早大に頼れる男がこの春戻ってくる。そう、外野の野村健太(スポ3=山梨学院)だ。高校時代は「山梨のデスパイネ」と称され、甲子園も経験。1年時からリーグ戦に出場するなど、期待の逸材として活躍してきた。しかし、昨年はけがに悩まされ、リーグ戦の出場も制限された。しかし、傷も癒えたこの春巻き返しを狙う。そんな男の見据える先とは。
※この取材は3月22日にオンラインで行われたものです。
「思っていた以上に感覚はいい」
オープン戦ではけがの影響を感じさせないスイングをみせた
――母校の山梨学院が今年のセンバツに出場しましたが、試合はご覧になりましたか
その時ちょうど練習だったので、ハイライトだけ見させていただきました。
――今年から山梨学院のユニホームが新しくなりましたが、印象はいかがですか
まだ見慣れないというか(笑)。でもいいと思います(笑)。
――今年は3年生となり、下級生を引っ張っていく立場にもなると思いますが、その点についてはどう考えていますか
1、2年生の時は、3、4年生の人によくしていただいたり、分からないことは教えていただいたりしていたので、それらの自分たちが教えてもらったことを、下級生に伝えられたらなと思います。
――昨年の夏にケガをされたそうですが、どのようなケガだったのでしょうか
高校の時に左肩を脱臼してしまっていて、そこから癖になってしまっていました。昨年の夏に守備練習でダイビングキャッチをした時に、脱臼してしまいました。これからの野球人生を考えると、手術をした方がいいなと思ったので、手術をしました。
――手術をされて今の状態はいかがですか
今はだいぶ良くなりました。順調です。リハビリもやっています。
――ケガの影響もあり、昨秋のリーグ戦は出場できませんでしたが、どのように見られていましたか
昨年の4年生と、春は一緒にやらせていただいたのですが、丸山さん(壮史、令4スポ卒=現ENEOS)を筆頭にすごくいいチームで、下級生にも気を配ってくださる、尊敬する学年というか。秋も一緒に戦いたかったのですが、それができなくて少し残念でした。
――オフに重点的に取り組んできたことを教えてください
10月に手術をして、1カ月くらいはほとんど何もすることができなかったのですが、それ以降は、バットを振ることができない時期は、ウエイトトレーニングを重点的にやって、下半身の強化であったりといった体づくりを主にやっていました。
――フォームを修正するなど、ケガがあったからこそやってきたことはありますか
半年くらいバットを振っていなかったので、最初は不安だったのですが、今まで取り組んできたバッティングの動画だったり、ケガをする前の動画だったりを復習しながら、ケガが治ったらすぐにいい状態で入れるように準備をしていました。
――オフは、野球以外のことに使える時間が多いと思うのですが、どんなことをして過ごしていましたか
ほぼほぼ病院に行ってリハビリをしたり、施設に行ってトレーニングしたりというのが多かったですね。週3、4くらいで行っていました。
――すべて野球のために費やしたということですか
何もない日には、部屋で映画を見たりはしていました(笑)。
――オープン戦の話に移ります。オープン戦の調子を点数にするとしたら何点ですか
そうですね。50点くらいだと思います。
――50点ということですが、よくできている点はどこですか
思ったよりもピッチャーに対応できているというか、思い描いていた以上に打席での感覚がいいなと感じています。
――残りの50点の、課題と感じられている部分は何ですか
打席でのタイミングの問題であったり、ミスショットであったりといった面が目立っているので、そこをもう少し改善できたらなと思っています。
――課題となっている点の改善に向けて取り組んでいることはありますか
タイミングが遅れるということが気になっている時は、バットのヘッドが下がりながら出ていたので、それを改善するために左手を上手に使うということに取り組んでいます。言葉で表すのは難しいのですが、バットを切り込んでいくというイメージで練習していたら、いい感じにはなってきたので、そこをもう少しやっていけたらなと思います。
「悔しさを晴らせるよう」
リーグ戦に向けての調整も順調だ
――守備に関しては何かありますか
守備に関しては、そんなに不安は抱えていないですね。
――オープン戦では主に7番を打っていますが、その打順の役割についてはどう考えていますか
今年は打線でつなぐということをチームの目標でやっているので、1人でどうにかしようということではなくて、チームの9人でつないで点を取ろうという思いでやっています。長打力というのも欲しいですが、状況に応じたバッティングができるようになりたいです。
――春季リーグ戦に向けての話に移ります。春季リーグ戦の開幕が迫ってきていますが、残りの期間でどんなことを重点的に取り組んでいきますか
タイミングの取り方やミスショットといった課題もそうですけれど、練習から試合を想定してやれば、神宮でプレーするときにも自信をもってやれると思うので、自信をつけるために1球1球真剣に練習しています。
――リーグ戦での本塁打はまだありませんが本塁打に対しての思いはありますか
(本塁打を)打ちたい気持ちもあるのですが、そこはその時の状況に応じたバッティングができたならと思います。
――春季リーグ戦の個人としての目標を教えてください
(打率)3割5分、本塁打3本、3盗塁です。
――3盗塁という話がありましたが、走塁にも力を入れていきたいということですか
走れる人がいないので、隙があったら1つでも先の塁を狙っていくという姿勢でやっています。
――春季リーグ戦のチームとしての目標を教えてください
もちろん優勝して、そのあとの全日本(全日本大学選手権)で日本一というのが目標です。
――優勝するためのキーマンとなるだろう選手を教えてください。
熊田(任洋、スポ3=愛知・東邦)だと思います。
――その心は
1番打者で熊(熊田)が先頭で(塁に)出ると、チームもすごい勢いがつきますし、そういう面で引っ張ってくれる選手だと思うので、期待をしたいです。
――最後に意気込みをお願いします
昨年の秋は悔しい結果に終わってしまったので、その悔しさをこの春で晴らせるようにこれから準備していきたいと思います。
――ありがとうございました
(取材・編集 齋藤汰朗)
◆野村健太(のむら・けんた)
2001(平13)年8月27日生まれ。180センチ。97キロ。山梨学院高出身。スポーツ科学部3年。外野手。右投右打。「状況に応じたバッティング」という目標を強調したように、3年生となり、チームのことを考えていることが印象的だった野村選手。昨年は春秋ともに悔しさの残る結果だったため、今季こそは自らのバットで勝利に貢献してくれることでしょう!