【連載】春季リーグ戦開幕前特集『奪還』 第6回 八木健太郎

野球

 切り込み隊長、どころか核弾頭。確実性が高く長打力もあり、足も速い。そんな選手は日本中の大学を見渡してもそう多くない。八木健太郎(スポ4=東京・早実)は、紛れもなくその一人だ。昨年からチームの主力として活躍したが、残した成績は自身の満足いくものではない。最高学年となり、実力面でも精神面でもチームを支えることになることしこそは――。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)を間近に控える八木の意気込みを聞いた。

※この取材は3月30日に行われたものです。

1番打者としての役割を

八木はここまでの成績に納得のいかない様子だ

――現在の調子はいかがですか

 悪いです。勝負どころで打てていないですし、オープン戦では三振の数も多くて、追い込まれてから粘れてないので、1番としての役割を果たせていないかなと

――ここ2試合は当たっていますが

 来週からもうリーグ戦なので、それに向けて仕上げないといけないなと。

――その仕上がり具合としてはいかがですか

 沖縄、京都ではしっくりこない部分があったんですけど、最近は、少しだけですけどボールの見方が分かってきているかなという感じです。

――右方向を意識した打撃で結果が出ていますがそれについては

 そうですね。基本(体を)開かずに、ボールの内側を見るイメージを持っています。その意識は去年から変わずやっています。

――ここ2試合で、左右に2本塁打を放ちました

 いや、たまたまですね(笑)。

――普段の練習からは飛距離が伸びたなと感じることはありますか

 そうですね。自分でもよく分からないですけど、打球が結構伸びていますね。

――重点的に練習していることはありますか

 体幹と下半身の強化をずっとしていますね。あとは振る量を落とさずに、逆方向を基本として練習しています。

――昨年まで石井選手(一成、平成29スポ卒=現北海道日本ハムファイターズ)とよく練習されていましたが、ことしはよく一緒に練習する方はいますか

 決まってはないです。暇なやつを見つけて一緒にやる、っていう感じですね。

「全てにおいてまだまだ」

今季も打線に火を点ける

――理想の打撃のかたちは

 理想は、中堅から逆方向に打ったヒットが出続ければいいかなと思います。

――ご自身に足りないと感じることは

 全てにおいてまだまだだと思います。

――走塁への意識は変わらず高く置いていますか

 そうですね。1番打者なので。次の塁を盗めるような走塁が大事だと思います。隙があれば走れる選手を目指してやっています。

――昨年は走塁に関して「特別な練習は特にしていない」とおっしゃっていましたが、ことしはいかがですか

 去年からしていることですが、打撃練習のときに、少し走塁練習をしています。二塁にいて、打者の打球を見たり。走塁の自主練は特にはしていないです。

――盗塁やベースランニングも含めて、走塁面についてここまでどのくらいの手応えを感じていますか

 盗塁の数が少ないです。アウトにならないスタートを切れるようにならないとなと思います。

――盗塁のスタートにこだわりを持っていると

 そうですね。スタートが一番大事だと思います、盗塁は。投手のモーションを盗むことも含めてですね。

――何に意識してモーションを見ていますか

 投手の全体を見ながら、足に注目している感じですね。

――ことしも1番打者として出場されることが多いですが、1番にこだわりはありますか

 いや、好きとか嫌いとかはないですね。任せられたからには、出塁率が高くないとダメだと思っています。1番なので、走れる選手で、出塁率も高くて、勝負強い、点が取れる打者でいたいです。

――具体的に数字の目標はありますか

 打率はやっぱり3割以上ですね。盗塁も・・・8くらいですかね。

――他にこだわりを持ちたい部分はありますか

 失策ゼロです。

――守備面ではどのようなことにこだわりますか

 例えば2死二塁とかで、バックホームでランナーを刺したりとか、難しいボールを取ったりとか。投手を助けられるようになりたいですね。

――外野では高い守備力を持つ中澤選手(彰太、平29スポ卒=現JFE東日本)が卒業されましたが、それについてはいかがですか

 そうですね、中澤さんが抜けたので・・・。それでもことしはことしのチームなので、中澤さんが抜けても自分たちのやるべきことをやります。なんだろう?(笑)。特に気にしているというほどではないです。

「優勝のすごさを味わわせたい」

――4年生になりましたが、意識の変化はいかがですか

 外野だったら、中澤さんが抜けて、今自分が外野を引っ張っていっているんですけど、自分のやるべきことをやりつつ、周りを見て、引っ張っていかないとと思いますね。

――一年間を通して下級生の選手に教えること、残したいことはありますか

 やっぱり優勝ですね。今の1、2年生は優勝と日本一を見たことがないので、そのすごさを味わわせたいなというのがありますね。

――優勝に向けて足りないと感じることはありますか

 やっぱり、全然オープン戦で勝てていないので、チームが一つになっていないということもありますし、投手と野手がかみ合わないという部分もあります。分からないですけど、一試合、一試合で強くなっていくしかないのかなと思います。

――チームのキーマンは誰だとお考えですか

 小島(和哉、スポ3=埼玉・浦和学院)かなあ。ワセダのエースだと自分は思っているので。

――最後に、リーグ戦への意気込みを一言お願いします

 まず自分のやるべきことをやって、チームに貢献して、まずはリーグ優勝。なおかつ日本一になれるように頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 喜田村廉人)

『集中すればどんな困難でも乗り越えられる』という意味で、インタビューに向けて用意してくれた一言だそうです

◆八木健太郎(やぎ・けんたろう)

1994(平6)6月29日生まれ。身長176センチ、体重77キロ。東京・早実高出身。スポーツ科学部4年。インタビューは軽い調子で、しかしご自身のこだわりははっきりと伝えてくれた八木選手。色紙の言葉の意味を周りの選手に聞かれると「自分で調べろ!」と豪快でした。