【緊急】令和3年度春季早慶戦 注目選手特集 1 蛭間拓哉

野球

 

 「全員の魂が乗り移って、蛭間のホームランにつながった」。昨秋のリーグ戦後に、早川隆久前主将(令3スポ卒=現東北楽天ゴールデンイーグルス)がこう話した。10季ぶりの優勝を懸けた慶大2回戦。1点を追いかける9回に、蛭間が捉えた打球はバックスクリーンに吸い込まれた。劇的な優勝の立役者としての記憶はまだ新しい。

 

 浦和学院高時代には1年春から4番を任され、3年夏には主将としてチームを甲子園ベスト8に導く。U18アジア選手権ではのちにチームメートとなる主将の中川卓也(スポ3=大阪桐蔭)と共に、副将としてチームを支えた。そんな経歴を引っさげ、鳴り物入りで早大に入学したものの、思うような活躍はできず。1年の春季リーグ戦は無安打。秋季リーグ戦でもレギュラー定着とはならなかった。だが2年生のシーズンに入ると、ついに蛭間はその実力を見せつける。春季リーグ戦では5試合という異例のレギュレーションにも関わらず、3本塁打、9打点で打撃二冠。さらに秋季リーグ戦では、慶大2回戦で優勝を決定づける劇的本塁打を放つ。この一打で、名実ともに『早稲田の主砲』としての立場を確立した。

 

立大1回戦で本塁打を放つ蛭間

 

 脚光を浴びた勢いそのままに、今季はクリーンアップに座っている。チームの主軸として「チャンスで1本打てるバッターになれるように」と語る。また、今季から背番号は1。本来は内野手の背番号だが、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)は最も期待する打者として蛭間に託した。

 

 今季成績は打率.333、3本塁打、7打点。第7週終了時点で5位に沈む早大の中で、別格ともいえる活躍ぶりだろう。それでも、蛭間は満足していない。今季印象に残っている打席は、宮海土(立大)から喫した三振だという。「ミスショットや三振、ボール球を振ってしまうなど、まだまだ課題が多い」と、貪欲に上を目指す姿がうかがえる。慶大戦へ向けても「自分のスイングができれば打てる」と話す。昨秋の放物線の記憶は、慶大ナインにとっても強く残っているはずだ。最大級の警戒が予想される中で、蛭間が再び、宿敵の前に立ちはだかる。

 

(記事 佐藤桃子)

※紙面に掲載している記事と同様になります。紙面はこちらから。(5/29公開)

◆蛭間拓哉(ひるま・たくや)

2000(平12)年9月8日生まれ。176センチ、85キロ。埼玉・浦和学院高出身。スポーツ科学部3年。外野手。左投左打。早慶戦も「自分のスイングができれば打てる」と話してくれた蛭間選手。相手からの警戒は高くなっていると予想されますが、それをはね返す一打が楽しみです!