早川、吉澤神宮デビュー 華の早慶戦の舞台に立つ/2017年春季リーグ戦

野球

 2017年の東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)開幕戦。8回裏1死満塁、一発同点の場面で1人のルーキーがマウンドに上がった。現在主将の早川隆久(スポ4=千葉・木更津総合)だ。早川はエースとして木更津総合高を甲子園春夏8強に導いたほか、U18日本代表としても活躍。世代屈指の左腕としてその名をとどろかせていた。

 ピンチでの初登板を「なおさら抑えてやろうという気持になった」と振り返る。代わりばなに適時打を浴び1点を失ったが、自慢の直球で後続を連続三振。この回を最少失点で切り抜けると、続く9回を無失点に抑えた。指揮官も「初登板で上等」(高橋広前監督、商52教卒=現神戸医療福祉大監督)とルーキーらしからぬ堂々とした投球を評価した。東大1回戦では、けがにより一時戦線を離脱した小島和哉(平31スポ卒=現千葉ロッテマリーンズ)の穴を埋めるかたちで先発を経験するなど早くもチームに欠かせない存在となる。

開幕戦で早くもリーグ戦デビューを果たした早川

 そして迎えた伝統の一戦。「使命を絶対に果たさないといけない」。この時すでに優勝の夢は途絶えていたが、早大の意地とプライドにかけ絶対に負けられない戦いだった。しかし、後に「あの経験をした分、他に怖いものはなくなった」と述懐するほどの苦い経験をすることにとなる。慶大1回戦、1点リードで迎えた7回裏。この回から登板した早川は安打と四球で1死満塁のピンチを招く。早慶戦独特の雰囲気の中、次打者に投じた球は歓声と悲鳴とともに右翼席へ。痛恨の逆転満塁弾を浴びてしまったのだ。慶大3回戦では先発を務めたが制球に苦しみ、2回途中2失点での降板となった。

 一方、野手陣では1年生として唯一ベンチ入りを果たしていた吉澤一翔(現副将、スポ4=大阪桐蔭)が慶大2回戦で初安打初打点を記録した。吉澤は高校時代に名門校で主将を務めた右のスラッガー。パンチ力ある打撃を買われ、1年生ながら代打としてシーズンを通して起用されていた。

慶大2回戦で左前適時打を放つ吉澤

 「圧倒的な雰囲気」(早川)。「早慶(の選手)でしか味わえないこともある」(吉澤)。甲子園を経験した2人にさえ特別と言わしめる『華の早慶戦』。宿敵撃破は叶わず、チームは4位に沈んだが、入学間もない時期にその舞台に立ったことは大きな財産となっただろう。真新しいユニフォームを身にまとい伝統の一戦を経験した若武者2人は、2017年春、『早稲田の早川』、『早稲田の吉澤』として新たなスタートを切った。

(記事 望月清香、写真 平松史帆氏、加藤耀氏)


早大打者成績(早川世代のみ掲載)
名前
早川隆久 8 6 0 0 0 0 3 0 0 .000
吉澤一翔 6 5 0 1 0 1 2 0 0 .200
早大投手成績(早川世代のみ掲載)
名前
早川隆久 8 1 2 19 1/3 22 6 28 11 12 5.12
2017年東京六大学春季リーグ戦星取表
順位 チーム 勝ち点 勝率
立 大 .692
慶 大 .667
法 大 .600
早 大 .500
明 大 .455
東 大 10 .000