沖縄キャンプレポート~オープン戦編~

野球

 「キャンプでありながら実戦で鍛える」(髙橋広監督、昭52教卒=愛媛・西条)。温かい気候のもとでみっちりと練習を積むことはもちろんのこと、新チーム始動以来、積み重ねてきたものをゲームの中で発揮できるか。同じく沖縄でキャンプを張る社会人チームや地元のチームとのオープン戦は東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ)へ向けた実戦の機会として大変貴重だ。早大は沖縄滞在中にオープン戦4試合を行い、1勝3敗。格上の社会人チームを相手に負けはしたが、3試合全てでロースコアの接戦に持ち込んだのは収穫だったに違いない。

攻撃陣が振るわず。痛いアクシデントも(3月8日・対ホンダ鈴鹿)

TEAM
ホンダ鈴鹿
早 大

 前日に台湾遠征組が沖縄に合流したばかりの早大ナイン。疲れも残る中、社会人・ホンダ鈴鹿と国内では初の春季オープン戦に臨んだ。相手先発は竹内諒(平29スポ卒=三重・松阪)。先輩を打ち崩して成長した姿を見せたかったが、4回まで投げた竹内の前に安打1本に抑えられ三塁さえ踏むことができない。竹内に先輩としての意地を見せつけられたかたちだ。

 先発マウンドには柳澤一輝(スポ4=広島・広陵)。台湾には同行せす、東京で調整を行ってきた右腕は「立ち上がりがイマイチ」と振り返るように初回にいきなり満塁のピンチを招くが、後続を打ち取りなんとか無失点スタート。その後も社会人の打者を相手に3回まで得点を与えなかったが、4回に2死から3連続で長打を浴びてしまい2失点。6回を投げ許した安打が4本のみだっただけに、悔やまれる。柳澤の後を受けた藤井寛之(法2=福岡・東筑)と川上開誠(創理3=東京・早実)も1点ずつを失った。

 打線は竹内らホンダ鈴鹿投手陣の前に沈黙。7回の八木健太郎(スポ4=東京・早実)の中犠飛と、8回の敵失で挙げた2点に得点はとどまり、放った安打はわずかに2本だった。また、早大にとっては手痛いアクシデントに見舞われた。台湾遠征から打撃好調で、3番を打っていた三倉進(スポ4=愛知・東邦)が右肩を脱臼。春季リーグ戦への出場は絶望的となってしまった。「試合中のケガだから仕方ないけど、好調だっただけに非常に残念」と髙橋監督。今季は三倉の穴を全員でカバーしていきたいところだ。

(記事 郡司幸耀)

終盤追い上げ実らず惜敗(3月12日・対日本生命)

TEAM
早 大
日本生命

池田の中犠飛でタッチアップ。間一髪のタイミングで本塁に生還する小野寺(4)

 台湾遠征を終え、調整の場を沖縄へと移した早大野球部。この日は社会人野球の名門・日本生命と練習試合を行った。早大は2点差の9回に池田賢将(スポ3=富山・高岡南)の犠飛で1点差に詰め寄るが反撃開始の遅さが響き、惜敗した。

先発は期待のルーキー早川隆久(スポ1=千葉・木更津総合)。初回に中越え本塁打を浴びたが、140キロ台の直球とスライダーをうまく組み立て3回自責点1とまずまずの結果を残す。投手陣はその後、昨秋最優秀防御率のタイトルを獲得した小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)など3投手のリレーで相手打線を5安打に抑えた。各投手とも社会人打者を詰まらせる場面があり、春季リーグ戦に向け調整は順調と言えるだろう。

 一方打線は課題が浮き彫りになった。特に序盤は相手投手の緩急に翻弄(ほんろう)され、計10三振。また3回と5回は先頭打者を出したものの、好機に結び付けられなかった。送りバントや盗塁など小技をきっちり決められるよう春季リーグ戦までに調整していきたい。ただ収穫もあった。7回は途中出場の宇都口滉(人4=兵庫・滝川)に左前適時打が飛び出し、9回には代打の福岡高輝(スポ2=埼玉・川越東)が右中間に三塁打を放つと、その代走・小野寺旭(人4=岩手・水沢)が犠飛で生還。スタメン外の選手が得点に絡む活躍を見せ、ますます競争は激化しそうだ。

(記事 田原遼、写真 三浦遥)

4回の一挙9得点で試合を決める(3月14日・対沖縄大)

TEAM
沖縄大
早 大 13

 雨が上がり、グラウンドにぬかるみも残る中、沖縄大と対戦した。初回の守りで4点を失うまさかの展開も、4回に打者一巡の猛攻を見せ一気に逆転。久しぶりの大勝となった。

 先発・二山陽平(商4=東京・早実)は立ち上がり、簡単に1死を取るが、次打者に四球を許してしまう。すると、そこから連打を浴び先制を許した。その後も2死満塁から右翼線への走者一掃の適時二塁打でさらに3点。この回だけで4点を許し、早大は初回から追う展開を強いられた。

 4点を追って打線はすぐさま反撃を開始。初回、連打で1死二、三塁の好機をつくると、4番・加藤雅樹(社2=東京・早実)のニゴロの間に1点を返す。この回の得点はこの1点にとどまったが、4回にビッグイニングが訪れた。この回だけで5四球と制球の定まらない相手投手を一気に攻め、中川力輝(スポ4=新潟・長岡)の2点適時打などで9得点を挙げる。6回にも上位打線から3本の長打が飛び出し、3点を追加。12安打13得点の猛攻で4点のビハインドを跳ね返した早大が、国内の春季オープン戦では初白星を飾った。

(記事 郡司幸耀)

引き分け目前で『負けない野球』ならず(3月15日・対沖縄電力)

TEAM
早 大
沖縄電力 1X

 『負けない野球』。昨年同様掲げるテーマだ。得点できずとも、守りを固め点を与えなければ負けることはない。「最低でも引き分け」という髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)の言葉にはそんな意味が込められている。しかし、この日は1-1の同点で迎えた9回裏2死一、二塁から清水陸生(人4=宮崎大宮)が左前適時打を浴び、沖縄電力にサヨナラ負け。あと1死のところで許した痛恨の失点により、沖縄で最後のオープン戦を勝利で締めくくることはできなかった

 無安打で先制を許した。2番手で登板した北濱竣介(人4=石川・金沢桜丘)は4回、四球の走者をバッテリーエラーにより三塁まで進められると、ニゴロの間に三塁走者の生還を許す。その後は毎回安打を浴びるが、後続をしっかりと断ち、最少失点で抑えてみせた。この日は3投手が登板し被安打7、2失点。負けはしたが、決して悪い出来ではなかった。

 1点を追いかける攻撃陣。好機が訪れたのは7回だった。ます、代打・長谷川寛(社4=宮城・仙台育英)が左越え二塁打で出塁。すると1死後に檜村篤史(スポ2=千葉・木更津総合)の当たりが左翼手の失策を誘い、長谷川を本塁に招き入れた。しかし、得点はこの1点のみ。奮闘する投手陣を援護できなかったことが最終回のサヨナラ負けにつながってしまった。

(記事 郡司幸耀)

※リーグ戦開幕前の記事は都合により試合当日に公開することができないことがございます。読者の皆様には大変申し訳ございませんが、何卒ご了承頂きたく存じます。リーグ戦は従来通り、即日公開致します。

※記事中の学年は新年度のものです。