伝統の一戦制すも投手陣に課題

　通常早慶戦の行われる神宮球場から遠く離れた沖縄・石垣島で開催された伝統の一戦。試合は５回まで両校共に無得点であったが、６回に押し出し四球で早大が先制すると、続く７回にも四死球と江塚諭（スポ４＝静岡・掛川西）の左翼線への適時打で追加点をあげた。投手陣も制球に苦しみながらも慶大打線を無失点に抑え、沖縄キャンプでの成長を見せつけた。

　早大の先発・内田聖人（教２＝東京・早実）は２回までテンポの良い投球で凡打の山を築くも、３回に先頭の手錢大（４年）に右前打で出塁を許し、続く山本泰寛（２年）には四球を与えてしまう。次の佐藤旭（３年）の併殺崩れの間に生じた走者一、三塁のピンチに対し、内田は気迫のこもった投球で２番と３番をそれぞれ右飛、遊ゴロにしとめ、無失点で切り抜けた。

５回無失点と好投した内田

　試合が動いたのは６回表。１死から渡辺琢也（教２＝東京・早実）が四球で出塁すると、道端俊輔（スポ２＝智辯和歌山）の中前打と渡辺克真（文４＝鹿児島・鶴丸）の死球で満塁へと好機を広げる。ここで打席に立つのは東條航主将（文構４＝神奈川・桐光学園）。頼れる主将は球際を見極め押し出しの四球を選び、先制点を奪う。次の７回表には四死球と中村奨吾（スポ３＝奈良・天理）の好走で２死一、三塁の好機をつくり、打席には江塚。「２ストライクになってもしぶとく粘りをもって打つ」（岡村猛監督、昭５３二文卒＝佐賀西）というキャンプのテーマに基づき、追い込まれながらも粘った５球目は左翼の横を破る適時打となり、欲しかった追加点が入る。その後も投手陣が慶大打線を無失点に抑え、石垣市でのオール早慶戦初勝利を収めた。

貴重な追加点を挙げた江塚

　ことし初のオール早慶戦を白星で飾った早大ではあったが、岡村監督が「締まりのないお互いに少しピリッとしない内容」と語るように、投手陣が７四球と、制球に苦しむ場面が見受けられた。六大学リーグ開幕まで残り約１か月。２季ぶりの優勝を狙う早大にとっては投手陣の奮起が欠かせない。

（記事　川口真由、写真　手塚悠）

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コメント

岡村猛監督（昭５３二文卒＝佐賀西）

――試合を振り返って一言お願いします

締まりのない、お互いに少しピリッとしない内容だったのだけれど、結果的に勝てて石垣の皆様にも勝利をプレゼントできたことは嬉しかったです。

――先発の内田選手は５回無失点の好投でした

彼らしい気持ちの込もった攻めのピッチングをしてくれたので、非常に立ち上がりのゲームは締まった感じになって良かったです。

――先制点は押し出しによるものでしたが、江塚選手が貴重な追加点を挙げました

２ストライクになっても、しぶとく粘りをもって打っていこうということは一つテーマにしていたので、彼（江塚）が打ってくれて良かったです。

――東京に戻ってからもオープン戦が続きますね

選手もみんな後半に来て疲れていると思いますので、気力で乗り越えていこうという感じです。もう少しミスの少ない野球をやっていきたいと思います。