ラストイヤーの秋。4年生にとっては早大のユニフォームを着て戦える最後の機会。この秋ついに、レギュラーを渇望していた西岡寿祥(教4=東京・早実)がその座を自分のものとした。ケガをしていた右手を手術し痛みが消え、打撃をゼロから作り直したことで課題の打撃が向上。元々評価の高い守備も健在でチームに欠かせない選手に成長した。そんな西岡にこれまでの経歴と今季について伺った。
※この取材は10月17日に行われたものです。
「内野陣は六大学の中で一番良い」
内野陣唯一の4年生として後輩を引っ張る西岡
――明大戦の途中で髪をきれいに刈り上げましたが
明大1回戦は自分のせいで負けてしまったと思っていて、自分にとても腹が立っていて何かしないと収まらないなと思っていたので、とりあえず五厘にしようかなという感じで五厘にしました。
――髪はチームメートに切ってもらったのですか
大体は自分で切って、残りの細かいところを黒岩駿(副将、スポ4=長野日大)にやってもらいました。
――今シーズンを振り返って個人としてはどうですか
打率が落ちてきているんですけどなんとか3割は打ちたいなと思っています。
――打率が下がってきた中で「変える」という発言もありましたが
変化球攻めが続いていてその変化球に合ってなかったので、若干自分の中でバットの位置を高くしてというのをやりました。
――ケガなくやれている今の現状に充実感があるとおっしゃっていましたが
やっとケガもなく出れているので、そこが一番僕的にはいいのかなと思います。
――打撃が向上した要因はどういうところにあると思いますか
手術をして打ち方がゼロから始まったのでそこが良かったのかな。手の不安とかもないし、それが良かったのかなと自分としては思っています。
――自信のあるという守備はここまで失策0です
去年とかは守備固めで出してもらっていたので、守備固めで出してもらっていた選手が失策やったらまずいなというんで、僕的にはそんなに意識はしていないんですけど普通にやってて取れるアウトは取れてると思います。欲を言えば内野安打になっている打球をアウトにできたらいいなというのがあります。
――守備のこだわりはありますか
守備は僕の中ではスローイングです。捕って一発で胸に放る。送球がまばらだと見ている方も不安になると思うのでスローイングを自分の中で一番大事にしています。
――チームとしてもリーグ最少の失策数です
法大戦では不安な場面もありましたが、そっからは取れるアウトはほぼ取れていると思います。僕は内野陣は六大学の中で一番良いと思っています。
――二遊間でコンビを組む檜村篤史選手(スポ3=千葉・木更津総合)との相性は
特に意識はしていないですけど、良いのではないかと思います。
――早実の後輩の金子銀佑選手(教2=東京・早実)が出場を続けています
銀佑も高校入った時から三塁手をやっていて、高校の時からハンドリングもうまいし足の運びとかもすごく良かったので普通にうまいなと思います。
――チーム防御率はリーグトップの好成績です
小島(和哉主将、スポ4=埼玉・浦和学院)も西垣(雅矢、スポ1=兵庫・報徳学園)もテンポ良いし、四球も少ないので二塁手から見ていて守りやすいです。
――小島選手は主将としてもチームを引っ張っていますがどういう存在ですか
1年の頃から活躍していて頼れるなという感じです。
――春と秋のチームを比較してどういうところに差があると感じますか
春は守備でミスが多かったのかなと思うんですけど、秋は守備が良いのでそこが一番の違いかなと思います。
悔しさを乗り越えて
故障もあり出場機会をつかめずにいたが、今季ついに定位置を獲得した
――大阪から早実に進学した理由は
親父が早稲田大学の野球部で、大阪にいる時からOBの方とかと会っていたりしていて、一番尊敬している親父と同じところでプレーしたいなと思っていて、それを言ったらワセダに行きたいなら早実に入ったらそのまま行けるから早実に入るのがいいと言われたので早実を目指しました。
――高校時代は一人暮らしをされていたのですか
そうですね。
――不安はありましたか
自炊もできないし、洗濯とかも慣れないし最初の半年はとてもきつかったです。
――お父様からプレーについてのアドバイスを受けたりはしますか
打撃とかも法政1回戦後とかにも助言してもらって意識的に変えたりしました。
――野球部に入っての第一印象はどういうものでしたか
入学した時の4年生の先輩がすごい方たちばかりだったので、体も大きいし、ただすごいなという感じでした。
――入学当時はどのような4年間を思い描いていましたか
1年からベンチに入ってと思っていたんですけど、そんなに甘くもなくて最後はレギュラーで出たいと思っていて春とかもケガとか多くて自分的には思い通りにいかないことばかりでしたけど、最後の最後で試合に出れてチームも良い感じなんで最終的には良かったのかなと思います。
――リーグ戦に絡めなかった下級生の頃は悔しさはありましたか
だいぶ悔しかったです。
――ベンチ入りが増えてきた3年生ですが、スタメンを奪うことはできませんでした。何が足りなかったと思いますか
非力だったし、僕自身も打撃には自信がなかったのでそこだと思います。
――迎えたラストイヤーですが春の沖縄キャンプ前にケガをしてしまいました
やっちゃったなという感じでした。すぐに手術してリーグ戦の途中から入るのもあったのですが、自然にくっつくという可能性もあると言われていたので開幕まで1カ月あったので自然にくっつく方にかけてやっていこうと思ったんですが、もう完全にくっつかないということになったので骨折れたものはしょうがないので自分として割り切ってできてた感じはあります。
――今振り返ると、手術をしないという判断はどう捉えますか
いやでもそれでよかった思います。
――試合に出れない春はどういうことを意識して日々取り組んでいましたか
手術しないと骨がくっつかないので打つのが痛くてできない状態で打撃はどうすることもできなかったので、守備の基本的な練習を毎日やっていました。
――手術をする決断をしたのは
5月半ばですかね。
――実際に手術したのは
6月の中旬ですね。
――リハビリとかはどのくらいの期間行ったのですか
リハビリというのは特にやっていないです。トレーナーの方に紹介してもらったすごく有名な先生に手術をしてもらって、二年前にも手術しているんですけどその時と比べても今回は手術の次の日にはもう痛くないという状態で、その先生のおかげで1カ月経たないくらいでバットも振れるようになって、本当に先生のおかげです。
――夏のブラジル遠征の収穫は
僕は試合前に練習が積めないと不安なタイプなんですけど、ブラジルでは移動がとても多くてなかなか練習できない状態だったので、練習できない中でどう試合に持っていくかということが分かったかなと思うので、すごくいい経験になりました。
――監督からの信頼は厚いようにも感じますが
自分はあまり監督さんと話す機会も少ないのですが、そういうふうに思ってくださっている期待に応える活躍をしないといけないなと思います。
――4年生の秋でスタメンを奪いましたが、スタメンで出続けることはどういうものですか
入学した時からそれが目標でしたし、僕が思い描いていたよりかは遅くはなったというか少し違う部分もあるけど、もう残りリーグ戦自体は2週間というところまで来ているので、やっぱり早慶戦で勝って優勝するのが一番いいかたちだと思うのでそこに向けて頑張っていきたいなと思います。
――優勝すると1年時以来となりますが、当時の思い出は
パレードとか見てて、僕もそういうところでやりたいなと思っていたのでそうなりたいなと思います。
――4年間を振り返って一番多くを占める感情は何ですか
野球に関してはほぼ楽しいことはないです。悔しいとか面白くないとかマイナスなことが多いです。
「最後は気持ちの勝負になる」
――両校優勝の可能性がある早慶戦になりますが、どのような試合になると思いますか
ケイオーも総合力でくると思うし、僕らもそういうチームなので今まで以上に緊張感のある試合になると思います。本当にワンミスしたら負けるというかそういう試合になると思います。
――3連覇を狙うケイオーはどういうチームだと思いますか
僕的には飛び抜けた選手がいるといった印象ではなく、つないでつないでというかチーム力という印象を持っています。
――西岡さん自身の数宇的な目標は
打率3割は目指したいです。明大戦でこんなに(打率を)落とすと思ってなかったんですけど。最低3割です。
――フルイニング出場は意識されますか
最初から最後まで出ないとレギュラーではないと思うので、最初から最後まで出るのはとても意味があることだと思います。
――最後に早慶戦への意気込みをお願いします
最後のシーズンでもあるし、優勝懸かってもいるので今までの試合以上に気合いを入れて、最後は気持ちの勝負になると思うので気持ちだけではケイオーに負けないように、とにかく2連勝しか僕らに優勝する道はないので2連勝目指して頑張りたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 藤本壮汰)
フルイニング出場達成に向けて早慶戦も最後まで戦い抜きます!
◆西岡寿祥(にしおか・ひさよし)
1996(平8)年7月21日生まれ。172センチ、75キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。内野手。右投右打。丸刈りがとても似合っていた西岡選手。幼い頃からよく気合いを入れるために坊主にしていたらしいです。早慶戦にかける思いは人一倍。気合い満点のプレーで勝利を呼び込んでほしいです。