富山で開催された豪華球宴 早大からは加藤主将ら8選手が出場!

野球
TEAM
富山ワーンズ
立山レンポーズ
(富)髙橋亮佐藤、●津留﨑柳川坂口早川徳山郡司大音福井

 毎年8月に開催されている東京六大学野球オールスターゲームが24日、富山市民球場アルペンスタジアムにて盛大に行われた。スタンドには地元の野球少年たちの姿が多く見られ、六大学野球の人気をうかがわせた。早大は慶大、東大とともに『富山ワーンズ』を結成し、明大、立大、法大からなる『立山レンポーズ』と対戦した。序盤は緊迫した投手戦となったが、ワーンズの3番手・津留﨑大成(慶大4年)が4回に暴投で先制を許すと、7回には早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)が集中打を浴び2失点。一方のワーンズ打線はレンポーズ投手陣の前にわずか5安打に終わり、完封負けを喫した。

 早大からは8人が出場した今年の球宴。レンポーズには六大学屈指の好投手がそろうも、ワーンズは柳町達副将や郡司裕也主将(両慶大4年)、加藤雅樹主将(社4=東京・早実)ら豪華な打者が並び、拮抗(きっこう)した好ゲームになることが予想された。試合は3回まで両チームとも一人の走者も出さない静かな立ち上がりとなった。試合が動いたのは4回裏。2死から連打を許し一、三塁のピンチを招くと、津留﨑が痛恨の暴投。レンポーズに先制点が入った。5回表、先頭の加藤の打球は中堅手後方への大きな飛球となるも、もうひと伸び足りず2打席連続の凡退に。「感触は良かった。あの打球がスタンドに入るようにしたい」と加藤。その後2死から打席に入った檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)は7球目を引っ張ると風に乗り、スタンドインかと思われた。ところが「振り切れていない部分があった」の言葉の通り打球が失速。左翼手にフェンス直前で捕球されこの回も無得点に終わる。

この日大きな外野フライを放った加藤は手応えをにじませた

 6回裏、この日一塁手での攻守が光っていた球宴初出場の中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)が一、二塁間を破る安打を放つ。チーム唯一の1年生にもかかわらず、「気楽にいけた」と大舞台慣れした一面を見せた。2死後、代打・瀧澤虎太朗(スポ3=山梨学院)も右翼に安打を放ち一打同点の好機をつくるも、続く武隈光希(東大3年)が凡退し1点が遠い展開が継続する。

 7回裏には早川が6番手としてマウンドに上がる。しかし先頭から2者連続で二塁打を打たれ早々に失点。球宴ということで直球勝負を選択したものの、1死から代打・宇草孔基(法大4年)に三遊間を破られる。ここですかさずワーンズを指揮する大久保秀昭監督(慶大)がマウンドへ。「福井捕手(章吾、慶大2年)のリードがうまくなくて申し訳ない」とユーモアをまじえ間を取るも、続く添田真海(明大4年)にも安打を打たれこの回2失点目。1死一、二塁とピンチが続く。しかし9、1番打者は直球の球威で押し切り何とかこの回を終え、ベンチに戻る際には笑顔も見せる。「調子は悪くない」と本人が言ったように、随所に直球の力強さを感じさせた。8回には徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)が登板。高校時代にバッテリーを組んでいた福井とのバッテリーは「息があっていた」と、三者凡退に切って取る。同じく大阪桐蔭高校出身の山田健太(立大1年)との対戦は試合前の要望の通り真っすぐで勝負し中堅への飛球に取ってみせた。

大久保監督、福井とマウンドに集まる早川(中央)

 レンポーズは8回から侍ジャパン大学日本代表にも選出された森下暢仁主将(明大4年)が登板。その8回には福岡高輝(スポ4=埼玉・川越東)が緩いカーブをうまく引き付け安打とするが後ろの打者が続かず無得点。9回には地元・富山出身の村上智優(スポ4=富山・高岡南)が代打で登場。空振り三振に終わるも、ドラフトの目玉ともいわれる森下に対しファウルで粘りを見せた。普段はチームのデータ班として活躍する村上。「すごく楽しめた」と充実感を口にした。ところがワーンズはこの後も森下を打ち崩せず、完封負けを喫した。

富山出身の村上。9回に代打で登場すると大きな歓声を受けた

 各大学の投手陣の好調ぶりが目立った今回のオールスターゲーム。夏季オープン戦では満足いく結果を残せていなかった徳山は試合後、「この試合をきっかけにしたい」と意気込んだ。投打ともに決してまだ万全の状態とはいえない早大だが、「チームが勝つために何ができるのかを常に考えて、チームに必要なことをできる限りやろうと心掛けている」と話した村上のように、全員で東京六大学秋季リーグ戦での好成績に向けて最高の準備をしてほしい。

(記事 山崎航平、写真 永田悠人、吉岡拓哉、中原彩乃)

コメント

加藤雅樹主将(社4=東京・早実)

――普段はライバルの慶大と同じチームで戦った試合ですが、どんな気持ちで試合に望まれましたか

なかなかない機会なので、しっかり他の選手とコミュニケーションをとって臨めました。

――どの選手とコミュニケーションをとりましたか

元々仲がいいのはあるんですけど、郡司選手(裕也主将、慶大4年)とかは特にそうですし、慶応勢とはかなりコミュニケーションをとりました。

――2打席とも外野への大きなフライで、良い当たりに見えましたが、感触はいかがでしたか

感触はいいんですけど、(スタンドに)持ってゆき切れていない点で、まだ問題がまだあるということだと思うので、あれがスタンドに入るようにしたいと思います。

――夏季オープン戦が始まっていますが、現時点でのチームとご自身の状況を教えてください

チームとしてはまだまだで、ミスも多いです。個人としてもまだまだ成長していかなければならないと思っています。

檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)

――きょうの試合の感想を教えてください

日頃戦っているチームの人とこうやって仲間として(試合をすることが)できたので、すごく良い経験だったなと思います。

――他大学の選手たちとの交流はいかがでしたか

やっぱりベンチの中で話したりとか、(ウォーミング)アップ中とかにリーグ戦(東京六大学リーグ戦)のこととか話したりしました。

――いい当たりもありましたが、きょうのプレーは振り返ってどうですか

やっぱり(フェンス際まで飛んだ)レフトフライが少し惜しかったですが、まだ(バットを)振り切れてない部分がありました。あと守備ではちょっと送球が安定してなかったので、そこを修正していきたいなと思います。

――夏季オープン戦も半分程終了しましたが、調整具合はいかがですか

まだまだ足りない部分があるので、そこはしっかり詰めてやっていきたいなと思います。

村上智優(スポ4=富山・高岡南)

――まず、今回の東京六大学オールスターゲームに出場が決まった時の気持ちはいかがでしたか

本当にうれしかったですね。きのうこの話をいただいたんですが、二つ返事で「行きます」と言うくらいうれしかったです。

――地元・富山での開催でした。特別な思いはありましたか

やはりお世話になった方々に早稲田のユニホームを着て恩返しする良い機会だったので、元気よく最後までプレーしようと思っていました。

――昔のチームメートなどは観に来ていましたか

いや、一生懸命拡散したんですけど、決まったのがきのうだったので駄目でしたね(笑)。

――きょうは代打で出場し、六大学屈指の右腕・森下暢仁主将(明大4年)を相手に、三振を喫したものの粘りを見せました。打席を振り返っていかがでしたか

打席に入る前に大久保監督(秀昭、慶大)が相手捕手の西野くん(真也、明大4年)に「(村上は)地元民だぞ」と言ってくださって(笑)。だから真っすぐが来ると分かっていたので強く振れました。その結果、すごく楽しめましたね。3球で終わらずにしっかりスイングできましたし、元気でやっている姿を(お世話になった方々に)見せられたのかなと思います。

――普段は部内でデータ班としても活躍されていますが、どんな心意気で取り組んでいますか

やはりチームで勝ちたい気持ちが私の中で一番なので、そこにどうすれば貢献できるかを考えたときに自分はデータ面なのかなと思いました。その中でもチームが勝つために何ができるのかを常に考えて、チームに必要なことをできる限りやろうと心掛けています。

――最後に、今後に向けての意気込みを聞かせてください

きょうは出場機会をいただきましたけど、選手としてチームに貢献するのは現実的でないと自分の中で思っているので、選手としてでなくてもチームの優勝に「おまえがいて良かった」と言ってもらえるように、一日一日取り組んでいきたいなと思います。

早川隆久(スポ3=千葉・木更津総合)

――試合を終えての感想を教えてください

暗黙の了解ではないですけど、真っすぐを投げて打たれましたが(東京六大学秋季)リーグ戦の前という中でリフレッシュできる機会があったのでそういう面では良かったと思います。

――代わってすぐ連打で点を許してしまいましたが、きょうの調子はどうでしたか

調子自体は悪くないと思うので、リーグ戦に向けて状態を上げていければいいかなと思います。

――途中慶大の大久保秀昭監督がマウンドに行き話をしていましたが、どんな話をされていましたか

福井選手(章吾、慶大2年)とのバッテリーで「福井選手がうまくなくて申し訳ない」という話でしたが、福井選手とは「前々から真っすぐで勝負するから変化球を要求しなくてもいいよ」という話をしていたので間を取るだけのタイムだったと思います。

――オープン戦でも長打を許す場面が目立ちましたが、調整のペースはいかがですか

いま悪い部分が出るのは全然良いと思うので、本戦に向けてしっかり調整していければ良いかなと思います。

――残りの夏季オープン戦も数少ないですが、そこへ向けての意気込みをお願いします

自分の投げる機会は多くないですが、そこでしっかり自分のできることを全うして、チームを勝利に導いていければ良いなと思います。

徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)

――普段は対戦チームである選手と同じチームで戦うことについてどう思いましたか

こういう機会はなかなかないので、いろんな話や交流ができてきょうは良い経験ができたと思います。

――0ー3とビハインドでの登板でした

最後、勝っていれば2回投げる予定だったのですが、高校時代に(バッテリーを)組んでいた福井(章吾、慶大2年)と一緒に組めたので良かったです。

――福井選手とのバッテリーはとても印象的でした

高校時代から組んでいて息があったなと思います。

――同じく大阪桐蔭高出身の山田健太選手(立大1年)との対戦はどうでしたか。

「真っすぐ勝負できてください」というふうに言われたので、真っすぐ勝負でいって。結果センターフライだったので良かったです。

――秋から先発と聞いているのですが、今の状況はどのような感じですか

調子が悪い中で苦しんでいたんですけど、きょうはすごくいい感じで投げられたので、これをきっかけに良い投球ができるように頑張りたいと思います。

中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

個人的にもヒットが出ましたし、いい経験になったと思います。

――打った感触はいかがでしたか

真っすぐしか待ってなかったので、ヒットが出て良かったです。

――きょうは途中から二塁の守備に入られましたが、練習はされていたんですか

いや、練習はしていなくてこの試合の前日に監督に言われたんですけど、なんとかこなせて良かったです。

――1年生としてチームで唯一のベンチ入りでした

気楽にやらせてもらったので、思い切ってバットを振って守るだけでした。

――相手チームに高校のチームメートが2人いましたが、何か話はされましたか。

敵のチームだったので、深い話はしてないですけど、ナイスバッティングと(2人に)声を掛けました。

――今後の意気込みをお願いします

秋の公式戦(東京六大学秋季リーグ戦)が間近なので、秋こそ優勝できるように頑張りたいです。