プロとの一戦を糧に、いざ世界一へ!

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NPB選抜
大学日本代表

 都の西北に栄冠が戻った今春。ワセダの快進撃を自慢の強打でけん引した茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)が、今度は世界を相手にその力を見せつけようとしている。7月3日から韓国・光州で開催されるユニバーシアード競技大会。次なる戦いに挑む茂木ら大学日本代表チームはこの日、NPB選抜チームと対戦した。試合は初回にNPB選抜チームに2点が入った後は、両者譲らぬ投手戦が続く。終盤、大学日本代表も粘りを見せたが2-3で惜敗。4番二塁でスタメンに名を連ねた茂木は1安打を記録したものの、打線の軸としては課題の残る一戦となった。

 胸が高鳴るプロとの一戦の第一打席で茂木が対戦したのは東北楽天の安樂智大。ドラフト1位で入団した期待のルーキーが投じた3球目を、迷うことなくフルスイングした。打球は飛び上がった一塁手のグラブに吸い込まれるも、いきなりの強烈な打球はファンを大いに沸かせる。第二打席では右の変則投手から俊足を生かして内野安打、第三打席では四球を選んで迎えた8回の第四打席。1点を追う中、二死三塁という何としても得点が求められる場面であった。緊迫の場面ながら茂木はいつも通り初球から積極的にバットを振り抜く。しかし勝ったのはプロの意地。空振り三振で好機を逸し、自らの一打でチームに流れを呼び込むことはかなわなかった。

日本代表のユニホームに身をつつみ、雄たけびを上げる茂木

 試合は初回、NPB選抜が2点本塁打で先制。何とか反撃に転じたい大学日本代表であったが、プロの投手を前に思うような打撃がさせてもらえない。しかし2番手で登板した田中正義(創価大)が150キロ前後の剛速球で、4回を投げ1本の安打も許さぬ完璧な投球を披露して接戦に持ち込む。中盤から終盤にかけては吉田正尚(青学大)の本塁打などで追い上げを見せたが、後一歩が及ばなかった。

 日本の大学野球で頂点をつかんでから、半月が過ぎた。いつもの戦場である神宮球場に戻ってきた茂木は、いつもと異なるプロを相手に多くのものを学んだはずだ。前年に続き自身2度目となる日本代表。最上級生として、JAPANの4番として目標の世界一は決して譲るつもりはない。『一戦必勝』の精神で頂へ駆け上がった今春のワセダ。そのストーリーが終結を迎えるのは7月11日。あと5つの白星を手に入れ、日本にこの大会初の金メダルをもたらしたときが茂木の長く充実した春の終わりだ。

(記事 三井田雄一、写真 芦沢仁美)