2年連続の早慶頂上決戦 連勝で日本一への道をつなげ!/慶大戦展望

野球

 開幕カードの連敗から奇跡の大逆転Vを狙う早大と、ここまで4勝4分けといまだ負けなしの慶大が相対する。『陸の王者』が1つの引き分けで賜杯を手にするのに対し、昨秋の『覇者』が栄冠をつかむには連勝以外の道はない。だが、これまで数々のドラマを生み出してきた伝統の一戦では、何が起こるかは予測不可能だ。大混戦の様相を呈してきた2021年の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)、雌雄を決する大一番が今始まろうとしている。

 


第1戦の先発が予想される森田

 

 投打共に充実した戦力を擁する慶大。今季も順調な戦いぶりを見せ、六大学史上初の『四冠』に向けて死角はない。先発陣はここまで主に第1先発、第2先発を任されてきた森田晃介(4年)と増居翔太(3年)の2人が稲穂打線と対峙(たいじ)する。両者共にゲームメークに長け、安定感は抜群。制球の乱れに期待できない分、狙い球を絞り打ち崩したいところだ。ブルペンには昨季、守護神を務めた橋本達弥(3年)、法大1回戦で先発マウンドに立った生井惇己(3年)など、経験豊富なリリーバーが待機。総力戦が想定されるこの一戦でも、実力のある投手が出番に備えている。

 

 慶大打線を引っ張るのは、不動の1番として定着した渡部遼人(4年)だ。今季は高いアベレージを誇り、盗塁成功率も100パーセントを維持。快足を封じるためにも、波に乗るリードオフマンの出塁は許したくない。一方、主砲の正木智也(4年)はこの秋不振に陥り、通算本塁打の数は10で止まっている。だが、油断はできない。昨季の早慶1回戦では同点アーチを放っており、一打で試合の流れを変える力を持つ打者だ。また、下位には通算打率が3割を超える福井章吾主将(4年)が座り、切れ目のない打線で早大投手陣に襲いかかる。

 


ここまで30イニング連続無失点中の西垣

 

 対する早大は、徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)、西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳学園)の先発二枚看板で慶大打線を迎え撃つ。徳山は立大戦、明大戦で打ちこまれたものの、他の2試合では好投を披露。西垣は立大1回戦の途中から30イニング連続無失点と快投を続けている。チームとしてはロースコアの展開に持ち込みたい中で、『Wエース』の投球がチームの命運を委ねる。リリーフでは変則左腕の原功征(スポ3=滋賀・彦根東)、成長著しい齋藤正貴(商2=千葉・佐倉)が秋季リーグ戦で躍動。昨季まで抑えを任せられていた山下拓馬(法4=埼玉・早大本庄)をケガで欠く状況の中では、細かい継投でピンチの芽を摘みたい。

 


明大1回戦で逆転となる適時二塁打を放った今井

 

 打線陣では、第6週を終え打率.577、3本塁打、14打点、三冠王をほぼ手中に収めた4番の今井脩斗(スポ4=埼玉・早大本庄)には最大級の警戒が予想される。そのため、今井の後を打つ丸山壮史主将(スポ4=広島・広陵)、岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)の一打が勝利のカギを握る。また、昨秋の早慶戦で劇的な逆転弾を放った蛭間拓哉(スポ3=埼玉・浦和学院)や打撃好調の福本翔(社4=東京・早実)、今季、打撃面で開花の時を迎えた中川卓也(スポ3=大阪桐蔭)といった、上位打線を担う3人にも期待がかかる。

 

 「強い早稲田を取り戻す」。新体制発足後、丸山主将はリーグ戦連覇、そして日本一を見据えていた。だが、春の結果は5位。連覇の夢は消え、悔しい思いを味わった。続く秋もスタートダッシュに失敗し、苦渋を飲んだ。ただ、そこからは引き分けを挟み4連勝を遂げ、快進撃で天王山までたどり着いた。もう負けるわけにはいかない。因縁の相手を下し日本一への道をつなぐため、『常勝』を目指す稲穂軍団は、王座奪還をかけた戦いに臨む。

(記事 足立優大、写真 湊紗希、永田悠人、高橋優輔)

 

東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位   慶 大 明 大 立 大 早 大 法 大 東 大 勝ち点 勝率
慶 大 △4-4
△2-2
○8-5
△2-2
  ○11-2
△0-0
○15-1
○4-1
1.00
明 大 △4-4
△2-2
○2-1
○5-4
●5-8
●0-3
△4-4
△6-6
○9-0
○22-0
.667
立 大 ●5-8
△2-2
●1-2
●4-5
○4-0
○5-2
○8-3
○4-1
○15-6
●4-7
5.5 .556
早 大   ○8-5
○3-0
●0-4
●2-5
△0-0
△0-0
○23-1
○19-0
.667
法 大 ●2-11
△0-0
△4-4
△6-6
●3-8
●1-4
△0-0
△0-0
○11-1
△0-0
.250
東 大 ●1-15
●1-4
●0-9
●0-22
●6-15
○7-4
●1-23
●0-19
●1-11
△0-0
1.5 .111