出して、必死にボールを追って、必死にバットを振ってそういう姿を見せて、その姿にみんなが何か感じてくれたらいいなと思いますし、口で何か言うタイプではないので、全力で必死に食らいついて、試合でも粘り強く、泥臭く、自分らしく戦っていきたいと思います。

――森田朝主将から見て、熊田副将の強みは何だと思いますか

森田朝 技術面はもちろんなのですが、精神的にぶれがないと言いますか、常に熱くかつ冷静にいつでも練習をやっているというイメージです。

「自分の代になったときにチームを引っ張っていかなければ」(熊田)

昨秋明大2回戦で打席に入る熊田。ラストイヤーを優勝で飾れるか

――熊田副将への質問です。秋季リーグ戦の個人成績を振り返って点数を付けるとすれば、何点になりますか

熊田 難しいな(笑)。60点くらいかなと思います。個人的には今までよりも良い成績が残せたと思うんですけど、やっぱりもったいない打席とかありましたし、ここの1本打っていればという場面もあったので、全体的に見たときに60点くらいなのかなと思います。

――全早慶戦では、遊撃を守られましたが、来季は再び遊撃での出場となりますか

熊田 自分は、秋はセカンドだったんですけど、ずっとショートをやってきたのでショートをやりたいと思っていることを監督に伝えました。結果が伴わなければセカンドでと言われていて、監督が決めることですけど頑張ってやっていきたいなと思っています。

――先日の代表合宿(侍ジャパン大学代表強化合宿)で得たものはありますか

熊田 自分は昨日帰ってきて、この3日間で自分の実力のなさとか未熟さなどを本当に感じました。ピッチャーの球の強さや、野手であれば体の強さやスピード、あらゆるところでまだまだだと感じたので、全国トップレベルの選手になるためには、この冬そういうところを頑張ってやっていかなければならないなと感じました。

――その代表合宿で仲良くなった選手などいらっしゃいますか

熊田 もともと上田希由翔選手(明大、3年)や下山昂大選手(中央学院大、3年)と仲が良かったのですが、この合宿を通じて有馬諒選手(関大、3年)や野間翔一郎(近大、1年)とも仲良くなりました。

――副将としてはどんな役割を果たしていきたいと考えていますか

熊田 副将だからというものはないですけど、自分は1年生から試合に出てきて、自分の代になったときにチームを引っ張っていかなければならないと思っていました。蛭間さんとか中川さんの背中を見てきたので、そういうふうになれたらなと思います。

――熊田副将から見て、森田朝主将の強みは何だと思いますか

熊田 森田は本当に熱くて、プレーを見る限り思い切りがいい積極的なプレーをするので、そこが強みなのかなと思います。

優勝だけを見据えて

昨年の秋季慶大2回戦終了後の選手一同。1年間リーグ戦で経験を積んだこの代に賜杯奪取への期待がかかる

――お二人への質問に戻ります。来季へ向けての質問です。新体制での練習が始まりましたが、早速大変なことはありましたか

森田朝 大変だと感じたことはまだないです。主将として本当にみんな精神的にも技術的にも頼もしいすばらしい仲間たちがそろっていると思っています。まだまだ足りない部分もあると思いますけど、一人一人が意識を持って一生懸命やってくれているので、まだ大変だと感じたことはないです。

熊田 まだ2週間くらいしかたってないので分からないですけど、ないですね。みんな真面目に野球に取り組んでいるので、今はないです。

――試合経験が豊富な学年だと思いますが、他の3年生とはどのようなコミュニケーションを取って練習されていますか

森田朝 練習メニューの相談もしますし、そこに対する意図というかこういう風にやっていきたいというのをこっちから伝えることもあります。みんなから言ってもらうこともあり、そういうふうな会話ができているので、継続して互いにコミュニケーションを取りながらやっていきたいと思います。

熊田 森田が言った通りだと思います(笑)。

――2年生以下も印出太一選手(スポ2=愛知・中京大中京)、吉納翼選手(スポ2=愛知・東邦)などが昨年からレギュラーに定着しましたが、下級生に期待していることなどありますか

森田朝 本当に頼もしい存在だと思います。技術面だけでなく、精神的にも下級生を引っ張っていってほしいなと思います。

熊田 期待しかないですね(笑)。

――特に期待している下級生はいらっしゃいますか

熊田 自分は梅村(梅村大和、教2=東京・早実)に期待しています。昨年から試合に出てもおかしくない実力を持っていましたし、早慶戦でもいい場面の1打席で結果を残していたので、梅村に期待します。

――森田朝主将はいかがですか

森田朝 僕も梅村ですね(笑)。

――新チームの強みや、それを伸ばすためにどのようなことに取り組まれていますか

森田朝 自分たちの良いところはとにかく明るく、一人一人が自覚を持っているところだと思います。先ほども言いましたように、お互いがコミュニケーションを取りながら「ああしたほうがいい、こうしたほうがいい」と言い合える学年だと思うので、4年生が中心となって良いチームを作っていけたらなと思っています。

熊田 自分たちはみんなで頑張っていこう、高め合っていこうという学年なので、練習とか野球に対してもコミュニケーションを多く取れているチームだと思います。その良さをもっと生かしていけたらなと思います。

――目指すチーム像や、チームとしての来年の目標はありますか

森田朝 今の目標は、春の天皇杯を取ることです。目指すチーム像は、天皇杯に見合うチームというか資格のあるチーム、とにかく全力で野球をやって人間性も付いてきてというチームを目指していきたいです。そういうものは十分持っているチームだと思うので、とにかく全力でやっていきたいと思っています。

熊田 自分も、春に天皇杯を取ること、日本一になることを目標にやっていきたいです。目指すチーム像は、森田朝も言ったように天皇杯を取るにふさわしいチーム、周りから応援されるようなチームになりたいです。

――東京六大学春季リーグ戦へ向けて、冬の練習で注力していきたいところはどんなところですか

森田朝 全部ですかね。今は強化期間ということで、バットを振り込んで、守備だったらたくさん数受けてという体力強化と、そのしんどいところで振り切る捕り切るということをさらに高めていきたいなと思います。

熊田 今年も優勝が懸かっている1試合で勝利を逃してしまって、本当に1球も無駄にできないと感じたので、守備にしても打撃にしても走塁にしても1球も無駄にしないように練習していきたいと思っています。

――来季の個人の目標は何ですか

森田朝 自分は、上位を打って優勝に貢献することを目標に頑張っています。

熊田 自分もチームが勝てればいいなと思っています。やっぱり野球って楽しいなと思ったので、勝つために自分ができることをしていきたいです。

――最後に来季への決意をお願いします

森田朝 春、必ず優勝します。

熊田 それしかないですね。4季優勝を逃しているので、なんとしても優勝したいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 齋藤汰朗、本田里音、写真 田中駿祐、玉置理沙子)

頼れる主将、副将コンビに大きな期待がかかります!

◆森田朝陽(もりた・あさひ)(※写真右)

2001(平13)年8月23日生まれ。175センチ。77キロ。富山・高岡商高出身。社会科学部3年。外野手。右投左打。熊田副将からは「熱くて真面目な人間」と評された森田朝主将。対談でも優勝、日本一に懸ける熱い思いを聞かせてくれました。頼れる主将の、気迫のこもったプレーでチームを引っ張る姿に注目です!

◆熊田任洋(くまだ・とうよう)

2001(平13)年4月15日生まれ。174センチ。76キロ。愛知・東邦高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投左打。森田朝主将からは「技術的にも精神的にも支えになる選手」と評された熊田副将。対談ではゲームが弱いという意外な一面も見せてくれました。下級生の頃から試合に出場して培ってきた経験で、森田朝主将そしてチームを支えてくれるでしょう!