史上初の世界一に茂木が貢献!

野球

 7月6日から韓国・光州で開催されたユニバーシアード競技大会。史上初の金メダルを目標に韓国へ乗り込んだ若き侍たちが、ついに世界の頂点に立った。圧倒的な強さを見せ付けて迎えた11日の決勝戦。悲願の世界一への準備は万全であったが、球場に降り続く雨がやむことはなかった。下された結論は日本、台湾の両チーム優勝。中軸としての責任を果たす茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)を中心とした爆発力のある打線に、ここまで4試合で未だ失点0の投手陣。破竹の勢いを見せていただけに、消化不良の思いはぬぐえない。それでも日本の強さを世界に示した充実の6日間となった。

  NPB選抜との壮行試合で4番二塁を任された茂木は、翌日の国内での最終戦から本大会予選リーグの全試合を通して、5番一塁としてスタメンに名を連ね続けた。壮行試合では無安打に終わるも、予選リーグ初戦の韓国戦でさっそく1安打を記録。続く中国戦では適時打を含む2打数2安打を放ち、迎えた予選リーグ最終戦のフランス戦でも1安打1打点。派手さはないものの、抜群の安定感を見せて毎試合で打線の核としてしっかり役割を果たした。

6月末の壮行試合で笑顔を見せる茂木

 予選3試合を難なく突破し進んだ準決勝、相対したのはアメリカだ。勝負の大一番に向け、日本代表はここまで不動であった上位打線の入れ替えに着手。ここまで1安打にとどまっていた高山俊(明大)と入れ替わる形で、茂木が慣れ親しんだ3番へ昇格する。試合は初回、打順変更の成果が早くも現れた。走者を一塁に置き、打席には3番・茂木。監督の期待に応える強烈な一打は中堅手の頭上を越える三塁打となり、貴重な先制点をもたらした。3回には俊足で相手のミスを誘うと、5回には中堅左への二塁打で好機を拡大する。6回にも犠飛を放つなど、いずれも得点につながる活躍を披露。まさしく茂木の打棒が強敵を打ち砕いた。

 主力としてチームをプレーで引っ張る覚悟で迎えた今春は、決して忘れられぬ激動のシーズンとなった。シーズン本塁打記録の更新も視野に入れ、結果二冠王に輝き3年ぶりの優勝を果たしたリーグ戦。6割1分5厘という脅威の打率で首位打者賞、MVPとタイトルを総なめにした全日本。飽くなき向上心は日々茂木を成長させ、その手はついに世界一にまで届くこととなった。

 春のリーグ戦を前に前年度の日本代表を振り返り「個々のレベルが高いなと思い、自分もまだまだやらなくてはいけないなと感じさせられた」と語っていた茂木。今大会でも戦友たちと切磋琢磨し、自身を向上させる何かをつかんだはずだ。連覇はもちろん、自ら目標と語るプロの舞台への最後のアピールの場となる秋季リーグ戦。世界の頂点を経て都の西北に戻ってきた茂木が、どんなプレーを見せてくれるのか。ワセダが誇るガッツマンのラストイヤーからますます目が離せない。

(記事 三井田雄一、写真 芦沢仁美)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません